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公開番号2024074697
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-31
出願番号2022186026
出願日2022-11-21
発明の名称油圧シリンダ装置
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類F15B 15/14 20060101AFI20240524BHJP(流体圧アクチュエータ;水力学または空気力学一般)
要約【課題】油圧シリンダ装置で発生する油圧が高圧となっても、ロッドカバー側に負荷される荷重をより低減可能とする。
【解決手段】シリンダ1が形成する円筒状の室内をピストン8が往復移動する油圧シリンダ装置である。シリンダ1は、ピストン8の頂面8Aと対向する底面2Bと円筒面2Aとでシリンダ室Sを形成するシリンダ本体2と、シリンダ本体2に連結し、シリンダ室Sを閉塞するロッドカバー6と、円筒状の室に装着されてピストン8を案内する円筒部材とを備え、円筒部材は、環状の内向きフランジ3Bを有し、内向きフランジ3Bの底面2Bと対向する外面に環状の溝部3Baを有し、その溝部3Baに取り付けられた環状のシール部材5によって、底面2Bと内向きフランジ3Bとの間が密封される、油圧シリンダ装置である。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
シリンダが形成するシリンダ室内をピストンが往復移動する油圧シリンダ装置であって、
上記シリンダは、
上記ピストンの頂面と対向する底面と上記底面の外周に連続してピストンの進退方向に軸が向いている円筒面とで上記シリンダ室を形成するシリンダ本体と、
上記シリンダ本体に連結し、上記シリンダ本体の上記底面と対向する対向面を有して、上記シリンダ室を閉塞するロッドカバーと、
上記円筒面に装着されて、上記ピストンを案内する円筒部材と、
を備え、
上記円筒部材は、円周方向且つ内径方向に延在して上記底面と当接する環状の内向きフランジを有し、
上記内向きフランジの上記底面と対向する外面には、上記内向きフランジの延在方向に沿って延びる環状の溝部を有し、
上記溝部に取り付けられ上記底面と内向きフランジとの間を密封する環状のシール部材を備える、
ことを特徴とする油圧シリンダ装置。
続きを表示(約 310 文字)【請求項2】
上記円筒部材の内径面に、ピストンとの摺動を改善する摺動性改善層が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載した油圧シリンダ装置。
【請求項3】
上記円筒部材の軸方向の長さは、上記底面と上記対向面との対向距離と等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載した油圧シリンダ装置。
【請求項4】
上記円筒部材は、円筒部本体と、上記円筒部本体の底面側端部に形成された上記内向きフランジとを備え、
上記環状の溝部は、上記円筒部本体よりも径方向内側に位置する、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した油圧シリンダ装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧シリンダ装置に関する技術である。本発明は、圧延機の圧下力発生用の油圧シリンダ装置など、高い油圧を発生するための油圧シリンダ装置に好適な技術である。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
油圧シリンダ装置が発生する高負荷を利用する装置として、例えば圧延機がある。
ここで、従来から圧延機及び圧延方法においては、圧下力を適正に圧延ロールに付与して安定した圧延を行うことで圧延精度を向上される技術が開示されている。一例として、厚板圧延においては、圧延中にベンダーシリンダやバランスシリンダを有する油圧シリンダ装置が機能することで優れた精度の鋼材を造り込んでいる。これは、ロール胴部の両端部に設けられたロール軸部(クラッチとも称する)に、上下方向や前後方向の力を加えてロール胴部に上下方向や前後方向のたわみを与える。この結果、油圧シリンダ装置は、板厚精度などを向上させるものである。
【0003】
そのような技術は、例えば、特許文献1など、複数の特許文献に記載されている。
特許文献1には、油圧シリンダ装置として、例えば、圧下装置を構成する左右の圧下シリンダが記載されている。各圧下シリンダは、シリンダケースが構成する円筒形状のシリンダ室内に円筒部材が同軸に嵌め込まれ、その円筒部材によって、ピストンが滑らかに進退可能な構成となっている。
【0004】
ここで、従来、圧下等に用いる高圧用の油圧シリンダ装置は、シリンダケースが大型のブロックからなる。そして、シリンダ室の内面に対して、摺動性を向上させるメッキ処理を施していた。しかし、シリンダケースは、大型ブロックであることからメッキ施工時にめっき厚さの均一性を確保しにくい。また、経年によりシリンダ摺動部のメッキに疵がついたり、偏摩耗したり、剥離したりする。このようなことは、ピストン側のシールに欠けや、疵などの悪影響を及ぼし、油漏れなどの原因となっていた。更にはめっき補修の際もシフトブロックの脱着の長時間化や再めっきの不均一等も懸念されトラブルの要因となるおそれもある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載のように、シリンダケースのシリンダ室に、内径面に予めメッキを施した円筒部材を嵌め込むことが行われている。この円筒部材の装着によって、均一なメッキを施した摺動面を、簡易に且つ保守しやすい形態で提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2003-112211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、発明者らの調査によると、厚板圧延などにおいて、上記のような円筒部材を装着した場合、円筒部材を装着しない場合に比べ、次のような不具合が発生するおそれがあることが分かった。その不具合は、圧延対象が高負荷材となるほど、シリンダケースにロッドカバーを固定するボルトが破損が発生するおそれがある、というものである。そして、ボルト破損は、油漏れの原因となる。
なお、ロッドカバーは、ピストンロッドが貫通する穴が開口して、シリンダケースが形成するシリンダ室を閉塞する部品である。このロッドカバーは、シリンダケースにボルト結合で固定されている。
【0008】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、油圧シリンダ装置で発生する油圧が高圧となっても、ロッドカバー側に負荷される荷重をより低減可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、上記不具合について種々検討を重ねて、次の知見を得た。シリンダ室に円筒部材を装着すると、油圧を発生する油圧室内の圧力が、円筒部材におけるロッドカバーと反対側の端面に負荷され、その負荷が円筒部材を介してロッドカバーに掛かる。また、近年の高負荷材の増加により、シリンダに作用するサージ圧が高くなっている。このため、発明者は、ロッドカバーに掛かる負荷も増大し、ロッドカバーを固定しているボルトへの負荷も増大し、ボルト折損の原因となっていた、との知見を得た。
そして、発明者は、円筒部材の形状を変更することで、シリンダ内の圧力バランスの見直しを図り、ボルト折損トラブルを抑えることを検討した。そして、本発明を成した。
【0010】
すなわち、課題解決のために、本発明の一態様は、シリンダが形成するシリンダ室内をピストンが往復移動する油圧シリンダ装置であって、上記シリンダは、上記ピストンの頂面と対向する底面と上記底面の外周に連続してピストンの進退方向に軸が向いている円筒面とで上記シリンダ室を形成するシリンダ本体と、上記シリンダ本体に連結し、上記シリンダ本体の上記底面と対向する対向面を有して、上記シリンダ室を閉塞するロッドカバーと、上記円筒面に装着されて、上記ピストンを案内する円筒部材と、を備え、上記円筒部材は、円周方向且つ内径方向に延在して上記底面と当接する環状の内向きフランジを有し、上記内向きフランジの上記底面と対向する外面には、上記内向きフランジの延在方向に沿って延びる環状の溝部を有し、上記溝部に取り付けられ上記底面と内向きフランジとの間を密封する環状のシール部材を備える、油圧シリンダ装置である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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