TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024012771
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-31
出願番号2022114489
出願日2022-07-19
発明の名称原子力プラントの信頼性改善方法
出願人日立GEニュークリア・エナジー株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G21C 17/00 20060101AFI20240124BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】腐食電位を主要な監視指標とした信頼性重視保全の適用によって、流れ加速型腐食に対する効率的な予防保全を行って原子力プラントの信頼性を改善する原子力プラントの信頼性改善方法を提供する。
【解決手段】原子力プラントの信頼性改善方法は、流れ加速型腐食のリスクの高い配管部位を選定する選定ステップと、選定された配管部位の流れ加速型腐食の腐食速度を監視する監視ステップと、配管部位の腐食速度を低減する予防保全実行ステップと、配管部位を流れる冷却水の水質パラメータを制御する是正ステップと、是正ステップを行っても腐食速度が目標範囲に入らない場合に、選定された配管部位の材料を交換する改善ステップと、選定ステップ、監視ステップ、予防保全実行ステップ、是正ステップおよび改善ステップによって、原子力プラントの配管の腐食速度を管理するライフサイクルマネジメントステップと、を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
流れ加速型腐食のリスクの高い配管部位を選定する選定ステップと、
選定された前記配管部位の流れ加速型腐食の腐食速度を監視する監視ステップと、
前記配管部位の前記腐食速度を低減する予防保全実行ステップと、
前記配管部位を流れる冷却水の水質パラメータを制御する是正ステップと、
前記是正ステップを行っても前記腐食速度が目標範囲に入らない場合に、選定された前記配管部位の材料を交換する改善ステップと、
前記選定ステップ、前記監視ステップ、前記予防保全実行ステップ、前記是正ステップおよび前記改善ステップによって、原子力プラントの配管の前記腐食速度を管理するライフサイクルマネジメントステップと、
を有する原子力プラントの信頼性改善方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記選定ステップにおいて、原子力プラントの構造物、システムおよび機器に関する重要度分類に基づいて、リスク解析ツールおよび人為的リスク解析のうちの少なくとも一つを利用して前記配管部位を選定する原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項3】
請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記監視ステップにおいて、選定された前記配管部位の腐食電位を監視して、前記腐食電位に基づいて推定される前記配管部位の流れ加速型腐食の腐食速度を監視する原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項4】
請求項3に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記監視ステップにおいて、前記腐食電位と、前記配管部位の化学組成、前記冷却水の水質、前記冷却水の温度、および、前記配管部位における前記冷却水の流体力学的特性のうちの少なくとも一つに基づいて前記腐食速度を推定する原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項5】
請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記監視ステップにおいて、前記冷却水の酸素濃度、前記冷却水の過酸化水素濃度、前記冷却水の電気伝導率のうちの少なくとも1つを測定し、当該測定結果を前記腐食速度の校正に用いる原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項6】
請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記予防保全実行ステップにおいて、酸素注入、過酸化水素注入および酸化チタンのうちの少なくとも1つを行う原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項7】
請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記是正ステップにおいて、前記冷却水への酸素注入量の増加、前記冷却水への過酸化水素注入量の増加、および、前記冷却水への水素注入量の減少のうちの少なくとも1つを実施する原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項8】
請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記ライフサイクルマネジメントステップにおいて、前記選定ステップ、前記監視ステップ、前記予防保全実行ステップ、前記是正ステップおよび前記改善ステップの繰り返しの過程で蓄積した前記腐食速度を表すデータと、前記配管部位について実測した肉厚の検査結果を表すデータ、および、他のプラントで収集された流れ加速型腐食の腐食速度を表すデータのうちの少なくとも1つとに基づいて、原子力プラント毎且つ配管部位毎のデータベースを構築する原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項9】
請求項8に記載の原子力プラントの信頼性改善方法であって、
前記データベースに基づいて、前記配管部位毎の肉厚検査の時間間隔を延長し、延長された期間における前記配管部位毎の腐食電位の監視によって、前記配管部位毎の流れ加速型腐食に対する機器信頼性を確保する原子力プラントの信頼性改善方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントの信頼性改善方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
火力プラントや原子力プラントでは、配管の材料として、炭素鋼が多用されている。炭素鋼製の配管は、高流速の流体が流れる特定の条件下で、流れ加速型腐食(Flow-accelerated corrosion:FAC)を生じることが知られている。FACは、流速に依存した電気化学的な腐食を主因として生じる。FACは配管の肉厚の減少をもたらすため、FACの予防策が適用されている。
【0003】
