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公開番号2023170446
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-01
出願番号2022082213
出願日2022-05-19
発明の名称成膜方法
出願人株式会社アルバック
代理人弁理士法人青莪
主分類C23C 14/34 20060101AFI20231124BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】透明導電性酸化物の焼結体をターゲット21とし、透明導電性酸化物膜を成膜する際に、成膜後の基板に付着する所定サイズ以上のパーティクルの数を可及的に少なくすることができる成膜方法を提供する。
【解決手段】成膜完了に伴いターゲット21への電力投入を停止した後、真空チャンバ1内に同一または他のガス導入口61aから排出ガスを導入する工程を更に含み、ガス導入口から導入される排出ガスがターゲットと基板Sgとの間の空間1aを経て排気口4に移流する範囲に排出ガスの導入量を設定する。
【選択図】図2

特許請求の範囲【請求項1】
透明導電性酸化物の焼結体をターゲットとし、このターゲットを設けた真空チャンバ内に被成膜基板を対向配置し、前記真空チャンバに開設した排気口を通して真空ポンプにより真空排気された所定圧力の前記真空チャンバ内に、ガス導入口からスパッタガスを第1流量で導入し、ターゲットに所定電力を投入してプラズマ雰囲気を形成し、前記プラズマ雰囲気中のスパッタガスのイオンでターゲットをスパッタリングすることで前記被成膜基板の表面に透明導電性酸化物膜を成膜する成膜工程を含む成膜方法において、
前記ターゲットへの電力投入の停止に先立ってまたは停止後に、前記真空ポンプにより真空排気された前記真空チャンバ内に同一または他のガス導入口から排出ガスを導入する工程を更に含み、前記排出ガスの導入量が、当該ガス導入口から導入された前記排出ガスが前記ターゲットと前記被成膜基板との間の空間を通って排気口へと移流する範囲内に設定されることを特徴とする成膜方法。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記排出ガスとして前記スパッタガスを用い、前記ターゲットへの電力投入を停止した後、前記真空チャンバ内への前記スパッタガスの導入を継続し、当該スパッタガスの導入量を第1流量より少ない第2流量に変化させること及び真空ポンプの実効排気速度を速くすることの少なくとも一方により前記排出ガスを移流させることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】
前記排出ガスとして前記スパッタガスを用い、前記ターゲットへの電力投入の停止に先立って、当該スパッタガスの導入量を第1流量より少ない第2流量に変化させること及び真空ポンプの実効排気速度を速くすることの少なくとも一方により前記排出ガスを移流させることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項4】
前記ガス導入口から前記排出ガスをライン状に吹き出すことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法に関し、より詳しくは、スパッタリング法により被成膜基板の表面に透明導電性酸化物膜を成膜するものに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、フラットパネルディスプレイ装置の製造工程には、被成膜基板としての大面積のガラス基板(以下、「基板」という)の表面に透明導電膜を成膜する工程がある。透明電極膜としては、酸化インジウム系酸化物膜(例えば、ITO膜)を含む透明導電性酸化物膜が用いられ、このような透明導電性酸化物膜の成膜には、生産性などを考慮して、マグネトロン方式のスパッタリング装置が一般に利用される。ITO膜を成膜する場合を例に説明すると、スパッタリング装置の真空チャンバ内に、基板とITOターゲットとを対向配置し、真空ポンプにより所定圧力に真空排気された真空チャンバ内にアルゴンガスなどのスパッタガスを導入し(必要に応じて、酸素ガスなどの反応ガスを導入する場合がある)、ITOターゲットに負の電位を持つ(パルス状の)直流電力や高周波電力を投入する。すると、真空チャンバ内にプラズマ雰囲気が形成されて、プラズマ雰囲気中の希ガスのイオンによりITOターゲットがスパッタリングされ、ITOターゲットから所定の余弦則に従って飛散したスパッタ粒子が被処理基板に付着、堆積して基板表面にITO膜が成膜される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、真空チャンバ内に複数枚の基板を搬入、搬出し、ITOターゲットをスパッタリングして各基板に順次成膜する際には、真空チャンバ内に存する防着板などの部品にもスパッタ粒子が付着、堆積する。この付着、堆積したものが何らかの原因で微粒子(イエローパウダーなど)となって真空チャンバ内に飛散することが従来から知られている。このため、成膜後の基板表面には、パーティクルが付着している場合がある。ここで、近年のフラットパネルディスプレイの高精細化などに伴い、透明導電性酸化物膜の良否が成膜後に付着した所定サイズ(例えば2μm)以上のパーティクルの数で判断されることがあり、パーティクルの付着は製品歩留まりを低下させる要因となる。
