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公開番号2024007691
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-19
出願番号2022108926
出願日2022-07-06
発明の名称高速炉の炉心
出願人日立GEニュークリア・エナジー株式会社
代理人ポレール弁理士法人
主分類G21C 1/02 20060101AFI20240112BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】
炉心性能の悪化を抑制しつつ、出力分布の平坦化をはかり、冷却材出口温度を高めて、溶融塩蓄熱システムへの適合性が高いナトリウム冷却金属燃料高速炉を実現し得る高速炉の炉心を提供する。
【解決手段】
高速炉の炉心1は、Pu富化度を11~13wt%の範囲内で所定のPu富化度とした中空燃料を被覆管内に収納する燃料棒をラッパ管内に稠密配置する燃料集合体であって、中空燃料の中空径が大きい燃料棒を有する第1の燃料集合体2を炉心の中心側に装荷し、第1の燃料集合体2の中空燃料の中空径よりも小さい中空径の燃料棒を有する第2の燃料集合体3を炉心の周辺側に装荷する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
Pu富化度を11~13wt%の範囲内で所定のPu富化度とした中空燃料を被覆管内に収納する燃料棒をラッパ管内に稠密配置する燃料集合体であって、
前記中空燃料の中空径が大きい燃料棒を有する第1の燃料集合体を炉心の中心側に装荷し、前記第1の燃料集合体の中空燃料の中空径よりも小さい中空径の燃料棒を有する第2の燃料集合体を炉心の周辺側に装荷することを特徴とする高速炉の炉心。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
請求項1に記載の高速炉の炉心において、
前記中空燃料をU-Pu-Zrの金属燃料合金としたことを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項3】
請求項1に記載の高速炉の炉心において、
前記燃料棒の上部にラッパ管と流動ナトリウムで構成されるナトリウムプレナムを有し、前記第1の燃料集合体の中空燃料が中空のU-Pu-Zrの金属燃料合金であって中空燃料の長さが、前記第2の燃料集合体の中空燃料が中空のU-Pu-Zrの金属燃料合金であって中空燃料の長さより短く、前記第1の燃料集合体のナトリウムプレナムの高さが前記第2の燃料集合体のナトリウムプレナムの高さより長いことを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項4】
請求項2に記載の高速炉の炉心において、
前記燃料棒の上部にラッパ管と流動ナトリウムで構成されるナトリウムプレナムを有し、前記第1の燃料集合体の中空のU-Pu-Zrの金属燃料合金の長さが、前記第2の燃料集合体の中空のU-Pu-Zrの金属燃料合金の長さより短く、前記第1の燃料集合体のナトリウムプレナムの高さが前記第2の燃料集合体のナトリウムプレナムの高さより長いことを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項5】
請求項3に記載の高速炉の炉心において、
前記中空のU-Pu-Zrの金属燃料の長さと前記ナトリウムプレナムの高さの合計が、前記第1の燃料集合体と前記第2の燃料集合体とで同一であることを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項6】
請求項4に記載の高速炉の炉心において、
前記中空のU-Pu-Zrの金属燃料の長さと前記ナトリウムプレナムの高さの合計が、前記第1の燃料集合体と前記第2の燃料集合体とで同一であることを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項7】
請求項1に記載の高速炉の炉心において、
前記中空燃料が中空のU-Pu-Zrの金属燃料合金であって、前記中空のU-Pu-Zrの金属燃料合金をボンドナトリウムに浸漬した燃料棒であることを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項8】
請求項2に記載の高速炉の炉心において、
前記中空のU-Pu-Zrの金属燃料合金をボンドナトリウムに浸漬した燃料棒であることを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項9】
請求項1に記載の高速炉の炉心において、
前記第1の燃料集合体の燃料体積割合に対する中性子無限増倍率と前記第2の燃料集合体の燃料体積割合に対する中性子無限増倍率の燃焼度依存性を同一とし、燃焼サイクルを通じた半径方向の出力分担平坦化を維持することを特徴とする高速炉の炉心。
【請求項10】
請求項2に記載の高速炉の炉心において、
前記第1の燃料集合体の燃料体積割合に対する中性子無限増倍率と前記第2の燃料集合体の燃料体積割合に対する中性子無限増倍率の燃焼度依存性を同一とし、燃焼サイクルを通じた半径方向の出力分担平坦化を維持することを特徴とする高速炉の炉心。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の冷却材出口温度を高くして、溶融塩を用いる蓄熱システムへの適用性を増大するナトリウム冷却金属燃料高速炉の炉心に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
