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公開番号2024018156
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-08
出願番号2022121308
出願日2022-07-29
発明の名称放射線遮蔽材組成物
出願人株式会社三幸
代理人個人,個人,個人
主分類G21F 1/10 20060101AFI20240201BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】中性子及びガンマ線に対する遮蔽効果を有する放射線遮蔽材組成物を提供する。
【解決手段】本発明の放射線遮蔽材組成物は、エポキシ樹脂と、原子番号56以上の金属元素又は遷移金属元素を含有する金属化合物とを有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
エポキシ樹脂と、
原子番号56以上の金属元素又は遷移金属元素を含有する金属化合物と、
を有することを特徴とする放射線遮蔽材組成物。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記エポキシ樹脂の水素原子個数密度が、5.8×10
22
個/cm

以上であることを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽材組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、又はそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1、又は2に記載の放射線遮蔽材組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂が、脂肪族アミン、芳香族アミン、変性ポリアミンを含むアミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸及び酸無水物系硬化剤からなる群から選ばれた1種以上の硬化剤を含むことを特徴とする請求項1、又は2に記載の放射線遮蔽材組成物。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂が脂環骨格を有するエポキシ樹脂であって、前記脂環骨格を有するエポキシ樹脂は、環状オレフィンをエポキシ化して得られたエポキシ樹脂、又は芳香族エポキシ樹脂を水素化して得られたエポキシ樹脂であり、前記エポキシ樹脂を硬化させたものであることを特徴とする請求項1、又は2に記載の放射線遮蔽材組成物。
【請求項6】
前記硬化剤が脂環骨格を有するアミンまたはおよび脂肪族アミンであることを特徴とする請求項4に記載の放射線遮蔽材組成物。
【請求項7】
前記金属化合物は、硫酸バリウムであることを特徴とする請求項1、又は2に記載の放射線遮蔽材組成物。
【請求項8】
前記放射線遮蔽材組成物中の硫酸バリウムの含有量が65質量%以上であることを特徴とする請求項7に記載の放射線遮蔽材組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の前記放射線遮蔽材組成物を含むことを特徴とする硬化物、又は注型材。
【請求項10】
前記注型材の粘度が600dPa・s以下であることを特徴とする請求項9に記載の注型材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子及びガンマ線に対する遮蔽効果を有する放射線遮蔽材組成物に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
原子炉や、医療・産業・研究で用いられる加速器などの施設では、中性子が発生するこことから、人体を保護するための遮蔽材が用いられている。また中性子は、原子核と反応を起こしてガンマ線を発生するため、中性子が発生する施設では、中性子と合わせてガンマ線の遮蔽も必要になる。
【0003】
中性子の遮蔽には、中性子と衝突して効果的に減速し、吸収する元素としての水素を多く含み、比較的低い原子番号の元素からなる物質が用いられている。一方、ガンマ線の遮蔽には、鉛を代表とする高い原子番号の元素からなる物質が用いられている。ここで、最も一般的に、中性子及びガンマ線の遮蔽材として用いられている物質は、コンクリートではあるが、その中性子に対する遮蔽効果が限定的であることから、加速器施設などで全体的に中性子を遮蔽する必要がある場合、大規模な遮蔽体として、水などを湛えたタンクを設置したり、局所的な遮蔽材として、ポリエチレンなどのブロックを置いていた。
【0004】
しかし、これらの水やポリエチレンなどの水素を多く含む物質は、ガンマ線に対する遮蔽効果が高くないが、中性子が発生する場所には、中性子と原子核とによる反応により生じる二次ガンマ線など、常にガンマ線も存在していることから、中性子と同等以上の放射線被爆の線源となりうることもある。そこで、一個の遮蔽材で、中性子については水と同等以上、且つガンマ線についてはコンクリートと同等以上の遮蔽性能を同時に持つ物質であれば、上述した中性子源を持つ施設で、単一で万能な遮蔽材として使用することが可能となる。
【0005】
例えば、特許文献1には、水素密度の高い粒状ポリエチレンとガンマ線遮蔽効果を有する粉末状鉛及び鉛化合物と、バリウム及び硫酸バリウム等のバリウム化合物等を流動パラフィン等と混錬した放射線遮蔽材が開示されている。また、特許文献2には、硬化性樹脂材料、原子番号が22以上の重金属又は原子番号が22以上の重金属を含む化合物、及び熱中性子吸収材から成る放射線遮蔽材組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開昭53-105700号公報
特開2003-255081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された放射線遮蔽材は、固形物でなく、取り扱いが困難である。また、一般的に使用されている物質で、中性子及びガンマ線に対する遮蔽性能を同時に満たす物質は知られていない。すなわち、中性子に対して水と同等以上、ガンマ線に対してはコンクリートと同等以上の遮蔽性能を同時に満たす中性子・ガンマ線兼用遮蔽材への開発が求められていた。具体的な遮蔽材の要件として、(1)核分裂、(α、n)中性子などに対して、常温の水を超える中性子遮蔽性能を有すること、(2)10MeV以下のX線やガンマ線に対して一般的に用いられるコンクリートを超えるガンマ線遮蔽性能を有すること、(3)鉛などの有害な重金属を含まず、環境負荷が少ない材質であること、(4)補助遮蔽材として、十分に実用に耐える強度や、コストを実現することが挙げられる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、中性子及びガンマ線に対する遮蔽効果を有する放射線遮蔽材組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の放射線遮蔽材組成物は、エポキシ樹脂と、原子番号56以上の金属元素又は遷移金属元素を含有する金属化合物と、を有することを特徴とする。
この構成により、中性子に対しては水と同等以上の遮蔽効果を有するとともに、ガンマ線に対してはコンクリートと同等以上の遮蔽効果を有する。
【0010】
また、本発明の放射線遮蔽材組成物は、前記エポキシ樹脂の水素原子個数密度が、5.8×10
22
個/cm

以上であることを特徴とする。
この構成により、中性子に対する遮蔽効果を向上させることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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