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公開番号2024022319
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-16
出願番号2022125814
出願日2022-08-05
発明の名称薬液注入配管および薬液注入配管の製造方法
出願人日立GEニュークリア・エナジー株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G21D 1/00 20060101AFI20240208BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】プラントの系統配管への薬液の注入時に、注入された金属化合物の熱分解や金属イオンの還元を抑制して、金属の過剰な析出による流路抵抗の上昇や流路の閉塞を防止する薬液注入配管および薬液注入配管の製造方法を提供する。
【解決手段】プラントの系統配管1に接続される薬液注入配管100であって、配管の本体を構成する本体部3と、本体部3の内表面の一部または全部に設けられた第1被膜4と、第1被膜4上に設けられた第2被膜5とを備え、第1被膜4は、本体部3よりも熱伝導率の小さい材料で形成されており、第2被膜5は、本体部3よりも電気抵抗率の大きい材料で形成されている。薬液注入配管の製造方法は、本体部3の内表面の一部または全部に本体部3よりも熱伝導率の小さい材料で第1被膜4を形成する工程と、第1被膜4上に本体部3よりも電気抵抗率の大きい材料で第2被膜5を形成する工程とを含む。
【選択図】図1B
特許請求の範囲【請求項1】
プラントの系統配管に接続される薬液注入配管であって、
前記薬液注入配管の本体を構成する本体部と、
前記本体部の内表面の一部または全部に設けられた第1被膜と、
前記第1被膜上に設けられた第2被膜と、を備え、
前記第1被膜は、前記本体部よりも熱伝導率の小さい材料で形成されており、
前記第2被膜は、前記本体部よりも電気抵抗率の大きい材料で形成されている薬液注入配管。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
請求項1に記載の薬液注入配管であって、
前記第1被膜は、熱伝導率が10W/m・K以下、または、単位面積当たりの伝熱量が700kW/m

以下であり、
前記第2被膜は、体積抵抗率が10

Ω・cm以上である薬液注入配管。
【請求項3】
請求項1に記載の薬液注入配管であって、
前記第1被膜は、前記本体部の内表面のうち、前記系統配管に接続される先端から前記本体部の長手方向に10cmまでの領域に少なくとも設けられている薬液注入配管。
【請求項4】
請求項1に記載の薬液注入配管であって、
前記本体部が、炭素鋼、ステンレス鋼、ジルカロイ、低合金鋼、および、ニッケル基合金のうち、少なくとも一つで形成されている薬液注入配管。
【請求項5】
請求項1に記載の薬液注入配管であって、
前記第1被膜は、酸化ジルコニウム、イットリア安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、酸化チタン、および、チタン酸アルミニウムのうち、少なくとも一つを含む薬液注入配管。
【請求項6】
請求項1に記載の薬液注入配管であって、
前記第2被膜は、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、イットリア安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、および、チタン酸アルミニウムのうち、少なくとも一つを含む薬液注入配管。
【請求項7】
請求項1に記載の薬液注入配管であって、
前記プラントは、原子力プラントであり、
前記薬液注入配管は、原子炉冷却水への貴金属注入に用いられる薬液注入配管。
【請求項8】
プラントの系統配管に接続される薬液注入配管の製造方法であって、
前記薬液注入配管の本体を構成する本体部の内表面の一部または全部に、前記本体部よりも熱伝導率の小さい材料で第1被膜を形成する工程と、
前記第1被膜上に、前記本体部よりも電気抵抗率の大きい材料で第2被膜を形成する工程と、を含み、
前記第1被膜は、前記本体部を熱処理する熱酸化法、物理気相成長法、化学気相成長法、溶射法、ゾルゲル法、有機金属分解法、および、塗布法のうち、少なくとも一つを用いて形成される薬液注入配管の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の薬液注入配管の製造方法であって、
前記第2被膜は、物理気相成長法、化学気相成長法、溶射法、ゾルゲル法、有機金属分解法、および、塗布法のうち、少なくとも一つを用いて形成される薬液注入配管の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉冷却水への貴金属注入等に用いられる薬液注入配管および薬液注入配管の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor:BWR)では、圧力容器の内部に設置された炉内構造物や、圧力容器に接続された系統配管等について、応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)の抑制が求められる。炉内構造物や系統配管は、ステンレス鋼、低合金鋼、炭素鋼、ニッケル基合金等で形成されている。これらの材料は、耐食性に優れているが、力学因子や環境因子の重畳によって、SCCが発生・進展する恐れがある。
【0003】
原子炉の運転時、炉内構造物や系統配管には、高温・高圧の冷却水が接触する。冷却水には、水の放射線分解で生じた酸素や過酸化水素が含まれている。冷却水の酸素濃度や過酸化水素濃度が高いほど、SCCの発生・進展が顕著になることが知られている。冷却水の酸素濃度や過酸化水素濃度を低減すると、環境因子が緩和されるため、SCCの抑制に有効であることが知られている。
【0004】
SCCを抑制する対策としては、水素注入や貴金属注入がある。水素注入は、冷却水に水素ガスを注入して、酸素や過酸化水素と水素とを再結合反応させて水に戻す技術である。貴金属注入は、冷却水に貴金属化合物の溶液を注入して、冷却水に接液する材料の表面に貴金属を付着させる技術である。白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属は、再結合反応を触媒する。
【0005】
特許文献1には、SCCの開始や進展を抑制する方法が記載されている。この方法では、触媒金属を含有している化合物の溶液または懸濁液を原子炉の水内に噴射している。触媒金属を含有する化合物としては、パラジウム・アセチルアセトナートや、硝酸パラジウムが挙げられている。
【0006】
BWRでは、原子炉の運転中に貴金属注入が行われる場合がある。運転中の貴金属注入では、低濃度の白金化合物の溶液が使用されている。白金化合物としては、ヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム(Na

