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公開番号2024042787
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-29
出願番号2022147621
出願日2022-09-16
発明の名称汚染水の放射性炭素除去方法および除去システム
出願人東京電力ホールディングス株式会社
代理人個人
主分類G21F 9/10 20060101AFI20240322BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】放射性物質を含んだ汚染水から放射性炭素(C14)を除去する放射性炭素除去方法を提供する。
【解決手段】放射性炭素を含んだ汚染水から放射性炭素を除去する放射性炭素除去方法であって、前記汚染水にアルカリ剤を添加して、前記汚染水のpHを9以上に調整して放射性炭素を炭酸イオン化するアルカリ剤添加工程と、前記アルカリ剤添加工程でのアルカリ剤の添加によりpHが9以上となった前記汚染水に対して、水溶性のアルカリおよび/またはアルカリ土類の金属化合物を添加して、水不溶性または難溶性炭酸塩を生成させる金属化合物添加工程と、前記アルカリ剤添加工程でのアルカリ剤の添加によりpHが9以上となった前記汚染水を分離膜に通水する分離膜通水工程と、前記金属化合物添加工程または分離膜通水工程で生成した不溶物を前記汚染水から分離する不溶物分離工程と、を有することを特徴とする放射性炭素除去方法。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
放射性炭素(C14)を含んだ汚染水から放射性炭素を除去する放射性炭素除去方法であって、
前記汚染水にアルカリ剤を添加して、前記汚染水のpHを9以上に調整して放射性炭素を炭酸イオン化するアルカリ剤添加工程と、
前記アルカリ剤添加工程でのアルカリ剤の添加によりpHが9以上となった前記汚染水に対して、水溶性のアルカリおよび/またはアルカリ土類の金属化合物を添加して、水不溶性または難溶性炭酸塩を生成させる金属化合物添加工程と、
前記金属化合物添加工程で生成した不溶物を前記汚染水から分離する不溶物分離工程と、を有する
ことを特徴とする放射性炭素除去方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
放射性炭素(C14)を含んだ汚染水から放射性炭素を除去する放射性炭素除去方法であって、
前記汚染水にアルカリ剤を添加して、前記汚染水のpHを9以上に調整して放射性炭素を炭酸イオン化するアルカリ剤添加工程と、
前記アルカリ剤添加工程でのアルカリ剤の添加によりpHが9以上となった前記汚染水を分離膜に通水する分離膜通水工程と、
前記分離膜に通水させ濃縮した汚染水に対して、水溶性のアルカリおよび/またはアルカリ土類の金属化合物を添加して、水不溶性または難溶性炭酸塩を生成させる金属化合物添加工程と、
前記金属化合物添加工程で生成した不溶物を前記汚染水から分離する不溶物分離工程と、を有する
ことを特徴とする放射性炭素除去方法。
【請求項3】
前記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうち、いずれか1つ以上である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の放射性炭素除去方法。
【請求項4】
前記金属化合物は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化リチウム、水酸化リチウムのうち、いずれか1つ以上である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の放射性炭素除去方法。
【請求項5】
前記金属化合物の添加量は、少なくとも汚染水中の炭酸イオンの全量を水不溶性または難溶性の塩に変換するに必要な理論量の1倍量である、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射性炭素除去方法。
【請求項6】
前記金属化合物の添加量は、少なくとも分離膜通水工程を通過して濃縮した汚染水中の炭酸イオンの全量を水不溶性または難溶性の塩に変換するに必要な理論量の1倍量である、
ことを特徴とする請求項2に記載の放射性炭素除去方法。
【請求項7】
前記分離膜通水工程において、
前記分離膜は、逆浸透膜、ナノろ過膜のうち、いずれか1つ以上である、
ことを特徴とする請求項2に記載の放射性炭素除去方法。
【請求項8】
前記ナノろ過膜に通水する工程を行った後、逆浸透膜に通水する工程を行う、
ことを特徴とする請求項7に記載の放射性炭素除去方法。
【請求項9】
放射性炭素(C14)を含んだ汚染水から放射性炭素を除去する放射性炭素除去システムであって、
前記汚染水にアルカリ剤を添加して、前記汚染水のpHを9以上に調整して放射性炭素を炭酸イオン化するアルカリ剤添加部と、
前記アルカリ剤添加工程でのアルカリ剤の添加によりpHが9以上となった前記汚染水に対して、水溶性のアルカリおよび/またはアルカリ土類の金属化合物を添加して水不溶性または難溶性炭酸塩を生成させる金属化合物添加部と、