【0004】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ね、次のことを知見するのに至った。即ち、真空チャンバ内に飛散した微粒子の中には真空排気されずにそのまま真空チャンバ内で浮遊するものがある(ターゲットが透明導電性酸化物の焼結体であるような場合には、ターゲットへの電力投入の停止時にその表面からパーティクルが飛散して浮遊する場合も考えられる)。そして、ターゲットのスパッタリングによる成膜中には、ターゲットと基板との間の空間に浮遊するものがプラズマで正または負に帯電し、この帯電したものがクーロン力で凝集することで、プラズマの発生時間(成膜時間)に応じて所定サイズ以上に増大化する。そして、このサイズが増大化したものが、ターゲットへの電力投入の停止後に成膜直後の基板表面に付着すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の知見を基になされたものであり、透明導電性酸化物の焼結体をターゲットとし、ターゲットをスパッタリングすることで被成膜基板の表面に透明導電性酸化物膜を成膜する際に、成膜後の被成膜基板に付着する所定サイズ以上のパーティクルの数を可及的に少なくすることができる成膜方法を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の成膜方法は、透明導電性酸化物の焼結体をターゲットとし、このターゲットを設けた真空チャンバ内に被成膜基板を対向配置し、前記真空チャンバに開設した排気口を通して真空ポンプにより真空排気された所定圧力の前記真空チャンバ内に、ガス導入口からスパッタガスを第1流量で導入し、ターゲットに所定電力を投入してプラズマ雰囲気を形成し、前記プラズマ雰囲気中のスパッタガスのイオンでターゲットをスパッタリングすることで前記成膜基板表面に透明導電性酸化物膜を成膜する成膜工程を含み、前記ターゲットへの電力投入の停止に先立ってまたは停止後に、前記真空チャンバ内に同一または他のガス導入口から排出ガスを導入する工程を更に含み、前記ガス導入口から導入される前記排出ガスが前記ターゲットと前記被成膜基板との間の空間を経て排気口に移流する範囲に前記排出ガスの導入量を設定することを特徴とする。
【0008】
以上によれば、成膜後の被成膜基板に付着する所定サイズ以上のパーティクルの数を可及的に少なくすることができることが確認された。これは、成膜中に、ターゲットと基板との間の空間に浮遊するものが凝集して所定サイズ以上に増大化し、この増大化したものがパーティクルとなって、ターゲットへの電力投入の停止により成膜直後の被成膜基板の表面に付着したとしても、成膜工程に引き続き実施される排出ガスの導入工程にて、上記空間に排出ガスを移流させたときに、当該空間に未だ浮遊するパーティクルだけでなく、成膜後の被成膜基板に付着したパーティクルが舞い上げられて排出ガスと共に排気口へと送られる、ことに起因すると考えられる。ここで、本発明における「移流」とは、ガス導入口から所定圧力の真空チャンバ内に一定の速度且つ流量で導入される排出ガスが、一定の実効排気速度で真空排気される真空チャンバ内で渦を発生させてその内部で拡散することなく、ガス導入口から上記空間を経て排気口へと一様に流れることをいう。例えば、所定容積の真空チャンバにてその圧力を0.1Pa~1Paの範囲とした場合、排出ガスのガス導入量が、10sccm~1000sccmの範囲に設定される。
【0009】
本発明においては、前記排出ガスとして、前記プラズマ雰囲気の形成用に導入される前記スパッタガスを用い、前記ターゲットへの電力投入を停止した後、前記真空チャンバ内への前記スパッタガスの導入を継続し、当該スパッタガスの導入量を第1流量より少ない第2流量に変化させること及び真空ポンプの実効排気速度を速くすることの少なくとも一方により前記排出ガスを移流させる構成を採用することができる。他方、前記排出ガスとして前記スパッタガスを用い、前記ターゲットへの電力投入の停止に先立って、当該スパッタガスの導入量を第1流量より少ない第2流量に変化させること及び真空ポンプの実効排気速度を速くすることの少なくとも一方により前記排出ガスを移流させる構成を採用することもできる。これにより、例えば、スパッタガスと排出ガスとの導入経路を共通化できることで部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。この場合、真空チャンバ内に複数枚の被成膜基板を搬入、搬出し、ターゲットをスパッタリングして各被成膜基板に順次成膜するような場合に、例えば、常時一定の導入量(第2流量)で排出ガスを導入すれば(言い換えると、一枚の被成膜基板に成膜した後、次の被成膜基板に成膜するまでの間も排出ガスの導入を継続する)、上記空間に浮遊するパーティクルを常時排気口へと導くことができ、成膜後の被成膜基板に付着するパーティクルの数をより一層少なくすることができる。また、ターゲットへの電力投入の停止に先立ってスパッタガスの流量を変化させる等の場合には、成膜に悪影響(プラズマ状態を含む)を与えない範囲で流量変化開始の時刻が適宜設定される。
【0010】
また、本発明においては、成膜後の被成膜基板に付着したパーティクルが効率よく舞い上げるため、前記ガス導入口から前記排出ガスをライン状に吹き出すことが好ましい。このように排出ガスをライン状に吹き出せば、成膜中にターゲットと基板との間の空間に浮遊するものを当該空間(即ち、プラズマ雰囲気が形成された空間)から排出され、凝集により所定サイズ以上に増大化するパーティクルの量を低減でき、有利である。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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