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公開番号2025170547
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-19
出願番号2024075209
出願日2024-05-07
発明の名称炭化金属被覆材料
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C23C 16/32 20060101AFI20251112BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】外形線の形状が円形状である少なくとも1つの断面を有する炭化金属被覆材料を単結晶の製造に使用したときの単結晶の結晶成長歩留まりの低下を抑制することができる炭化金属被覆材料を提供する。
【解決手段】本発明は、炭素を主成分とする炭素基材と、炭素基材の少なくとも一部を被覆する、炭化金属を主成分とする炭化金属被覆膜とを含む炭化金属被覆材料であって、炭化金属被覆材料は、外形線の形状が円形状である少なくとも1つの断面を有し、円形状の真円度が0.01mm以上1.2mm以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
炭素を主成分とする炭素基材と、前記炭素基材の少なくとも一部を被覆する、炭化金属を主成分とする炭化金属被覆膜とを含む炭化金属被覆材料であって、
前記炭化金属被覆材料は、外形線の形状が円形状である少なくとも1つの断面を有し、
前記円形状の真円度が0.01mm以上1.2mm以下である炭化金属被覆材料。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
前記円形状の真円度が0.01mm以上0.8mm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆材料。
【請求項3】
前記円形状の真円度が0.01mm以上0.4mm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆材料。
【請求項4】
前記円形状の真円度が0.01mm以上0.2mm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆材料。
【請求項5】
前記炭素基材の線形熱膨張係数が5.2×10
-6
/℃以上7.2×10
-6
/℃以下である請求項1に記載の炭化金属被覆材料。
【請求項6】
前記炭素基材の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以上6.0μm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆材料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素を主成分とする炭素基材と、炭素基材の少なくとも一部を被覆する、炭化金属を主成分とする炭化金属被覆膜とを含む炭化金属被覆材料に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化タングステンなどの炭化物は、融点が高く、化学的安定性、強度、靭性および耐食性に優れている。このため、炭化物で炭素基材をコーティングすることにより、炭素基材の耐熱性、化学的安定性、強度、靭性、耐食性などの特性を改善することができる。炭素基材表面に炭化物膜を被覆した炭化物被覆材料、特に炭化タンタル被覆材料は、Si(シリコン)、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)などの半導体単結晶製造装置の部材として用いられている。
【0003】
SiCのバルク単結晶を製造する方法としては、昇華再結晶法が広く知られている。昇華再結晶法では、坩堝内部にSiC原料を充填し、その上部にSiC種結晶が配置される。また、SiC種結晶の周囲には昇華ガスを単結晶へと導くためのガイド材が設置される。SiC原料の加熱によって発生した昇華ガスは、ガイド部材の内壁に沿って上昇し、SiC種結晶でSiC単結晶が成長していく。
【0004】
また、半導体デバイスなど用いられるSiC単結晶基板は、バルク単結晶から成るSiC基板上に、SiC単結晶をエピタキシャル成長させることによって、製造されている。SiC単結晶をエピタキシャル成長させる方法は、液相エピタキシー(LPE)法、気相エピタキシー(VPE)法、化学気相堆積(CVD)法などが知られている。通常、SiC単結晶をエピタキシャル成長させる方法は、CVD法である。CVD法によるエピタキシャル成長方法は、装置内のサセプタ上にSiC 基板を載置し、1500℃以上の高温下で原料ガスを供給することで、SiC単結晶へ成長させている。
【0005】
このようなSiC単結晶の製造方法において、より高品質な結晶を得るために、特許文献1には、黒鉛基材の内面を炭化タンタルで被覆した坩堝を用いる方法が開示されている。また、特許文献2には、内壁を炭化タンタルで被覆したガイド部材を用いる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2019-99453号公報
特開2019-108611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
炭化金属被覆材料を坩堝、ガイド部材、サセプタとして使用して結晶成長させた化合物半導体単結晶は、何も被覆していない炭素材料を使用した場合と比較して、結晶成長の歩留まりが著しく向上することが知られている。
一方で化合物半導体結晶成長はまだ発展途上であり、歩留まりの向上が重要な要素となってくる。
一般的に、バルク単結晶は円筒形状を部分的に含んでおり、これをスライスして得られるウエハも円板形状である。したがって、バルク単結晶を成長させる際に使用する炭化金属被覆材料も、エピタキシャル成長させる際に使用する炭化金属被覆材料も、外形線の形状が円形状である少なくとも1つの断面を有するガイド材やサセプタであることがほとんどである。
このような、断面の外形線の形状が円形状である円形状部分を含む炭化金属被覆材料を、化合物半導体のバルク単結晶を成長させる際に使用する製造装置の部材として、及び化合物半導体をエピタキシャル成長させる際に使用する製造装置の部材として使用すると、バルク単結晶の歩留まりや、エピタキシャル成長により得られた単結晶の歩留まりが低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、炭化金属被覆材料の円形状部分では、原料ガスのガス流や中心ズレの影響を受けてしまい、その結果、炭化金属被覆材料の円形状部分における炭化金属被覆膜による被覆が不十分となり、その炭化金属被覆材料を部材として使用した製造装置により製造された単結晶の結晶成長歩留まりが低下することを見出した。そして、炭化金属被覆材料における断面の形状が円形状である円形状部分の真円度を所定の範囲内にすることにより、炭化金属被覆材料の円形状部分は炭化金属被覆膜により十分に被覆され、その結果、その炭化金属被覆材料を部材として用いた製造装置を使用して得られた単結晶の結晶成長歩留まりが向上することを見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]炭素を主成分とする炭素基材と、前記炭素基材の少なくとも一部を被覆する、炭化金属を主成分とする炭化金属被覆膜とを含む炭化金属被覆材料であって、
前記炭化金属被覆材料は、外形線の形状が円形状である少なくとも1つの断面を有し、
前記円形状の真円度が0.01mm以上1.2mm以下である炭化金属被覆材料。
[2]前記円形状の真円度が0.01mm以上0.8mm以下である上記[1]に記載の炭化金属被覆材料。
[3]前記円形状の真円度が0.01mm以上0.4mm以下である上記[1]又は[2]に記載の炭化金属被覆材料。
[4]前記円形状の真円度が0.01mm以上0.2mm以下である上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆材料。
[5]前記炭素基材の線形熱膨張係数が5.2×10
-6
/℃以上7.2×10
-6
/℃以下である上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆材料。
[6]前記炭素基材の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以上6.0μm以下である上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆材料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外形線の形状が円形状である少なくとも1つの断面を有する炭化金属被覆材料を単結晶の製造に使用したときの単結晶の結晶成長歩留まりの低下を抑制することができる炭化金属被覆材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、炭素基材の表面に炭化タンタル被覆膜を形成するときに使用する外熱型減圧CVD装置の概略図である。
図2は、坩堝を説明するための概略図である。
図3は、サセプタを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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