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公開番号2024035677
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-14
出願番号2022140287
出願日2022-09-02
発明の名称薬剤の白斑リスクを判定する方法
出願人ポーラ化成工業株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20240307BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】皮膚外用剤に配合する成分について、それを曝露した皮膚に白斑が生じる危険性(白斑リスク)を、動物を用いずにin vitroで、高い信頼性で効率よく評価する方法を提供する。
【解決手段】被験試料の白斑リスクを判定する方法であって、
(1)被験試料のメラノサイトに対する50%生育阻害濃度(IC50)の評価を行う工程1、
並びに工程1においてIC50が予め設定した基準値を超えた場合に、
(2)被験試料のメラノサイトにおける活性酸素産生活性の評価、(3)被験試料のメラノサイトにおける小胞体ストレス誘導活性の評価、及び(4)被験試料のメラノサイトにおけるアポトーシス誘導活性の評価、からなる群から選択される1又は2以上の評価を行う工程2、及び
(5)被験試料のチロシナーゼによる被代謝能の評価を行う工程3、を含む、方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被験試料の白斑リスクを判定する方法であって、
(1)被験試料のメラノサイトに対する50%生育阻害濃度(IC
50
)の評価を行う工程1、並びに
工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に、
(2)被験試料のメラノサイトにおける活性酸素産生活性の評価、
(3)被験試料のメラノサイトにおける小胞体ストレス誘導活性の評価、及び
(4)被験試料のメラノサイトにおけるアポトーシス誘導活性の評価、からなる群から選択される1又は2以上の評価を行う工程2、及び
(5)被験試料のチロシナーゼによる被代謝能の評価を行う工程3、を含む、方法。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
工程2において評価したいずれにおいても活性が認められないことが確認された後に、工程3を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程2において、(2)、(3)及び(4)の評価を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程1においてIC
50
が予め設定した基準値以下であった場合に、被験試料は白斑リスクが高いと判定され、
工程2において評価したいずれか1以上において活性が認められた場合に、被験試料は白斑リスクの懸念があると判定され、
工程2において評価したいずれにおいても活性が認められず、かつ工程3において前記被代謝能が認められない場合に、被験試料は白斑リスクが低いと判定される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
工程3において、前記被代謝能が認められた場合に、さらに、
被験試料のチロシナーゼによる代謝物について、工程1を行うこと、及び
工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に工程2を行うことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に、さらに
(6)被験試料のタンパク質結合能、及び/又は
(7)被験試料の樹状細胞活性化能、の評価を行う工程4を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
被験試料のチロシナーゼによる代謝物について、工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に、さらに
(6)被験試料のチロシナーゼによる代謝物のタンパク質結合能、及び/又は
(7)被験試料のチロシナーゼによる代謝物の樹状細胞活性化能、の評価を行う工程4を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
被験試料が水溶性である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に配合する成分の白斑リスク判定する方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
ロドデノール(4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール)はそのチロシナーゼ阻害作用を利用して美白用化粧料の有効成分として利用されていたが、それを配合した化粧料を適用した皮膚において白斑を多数生じさせることが発覚した(非特許文献1)。
一般に、薬剤の開発においては、有効性の確認の他に、副作用の誘発を防ぐべく安全性の確認が行われている。しかしながら、近年、化粧料の場合は動物を使用せずに実験することが国際的な潮流であるため、薬剤の安全性を確認するために用いる試験の多くはin
vitroで実施する必要がある。ただ、安全性を確認しなければならないすべての評価項目において、利用可能なin vitro法が確立されているわけではない。
さらに、in vitroでも信頼性の高い安全性確認のための手段が求められており、種々の方法が提案されている。例えば、ヒト単球系培養細胞THP-1を利用して薬剤の感作性を評価するヒトセルライン活性化テスト(h-CLAT)や、被験試料の共存下で培養した細胞における免疫活性化マーカー発現を検出して被験試料と細胞間の相互作用に起因する感作性を検出する方法等が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-70818号公報
