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公開番号2024051333
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2022157443
出願日2022-09-30
発明の名称細胞傷害性T細胞及びその作製方法
出願人国立大学法人金沢大学
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 15/63 20060101AFI20240404BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】hTERT由来ペプチドを提示する癌細胞をターゲットとしたTCR遺伝子改変T細胞を提供する。
【解決手段】TCR遺伝子改変T細胞は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域を含むポリペプチド及びβ鎖可変領域を含むポリペプチドを有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)由来ペプチドとHLA-A24抗原との複合体に対して特異的に結合するT細胞受容体タンパク質のα鎖可変領域を含むポリペプチド及びβ鎖可変領域を含むポリペプチドを有し、
上記α鎖可変領域が、以下の(i)又は(ii)のポリペプチドであり:
(i)配列番号3、5、7、9、11、13、15、17及び19のいずれかで示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(ii)配列番号3、5、7、9、11、13、15、17及び19のいずれかで示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
上記β鎖可変領域が、以下の(iii)又は(iv)のポリペプチドである:
(iii)配列番号21、23、25、27、29、31、33、35及び37のいずれかで示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(iv) 配列番号21、23、25、27、29、31、33、35及び37のいずれかで示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
TCR遺伝子改変T細胞。
続きを表示(約 2,700 文字)【請求項2】
上記α鎖可変領域及び上記β鎖可変領域は、T細胞に導入されたポリヌクレオチドから発現したものであることを特徴とする請求項1記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項3】
上記α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド及び上記β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを、癌に罹患した患者のT細胞にin vitroで導入したものであることを特徴とする請求項1記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項4】
上記患者の癌細胞は、上記複合体を発現する癌細胞であることを特徴とする請求項3記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項5】
上記α鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、
[1]配列番号2、4、6、8、10、12、14、16及び18のいずれかで示される塩基配列又はその相補的な塩基配列からなる、若しくは、
[2]配列番号2、4、6、8、10、12、14、16及び18のいずれかで示される塩基配列に対して90%以上の配列同一性を有する塩基配列又はその相補的な塩基配列からなり、
上記β鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、
[3]配列番号20、22、24、26、28、30、33、34及び36のいずれかで示される塩基配列又はその相補的な塩基配列からなる、若しくは、
[4]配列番号20、22、24、26、28、30、33、34及び36のいずれかで示される塩基配列に対して90%以上の配列同一性を有する塩基配列又はその相補的な塩基配列からなる
ことを特徴とする請求項2記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項6】
上記α鎖可変領域と上記β鎖可変領域は、以下の組合せ:
配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号21で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
配列番号5で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号23で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
配列番号7で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号25で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号27で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
配列番号11で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号29で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
配列番号13で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号31で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
配列番号15で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号33で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
配列番号17で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号35で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;又は
配列番号19で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号37で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又は当該アミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとの組合せ;
のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項7】
上記(ii)における、上記配列番号3、5、7、9、11、13、15、17及び19で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、それぞれ配列番号38~46で示されるCDR3配列を含むアミノ酸配列であることを特徴とする請求項1記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項8】
上記(iv)における、上記配列番号21、23、25、27、29、31、33、35及び37で示されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、それぞれ配列番号47~55で示されるCDR3配列を含むアミノ酸配列であることを特徴とする請求項1記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項9】
上記ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)由来ペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする請求項1記載のTCR遺伝子改変T細胞。
【請求項10】
上記複合体を発現する癌細胞に対する細胞傷害性を有することを特徴とする請求項1記載のTCR遺伝子改変T細胞。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、肝細胞癌等の癌に対する免疫療法に関し、より具体的には、癌細胞に対して細胞傷害性を有する細胞傷害性T細胞及びその作製方法、並びに当該細胞傷害性T細胞を含む癌治療剤に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
遺伝子改変T細胞とは、がん細胞の抗原提示装置に結合しているがん抗原を認識するT細胞受容体(TCR)、あるいは、がん細胞を認識する抗体の標的抗原認識部分とリンパ球活性化分子との融合蛋白(Chimeric antigen receptor:CAR)遺伝子を、Tリンパ球に導入し強制発現させ、高いがん抗原への特異性を持たせた人工リンパ球を意味する。前者はTCR遺伝子改変T細胞(TCR-T)、後者はキメラ抗体受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)と呼ばれている。
【0003】
なかでも、TCR-Tを用いた治療方法は、ある個体において有効であった免疫反応を別の個体で利用することを可能とする治療法である。上記の方法は、腫瘍関連抗原(tumor-associated antigens、TAA)特異的TCRを用いて、進行した黒色腫の患者の治療に用いられ(非特許文献1及び2)、現在では種々の患者の臨床試験にも適用され(非特許文献3)、良好な臨床結果が期待されるものとなっている。
【0004】
本発明者等は先に、肝細胞癌患者に対してワクチンとして投与し得るHLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドを同定した(特許文献1)。一方で、本発明者等は、TCR-Tを用いた治療方法に用いるために好適なTCR遺伝子のスクリーニングのために、リンパ球から個々のTCRを迅速にクローニングして発現させる技術を見出しており、上記のペプチドをワクチンとして投与された患者由来のリンパ球への応用についても報告している(非特許文献4)。
【0005】
さらに本発明者らは、α-フェトプロテイン(α-fetoprotein、AFP)由来ペプチドワクチンを投与した肝細胞癌患者、並びに健常ドナーから、非特許文献4記載のTCRクローニングシステムを利用して、末梢血中のT細胞からAFP特異的TCR遺伝子を取得し、AFP特異的TCR遺伝子導入T細胞を作成し、その機能を評価、比較している(特許文献2)。特許文献2に開示されたAFP特異的TCR遺伝子導入T細胞は、α-フェトプロテインとHLA-A24を共に発現する細胞に対して細胞傷害活性を有している。
【0006】
一方、テロメラーゼサブユニットを構成するテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)は、テロメアの長さとゲノムの安定性の維持に寄与し、正常な体細胞では発現は極めて低い、もしくは発現していないことが知られている。しかし、様々ながん種においてTERTの発現の亢進が起きており、この変化ががん細胞の不死化に関与していると考えられている。TERT発現の亢進に関与するのは、プロモーター領域の変異であることが知られている。これら変異により、ETS転写制御因子の結合領域が新たに形成されるためTERTの発現亢進が引き起こされる。
【0007】
非特許文献5には、肝細胞癌患者におけるヒトTERT(hTERT)のHLA-A
*
2402拘束性細胞傷害性T細胞(CTL)エピトープを同定し、hTERT特異的CTL応答を分析したことが開示されている。さらに、非特許文献6には、hTERT由来ペプチドワクチンの作製及びその有効性が確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際公開WO2005/083074号
特開2017-081836号公報
【非特許文献】
【0009】
Morgan RA等、Science 2006, Vol.314, pp.126-129
Johnson LA等、Blood 2009, Vol.114, No.3, pp.535-546
Linnemann C等、J Invest Dermatol 2011, Vol.131, pp.1806-1816
Kobayashi E等、Nature Medicine, 2013, Vol.19, No.11, pp.1542-1546
Mizukoshi E等、HEPATOLOGY 2006;43: 1284-1294
Mizukoshi E等、Cancer Letters 364:98-105, 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、hTERTの発現が亢進した癌細胞に対する傷害活性を有するTCR遺伝子改変T細胞は知られておらず、hTERT由来ペプチドを提示する癌細胞をターゲットとした癌治療の問題は未解決のままであった。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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