高速炉の燃料集合体、炉心に関しては、一般的に、高速増殖炉は、原子炉容器内に炉心を配置しており、冷却材である液体ナトリウムを原子炉容器内に充填している。その炉心に装荷される燃料集合体は、プルトニウムを富化した劣化ウラン(U-238)を封入した複数の燃料棒、束ねられた複数の燃料棒を取り囲むラッパ管、これらの燃料棒の下端部、及び燃料棒の下方に位置する中性子遮へい体を支持するエントランスノズル、及び燃料棒の上方に位置する冷却材流出部を有する。
【0003】
高速増殖炉の炉心は、内側炉心領域及びこの内側炉心領域を取り囲む外側炉心領域を有する炉心燃料領域、炉心燃料領域を取り囲むブランケット燃料領域及びブランケット領域を取り囲む遮蔽体領域を有する。標準的な均質炉心の場合、外側炉心領域に装荷される燃料集合体のPu富化度は、内側炉心領域に装荷される燃料集合体のPu富化度よりも高くなっている。この結果、炉心の半径方向における出力分布が平坦化される。
【0004】
燃料集合体の各燃料棒に収納される核燃料物質の形態としては、金属燃料、窒化物燃料及び酸化物燃料がある。これらのうち、酸化物燃料が最も実績が豊富である。
Pu及び劣化ウランのそれぞれの酸化物を混合した混合酸化物燃料、すなわち、MOX燃料のペレットが、燃料棒内で軸方向の中央部において80~100cm程度の高さに充填される。さらに、燃料棒内には、劣化ウランで作られた複数の二酸化ウランペレットを充填した軸方向ブランケット領域が、MOX燃料の充填領域の上方及び下方にそれぞれ配置されている。内側炉心領域に装荷される内側炉心燃料集合体及び外側炉心領域に装荷される外側炉心燃料集合体は、そのように、MOX燃料の複数のペレットを充填した複数の燃料棒を有する。外側炉心燃料集合体のPu富化度は、内側炉心燃料集合体のPu富化度よりも高くなっている。
【0005】
炉心燃料領域を取り囲むブランケット燃料領域には、劣化ウランで作られた複数の二酸化ウランペレットを充填した複数の燃料棒を有するブランケット燃料集合体が装荷される。炉心燃料領域に装荷された燃料集合体内で生じる核分裂反応で発生した中性子のうち、炉心燃料領域から漏れた中性子が、ブランケット燃料領域に装荷されたブランケット燃料集合体の各燃料棒内のU-238に吸収される。この結果、ブランケット燃料集合体の各燃料棒内で核分裂性核種であるPu-239が新たに生成される。
【0006】
また、高速増殖炉の起動時、停止時及び原子炉出力の調節時には、制御棒が用いられる。制御棒は、炭化ホウ素(B

C)ペレットをステンレス製の被覆管に封入した複数の中性子吸収棒を有し、これらの中性子吸収棒を、内側炉心燃料集合体及び外側炉心燃料集合体と同様に、横断面が正六角形をしたラッパ管に収納されて構成される。制御棒は、主炉停止系及び後備炉停止系の独立した2系統の構成となっており、主炉停止系及び後備炉停止系のいずれか一方のみで高速増殖炉の緊急停止が可能になる。
【0007】
2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの大量導入に伴う負荷変動への適合性が原子力発電に求められている。米国において、小型のナトリウム冷却金属燃料高速炉に、太陽光発電で実績を有する溶融塩を用いた蓄熱システムを併設することによって、負荷変動に対応するプラントが、提案されている。金属燃料高速炉は、金属燃料の健全性を確保する観点から、酸化物燃料高速炉と比べて原子炉の1次系冷却材出口温度を50℃程度低い設計とする例が多く、本発明が主な対象とする、小型ナトリウム冷却金属燃料高速炉の場合、約500℃を想定している。一方で、上述の太陽光発電で実績を有する蓄熱システムで使用される硝酸塩系の溶融塩の場合、溶融塩の融点や、蓄熱システムの高温側のタンクの温度の条件から、原子炉冷却材出口温度を540℃から550℃程度とすることが望まれる。
【0008】
ナトリウム冷却金属燃料高速炉の冷却材出口温度を向上するためには、出力分布を平坦化して、無駄流量を抑制し、冷却材の流量を減らす必要がある。出力分布を平坦化するために、全ての炉心燃料のPu富化度を一種類とし、中性子の漏れが大きい、外側炉心の金属燃料、U-Pu-ZrのZr含有率よりも内側炉心のZr含有率を高くする方法が、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2005-83966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に示される、全ての炉心燃料のPu富化度を一種類とした金属燃料高速炉の炉心において、内側炉心の金属燃料のZr含有率を外側炉心よりも高くすると、内側炉心の重金属(UやPu)の装荷量が減るため、燃料装荷量が減少し、増殖比や燃焼反応度などの炉心性能が低下する課題が発生する。
そこで、本発明は、炉心性能の悪化を抑制しつつ、出力分布の平坦化をはかり、冷却材出口温度を高めて、溶融塩蓄熱システムへの適合性が高いナトリウム冷却金属燃料高速炉を実現し得る高速炉の炉心を提供する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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