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公開番号
2024077319
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-06-07
出願番号
2022189353
出願日
2022-11-28
発明の名称
白金族金属の可溶化方法及び金属の分離方法
出願人
川崎重工業株式会社
,
国立大学法人福井大学
,
日本管機工業株式会社
代理人
弁理士法人有古特許事務所
主分類
C22B
11/00 20060101AFI20240531BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】原料に含まれる白金族金属を酸化することにより水や希薄酸に可溶な白金族金属化合物を生成する白金族金属の可溶化方法において、処理にかかるコストを削減する。
【解決手段】白金族金属の可溶化方法は、白金族金属を含む原料と、アルカリ金属の炭酸塩及び水酸化物の少なくとも一方、並びに、酸化ホウ素を含む添加剤との混合物を加熱して、水溶性の白金族金属化合物を含む熱処理物を得ること、熱処理物を水に浸漬し、熱処理物から添加剤の成分が浸出した水溶媒と、熱処理物の水浸出残渣とを分離すること、水溶媒を蒸発乾固させて固体残渣を得ること、及び、固体残渣を加熱前の混合物に添加すること、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
白金族金属を含む原料と、アルカリ金属の炭酸塩及び水酸化物の少なくとも一方、並びに、酸化ホウ素を含む添加剤との混合物を加熱して、水溶性の白金族金属化合物を含む熱処理物を得ること、
前記熱処理物を水に浸漬し、前記熱処理物から前記添加剤の成分が浸出した水溶媒と、前記熱処理物の水浸出残渣とを分離すること、
前記水溶媒を蒸発乾固させて固体残渣を得ること、及び、
前記固体残渣を加熱前の前記混合物に添加すること、を含む、
白金族金属の可溶化方法。
続きを表示(約 530 文字)
【請求項2】
前記水溶媒の水を蒸発させる前に、前記水溶媒を中性に調整して沈殿物を除去することを、更に含む、
請求項1に記載の白金族金属の可溶化方法。
【請求項3】
前記水溶媒に二酸化炭素ガスを吹き込むことにより前記水溶媒を中性に調整する、
請求項2に記載の白金族金属の可溶化方法。
【請求項4】
前記白金族金属は、Pd、Pt、Rh、Ir、Os、及びRuの少なくとも1つである、
請求項1又は2に記載の白金族金属の可溶化方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属は、Na、K、Li、Rb、及びCsの少なくとも1つである、
請求項1又は2に記載の白金族金属の可溶化方法。
【請求項6】
請求項1の白金族金属の可溶化方法で得られた前記水浸出残渣を希塩酸水溶液に浸漬し、前記白金族金属化合物が浸出した酸溶媒と不溶性残渣とを分離すること、及び、
前記酸溶媒から前記白金族金属を抽出して回収すること、を含む、
金属の分離方法。
【請求項7】
前記不溶性残渣から金属を回収することを、更に含む、
請求項6に記載の金属の分離方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、原料に含まれる白金族金属を水溶性の白金族金属化合物とする白金族金属の可溶化方法、及び、この方法を用いた金属の分離方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)
【背景技術】
【0002】
白金族金属は、優れた触媒性能を有することから、自動車の排ガス浄化触媒等の様々な用途に用いられている。白金族金属は希少性が高い。そこで、天然の鉱石よりも白金族金属濃度が高い廃触媒等の廃製品から白金族金属を抽出する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された分離方法では、水酸化カリウム及び酸化ホウ素の混合物を加熱して溶融物を得る溶融工程と、原料、溶融物、及び炭酸カリウムの混合物を加熱して熱処理産物を得る熱処理工程と、熱処理産物を水、0.01M塩酸、0.1M塩酸及び1M塩酸の順にそれぞれ2時間浸漬した後、浸漬により熱処理産物の成分が溶出した各溶液と不溶性の残渣とを得る浸漬工程と、各溶液に溶解した白金族金属をそれぞれ回収し、且つ、不溶性の残渣として金を回収する回収工程とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-127493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、王水と比較して安価な水や希薄酸溶液に白金族金属を溶解させた白金族金属溶液が得られる。一方で、白金族金属の酸化剤である炭酸カリウムや、白金族金属を酸化するための反応助剤である水酸化カリウム及び酸化ホウ素などの「添加剤」に係るコストが嵩むという課題が残されている。また、高濃度の酸化ホウ素を含む排水の処理のためのコストが嵩むという課題も残されている。
【0006】
本開示は以上の事情に鑑みてされたものであり、原料に含まれる白金族金属を酸化することにより水や希薄酸に可溶な白金族金属化合物を生成する白金族金属の可溶化方法において、処理にかかるコストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る白金族金属の可溶化方法は、
白金族金属を含む原料と、アルカリ金属の炭酸塩及び水酸化物の少なくとも一方、並びに、酸化ホウ素を含む添加剤との混合物を加熱して、水溶性の白金族金属化合物を含む熱処理物を得ること、
前記熱処理物を水に浸漬し、前記熱処理物から前記添加剤の成分が浸出した水溶媒と、前記熱処理物の水浸出残渣とを分離すること、
前記水溶媒を蒸発乾固させて固体残渣を得ること、及び、
前記固体残渣を加熱前の前記混合物に添加すること、を含むものである。
【0008】
また、本開示の一態様に係る金属の分離方法は、
前記白金族金属の可溶化方法で得られた前記水浸出残渣を希塩酸水溶液に浸漬し、前記白金族金属化合物が浸出した酸溶媒と不溶性残渣とを分離すること、及び、
前記酸溶媒から前記白金族金属を抽出して回収すること、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、原料に含まれる白金族金属を酸化することにより水や希薄酸に可溶な白金族金属化合物を生成する白金族金属の可溶化方法において、処理にかかるコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本開示に係る金属の分離方法の流れ図である。
図2は、添加剤の再生方法の流れ図である。
図3は、変形例に係る添加剤の再生方法の流れ図である。
図4は、各溶媒へ浸出した金属元素を調べた実験結果を表す図表である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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