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公開番号2024055080
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-18
出願番号2022161694
出願日2022-10-06
発明の名称γ-アミノ酪酸含有組成物の製造方法
出願人カゴメ株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12P 13/00 20060101AFI20240411BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、高濃度の野菜又は果実の処理物を原料として用い、効率よくγ-アミノ酪酸(GABA)含有組成物を製造する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも以下の工程で構成される製造方法により、γ-アミノ酪酸含有組成物を製造する:
混合工程:ここで混合されるのは、少なくとも、野菜又は果実の処理物、及び乳酸菌の休止菌体であり、
脱炭酸反応工程:ここで脱炭酸反応が行われるのは、前記野菜又は果実の処理物中のL-グルタミン酸であり、当該反応における触媒は、前記乳酸菌の休止菌体が有するグルタミン酸デカルボキシラーゼであり、これにより生成されるのは、γ-アミノ酪酸である。
これにより、γ-アミノ酪酸を70mM以上含有するγ-アミノ酪酸含有組成物が製造される。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
γ-アミノ酪酸含有組成物の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である:
混合:ここで混合されるのは、少なくとも、野菜又は果実の処理物、及び乳酸菌の休止菌体であり、
脱炭酸反応:ここで脱炭酸反応が行われるのは、前記野菜又は果実の処理物中のL-グルタミン酸であり、当該反応における触媒は、前記乳酸菌の休止菌体が有するグルタミン酸デカルボキシラーゼであり、これにより生成されるのは、γ-アミノ酪酸である。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、前記脱炭酸反応における前記野菜又は果実の処理物のBrixは、25%以上かつ60%以下である。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法であって、前記混合における前記野菜又は果実の処理物のL-グルタミン酸濃度は、45mM以上かつ110mM以下である。
【請求項4】
請求項1に記載の製造方法であって、前記乳酸菌は、ラクチプランティバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)KB1253株である。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法であって、前記脱炭酸反応における反応温度は、35℃以上かつ55℃以下である。
【請求項6】
請求項1に記載の製造方法であって、前記脱炭酸反応における反応時間は、30分間以上かつ180分間以下である。
【請求項7】
請求項1に記載の製造方法であって、前記脱炭酸反応における反応時のpHは、3.5以上かつ5.0以下である。
【請求項8】
γ-アミノ酪酸含有組成物であって、当該組成物は、野菜又は果実の処理物であって、当該組成物におけるγ-アミノ酪酸の含有量は70mM以上である。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物であって、当該組成物におけるL-グルタミン酸の含有量は、45mM以下である。
【請求項10】
γ-アミノ酪酸含有組成物であって、当該組成物は、野菜又は果実の処理物であって、当該組成物におけるγ-アミノ酪酸の含有量は70mM以上であり、かつ、当該組成物におけるL-グルタミン酸の含有量は、45mM以下である。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、γ-アミノ酪酸含有組成物の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
γ-アミノ酪酸(GABA)は、生物界に広く分布する非タンパク質アミノ酸で、高等動物においては、抑制性の神経伝達物質として機能していることが知られている(非特許文献1)。また、近年GABAは様々な生理機能を有することが知られてきており、抗高血圧作用、抗不安作用、精神安定作用、利尿作用、抗糖尿作用等が報告されている(非特許文献2~5)。近年、GABAはサプリメントや飲料などの健康食品に利用されている(非特許文献6、7)。
【0003】
GABAは、食品では玄米等や一部の野菜や果実等に含まれているが、これらの中には微量しか存在せず、上記生理機能を果たすための有効量を含有する食品はなかった。
一般に、GABAはL-グルタミン酸(L-Glu)からグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD、E.C.:4.1.1.15)を介した不可逆的α-脱炭酸反応によって生成される。そこで、食品中のGABA含有量を増加させる方法として、GADを有する乳酸菌の発酵により食品中のL-GluをGABAに変換する手法(以降「発酵法」とも記す)が多く取られている。たとえば、トマト果実やその処理物にはL-Gluが多く含まれるため、これを発酵原料として用いてGABAを高濃度化することが提案されている(特許文献1~3、非特許文献8~10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-060990号公報
特開2007-289008号公報
特開2020-058309号公報
【非特許文献】
【0005】
早川潔ら、生物工学会誌, (1997)、75(4): 239-244
Pouliot-Mathieu, K. et al., (2013), Pharma. Nutrition, 1, 141-148.