【非特許文献】
【0004】
T. N-Mogami, Bull. Natl. Inst. Health Sci., 133, 13-20 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
白斑が生じるメカニズムについては種々研究されており様々な要因が報告されているが、化粧料への配合に耐えうる安全性を確認する際の試験法としては未だ確立されていない。また、前記評価項目が複数必要である場合、被験試料を検証する手順について効率的に確認を遂行できることも重要である。
このような状況を鑑みて、本発明は、皮膚外用剤に配合する成分について、それを曝露した皮膚に白斑が生じる危険性(白斑リスク)を、動物を用いずにin vitroで、高い信頼性で効率よく評価する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究の末、白斑が生じるメカニズムを網羅的に解明した結果、被験試料(化合物等)をメラノサイトに曝露したときに白斑を生じ得る、主要な評価項目として、メラノサイトに対する直接的な細胞毒性と、細胞毒性を引き起こすメカニズムに関与する活性(間接的な細胞毒性)と、化合物のチロシナーゼによる代謝性とを特定した。さらにその優先順位を決定し、評価フローを構築して本発明を完成させた。さらに評価結果を補強するエンドポイントとして、化合物の免疫応答性評価を行うことも好ましいことを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]被験試料の白斑リスクを判定する方法であって、
(1)被験試料のメラノサイトに対する50%生育阻害濃度(IC
50
)の評価を行う
工程1、並びに
工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に、
(2)被験試料のメラノサイトにおける活性酸素産生活性の評価、
(3)被験試料のメラノサイトにおける小胞体ストレス誘導活性の評価、及び
(4)被験試料のメラノサイトにおけるアポトーシス誘導活性の評価、からなる群から選択される1又は2以上の評価を行う工程2、及び
(5)被験試料のチロシナーゼによる被代謝能の評価を行う工程3、を含む、方法。
[2]工程2において評価したいずれにおいても活性が認められないことが確認された後に、工程3を行う、[1]に記載の方法。
[3]工程2において、(2)、(3)及び(4)の評価を行う、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]工程1においてIC
50
が予め設定した基準値以下であった場合に、被験試料は白斑リスクが高いと判定され、
工程2において評価したいずれか1以上において活性が認められた場合に、被験試料は白斑リスクの懸念があると判定され、
工程2において評価したいずれにおいても活性が認められず、かつ工程3において前記被代謝能が認められない場合に、被験試料は白斑リスクが低いと判定される、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]工程3において、前記被代謝能が認められた場合に、さらに、
被験試料のチロシナーゼによる代謝物について、工程1を行うこと、及び
工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に工程2を行うことを含む、[2]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に、さらに
(6)被験試料のタンパク質結合能、及び/又は
(7)被験試料の樹状細胞活性化能、の評価を行う工程4を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]被験試料のチロシナーゼによる代謝物について、工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に、さらに
(6)被験試料のチロシナーゼによる代謝物のタンパク質結合能、及び/又は
(7)被験試料のチロシナーゼによる代謝物の樹状細胞活性化能、の評価を行う工程4を含む、[5]に記載の方法。
[8]被験試料が水溶性である、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の判定方法によれば、化合物の白斑リスクを網羅的な白斑発生メカニズムに基づいて、動物を用いることなくin vitroで、客観的に、短期間で効率的に判定できる。そのため、化粧料に配合する成分の検討に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
白斑リスクの判定フローの一態様を示す図である。工程1は最優先で必須に行われる。工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合に、工程2及び工程3を行う。工程2及び工程3はいずれを先に又は同時に行ってもよいが、工程2において評価したいずれにおいても活性が認められないことが確認された後に、工程3を行うことが好ましい。工程3において、前記被代謝能が認められた場合は、その代謝物について改めて工程1から評価を実施することが好ましい。工程1においてIC
50
が予め設定した基準値を超えた場合には、工程4も行うことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、白斑リスクとは、被験試料(通常は皮膚外用剤に配合しようと検討する成分)について、それを曝露した皮膚に白斑が生じる危険性をいう。通常は、「白斑リ
スクが高い」、「白斑リスクが懸念される」、「白斑リスクが低い・ない」というような3段階に評価されるが特に限定されない。白斑リスクが高い場合は、皮膚外用剤への配合すべきでないため、通常は開発候補から除外される。
(【0011】以降は省略されています)

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