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公開番号2025178184
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-05
出願番号2025084747
出願日2025-05-21
発明の名称ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類C08B 3/16 20060101AFI20251128BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】工業的に効率よく生産可能であり、得られる粒子中の空孔容積が制御されたヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法の提供。
【解決手段】
エステル化工程と、析出工程と、脱液工程と、粉砕工程と、乾燥工程とを少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法であって、脱液工程においてスクリュープレスを用いるヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
触媒存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとエステル化剤とを反応させて反応溶液を得るエステル化工程と、
前記反応溶液と水とを混合して粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの析出によるヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を得る析出工程と、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を、スクリュープレスを用いて脱液して脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る脱液工程と、
前記脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを粉砕機により粉砕して粉砕ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る粉砕工程と、
前記粉砕ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを乾燥してヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る乾燥工程とを少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記析出工程と前記脱液工程の間に、前記析出工程で得られたヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液中の粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを洗浄して、前記脱液工程に使用するヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を得る洗浄工程を更に含む請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
【請求項3】
前記析出工程と前記脱液工程の間に、前記析出工程で得られたヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を脱水機により予備脱液して、前記脱液工程に使用する予備脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る予備脱液工程を更に含む請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
【請求項4】
前記粉砕工程で用いられる粉砕機がフェザミルである請求項1~3のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
【請求項5】
前記脱液工程におけるスクリュープレスのスクリュー軸入口温度が0~80℃である請求項1~3のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
【請求項6】
前記脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの含水率が25~60質量%である請求項1~3のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
【請求項7】
ゆるめ嵩密度が0.6g/cm

超であるヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
腸溶性ポリマーとして、セルロース骨格にメチル基(-CH

)とヒドロキシプロピル基(-C



OH)の2つの置換基を導入してエーテル構造とするほか、アセチル基(-COCH

)とスクシニル基(-COC



COOH)の2つの置換基を導入してエステル構造として、計4種類の置換基を導入した高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(以下、「HPMCAS」ともいう。)が広く知られている。
【0003】
HPMCASは、錠剤のコーティング用途、薬物の放出制御用途、及び水難溶性薬物と共に用いて加熱溶融押出法(ホットメルトエクストルージョン)又はスプレードライ法により固体分散体を調製する用途等、幅広く使用されている。
【0004】
HPMCASは、触媒存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースをエステル化させ、析出、脱液、乾燥、必要に応じて粉砕工程を経ることによって工業的に製造されるが、製造効率の観点から、乾燥時間の短縮が求められていた。
例えば、乾燥時間を短縮する製造方法として、前記脱液工程後の湿潤塊の乾燥減量を低減する製造方法が報告されている(特許文献1)。具体的には、前記脱液工程に相当するステップにおいて、濾過装置、フィルター遠心分離機又はデカンター遠心分離機を用いて、少なくとも28℃に温調された懸濁液を脱液する方法が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2016-532725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の濾過装置や遠心脱水機による脱液方法では、HPMCAS懸濁液の含水率を十分に低下させることが困難であり、結果として乾燥工程における乾燥減量が高くなり、生産効率を低下させていた。また、特許文献1で用いている濾過装置は、一度に脱液可能な量が制限されていることから工業的生産に適さない上に、ろ紙を使用する場合は、ろ紙から脱水後のHPMCASをはがす際に、ろ紙の繊維が不純物として混入するおそれもあり、工業的使用は難しかった。
さらに、特許文献1に記載のような遠心脱水機等の遠心力による脱液方法では、HPMCAS粒子に対して作用する力が弱いために、粒子中の空孔容積を低減することが困難であった。粒子中の空孔容積は、例えば、HPMCASを加熱溶融押出法やスプレードライ法に用いる場合に影響する。HPMCASを加熱溶融押出法に用いる場合、HPMCAS粒子内部の空孔に取り込まれた空気の存在によって、薬物との混合均一性が低下する問題がある。混合均一性の低下により、得られる固体分散体における薬物の溶出性が低下するため、十分な薬効を得ることができなくなる。また、HPMCASをスプレードライ法に用いる場合、空孔に取り込まれた空気によってHPMCAS溶液を調製する際に多量の気泡が生じるため、その脱泡に長時間を要し生産効率を著しく低下させる。しかし、このようにHPMCAS粒子中の空孔容積について課題はあるものの、これらの課題を解消するために最適化されたHPMCASの製造方法については過去検討されたことがなく、問題解決のために早急の対応が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、工業的に効率よく生産可能な脱液工程を含むヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法及びHPMCAS粒子中の空孔容積が制御されたヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、HPMCASの製造方法において、脱液装置としてスクリュープレスを用いることにより、脱液後のHPMCASの含水率を下げることができ、その結果、乾燥工程におけるHPMCASの乾燥減量の低下を達成できること、即ち乾燥時間を短縮できることを見出した。また、驚くべきことに、スクリュープレスによる脱液工程を経て製造されたHPMCASは、粒子が圧密化されることにより、空孔容積が低減されたゆるめ嵩密度が高いものであり、HPMCASと溶媒とを混合して攪拌させた際の気泡の発生を低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、以下のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法及びヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルが提供される。
[1]
触媒存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとエステル化剤とを反応させて反応溶液を得るエステル化工程と、
前記反応溶液と水とを混合して粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの析出によるヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を得る析出工程と、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を、スクリュープレスを用いて脱液して脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る脱液工程と、
前記脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを粉砕機により粉砕して粉砕ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る粉砕工程と、
前記粉砕ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを乾燥してヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る乾燥工程とを少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
[2]
前記析出工程と前記脱液工程の間に、前記析出工程で得られたヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液中の粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを洗浄して、前記脱液工程に使用するヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を得る洗浄工程を更に含む[1]に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
[3]
前記析出工程と前記脱液工程の間に、前記析出工程で得られたヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル懸濁液を脱水機により予備脱液して、前記脱液工程に使用する予備脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを得る予備脱液工程を更に含む[1]又は[2]に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
[4]
前記粉砕工程で用いられる粉砕機がフェザミルである[1]~[3]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
[5]
前記脱液工程におけるスクリュープレスのスクリュー軸入口温度が0~80℃である[1]~[4]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
[6]
前記脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの含水率が25~60質量%である[1]~[5]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの製造方法。
[7]
ゆるめ嵩密度が0.6g/cm

超であるヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脱液後のHPMCASの含水率を下げることができ、これによりHPMCASの製造方法における乾燥時間を短縮することができる。また、本発明により、例えばスプレードライ法等により固体分散体を調製する用途において、溶媒とHPMCASとを攪拌混合する際に、気泡の発生を低減することができるヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
脱液工程に用いるスクリュープレスの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のHPMCASの製造方法は、エステル化工程、析出工程、脱液工程、粉砕工程及び乾燥工程を少なくとも有し、脱液工程においてスクリュープレスを用いることを特徴とする。本発明のHPMCASの製造方法は、必要に応じて洗浄工程及び/又は予備脱液工程を有していてもよい。
スクリュープレスとは、脱液原料投入部と脱液品排出部の容積変化を利用することにより、生じる圧搾力を用いて固液分離を行う装置をいう。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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