Pt(OH)

)が用いられている。白金化合物の溶液は、冷却水に対して薬液注入配管によって注入されている。薬液注入配管は、給水系の系統配管に接続されている。
【0007】
貴金属化合物の溶液は、薬液注入配管を通じて冷却水に注入された後、冷却水と共に圧力容器等に供給される。貴金属化合物の溶液は、ガンマ線の照射によって、酸化物のコロイド溶液となり、炉内構造物や系統配管の表面に貴金属を付着させる。貴金属注入時には、水素注入が合わせて行われる。水素ガスが、薬液注入配管よりも上流で冷却水に注入された後、冷却水と共に圧力容器等に供給される。
【0008】
水素注入を行うと、圧力容器の内部や系統配管において、再結合反応によって酸素や過酸化水素が消費される。冷却水の酸素濃度や過酸化水素濃度が低下するため、粒界腐食が進行し難くなり、炉内構造物や系統配管のSCCが抑制される。貴金属注入を行うと、再結合反応が触媒されるため、少ない水素量でSCCが抑制される。一般に、材料の表面に0.1μg/cm

以上の白金が付着していると、十分な抑制効果が得られる。
【0009】
貴金属注入時には、薬液注入配管の出口付近で、貴金属の過剰な還元析出が起こることが知られている。貴金属化合物の溶液が注入された冷却水が高温であると、貴金属化合物の熱分解が起こる。また、冷却水が高水素濃度であると、貴金属イオンの還元が起こる。薬液注入配管の出口付近は、冷却水が高温・高水素濃度になり易いため、貴金属が析出し易い箇所となる。意図しない貴金属の過剰な還元析出が起こると、圧力容器等に供給される貴金属が減少するという問題がある。また、薬液注入配管の流路抵抗が増大したり、薬液注入配管が閉塞したりする問題がある。
【0010】
特許文献2には、貴金属注入装置を原子炉冷却材浄化装置の出口から熱交換器までの間の配管に設ける技術が記載されている。貴金属の注入点における炉水の温度は、30~70℃であることが望ましいとされている。原子炉冷却材浄化装置の出口から熱交換器までの間は、低温であるため、貴金属の析出や配管の閉塞リスクが低減するとされている。
(【0011】以降は省略されています)

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