原子力プラントの場合、圧力容器の外部に設置される炉外配管に、炭素鋼が多用されている。プラントの設計段階では、高流速の冷却水が流れる炭素鋼製の配管に対して、腐食代が予め設けられている。腐食代は、プラントの供用期間中のFACによる減肉量を見込んで設けられている。供用期間中には、腐食代の減肉量が定期的に検査されている。
【0004】
近年では、炭素鋼製の配管について、予め腐食代を設けるだけでなく、供用期間を通じた予防保全の適正化も望まれている。プラントの安全性の向上や、設備利用率のような経済性の向上や、高経年化への対応の観点からも、FACに対する効率的な対策が求められている。FACを生じ易い炭素鋼製の配管について、検査時期や交換時期の適正化を図り、低コストで合理的な対策で機器信頼性を確保することが望まれている。
【0005】
原子力プラントの場合、FACを抑制する措置としては、材料面では、炭素鋼から低合金鋼やステンレス鋼等の耐食性材料への変更が行われている。また、水質管理面では、冷却水への酸素注入が行われている。FACは、溶存酸素濃度が15~20ppb以下に低下すると生じる。溶存酸素濃度が低下すると、配管の内面に酸化皮膜が形成され難くなり、母材の保護が失われてFACが生じ易くなる。
【0006】
沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor:BWR)では、給水・復水系統への酸素注入が国内外で広く行われている。原子炉で発生した蒸気等には、水の放射線分解で生成された酸素が含まれている。しかし、復水器で蒸気が凝縮すると、酸素の多くが気相側に残る。そのため、復水は、溶存酸素濃度が10ppb以下に低下することが多い。復水が流れる配管は、酸化皮膜が形成され難くなるため、高温・高流速の冷却水が流れる場合に、FACが生じ易くなる。このような配管のFACは、酸素注入によって対策されている。
【0007】
加圧水型原子炉(Pressurized Water Reactor:PWR)では、二次系への酸素注入やpH調整が行われている。二次系の冷却水は、アンモニア等の添加によってアルカリ側に調整されている。アルカリ側では、酸化皮膜による母材の保護が失われ難くなり、ヒドラジンの添加や脱気により溶存酸素濃度が10ppb程度に低下しても、FACが進行し難くなることが知られている。
【0008】
FACに関する水質管理の指標としては、主に、冷却水の溶存酸素濃度、pHおよび鉄濃度が用いられている。水質管理の対象としては、給水、復水、炉水、蒸気凝縮水、サプレッションプール水等がある。これらの冷却水が流れる配管系統については、冷却水の流速や、冷却水の温度や、配管径や、エルボ、ベント等の配管の幾何学的形状等の考慮の下で、FACによる減肉量が管理されている。
【0009】
従来、沸騰水型原子炉(BWR)の一部では、冷却水に接液する材料の応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)への対策として、水素注入や貴金属注入が行われている。SCCに関する水質管理の指標としては、冷却水の溶存酸素濃度等よりも上位の指標として、腐食電位(Electrochemical Corrosion Potential:ECP)が用いられている。ステンレス鋼は、ECPが-300~-200mV(vs.SHE)程度よりも低くなると、SCC感受性が低くなることが知られている。
【0010】
従来、原子力プラントでは、SCCやエロージョン・コロージョン等の各種の腐食現象に対して、腐食速度の評価に基づく種々の対策が行われている。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
核融合炉
1か月前
個人
X線遮蔽具及びX線遮蔽セット
17日前
株式会社三幸
放射線遮蔽材組成物
2か月前
個人
直下型地震に耐え、放射線に耐えうる地上マンション
25日前
国立大学法人東北大学
放射線防護具
1か月前
国立大学法人東京工業大学
テレスコピック型伸展ブーム
2か月前
三菱重工業株式会社
注水装置
1か月前
北海道電力株式会社
シリコン油の処理方法
19日前
株式会社大林組
汚泥処理方法及び汚泥処理システム
2か月前
個人
α崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法
2か月前
三菱重工業株式会社
試験装置及び試験方法
2か月前
華能核能技術研究院有限公司
高温ガス冷却炉吸収ボール落下駆動装置
16日前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
廃樹脂回収装置
1か月前
株式会社昭和冷凍プラント
トリチウム汚染水の処理装置及び処理方法
1か月前
三菱重工業株式会社
臨界防止方法および臨界防止装置
1か月前
太平電業株式会社
ブロックアイスの処理方法
1か月前
三菱重工業株式会社
放射性物質の収納装置および保管方法
16日前
エックス-エナジー, エルエルシー
原子炉中性子反射体
16日前
東京電力ホールディングス株式会社
汚染水の放射性炭素除去方法および除去システム
29日前
三菱重工業株式会社
放射性物質の臨界管理方法および装置
17日前
清華大学
高温ガス炉の吸引装置
1か月前
清華大学
高温ガス炉の流れ止め装置
1か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
フィルタベント装置
2か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
金属キャスク用バスケット
2か月前
株式会社プロテリアル
シンチレータ構造体およびシンチレータの評価方法
1か月前
株式会社日立製作所
放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法
1か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
原子力プラントの信頼性改善方法
2か月前
浜松ホトニクス株式会社
エネルギー線照射装置
1か月前
三菱重工業株式会社
高レベル放射性物質処理システム及び高レベル放射性物質処理方法
18日前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
保全工程管理装置及び保全工程管理方法
2か月前
株式会社オーセンアライアンス
水処理システム及び水処理方法
1か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
薬液注入配管および薬液注入配管の製造方法
2か月前
三菱重工業株式会社
制御棒案内シンブル固定装置、固定方法、並びに燃料集合体用上部ノズル
2か月前
個人
福島第1原子力発電所(以下、略して、福1とする)にて発生をしている、汚染水を昇華させて気化をさせて処分をする方法。
2か月前
株式会社東芝
放射性同位体製造装置および放射性同位体製造方法
2か月前
三菱重工業株式会社
グリーンハウスの運用支援装置、グリーンハウスの運用支援方法およびプログラム
1か月前
続きを見る