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公開番号2024058654
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-25
出願番号2023177523
出願日2023-10-13
発明の名称液圧ポンプをモニタするための診断システム及び方法
出願人ザ・ボーイング・カンパニー,The Boeing Company
代理人園田・小林弁理士法人
主分類B64C 13/40 20060101AFI20240418BHJP(航空機;飛行;宇宙工学)
要約【課題】航空機内の液圧システムにおいて、劣化した液圧ポンプの早期検出をもたらすための診断システム及び方法を提供する。
【解決手段】第1の温度センサ(316A)、第2の温度センサ(316B)、及びコントローラ(314)を含む。第1の温度センサは、液圧システムのポンプ(200)の入口(202)の上流の液圧流体の第1の温度を測定する。第2の温度センサは、ポンプの出口(206)の下流の冷却フローストリーム内の液圧流体の第2の温度を測定する。コントローラは、ポンプにわたる液圧流体の温度上昇の値を、第1の温度と第2の温度との差として特定し、ポンプの速度に基づいてポンプにわたる温度上昇の予測される範囲を得る。温度上昇の値が予測される範囲の外側にあることに応じて、コントローラは、航空機の外部と通信するための整備メッセージであって、ポンプが劣化していることを示す整備メッセージを生成する。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
航空機(100)に搭載された液圧システム(300)であって、容器(304)から前記航空機(100)上の液圧荷重(308)に液圧流体をポンピングするように構成されたポンプ(200)を備える液圧システム(300)、
前記ポンプ(200)の入口(202)の上流の前記液圧流体の第1の温度を測定するように構成された第1の温度センサ(316A)、
前記ポンプ(200)の出口(206)の下流の冷却フローストリーム内の前記液圧流体の第2の温度を測定するように構成された第2の温度センサ(316B)、並びに
1以上のプロセッサ(320)を含むコントローラ(314)を備える、診断システム(302)であって、前記コントローラ(314)は、
前記ポンプ(200)にわたる前記液圧流体の温度上昇の値を、前記第1の温度と前記第2の温度との間の差として特定すること、
前記ポンプ(200)の速度(503)に基づいて、前記ポンプ(200)にわたる前記液圧流体の前記温度上昇の予測される範囲(502)を得ること、及び
前記温度上昇の前記値が前記予測される範囲(502)の外側にあることに応じて、前記航空機(100)に搭載されていない1以上のデバイスに通信するための整備メッセージを生成することであって、前記整備メッセージは、前記ポンプ(200)が劣化した状態で動作していることを示す、整備メッセージを生成すること、を実行するように構成されている、診断システム(302)。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記コントローラ(314)は、
前記航空機(100)の飛行状態に基づいて、前記温度上昇の前記予測される範囲(502)を得ること、及び
前記航空機(100)が前記飛行状態にある間に、前記温度上昇の前記値を特定すること、を実行するように更に構成されている、請求項1に記載の診断システム(302)。
【請求項3】
前記コントローラ(314)は、前記航空機(100)が前記飛行状態として巡航状態にあることを検出するように構成されている、請求項2に記載の診断システム(302)。
【請求項4】
前記コントローラ(314)は、前記航空機(100)を取り囲む環境の周囲温度に基づいて、前記温度上昇の前記予測される範囲(502)を得るように更に構成されている、請求項1に記載の診断システム(302)。
【請求項5】
前記コントローラ(314)は、前記整備メッセージであって、前記ポンプ(200)を特定し、前記航空機(100)用の整備予約をスケジューリングすることを要求するための前記整備メッセージを生成するように更に構成されている、請求項1に記載の診断システム(302)。
【請求項6】
前記ポンプ(200)は、燃料燃焼エンジン(313)、電気モータ(315)、又はラムエアタービンのうちの1つである駆動構成要素(312)によって動力供給され、前記コントローラ(314)は、前記駆動構成要素(312)の測定された回転速度に基づいて、前記ポンプ(200)の前記速度(503)を特定するように構成されている、請求項1に記載の診断システム(302)。
【請求項7】
