TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024002814
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-11
出願番号2022102245
出願日2022-06-24
発明の名称原子力プラントの信頼性改善方法
出願人日立GEニュークリア・エナジー株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G21C 17/00 20060101AFI20231228BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】信頼性重視保全のプロセスの性能指標として腐食電位を常時監視指標として用いることができ、かつそれにより原子力プラントの信頼性を改善できる原子力プラントの信頼性改善方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る原子力プラントの信頼性改善方法は、応力腐食割れのリスクの高い部位などを選定する選定ステップS1と、選定された前記部位などの腐食電位を監視して、亀裂進展速度を推定する監視ステップS2と、推定された前記亀裂進展速度が高い部位などに対して、前記腐食電位を低減させる予防保全実行ステップS3と、前記腐食電位が目標範囲に入るように水質パラメータを是正する是正ステップS4と、材料の交換などを行って信頼性を改善させる改善ステップS5と、これらのステップを繰り返し行わせつつ、前記腐食電位を監視して、前記亀裂進展速度を管理していくライフサイクルマネジメントステップS6と、を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
応力腐食割れのリスクの高い機器または部位を選定する選定ステップと、
選定された前記リスクの高い機器または部位の腐食電位を常時監視指標として監視して、その結果から亀裂進展速度を推定する監視ステップと、
推定された前記亀裂進展速度が高い機器または部位に対して、前記腐食電位を低減させる予防保全を実行する予防保全実行ステップと、
前記監視ステップで監視している前記腐食電位が目標範囲に入るように水質パラメータを是正する是正ステップと、
前記是正ステップを行っても前記腐食電位が前記目標範囲に入らない場合に、材料の交換および応力改善のうちの少なくとも一方を行って、前記選定ステップでリスクが高いと選定された機器または部位の信頼性を継続的に改善させる改善ステップと、
前記選定ステップ、前記監視ステップ、前記予防保全実行ステップ、前記是正ステップおよび前記改善ステップを繰り返し行わせつつ、繰り返し行われる前記選定ステップでリスクが高いと新たに選定された機器または部位の前記腐食電位を監視して、前記亀裂進展速度を管理していくライフサイクルマネジメントステップと、
を有することを特徴とする原子力プラントの信頼性改善方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記選定ステップは、原子力プラントの構造、システムおよび機器のうちの少なくとも1つに対する安全系に関する基準および圧力境界に関する基準のうちの少なくとも一方に基づいて、予めリスク解析ツールおよび専門家の会議のうちの少なくとも一方により選定することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項3】
前記監視ステップは、常時監視している前記腐食電位を材料、応力および検査による実測亀裂長さのうちの少なくとも1つを用いて前記亀裂進展速度を推定することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項4】
前記監視ステップは、常時監視している前記腐食電位との相関を定期的に予め求めた、給水水素濃度、炉水水素濃度、炉水酸素濃度、炉水過酸化水素濃度、炉水電気伝導率、主蒸気系線量率、炉水水素/酸素モル比、炉水余剰水素濃度の中から少なくとも1つ選択された水質パラメータを補助的な常時監視指標として併用し、前記腐食電位を低減させる目的のために炉内の材料表面へ付着させた物質の付着量を、前記常時監視指標を補助するために使用することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項5】
前記予防保全実行ステップでは、前記腐食電位を低減させるため、水素注入、貴金属注入、ヒドラジン注入および酸化チタン注入のうちの少なくとも1つを実施することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項6】
前記是正ステップは、前記監視ステップで監視している前記腐食電位および推定している前記亀裂進展速度のうちの少なくとも一方が前記目標範囲に入るように給水水素量の増加および貴金属付着量の増加のうちの少なくとも一方を実施することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
【請求項7】
前記ライフサイクルマネジメントステップは、前記選定ステップ、前記監視ステップ、前記予防保全実行ステップ、前記是正ステップおよび前記改善ステップを繰り返し行わせる過程で蓄積した腐食電位データ、検査データおよび他プラントでの応力腐食割れ発生進展データのうちの少なくとも1つに基づいて構築した応力腐食割れデータベースに基づいて、検査による応力腐食割れの状態確認の時間間隔を延ばし、その間の期間を前記腐食電位の監視で置き換えた応力腐食割れの亀裂進展速度管理を行うことを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントの信頼性改善方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
原子力発電プラント(以下、原子力プラントと称することがある)の機器および配管等の構造部材は、ステンレス鋼およびニッケル基合金等の構造材料で構成されている。これらの構造材料は、特定の条件の下では応力腐食割れ(以下、SCCと称する)に感受性を示す。そこで、SCCの防止策が、原子炉の健全性を維持するために適用されている。また、近年では原子炉の設備利用率向上のような経済性向上の観点および原子力プラントの高経年化対応の観点からもSCCの予防策が適用されている。
【0003】
SCC防止策には、材料の耐食性向上、応力の改善または腐食環境の緩和を目的としたものが適用されている。沸騰水型原子炉(BWR)では、構造部材が曝されている、圧力容器内の冷却水(炉水)の腐食環境の改善に基づくSCC対策の一つとして、水素注入が国内外で広く行われている。炉水は、圧力容器内で冷却水の放射線分解により生成された、腐食の原因となる酸素および過酸化水素を含んでいる。酸素および過酸化水素を含む炉水が、腐食環境を形成している。