Parkash, J. et al., (2007), Brain Res. Bull, 74, 317-328.
Dongoh, H. et al., (2007), J. Microbiol. Biotechnol., 17, 1661-1669.
Wong, C. G. T. et al., (2003), Ann. Neurol., 54, 3-12.
Jeng, K. C. et al., (2007), J. Agric. Food Chem., 55, 8787-8792.
Chiu, T. H. et al., (2012), Soc. Chem. Ind., 93, 859-866.
門馬豪ら, バイオインダストリー, (2007),24: 5-10.
Nakatani Y et al., (2019), Microbiol. Resour. Ann., 8, 29.
Zhang, Y. et al., (2012), Appl. Microbiol. Biotechnol., 94, 1619-1627.
https://www.brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=4.1.1.15#TEMPERATURE%20OPTIMUM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発酵法の場合、GABAの生成量は、主に基質であるL-Gluの濃度、GAD濃度、及びGAD活性に依存する。L-Glu濃度を高めようとすると、発酵原料とするトマト処理物の濃縮度を高める必要があるが、そのような高濃縮度のものは乳酸菌にとって高浸透圧環境となる。高浸透圧環境下では乳酸菌の増殖が抑制されて、菌体量とGAD濃度の上昇が抑制される。そのため、乳酸菌によるトマト処理物からのGABA発酵を行うには、トマトの濃度をBrix値として20以下に制限する必要があった(特許文献1~3、非特許文献8~10)。つまり、高濃度のトマト処理物を原料として用いることとGAD濃度を高めることとの両立が難しいために、GABA生成量を向上させることが困難であった。
【0007】
また、発酵法の場合は、乳酸菌の生育工程、GADをコードするgadB遺伝子の発現(転写及び翻訳)工程、次いでGADによる酵素反応工程の多段階を経てGABAを生成するが、前記3工程にそれぞれ適する温度やpH等の条件は必ずしも一致しない。例えば、一般に乳酸菌の増殖至適温度は30±10℃であるのに対し、Lactobacillus属細菌の有するGADの至適反応温度は30~55℃であり(非特許文献11)、増殖条件の方が温和であることが多い。そのため、乳酸菌の十分な増殖が前提となる発酵法においては、GADの至適反応条件下で培養することは難しい。つまり、乳酸菌の十分な生育・増殖とGADによる酵素反応を好条件で行うこととの両立が難しいために、温和な条件下で12時間以上といった長時間発酵する必要があり、GABA生産を短時間に効率的に行うことが困難であった。
【0008】
かかる状況において、本発明は、野菜又は果実の処理物を原料として用い、効率よくGABAを製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等が鋭意研究を進めた結果、GADを有する乳酸菌の休止菌体を用いて、野菜又は果実の処理物に含まれるL-Gluの脱炭酸反応を行うことに拠り前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の第一の態様は、γ-アミノ酪酸含有組成物の製造方法であって、少なくとも野菜又は果実の処理物と乳酸菌の休止菌体とを混合する工程、及び前記野菜又は果実の処理物中のL-グルタミン酸の脱炭酸反応を行いγ-アミノ酪酸を生成する工程で少なくとも構成され、前記脱炭酸反応における触媒は、前記乳酸菌の休止菌体が有するグルタミン酸デカルボキシラーゼである(以降、「本発明の製造方法」という)。本態様において、前記脱炭酸反応における前記野菜又は果実の処理物のBrixは、好ましくは25%以上かつ60%以下である。本態様において、前記混合における前記野菜又は果実の処理物のL-グルタミン酸濃度は、好ましくは45mM以上かつ110mM以下である。本態様において、前記乳酸菌は、好ましくはラクチプランティバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)KB1253株である。本態様において、前記脱炭酸反応における反応温度は、好ましくは35℃以上かつ55℃以下である。本態様において、前記脱炭酸反応における反応時間は、好ましくは30分間以上かつ180分間以下である。本態様において、前記脱炭酸反応における反応時のpHは、好ましくは3.5以上かつ5.0以下である。
(【0011】以降は省略されています)

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