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公開番号2024056986
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-23
出願番号2024024471,2022557159
出願日2024-02-21,2022-02-15
発明の名称副室燃焼4ストロークエンジン
出願人ヤマハ発動機株式会社
代理人弁理士法人ATEN
主分類F02B 19/12 20060101AFI20240416BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】シリンダヘッドの大型化とプレイグニッションの発生を抑制する。
【解決手段】副室燃焼4ストロークエンジンは、複数の連通孔を介して主燃焼室に連通し、その内部空間に副室スパークプラグの一部が露出する副室を有し、混合気の点火を補助する点火補助装置を有さない。制御装置は、低負荷領域の少なくとも一部において、混合気が燃焼後に三元触媒で処理できる第1空燃比または第1空燃比よりもリッチな第2空燃比となるように、吸気通路に燃料を噴射する吸気通路噴射弁を制御する。シリンダヘッドは、副室スパークプラグの電極部および複数の連通孔が形成された副室壁部からの熱を受け取る冷却媒体が収容される冷却部を有する。副室スパークプラグの電極部に生じる複数の火花放電、複数の連通孔、副室スパークプラグの電極部から冷却部までの複数の熱経路、および、副室壁部から冷却部までの複数の熱経路は、それぞれ周方向に分散するように形成される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
吸気通路および排気通路が接続される主燃焼室と、
前記吸気通路を通過して前記主燃焼室に吸入される空気の量を調整するスロットル弁と、
ガソリン燃料、アルコール燃料、またはガソリン・アルコール混合燃料である液体燃料を前記吸気通路の内部に噴射する吸気通路噴射弁と、
前記主燃焼室よりも容積が小さくなるようにシリンダヘッドに形成され、その内部空間が複数の連通孔を介して前記主燃焼室の内部空間と連通し、その内部空間に副室スパークプラグの一部が露出する副室と、
前記吸気通路噴射弁および前記副室スパークプラグを制御する制御装置とを有する副室燃焼4ストロークエンジンであって、
前記制御装置は、前記スロットル弁の開度が小さい低負荷領域の少なくとも一部において、前記吸気通路および前記主燃焼室で混合された混合気が燃焼後に三元触媒で処理できる第1空燃比または前記第1空燃比よりもリッチな第2空燃比となるように、前記吸気通路噴射弁を制御し、
前記副室燃焼4ストロークエンジンは、前記副室に燃料を噴射する副室燃料噴射弁、および、前記副室または前記主燃焼室における混合気の点火を補助する点火補助装置のどちらも有さず、
前記シリンダヘッドは、前記副室スパークプラグの電極部および前記複数の連通孔が形成された副室壁部からの熱を受け取る冷却媒体が収容される冷却部を有し、
前記副室の内部空間が、前記主燃焼室の内部空間にその一部が露出するシリンダヘッド本体および前記副室スパークプラグのどちらとも別体であり、前記複数の連通孔が形成された前記副室壁部を含み、前記副室スパークプラグの外周面と接触する内周面を有する副室部材と、前記副室スパークプラグとによって囲まれた空間であり、
前記電極部に複数の火花放電が周方向に分散して生じるように前記副室スパークプラグの前記電極部が形成され、
前記複数の連通孔が周方向に分散して形成され、
前記副室スパークプラグの前記電極部から前記冷却部までの複数の熱経路、および、前記副室壁部から前記冷却部までの複数の熱経路が、それぞれ周方向に分散して形成されるように前記シリンダヘッドが形成されることを特徴とする副室燃焼4ストロークエンジン。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記副室壁部の母材は、融点が前記シリンダヘッドの母材よりも高く、比熱と比重を乗じた値が前記シリンダヘッドの母材よりも高く、熱伝導率がクロム系ステンレスと同じかそれよりも高いことを特徴とする請求項1に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項3】
前記副室スパークプラグを除き前記副室の内面に突起が形成されず、前記副室の内部空間の前記副室スパークプラグのプラグ軸方向の長さが副室の内部空間の前記プラグ軸方向に直交する方向の最大長さの2倍より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項4】
前記副室壁部が、前記主燃焼室の内部空間に突出するように形成されており、