【0004】
構造材料の腐食電位(以下、ECPと称する)が腐食環境の指標として用いられている。また、ECPが-300から-200mVvs.SHE程度の値より低くなるとSCCの発生が抑制されることが知られている。
【0005】
水素注入は、水素を注入した給水を圧力容器内に供給することによって炉水に水素を添加し、この水素を炉水に含まれる酸素および過酸化水素と反応させて水に戻すことにより、ECPを低下させてSCCの発生を抑制する技術である。
【0006】
また、水素注入時のECPの低下を促進させる技術として、炉水に白金族金属元素を注入する貴金属注入が知られている。貴金属注入は、注入された白金族金属元素が有する水素の電気化学反応への触媒作用を利用して、水素注入時におけるECPをさらに低下させる技術である。
【0007】
これらの従来技術では、SCC抑制効果を評価するために構造材料のECPを精度良く知る必要がある。そこで、圧力容器内または圧力容器に接続された配管に腐食電位センサを設置し、構造材料のECPを測定することが行われている。
【0008】
SCCは、ECPが主に影響を与えているが、炉水に含まれる不純物イオン、特に塩化物イオンや硫酸イオンの影響を強く受ける。つまり、ECPが同じであっても、炉水中の不純物濃度が高いほど、SCCが発生し易くなる。そのため、SCC感受性(割れ(亀裂)の発生および進展速度の情報を含む)は、ECPおよび電気伝導率に依存していると言える。電気伝導率は、炉水に含まれる不純物の濃度で決まる。このため、BWR原子力発電プラントでは、ECPを下げることを実施する以前から、不純物の濃度を下げて炉水の純度を高く保つ運転が行われている。他方、ECPが十分に低い範囲、例えば-400mVvs.SHE程度に下がっていれば、SCCへの電気伝導率上昇の影響はマージンを有することになり、不純物イオンによる電気伝導率が通常の0.1μS/cmから0.2μS/cm程度まで上昇してもSCC感受性は小さいこともわかっている。従って、ECPを大きく下げた状態を維持できる貴金属注入は原子力プラントのSCC管理に対して優位な技術となっている。
【0009】
このような状況下、ECPによるSCC監視とSCC発生時間を考慮した亀裂長さの評価に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、不純物イオンを含む冷却水と接触する構造部材のECP、および冷却水に含まれる不純物イオンの濃度を測定し、これらの情報などに基づいて、構造部材におけるSCCの発生時間を求め、この発生時間が設定時間よりも短いとき、前記ECPおよび不純物イオンの濃度のうち少なくとも1つを減少させる方法が記載されている。
【0010】
また、SCCによる亀裂進展および腐食疲労による亀裂進展を予測する原子炉一次系構造物の寿命予測が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の寿命予測は、測定したECPおよび構造材料の亀裂進展特性データを用いて行われる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
核融合炉
1か月前
個人
X線遮蔽具及びX線遮蔽セット
18日前
株式会社三幸
放射線遮蔽材組成物
2か月前
個人
直下型地震に耐え、放射線に耐えうる地上マンション
26日前
国立大学法人東北大学
放射線防護具
1か月前
国立大学法人東京工業大学
テレスコピック型伸展ブーム
2か月前
三菱重工業株式会社
注水装置
1か月前
北海道電力株式会社
シリコン油の処理方法
20日前
株式会社大林組
汚泥処理方法及び汚泥処理システム
2か月前
個人
α崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法
2か月前
華能核能技術研究院有限公司
高温ガス冷却炉吸収ボール落下駆動装置
17日前
三菱重工業株式会社
試験装置及び試験方法
2か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
廃樹脂回収装置
1か月前
株式会社昭和冷凍プラント
トリチウム汚染水の処理装置及び処理方法
1か月前
三菱重工業株式会社
臨界防止方法および臨界防止装置
1か月前
太平電業株式会社
ブロックアイスの処理方法
1か月前
エックス-エナジー, エルエルシー
原子炉中性子反射体
17日前
三菱重工業株式会社
放射性物質の臨界管理方法および装置
18日前
東京電力ホールディングス株式会社
汚染水の放射性炭素除去方法および除去システム
1か月前
三菱重工業株式会社
放射性物質の収納装置および保管方法
17日前
清華大学
高温ガス炉の吸引装置
2か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
フィルタベント装置
2か月前
清華大学
高温ガス炉の流れ止め装置
2か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
金属キャスク用バスケット
2か月前
株式会社プロテリアル
シンチレータ構造体およびシンチレータの評価方法
1か月前
株式会社日立製作所
放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法
1か月前
浜松ホトニクス株式会社
エネルギー線照射装置
1か月前
三菱重工業株式会社
高レベル放射性物質処理システム及び高レベル放射性物質処理方法
19日前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
保全工程管理装置及び保全工程管理方法
2か月前
株式会社オーセンアライアンス
水処理システム及び水処理方法
1か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
薬液注入配管および薬液注入配管の製造方法
2か月前
三菱重工業株式会社
制御棒案内シンブル固定装置、固定方法、並びに燃料集合体用上部ノズル
2か月前
個人
福島第1原子力発電所(以下、略して、福1とする)にて発生をしている、汚染水を昇華させて気化をさせて処分をする方法。
2か月前
三菱重工業株式会社
グリーンハウスの運用支援装置、グリーンハウスの運用支援方法およびプログラム
1か月前
株式会社東芝
放射性同位体製造装置および放射性同位体製造方法
2か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
プラント機能管理支援方法及びプラント機能管理支援装置
1か月前
続きを見る