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公開番号2024079050
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-11
出願番号2022191755
出願日2022-11-30
発明の名称痒みの予防又は改善剤
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類A61K 31/4152 20060101AFI20240604BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】C3a受容体シグナル伝達経路を阻害することにより、痒みの予防又は改善に有用な新たな素材の提供。
【解決手段】エルトロンボパグ、その薬学的に許容される塩、又はそのプロドラッグを有効成分とするC3a受容体拮抗剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
エルトロンボパグ、その薬学的に許容される塩、又はそのプロドラッグを有効成分とするC3a受容体拮抗剤。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
エルトロンボパグ、その薬学的に許容される塩、又はそのプロドラッグを有効成分とする痒みの予防又は改善剤。
【請求項3】
痒みが難治性痒みである請求項2記載の痒みの予防又は改善剤。
【請求項4】
痒みがアトピー性皮膚炎における痒み、乾皮症における痒み、結節性痒疹における痒み、又は胆汁うっ滞に伴う掻痒症である請求項2又は3記載の痒みの予防又は改善剤。
【請求項5】
エルトロンボパグ、その薬学的に許容される塩、又はそのプロドラッグを有効成分とする掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤。
【請求項6】
掻痒性皮膚疾患がアトピー性皮膚炎、乾皮症又は結節性痒疹である請求項5記載の掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、C3a受容体拮抗剤、痒みの予防又は改善剤、並びに掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
痒みはアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患だけでなく、腎不全などの内臓疾患においてもみられる病態である。痒みは皮膚の乾燥、日焼け、皮膚と衣類との擦れなどによっても惹起される。痒みによる掻き動作は皮膚を物理的に侵害し、さらなる症状悪化を引き起こすことから、痒みの解決は皮膚疾患の予防又は改善に寄与する。例えば、後肢の爪を切って、掻破動作による皮膚の物理的損傷を抑制したマウスでは、アトピー性皮膚炎による皮膚症状が予防・改善されることが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
皮膚などの末梢組織における痒みの感覚は,末梢と脊髄後角をつなぐ求心性感覚神経により、脳に伝達される。求心性感覚神経の細胞体は後根神経節(DRG)に存在していて、細胞体から末梢組織と脊髄後角へ神経線維を伸長している。求心性感覚神経は、皮膚における感覚を受容し、脊髄後角の二次ニューロンに伝達する役割を持つ。
【0004】
痒みの起痒物質は対応する受容体との結合により痒みを惹起させる。起痒物質としては、ヒスタミン、セロトニン、クロロキンなど、痒み増強物質(感作物質)としてはIL-4やIL-13などのTh2サイトカインなどが報告されている。なかでも代表的な化学的起痒物質は主に肥満細胞から分泌されるヒスタミンである。最近では、ヒスタミンは基本的に一部の急性の痒みのみに関連し、多くの慢性的な痒みを伴う疾患におけるヒスタミンの関与は乏しいと考えられている(非特許文献2)。そのため、現在、抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)が痒みを抑える薬として多用されているが、抗ヒスタミン薬で十分な治療効果が得られる痒みはごく限られており、多くの痒み病態は抗ヒスタミン薬により寛解困難な難治性痒みである。ここでいう抗ヒスタミン薬とは、ジフェンヒドラミンなどのH1受容体拮抗薬を指す。例えば、抗ヒスタミン薬によるアトピー性皮膚炎及び乾皮症の治療は効果不十分であることが報告されており(非特許文献3~4)、アトピー性皮膚炎、乾皮症などの多くの皮膚疾患、さらに腎不全などの内科疾患に伴う痒みは難治性痒みといわれている。難治性痒みの多くはメカニズムが解明されていなく、メカニズムの解明と新たな標的となる分子の開発が求められている。
【0005】
一方、エルトロンボパグは、トロンボポエチン受容体(TPO-R)作動薬として知られている(特許文献1)。エルトロンボパグは、TPO-Rとの特異的な相互作用を介して、トロンボポエチン(TPO)のシグナル伝達経路の一部を活性化することにより、骨髄前駆細胞から巨核球に至る過程における細胞の増殖及び分化を促進させ、結果として、血小板数の増加をもたらす。日本においては慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療剤として承認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2003-534257号公報
【非特許文献】
【0007】
Hashimoto Y et al. Life Sciences. 2004 Dec 31;76(7):783-94
Ikoma A et al. Nature Reviews Neuroscience. 2006 Jul;7(7):535-47
J Am Acad Dermatol. 2014 Jul; 71(1): 116-132
Future Oncol. 2018 Oct;14(24):2531-2541
Lewis JE et al. Front Endocrinol (Lausanne). 2015 Feb 2;6:3
Cero C et al Structure. 2014 Dec 2;22(12):1744-1753
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、先ずアセトン・エーテル混合物及び水処理で乾皮症様の皮膚症状を示すモデルマウス(以下、AEWモデルマウス)より後根神経節(DRG)を採取し、網羅的な遺伝子発現解析を実施したところ、発現変動を示す遺伝子としてVgfを同定した。さらにAEWモデルマウス及びアトピー性皮膚炎モデルマウス(以下、ADモデルマウス)のDRGにおけるVgf遺伝子の定量的発現解析を実施したところ、コントロールマウスと比較して両モデルマウスにおいて、DRG組織のVgf発現は有意に増加していた(参考例1)。Vgfは神経分泌因子VGF nerve growth factor inducible(以下、VGF)をコードする遺伝子である。VGFは生体内のプロテアーゼなどで分解を受け、いくつかの生理活性ペプチドを生じることが知られている(非特許文献5)。その一つであるTLQP-21を健常マウスの後頚部皮膚内に注射すると、マウスにおいて掻破行動が惹起され、TLQP-21は痒みを誘発することを見出した(参考例2)。このTLQP-21皮内投与による掻破行動は、肥満細胞欠損マウスにおいてもみられ、TLQP-21の痒みの誘発は肥満細胞非依存的な応答であることが示唆された(参考例3)。
TLQP-21は細胞膜上に存在するGPCR型受容体である補体因子C3a受容体に結合し、シグナルを惹起することが知られている(非特許文献6)。そこで、ADモデルマウス及びAEWモデルマウスの作製過程において、並行してC3a受容体に拮抗する化合物をマウスに継続的に投与すると掻破行動が有意に減少することを確認した。これによりC3a受容体は痒み抑制の標的となり、TLQP-21のC3a受容体への結合を阻害することによって痒みの抑制が可能であることが判明した(参考例4、5)。このC3a受容体シグナル伝達経路の阻害に基づく痒みの抑制は、従来の方法で有効でなかった痒み病態の解消へ向けた新技術として有用と考えられる。
【0009】
従って、本発明は、C3a受容体シグナル伝達経路を阻害することにより、痒みの予防又は改善に有用な新たな素材を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、C3a受容体シグナル伝達経路を阻害する有効な素材について探索したところ、エルトロンボパグにC3a受容体拮抗作用があることを見出した。
これまでに、エルトロンボパグのC3a受容体及び痒みに対する作用は何ら報告されていない。
(【0011】以降は省略されています)

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