前記副室壁部の外面を通らず前記副室の内部空間を通り前記副室スパークプラグのプラグ軸方向に直交するいずれかの平面によって前記副室の内部空間を2つの空間に分けた場合に、前記2つの空間のうち前記主燃焼室に近い方の空間の体積が、前記2つの空間のうち前記主燃焼室から遠い方の空間の体積よりも小さくなるように前記副室は形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項5】
前記冷却部を通り前記副室スパークプラグのプラグ軸方向に直交する平面が、前記副室スパークプラグを通ることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項6】
前記冷却部を通り前記副室スパークプラグのプラグ軸方向に直交する平面が、前記副室部材を通ることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項7】
前記冷却部の内面の一部が、前記副室部材の外周面の少なくとも一部であることを特徴とする請求項6に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項8】
前記副室スパークプラグに形成された雄ねじが、前記副室部材に形成された雌ねじと噛み合って接触していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項9】
前記冷却部を通り前記副室スパークプラグのプラグ軸方向に直交する平面が、前記副室スパークプラグに形成された前記雄ねじが前記副室部材に形成された前記雌ねじと噛み合って接触する箇所を通ることを特徴とする請求項8に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
【請求項10】
前記副室部材の外周面が前記シリンダヘッド本体に接触していることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の副室燃焼4ストロークエンジン。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、主燃焼室および副室を有する副室燃焼4ストロークエンジンに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているような、複数の連通孔を介して連通する主燃焼室および副室を有する副室燃焼4ストロークエンジンが知られている。副室の内部の混合気はスパークプラグによって点火される。特許文献1の副室燃焼4ストロークエンジンは、副室に燃料を噴射する副室燃料噴射弁を有さず、吸気通路に燃料を噴射する吸気通路噴射弁を有する。特許文献1の吸気通路噴射弁は、ストイキオメトリックまたはストイキオメトリックよりもリッチな空燃比の混合気が主燃焼室に生成されるように制御される。特許文献1の副室燃焼4ストロークエンジンは、冷却ジャケット(冷却部)をシリンダヘッドに有する。また、特許文献1の副室燃焼4ストロークエンジンは、主燃焼室における混合気の点火を補助する補助スパークプラグ(点火補助装置)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
米国特許第10612454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような副室燃焼4ストロークエンジンにおいては、複数の連通孔の周辺およびスパークプラグの電極部が高温となる。高負荷時にはこれらは特に高温となるため、これらの近傍でプレイグニッションが発生しやすい。なお、プレイグニッションとは、スパークプラグによる点火の前に混合気が自己着火する現象である。仮に、プレイグニッションの発生を抑制するために冷却ジャケットの容積を増大させた場合、シリンダヘッドが大型化してしまう。
【0005】
本発明は、シリンダヘッドの大型化を抑制しつつ、プレイグニッションの発生を抑制できる副室燃焼4ストロークエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態の副室燃焼4ストロークエンジンは、以下の構成を有する。
吸気通路および排気通路が接続される主燃焼室と、前記吸気通路を通過して前記主燃焼室に吸入される空気の量を調整するスロットル弁と、ガソリン燃料、アルコール燃料、またはガソリン・アルコール混合燃料である液体燃料を前記吸気通路の内部に噴射する吸気通路噴射弁と、前記主燃焼室よりも容積が小さくなるようにシリンダヘッドに形成され、その内部空間が複数の連通孔を介して前記主燃焼室の内部空間と連通し、その内部空間に副室スパークプラグの一部が露出する副室と、前記吸気通路噴射弁および前記副室スパークプラグを制御する制御装置とを有する副室燃焼4ストロークエンジンである。前記制御装置は、前記スロットル弁の開度が小さい低負荷領域の少なくとも一部において、前記吸気通路および前記主燃焼室で混合された混合気が燃焼後に三元触媒で処理できる第1空燃比または前記第1空燃比よりもリッチな第2空燃比となるように、前記吸気通路噴射弁を制御する。前記副室燃焼4ストロークエンジンは、前記副室に燃料を噴射する副室燃料噴射弁、および、前記副室または前記主燃焼室における混合気の点火を補助する点火補助装置のどちらも有さない。前記シリンダヘッドは、前記副室スパークプラグの電極部および前記複数の連通孔が形成された副室壁部からの熱を受け取る冷却媒体が収容される冷却部を有する。前記電極部に複数の火花放電が周方向に分散して生じるように前記副室スパークプラグの前記電極部が形成され、前記複数の連通孔が周方向に分散して形成され、前記副室スパークプラグの前記電極部から前記冷却部までの複数の熱経路、および、前記副室壁部から前記冷却部までの複数の熱経路が、それぞれ周方向に分散して形成されるように前記シリンダヘッドが形成される。