前記金属化合物添加部で生成した不溶物を前記汚染水から分離する不溶物分離部と、を有する
ことを特徴とする放射性炭素除去システム。
【請求項10】
放射性炭素(C14)を含んだ汚染水から放射性炭素を除去する放射性炭素除去システムであって、
前記汚染水にアルカリ剤を添加して、前記汚染水のpHを9以上に調整して放射性炭素を炭酸イオン化するアルカリ剤添加部と、
前記アルカリ剤添加部でのアルカリ剤の添加によりpHが9以上となった前記汚染水を分離膜に通水する分離膜通水部と、
前記分離膜に通水させ濃縮した汚染水に対して、水溶性のアルカリおよび/またはアルカリ土類の金属化合物を添加して水不溶性または難溶性炭酸塩を生成させる金属化合物添加部と、
前記金属化合物添加部で生成した不溶物を前記汚染水から分離する不溶物分離部と、を有する
ことを特徴とする放射性炭素除去システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、主に原子力施設から発生する放射性炭素(C14)を含んだ汚染水から放射性炭素を除去する、放射性炭素除去方法および除去システムに関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
放射性物質を含んだ汚染水を処理装置にて浄化しても、処理した水が放射性炭素を含んでいることがある。放射性炭素は、低濃度ではあるものの、できるだけ低減することが望ましい。
【0003】
放射性炭素は炭酸イオンや重炭酸イオンの形態で存在していると推定されている。そのため、汚染水を酸性にすることで、放射性炭素を二酸化炭素としてガス化させて、アミン吸収法もしくは物理吸着法、膜分離法等既存の技術を使って、ガス化した放射性炭素を空気中から分離・濃縮・除去する方法がある。
【0004】
しかし、上記の技術は、火力発電所等排ガス中二酸化炭素を対象に大掛かりな実証実験が進められており、理論的には適用可能と思われるが、放射性炭素をガス化させることは、万一の漏洩事故が起きた際に作業員の内部被爆リスクが高い。また、放射性炭素を含んだガスを環境中に拡散させないためには、本装置に特化した密閉構造設備等の安全用付帯設備が必要になる。
【0005】
加えて、Global CCS Instituteの2021年の報告によれば、石炭火力排ガス(二酸化炭素濃度14%程度)の処理コストに対し、天然ガス火力排ガス(4%程度)の処理コストは、25~60%程度割高になるので、処理水(液中二酸化炭素濃度は0.04%(C14+C12)相当)への適用については、技術的にも困難、かつ、かなりの高コストになると予想される。しかも、DAC(Direct Air Capture)相当の濃度で(実際には気化の工程も必要)、まだまだ基礎研究レベルである。
【0006】
低濃度の二酸化炭素水溶液を処理する方法として、原水を、「H塔」「脱炭酸塔」「OH塔」の順で処理する2床3塔方式の純水製造装置で「OH塔」でのアニオン交換樹脂の負荷を低減する方法として、H塔での陽イオン交換により原水が酸性となり、原水中の炭酸イオン、重炭酸イオンが二酸化炭素の形態に変化するので、ここに大量の空気を吹き込むことで、大部分の二酸化炭素を水中から放出させる方法が知られている。しかしながら、当該方法も放射性炭素をガス化させることとなるため、万一の漏洩事故が起きた際に作業員の内部被爆リスクが高い。また、放射性炭素を含んだガスを環境中に拡散させないためには、やはり本装置に特化した密閉構造設備等の安全用付帯設備が、追加で必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、放射性物質を含んだ汚染水から放射性炭素を除去する放射性炭素除去方法および除去システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に対し、本発明者らは、放射性炭素(C14)を含んだ汚染水(以下、「汚染水」と省略することがある。)をアルカリ性にして放射性炭素を炭酸イオンの形態で処理する方法に着目した。
【0009】
その場合、処理の方法は、以下の3パターンが適用可能である。
(a)イオン交換樹脂で吸着除去する。
(b)アルカリ土類金属を添加して沈澱除去する。
汚染水→NaOH/CaCl

添加→ろ過装置→CaCO

沈澱(回収)
(c)逆浸透(RO)膜もしくはナノろ過(NF)膜で炭酸イオンを濃縮した後、アルカリ土類金属を添加して沈澱除去する。
汚染水→NaOH添加→濃縮装置→凝縮水→CaCl

添加→ろ過装置→CaCO

沈澱(回収)
【0010】
いずれも、放射性炭素(C14)は水中に保持されるため、安全対策は従来の水処理設備を使用することができる。しかし、(a)法はその他の陰イオンも吸着してしまい効率が悪く、また廃棄物も増えてしまうという課題がある。そこで、(b)法および(c)法について検証試験を行った結果、いずれも、放射性炭素(C14)を充分除去することが可能であることがわかった。
(【0011】以降は省略されています)

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