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公開番号2024031624
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-07
出願番号2022135288
出願日2022-08-26
発明の名称細胞壁改質菌体の生産方法及び微生物ワクチンの生産方法
出願人学校法人東京農業大学
代理人個人
主分類C12N 1/21 20060101AFI20240229BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】乳酸菌などのグラム陽性菌を用い、より汎用性が高く簡易的な培養方法によって免疫原性を高めることができる細胞壁改質菌体の生産方法及び微生物ワクチンの生産方法を提供することを目的とする。
【解決手段】グラム陽性菌に抗原をコードする遺伝子を導入することにより、抗原生産能を有する遺伝子組換え体を得る工程と、前記遺伝子組換え体をグリシン添加培地で培養することにより、細胞壁の堅牢性が低下した細胞壁改質菌体を得る工程と、を有する、細胞壁改質菌体又は微生物ワクチンの生産方法を提供するものである。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
グラム陽性菌に抗原をコードする遺伝子を導入することにより、抗原生産能を有する遺伝子組換え体を得る工程と、
前記遺伝子組換え体をグリシン添加培地で培養することにより、細胞壁の堅牢性が低下した細胞壁改質菌体を得る工程と、
を有する、細胞壁改質菌体の生産方法。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記グラム陽性菌が、乳酸菌である、請求項1に記載の細胞壁改質菌体の生産方法。
【請求項3】
前記グリシン添加培地のグリシン濃度が、0.1重量%以上5.0重量%未満である、請求項1又は2に記載の細胞壁改質菌体の生産方法。
【請求項4】
前記培養が、8~48時間で実施される、請求項1又は2に記載の細胞壁改質菌体の生産方法。
【請求項5】
さらに、前記培地から細胞壁の堅牢性が低下した前記遺伝子組換え体を分離・精製する工程を有する、請求項1又は2に記載の細胞壁改質菌体の生産方法。
【請求項6】
グラム陽性菌に抗原をコードする遺伝子を導入することにより、抗原生産能を有する遺伝子組換え体を得る工程と、
前記遺伝子組換え体をグリシン添加培地で培養することにより、細胞壁の堅牢性が低下した細胞壁改質菌体を得る工程と、
を有する、微生物ワクチンの生産方法。
【請求項7】
前記グラム陽性菌が、乳酸菌である、請求項6に記載の微生物ワクチンの生産方法。
【請求項8】
前記グリシン添加培地のグリシン濃度が、0.1重量%以上5.0重量%未満である、請求項6又は7に記載の微生物ワクチンの生産方法。
【請求項9】
前記培養が、8~48時間で実施される、請求項6又は7に記載の微生物ワクチンの生産方法。
【請求項10】
さらに、前記培地から細胞壁の堅牢性が低下した前記遺伝子組換え体を分離・精製する工程を有する、請求項6又は7に記載の微生物ワクチンの生産方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は細胞壁改質菌体の生産方法及び微生物ワクチンの生産方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
乳酸菌は安全性が高く、免疫刺激作用を持つことが知られている。また、乳酸菌は遺伝子組換え技術が確立されており異種抗原を発現することができる。そのため、乳酸菌を抗原運搬体とする粘膜ワクチンの開発が試みられている(非特許文献1~4)。粘膜ワクチンは全身性免疫の誘導に加え、粘膜局所の免疫応答を誘導することができ、粘膜を介して感染する多くの病原体に対して高い感染防除効果が期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Tarahomjoo S. Development of vaccine delivery vehicles based on lactic acid bacteria. Mol Biotechnol. 2012;51(2):183-199. doi:10.1007/s12033-011-9450-2
Akinobu Kajikawa, Eiichi Satoh, Rob J. Leer, Shigeki Yamamoto, and Shizunobu Igimi. “Intragastric immunization with recombinant Lactobacillus casei expressing flagellar antigen confers antibody-independent protective immunity against Salmonella enterica serovar Enteritidis” Vaccine. 2007 May 4; 25(18): 3599-3605.
Corinne Grangette, Heide Muller-Alouf, Pascal Hols, Denise Goudercourt, Jean Delcour, Mireille Turneer, Annick Mercenier “Enhanced mucosal delivery of antigen with cell wall mutants of lactic acid bacteria” Infect Immun. May 2004, Pages 2731-7
Ho P.S., Kwang J., Lee Y.K. “Intragastric administration of Lactobacillus casei expressing transmissible gastroenteritis coronavirus spike glycoprotein induced specific antibody production.” Vaccine. 2005 Feb 3; 23(11): 1335-1342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般的に経口ワクチンの免疫誘導効率は低く、実用的な経口ワクチンの開発に向けた免疫誘導効率の改善が求められる。このため、アジュバントを用いた方法など、様々な方法で免疫誘導効率の改善が検討されている。
【0005】
免疫誘導効率が低い要因の一つとして乳酸菌の細胞壁が堅牢であることが考えられる。乳酸菌細胞壁の堅牢性は胃や腸といった過酷な環境での生存性を高める。一方で、乳酸菌細胞内抗原の隔離による免疫誘導効率の低下が起きることが仮定される。
【0006】
2004年、Palumboらは Lactiplantibacillus plantarum NCIMB8826のアラニンラセマーゼ(細胞壁合成に関与する酵素)遺伝子欠損株を作出した。変異株はD-アラニン非存在下では増殖できず、細胞壁の堅牢性が低下する。2004年Grangetteらはこの株変異株を宿主として、破傷風毒素断片抗原(TTFC)を発現させた遺伝子組換え乳酸菌を作出.細胞壁の堅牢性が低下した状態でマウスへ投与したところ、免疫誘導効率が大幅に改善されることを報告した。これは細胞壁の堅牢性が低下することで細胞壁の透過性が増加し、生体内においてより多くの抗原が漏出したことが考えられる。実際にこの変異株においてはin vitroにおいて細胞内の酵素を多量に放出していることが知られている。
【0007】
しかし、Grangetteらの手法は事前に宿主のアラニンラセマーゼ遺伝子を事前に欠失させておく必要があり、宿主菌株の恒常的な生育阻害や汎用性の低さが問題となっていた。
【0008】
そこで、本発明では、乳酸菌などのグラム陽性菌を用い、より汎用性が高く簡易的な培養方法によって免疫原性を高めることができる細胞壁改質菌体の生産方法及び微生物ワクチンの生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため、乳酸菌の細胞壁合成に干渉するグリシンを添加した培養方法に着目した。グリシン添加培養はペプチドグリカン前駆体へのアラニンの取り込みをグリシンが拮抗阻害することで細胞壁の合成が阻害され、結果として、細胞壁の堅牢性が低下することから、安全性が高く、培地へ添加するだけの簡便な方法となり得るとの知見を得た。
【0010】
本発明は係る知見に基づくものであり、グラム陽性菌に抗原をコードする遺伝子を導入することにより、抗原生産能を有する遺伝子組換え体を得る工程と、前記遺伝子組換え体をグリシン添加培地で培養することにより、細胞壁の堅牢性が低下した細胞壁改質菌体を得る工程と、を有する、細胞壁改質菌体の生産方法を提供するものである。
(【0011】以降は省略されています)

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