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公開番号2024037552
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-19
出願番号2022142477
出願日2022-09-07
発明の名称タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法
出願人学校法人 学習院
代理人個人
主分類C07K 17/04 20060101AFI20240312BHJP(有機化学)
要約【課題】 結晶化できるタンパク質であれば、どのようなタンパク質に対しても適用できる、汎用性に富む、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法を提供すること。
【解決手段】 結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
アクリルアミドに、重合開始剤としてのペルオキソ二硫酸アンモニウムと、重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンを作用させることで、アクリルアミドをゲル化する、請求項1記載の作製方法。
【請求項3】
押し出し可能な形状物の内部の結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液を、形状物の外部のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液と接触させることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する、請求項2記載の作製方法(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。
【請求項4】
押し出し可能な形状物の外部で調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、形状物に入れることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する、請求項2記載の作製方法。
【請求項5】
送液される結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液と、送液されるペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液を、合流させて押し出し可能な形状物に送り込むことで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する、請求項2記載の作製方法(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
タンパク質の結晶構造解析は、タンパク質の機能を解明する上で不可欠な手段であるが、的確な解析を行うためには、解析に適した高品質な結晶をいかに取得するかという点とともに、取得した結晶をいかに取り扱うかという点が重要となる。なぜなら、タンパク質結晶は、物理的衝撃に弱く壊れやすいため、その取り扱いには細心の注意が必要だからである。そこで、タンパク質結晶を傷つけることなく取り扱う方法の研究が精力的に行われており、本発明者らの研究グループも、液剤で押し出し可能な形状物内の結晶化させたタンパク質が存在する溶液を、アルギン酸溶液および多価金属イオン溶液のいずれか一方の溶液で押し出し、さらに一方の溶液を他方の溶液に押し出すことで、タンパク質結晶のアルギン酸ゲル包埋物を作製する方法を、特許文献1において提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-84907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らの研究グループが特許文献1において提案した方法は、タンパク質をハイドロゲル中で結晶化させるのではなく、結晶化させたタンパク質をハイドロゲルに包埋する方法として評価を得ている。しかしながら、この方法は、結晶化の対象とするタンパク質の種類によっては多価金属イオンがタンパク質結晶の構造を変化させてしまうことでタンパク質結晶が溶解してしまったり、結晶化に用いる沈殿剤の種類によっては多価金属イオンと難溶性の塩を形成することでタンパク質結晶の構造解析の支障となったりすることがあるため、こうした点において改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、結晶化できるタンパク質であれば、どのようなタンパク質に対しても適用できる、汎用性に富む、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の点に鑑みてなされた本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法は、請求項1記載の通り、結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる。
また、請求項2記載の作製方法は、請求項1記載の作製方法において、アクリルアミドに、重合開始剤としてのペルオキソ二硫酸アンモニウムと、重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンを作用させることで、アクリルアミドをゲル化する。
また、請求項3記載の作製方法は、請求項2記載の作製方法において、押し出し可能な形状物の内部の結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液を、形状物の外部のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液と接触させることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。
また、請求項4記載の作製方法は、請求項2記載の作製方法において、押し出し可能な形状物の外部で調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、形状物に入れることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する。
また、請求項5記載の作製方法は、請求項2記載の作製方法において、送液される結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液と、送液されるペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液を、合流させて押し出し可能な形状物に送り込むことで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法は、タンパク質結晶を溶解させてしまったり、結晶化に用いる沈殿剤と難溶性の塩を形成したりすることがある多価金属イオンを用いないので、結晶化できるタンパク質であれば、どのようなタンパク質に対しても適用でき、汎用性に富む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法における方法1の一例の模式的説明図(正面図)である。
同、方法2の一例の模式的説明図(正面図)である。
同、方法3の一例の模式的説明図(正面図)である。
実施例2で得られた、アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真である(スケールバー:1mm)。
実施例3で得られた、アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真である(スケールバー:1mm)。
実施例5で得られた、アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真である(スケールバー:500μm)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法は、結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる。
【0010】
アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化する方法としては、例えば、アクリルアミド(ビスアクリルアミドを例えばアクリルアミド10~50重量部に対して1重量部の割合で含んでいてもよい)に、重合開始剤(ラジカル発生剤)としてのペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS:過硫酸アンモニウムともいう)と、重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を作用させる方法を採用することができる。アクリルアミドに、ペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを作用させると、アクリルアミドのラジカル重合反応が起こることでアクリルアミドゲルがハイドロゲルとして得られることは周知の通りであり、この反応を利用して、押し出し可能な形状物の内部の結晶化させたタンパク質をアクリルアミドゲル中に包埋することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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