前記ポンプ(200)の前記出口(206)は、ケースドレイン出口であり、前記ポンプ(200)は、吐出口(204)を更に含み、前記ポンプ(200)は、前記吐出口(204)から前記航空機(100)上の前記液圧荷重(308)に前記液圧流体の高圧フローストリームを供給するように構成され、前記高圧フローストリーム内の前記液圧流体は、前記冷却フローストリーム内の前記液圧流体から離れ、前記冷却フローストリーム内の前記液圧流体よりも高い圧力を有する、請求項1に記載の診断システム(302)。
【請求項8】
前記コントローラ(314)は、前記予測される範囲(502)を計算することによって前記予測される範囲(502)を得るように構成され、前記コントローラ(314)は、前記ポンプ(200)の前記速度(503)に基づいて前記液圧流体の体積流量を得、前記体積流量と前記液圧流体の密度特性とに基づいて前記液圧流体の質量流量を計算し、前記質量流量に少なくとも部分的に基づいて前記温度上昇の前記予測される範囲(502)の上限(504)と前記温度上昇の前記予測される範囲(502)の下限(506)との両方を計算するように構成されている、請求項1に記載の診断システム(302)。
【請求項9】
前記コントローラ(314)は、メモリストレージデバイス(322)内に記憶された参照表(500)にアクセスすることによって前記予測される範囲(502)を得るように構成され、前記参照表(500)は、前記ポンプ(200)の前記速度(503)の複数の異なる範囲(508)の各々について、前記予測される範囲(502)の対応する上限(504)と前記予測される範囲(502)の対応する下限(506)とをリストアップしている、請求項1に記載の診断システム(302)。
【請求項10】
前記ポンプ(200)にわたる前記液圧流体の前記温度上昇の前記値を特定した後で、前記コントローラ(314)は、拡張された期間にわたり、前記ポンプ(200)にわたる前記液圧流体の前記温度上昇の複数の更新された値を特定すること、及び前記値と前記複数の更新された値とを記録すること、を実行するように更に構成されている、請求項1に記載の診断システム(302)。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、航空機内の液圧システムに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
[0002] 航空機液圧システムは、飛行操縦翼面、着陸装置、スラストリバーサなどを動かすために使用される。液圧システムはまた、飛行中に航空機を制御するためにも使用される。液圧ポンプは、非圧縮性液圧流体を動力で圧縮する液圧システム用の液圧動力源を提供する。液圧ポンプは、航空エンジン、電気モータ、ラムエアタービン、及びガス圧システムなどの、航空機上に存在する様々な動力源からの機械的エネルギー動力を変換し得る。
【0003】
[0003] 液圧ポンプは、従来、故障するまで運転されている。故障したポンプは、運航停止をもたらし得る。というのも、故障したポンプを交換するスケジュール外の整備を行うために、スケジューリングされた飛行が遅延し、キャンセルされ、又は迂回され得るからである。運航停止だけに止まらず、一部の故障は、航空機の構成要素に損傷を与え得、故障を直すために必要とされる費用や時間が増加する。液圧ポンプ用の既知の故障モニタリングは、モニタされている温度が高温過熱閾値を超えたことに基づいて、ポンプ又はシステムの過熱状態を検出することに限られる。過熱状態の誤検出を制限するために、システム及び環境要因(大気圧など)のばらつきに起因して、過熱閾値は非常に高い値に設定され得る。ポンプは、過熱状態に到達する前にかなり劣化することがある。劣化したポンプは、複数の問題を有し得る。例えば、流量の低下、始動時に流れない、間欠的に動作し得る、圧力を生成することができないなどである。高い過熱閾値は、ポンプの問題の早期検出を可能にしない。
【発明の概要】
【0004】
[0004] ポンプの故障前に劣化した液圧ポンプの早期検出をもたらすための診断システム及び方法が必要とされている。該システム及び方法は、航空機の運航停止及びポンプの故障を回避するために、スケジューリングされた整備が、劣化しているが未だ動作可能なポンプに対処することを可能にする。
【0005】
[0005] これらの必要性に鑑みて、本開示の特定の複数の実施形態は、航空機に搭載された液圧システム、第1の温度センサ、第2の温度センサ、及び1以上のプロセッサを含むコントローラを含む、診断システムを提供する。液圧システムは、容器から航空機上の液圧荷重に液圧流体をポンピングするように構成されたポンプを含む。第1の温度センサは、ポンプの入口の上流の液圧流体の第1の温度を測定するように構成されている。第2の温度センサは、ポンプの出口の下流の冷却フローストリーム内の液圧流体の第2の温度を測定するように構成されている。コントローラは、ポンプにわたる液圧流体の温度上昇の値を、第1の温度と第2の温度との間の差として特定するように構成されている。コントローラは、ポンプの速度に基づいて、ポンプにわたる液圧流体の温度上昇の予測される範囲を得るように構成されている。温度上昇の値が予測される範囲の外側にあることに応じて、コントローラは、航空機に搭載されていない1以上のデバイスに通信するための整備メッセージを生成するように構成されている。整備メッセージは、ポンプが劣化した状態で動作していることを示す。
