発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、他の基地局等から無線信号を受信する、無線受信装置に関する。 続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】 【0002】 従来、移動(無線)通信(2G/3G/4G/5G等)では、半導体技術の進歩に伴う技術革新が、世代進化(高速化、高周波化)を牽引してきた。しかし、次世代移動通信(Beyond 5G/6G)で扱う周波数はキャリア周波数300GHz以上のいわゆるテラヘルツ帯(以降、THz帯)に及ぶとされ、電気的手法の技術的限界(周波数上限)に達する可能性がある。つまり、無線キャリア波の低出力化と位相ノイズ増大、信号伝送損失の増大による高周波化と省電力化の両立困難、光通信と移動通信の信号変換に伴う時間遅延といった本質的問題が顕在化すると言われている。 【0003】 THz波の検出には、一般的には電気的手法が利用される。ショットキーバリアダイオード(SBD)のような高速THz検出素子を用いると、テラヘルツ波を電気信号として直接検出することが出来る(ホモダイン検出または自乗検出)。一方、THz波(RF信号)と局部発振器(LO信号)を高周波ミキサーでミキシングして、両者の差周波であるビート信号(IF信号)をマイクロ波帯やRF帯で計測することも出来る(ヘテロダイン検出)。 【0004】 一方、光ファイバー網を用いた光通信は最速の情報伝送速度を有し、最近ではデバイス内部の電子配線を光配線に置き換えて超高速・大容量・低遅延・低消費電力を実現するシリコン・フォトニクスの技術開発が進んでいる。このような背景から、無線通信においても、光学的に電波を検出する例が最近見受けられる。例えば、空間伝搬するTHz波を電気光学結晶に印加される電界信号として捉え、電気光学効果(例えば、ポッケルス効果)を用いることにより、THzの伝送情報を変調サイドバンド光として光信号に重畳することが出来る(非特許文献1)。また、THz波(無線キャリア)周波数程度だけ周波数が離間された2モード光を用い、一方のモード光の変調サイドバンド光と、それに隣接した他方のモード光の非変調キャリア光の光ビート信号を検出することにより、共通の位相ノイズを相殺すると共にヘテロダイン検出により、信号対雑音比(SN比)を向上する手法が開示されている(非特許文献2)。 【0005】 一方、微小光共振器から生成した光周波数コム(マイクロ光コム)を用いて、THz波(無線キャリア)周波数に等しい光周波数差で光位相も同期した2モード光を生成し、光学的なTHz波発生に用いられている(非特許文献3)。さらに、マイクロ光コムを構成するモード光の良好なSN比を維持しながら光増幅させるため、レーザー注入同期の利用が報告されている(非特許文献4)。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0006】 T. Kaji, I. Morohashi, Y. Tominari, N. Sekine, T. Yamada, and A. Otomo, "W-band optical modulators using electro-optic polymer waveguides and patch antenna arrays," Optics Express,Vol. 29, Issue 19, pp. 29604-29614 (2021). S. Hisatake, H. H. N. Pham, and T. Nagatsuma, "Visualization of the spatial-temporal evolution of continuous electromagnetic waves in the terahertz range based on photonics technology," Optica, Vol. 1, Issue 6, pp. 365-371 (2014). N. Kuse, K. Nishimoto, Y. Tokizane, S. Okada, G. Navickaite, M. Geiselmann, K. Minoshima, and T. Yasui,"Low phase noise THz generation from a fiber-referenced Kerr microresonator soliton comb," arXiv:2204.02564 (2022). N. Kuse and K. Minoshima,"Amplification and phase noise transfer of a Kerr microresonator soliton comb for low phase noise THz generation with a high signal-to-noise ratio," Optics Express,Vol. 30, Issue 1, pp. 318-325 (2022). 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかし、電気的THz検出法は、装置が中型・複雑・高価で、電磁誘導ノイズ等に弱いという問題点がある。また、無線通信と光通信の接続において、電気信号/光信号間での信号変換に伴う時間遅延が生じる。一方、光学的THz検出法は、THz波伝送情報を、電気光学効果を介して瞬時に光キャリア信号に重畳し、光信号として計測出来るので、小型・単純・安価で技術的に成熟した光通信プラットフォームをそのまま流用できる。その結果、光通信との親和性が良好で汎用性も高いが、次世代移動通信で利用されるTHz周波数帯では低い電気/光変換効率のため、高速無線通信に十分な検出感度を得ることが困難である。また、THz波(無線キャリア)周波数程度だけ周波数が離間され、かつ低位相ノイズな2モード光を得るのは困難であった。更に、そのような低位相ノイズ2モード光を、良好なSN比を維持しながら光増幅させる方法については全く示唆されていない。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の一態様に係る無線受信装置は、情報信号で変調された無線信号を受信する無線受信装置であって、受信アンテナと、所定の波長のレーザー光を出力する励起レーザーと、前記レーザー光で励起され、前記無線信号のキャリアの周波数と差分周波数だけ異なる繰り返し周波数の光周波数コムを生成する微小光共振器と、前記光周波数コムを構成する光周波数モードのうち任意の光周波数モードと繰り返し周波数離れた隣接光周波数モードとをそれぞれ独立に分離する光バンドパスフィルターと、前記分離された光周波数モードと隣接光周波数モードを、それぞれに隣接した波長を有するスレーブレーザーに注入同期して光増幅を行う光サーキュレーターと、前記受信アンテナの受信部に設けられ、さらに前記光周波数モードを前記無線信号に応じて光変調する電気/光変換素子と、前記隣接周波数モードとそれに隣接する前記光周波数モードの変調成分を分離する光バンドパスフィルターとを有する。 【0009】 前記差分周波数は10GHz以上100GHz以下であってもよい。 【0010】 前記任意の光周波数モード変調成分と差分周波数離れて隣接する前記隣接光周波数モードの非変調成分を混合し、光ビート信号を電気信号に変換する復調装置をさらに備えたものであってもよい。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する