【0007】
この構成によると、ガソリン燃料、アルコール燃料、またはガソリン・アルコール混合燃料である液体燃料は、吸気通路噴射弁から吸気通路に噴射される。また、低負荷領域の少なくとも一部において、吸気通路および主燃焼室で混合された混合気は第1空燃比または第1空燃比よりもリッチな第2空燃比である。そのため、低負荷時であっても、副室の内部空間において、混合気の着火しやすい位置が多い。そのため、副室スパークプラグとして、例えば、周方向に配列された複数の接地電極または環状の接地電極を含む電極部を有するスパークプラグを使用した場合に、低負荷時および高負荷時に、副室スパークプラグの電極部において複数の火花放電が周方向に分散的に生じることができる。複数の火花放電が周方向に分散して生じることによって、副室スパークプラグの電極部において周方向に分散的に熱が生じる。
また、複数の連通孔が周方向に分散して形成される。そのため、複数の連通孔が形成される副室壁部において、周方向に分散的に熱が生じる。
このように、副室スパークプラグの電極部および副室壁部において周方向に分散的に熱が生じる。さらに、副室スパークプラグの電極部から冷却部までの複数の熱経路、および、副室壁部から冷却部までの複数の熱経路が、それぞれ周方向に分散して形成されるようにシリンダヘッドが形成されている。そのため、特に高温となる副室スパークプラグの電極部および副室壁部から冷却部に熱が移動しやすい。
また、仮に主燃焼室にスパークプラグなどの点火補助装置が設けられた場合、点火補助装置も高温となるため、副室壁部のうち点火補助装置に近い位置から熱が移動しにくくなる。主燃焼室に点火補助装置が設けられないことにより、副室壁部から冷却部への熱の移動しやすさの周方向の均一性を高めることができるため、副室壁部から熱が移動しやすい。
また、仮に副室に点火補助装置が設けられた場合、点火補助装置も高温となるため、副室スパークプラグの電極部のうち点火補助装置に近い位置から熱が移動しにくくなる。副室に点火補助装置が設けられないことにより、副室スパークプラグの電極部から冷却部への熱の移動しやすさの周方向の均一性をより高めることができるため、副室スパークプラグの電極部から熱が移動しやすい。
このように、副室スパークプラグの電極部および副室壁部から冷却部に熱が移動しやすいため、冷却部の大型化を抑制しつつプレイグニッションの発生を抑制できる。しかも、点火補助装置が設けられないため、シリンダヘッドの大型化をより抑制できる。よって、シリンダヘッドの大型化を抑制しつつ、プレイグニッションの発生を抑制できる。
【0008】
本発明の一実施形態の副室燃焼4ストロークエンジンは、以下の構成を有していてもよい。
前記副室壁部の母材は、融点が前記シリンダヘッドの母材よりも高く、比熱と比重を乗じた値が前記シリンダヘッドの母材よりも高く、熱伝導率がクロム系ステンレスと同じかそれよりも高い。
【0009】
この構成によると、副室壁部の母材は、融点がシリンダヘッドの母材よりも高い。そのため、副室壁部の耐熱性を確保することができる。また、副室壁部の母材は、比熱と比重を乗じた値がシリンダヘッドの母材よりも高い。ここで、比熱と比重を乗じた値は、単位体積当たりの熱容量を表す。単位体積当たりの熱容量が大きいほど温度が上がりにくい。単位体積当たりの熱容量がシリンダヘッドの母材よりも高い材料で副室壁部の母材を構成することで、副室壁部の温度の上昇を抑えると共に、高温の副室壁部からシリンダヘッドに形成された冷却部に熱が移動しやすい。また、副室壁部の母材は、熱伝導率がクロム系ステンレスと同じかそれよりも高い。そのため、副室壁部から冷却部に熱がより移動しやすい。その結果、プレイグニッションの発生をより抑制できる。
【0010】
本発明の一実施形態の副室燃焼4ストロークエンジンは、以下の構成を有していてもよい。
前記副室スパークプラグを除き前記副室の内面に突起が形成されず、前記副室の内部空間の前記副室スパークプラグのプラグ軸方向の長さが副室の内部空間の前記プラグ軸方向に直交する方向の最大長さの2倍より小さい。
(【0011】以降は省略されています)

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