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公開番号2023065708
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-15
出願番号2020064178
出願日2020-03-31
発明の名称大腸菌を用いた外来タンパク質の製造方法
出願人株式会社カネカ
代理人
主分類C12N 15/31 20060101AFI20230508BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】大腸菌によって、外来タンパク質を培養液中に生産するための方法であって、該タンパク質が培養液中に分泌され、かつ培養上清の粘性上昇が抑制されることにより、培養後の後処理工程に負荷のかからない、培養上清から直接精製することができる方法の提供。
【解決手段】外来タンパク質の製造方法であって、部分変異を有するペプチドグリカン結合リポタンパク質(Pal)をコードする遺伝子、及び、外来タンパク質をコードする遺伝子を含む大腸菌を培養し、当該外来タンパク質を培養上清中に分泌させる、当該外来タンパク質の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
外来タンパク質の製造方法であって、部分変異を有するペプチドグリカン結合リポタンパク質(Pal)をコードする遺伝子、及び外来タンパク質をコードする遺伝子を含む大腸菌を培養し、当該外来タンパク質を培養液中に分泌させる、当該外来タンパク質の製造方法。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記大腸菌による外来タンパク質の培養上清中への分泌量が、Palに部分変異を有さない大腸菌による外来タンパク質の培養上清中への分泌量よりも増加している請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分変異を有するPalが、配列番号1に示すアミノ酸配列に部分変異を有する、又は配列番号1のアミノ酸配列に部分変異を有さず、かつシグナルペプチドに部分変異を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記部分変異を有するPalが、配列番号1の3位から17位、19位から121位、および123位から152位のアミノ酸配列の中から選ばれる1つ以上のアミノ酸配列、及び/又は配列番号3に示すアミノ酸配列に部分変異を有する、請求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
前記部分変異が、1つ以上のアミノ酸の欠損、置換または挿入である請求項1~4に記載の方法。
【請求項6】
前記部分変異を有するPalが、配列番号5、7、9、11、13、15、17、及び19のいずれかに示すアミノ酸配列、配列番号5、7、9、11、13、15、17、及び19のいずれかに示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号5、7、9、11、13、15、17、及び19のいずれかに示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加したアミノ酸配列である、請求項1~5に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、大腸菌を用いた外来タンパク質の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
遺伝子組換え技術を用いた組換えタンパク質の生産には、様々な宿主が用いられている。例えば、CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞といった動物細胞や、大腸菌や酵母といった微生物等が挙げられる。微生物においては、動物細胞と比較して短時間かつ低コストで目的タンパク質を生産できるというメリットがある。とりわけ、大腸菌は最も研究されている微生物の一つで、短時間で増殖し、かつ取扱いも容易なことからタンパク質生産において頻繁に利用されている。
【0003】
大腸菌を用いたタンパク質生産において、一般的には、細胞内でタンパク質が生産されるため、発酵培養後に培養液を菌体と培養上清に分離し、ペリプラズム抽出、または、超音波や溶菌酵素であるリゾチーム等による細胞破壊、もしくは、封入体(インクルージョンボディー)の回収等の操作を行う必要があり、さらには、目的のタンパク質を多種・多量の宿主由来物質から精製する必要があることから、これらの後処理工程が目的タンパク質の生産コストに大きく影響する。
【0004】
大腸菌を用いたタンパク質生産において、目的タンパク質を細胞外に分泌する方法を用いることができれば、培養上清と菌体との分離作業のみにより、ペリプラズム抽出や菌体破壊といった更なる後処理工程を行うことなく、培養上清から直接的に精製することができる。
【0005】
これまでに、膜タンパク質の一種であるlppの遺伝子に突然変異を有する大腸菌を使用して、組換えタンパク質の培養上清中への分泌が報告されている(特許文献1)。
【0006】
また、非特許文献1では大腸菌における様々な膜タンパク質をCRISPR/Cas9を用いてゲノム編集した膜タンパク質欠損株を用い、外来蛍光タンパク質の細胞外への分泌生産の検討が行われており、生産された該タンパク質の細胞外への分泌が報告されている。その中で、大腸菌の外膜構造維持に関わるペプチドグリカン結合リポタンパク質(Pal)欠損株においても該タンパク質の細胞外への分泌が確認されている。一方で、培地中へのDNAの漏出も観察されている。一般的にDNAの細胞外への漏出は培養上清の粘性増大の要因となることが報告されている(非特許文献2)。
【0007】
培養上清の粘性が増大した場合、後処理工程での膜処理におけるフィルターろ過性の低下、クロマトグラフィーでの精製時におけるカラム圧の上昇等、培養後の後処理工程に負荷がかかり、生産効率の低下や生産コストの増加の要因となる。
【0008】
一方、種々の部分欠損を有するPalをコードする遺伝子を組み込んだプラスミドを用い、Pal欠損株に対して形質転換することで、Pal欠損株では失われている外膜の整合性が完全にまたは一部相補されることが報告されている(非特許文献3)。しかしながら、これはPalがTolA、TolB、OmpAといった他の膜タンパク質やペプチドグリカンと相互作用することで、Palの外膜の整合性に寄与することを明らかにしたものであり、外来タンパク質の分泌生産能については不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2008-73046号公報
【非特許文献】
【0010】
Wen Gao 他著、ACS Synth. Biol., 7, 1291-1302(2018)
Joseph M. Newton 他著, Biotechnol Prog., 32(4), 1069-1076(2016)
Cascales E.and Lloubes R著,,Mol Microbiol.,51(3),873-885(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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