【0006】
[0006] 本開示の特定の複数の実施形態は、液圧ポンプの状態をモニタするための方法を提供する。該方法は、航空機に搭載されている液圧システムのポンプにわたる液圧流体の温度上昇の値を特定することを含む。温度上昇は、ポンプの入口の上流で測定された液圧流体の第1の温度と、ポンプの出口の冷却フローストリーム内で測定された液圧流体の第2の温度との間で特定される。該方法は、ポンプの速度に基づいて、ポンプにわたる液圧流体の温度上昇の予測される範囲を得ることを含む。温度上昇の値が予測される範囲の外側にあることに応じて、該方法は、航空機に搭載されていない1以上のデバイスに通信するための整備メッセージを生成することを含む。整備メッセージは、ポンプが劣化した状態で動作していることを示す。
【0007】
[0007] 本開示の特定の複数の実施形態は、第1の温度センサ、第2の温度センサ、及び1以上のプロセッサを含むコントローラを含む、診断システムを提供する。第1の温度センサは、ポンプの入口の上流の液圧流体の第1の温度を測定するように構成されている。液圧流体及びポンプは、航空機に搭載されている液圧システムの構成要素を表している。ポンプは、容器から航空機上の液圧荷重に液圧流体をポンピングするように構成されている。第2の温度センサは、ポンプの出口の下流の冷却フローストリーム内の液圧流体の第2の温度を測定するように構成されている。コントローラは、航空機の動きを制御するユーザ入力デバイスから受信される制御信号の不存在に少なくとも部分的に基づいて、航空機の飛行状態を検出するように構成されている。コントローラは、ポンプにわたる液圧流体の温度上昇の値を、第1の温度と第2の温度との間の差として特定するように構成されている。温度上昇の値は、航空機が検出された飛行状態にある間に特定される。コントローラは、航空機の飛行状態及びポンプの速度に基づいて、ポンプにわたる液圧流体の温度上昇の予測される範囲を得るように構成されている。温度上昇の値が予測される範囲の外側にあることに応じて、コントローラは、航空機に搭載されていない1以上のデバイスに通信するための整備メッセージを生成するように構成されている。整備メッセージは、ポンプを特定し、そのポンプが劣化した状態で動作していることを示し、航空機用の整備予約をスケジューリングすることを要求する。
【0008】
[0008] 本開示のこれらの特徴、態様、及び利点、及びその他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、より良く理解される。図面全体を通して、同様の特徴は同様の部分を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009] 航空機の斜視図である。
[0010] 液圧ポンプの概略図である。
[0011] 吐出口を通る高圧フローストリームの流量に対するポンプの排熱を反映したグラフである。
[0012] 一実施形態による、液圧システム、及び液圧システムの1以上の液圧ポンプの健全性又は状態をモニタする診断システムを示すブロック図である。
[0013] 一実施形態による、液圧ポンプの状態をモニタする方法のフローチャートである。
[0014] 種々の対応するポンプ速度に対するポンプにわたる温度上昇の複数の予測される範囲を提供する表である。
[0015] 一実施形態による、拡張された期間にわたる所与のポンプにわたる液圧流体の温度上昇を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016] 上記の概要、ならびに特定の複数の実施形態の下記の詳細な説明は、添付の図面を参照して読むことによってより良く理解されるであろう。本明細書で使用されるときに、「一(a)」又は「1つの(an)」に続く単数形の要素又はステップは、複数の当該要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されたい。更に、「一実施形態/1つの実施形態(one embodiment)」への言及は、追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図しておらず、かかる追加の実施形態も、記載されている特徴を包含する。更に、明示的に反対のことが述べられていない限り、特定の条件を有する一又は複数の要素を「備える(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、かかる条件を有しない追加の要素を含み得る。
(【0011】以降は省略されています)

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