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公開番号2025176448
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-04
出願番号2024082619
出願日2024-05-21
発明の名称磁気冷凍材料の製造方法及び磁気冷凍材料
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類H01F 1/01 20060101AFI20251127BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】長時間に渡って水素脱離による経時劣化が抑制され、かつ磁気エントロピー変化が大きい磁気冷凍材料を製造することができる磁気冷凍材料の製造方法及びその製造方法により製造された磁気冷凍材料を提供する。
【解決手段】本発明の磁気冷凍材料の製造方法は、磁気冷凍材料を大気雰囲気中で熱処理する工程を含み、磁気冷凍材料が、La、Fe、Si及びHを少なくとも含有するLa-Fe-Si-H系材料である。本発明の磁気冷凍材料は、La、Fe、Si及びHを少なくとも含有するLa-Fe-Si-H系材料と、La-Fe-Si-H系材料の表面に形成された酸化被膜とを有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
磁気冷凍材料を大気雰囲気中で熱処理する工程を含み、
前記磁気冷凍材料が、La、Fe、Si及びHを少なくとも含有するLa-Fe-Si-H系材料である磁気冷凍材料の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記熱処理の熱処理温度が60~100℃であり、前記熱処理の熱処理時間が10~400時間である請求項1に記載の磁気冷凍材料の製造方法。
【請求項3】
前記La-Fe-Si-H系材料の組成が、La
(1-a)


(Fe
(1-b-c-d)


Si







(RはCe、Pr及びNdからなる群から選択される1種類以上の希土類元素であり、TはCo、Mn、Ni、Nb、W、Ta、Cr、Cu及びAgからなる群から選択される1種類以上の元素であり、AはAl、Ga、P、Ge、Sn及びInからなる群から選択される1種類以上の元素であり、Xは、H、又はB及びCからなる群から選択される1種類以上の元素とHとであり、0≦a≦0.5、0≦b≦0.03、0.09≦c≦0.14、0≦d≦0.05、1.3≦e≦1.5、12.0≦Z≦13.4である)である請求項1又は2に記載の磁気冷凍材料の製造方法。
【請求項4】
前記La-Fe-Si-H系材料が、主相としてR

(T
(1-y)
Si


13


を含み、副相としてR

FeSiH

相、R


Fe



相、R


Fe
11
Si



相及びR


Fe
17


相を前記La-Fe-Si-H系材料全体の2体積%以下で含み(R

は、La、又はLaとCe、Pr及びNdからなる群から選択される1種類以上の希土類元素とであり、1.3≦x≦1.5、0.09≦y≦0.14)、
前記副相中の前記R


Fe



相の割合が20体積%以上であり、
前記La-Fe-Si-H系材料がα-Feを含まないか、または前記La-Fe-Si-H系材料がα-Feを含む場合、前記La-Fe-Si-H系材料は前記α-Feを前記La-Fe-Si-H系材料全体の0.5体積%以下で含む請求項3に記載の磁気冷凍材料の製造方法。
【請求項5】
La、Fe、Si及びHを少なくとも含有するLa-Fe-Si-H系材料と、前記La-Fe-Si-H系材料の表面に形成された酸化被膜とを有する磁気冷凍材料。
【請求項6】
La-Fe-Si-H系材料内の水素濃度分布が均一である請求項5に記載の磁気冷凍材料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水素の経時脱離を抑制し、かつ高い磁気エントロピー変化をもつ磁気冷凍材料の製造方法及び磁気冷凍材料に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
フロン類がオゾン層破壊物質であり地球温暖化ガスでもあることから、環境保全のためにフロンを用いない新規冷凍空調システムが注目されている。フロンに代わる冷媒の開発が活発に行われているが、性能、コスト及び安全性の面において満足できる新規冷媒の実用化には至っていない。
【0003】
一方、従来の冷凍空調システムとは異なり、磁場の増大に伴うエントロピーの変化(磁気熱量効果、ΔS)を利用する磁気冷凍システムが注目されている。ΔSの絶対値が大きな材料としてはMn(As
1-x
Sb

)(特許文献1)やLa(Fe
1-x
Si


13


(特許文献2)等が挙げられる。特に前者はΔSが-30J/kgKと非常に大きく、優れた磁気冷凍材料になりうる。しかし、Mn(As
1-x
Sb

)の成分のAsが毒性を示すため実質的には適用が困難である。La(Fe
1-x
Si


13


は、ΔSが-25J/kgKとMn(As
1-x
Sb

)に次いで大きく、かつ構成元素は毒性を示さず、レアメタルではないことから最も有望視されている物質である。また、ΔSの変化は磁気熱量効果を示す物質の磁気転移温度(T

)付近に限られ、一種類の材料では、ある一点の温度でしか動作できないため、実質的に広い温度差を作り出す必要がある冷凍システムはできない。そこで、動作温度を変化させるために成分の一部を他の元素で置換するといった方法(特許文献3)がとられる。
【0004】
これらの物質は室温近傍(-70~+70℃程度)で動作することが要件となる。しかし、気体冷凍では生成が困難な極低温を生成する手段として用いられてきた従来の磁気冷凍とは異なり、上記動作温度における磁気冷凍では格子振動が無視できないために磁気熱量効果が低下するという問題があった。この問題については、この格子振動を蓄熱効果として利用することで解決できる。そして、この格子振動を蓄熱効果として利用するAMR(Active Magnetic Regenerative)サイクルが開発され、磁気熱量効果を利用した室温近傍での冷凍空調システムが現実味を帯びてきた。
【0005】
AMRサイクルでは水等の熱媒体が通過可能な隙間を有した状態で磁気冷凍材料が充填される(ベッド部と呼ばれる)。熱媒体は隙間を通じて高温端および低温端に移動できる。低温端側に熱媒体がある状態で、永久磁石等で磁場をベッド部に印加し磁気冷凍材料のエントロピーを低下させ、磁気冷凍材料の温度を上昇させる。熱媒体を低温端側から高温端側に移動させる。このとき、熱媒体は磁気冷凍材料から熱を受け取って、高温端側に移動し、高温端で熱交換器を用いて排熱する。続いて永久磁石の磁場を取り去り磁気冷凍材料のエントロピーが上昇するとともに温度が低下する。熱媒体を高温端側から低温端側に移動させる。このとき、熱媒体は磁気冷凍材料により冷却される。冷却された熱媒体は熱交換器で吸熱する。このサイクルを繰り返していくことで、高温端と低温端との間に温度差を発生させ、冷凍サイクルが作られる。
【0006】
AMRサイクルにおいて、単一組成の材料で発生することのできる温度差は材料にもよるが2~10K程度である。冷蔵庫や空調などの用途で求められるような大きな温度差を発生させるためには、異なる磁気転移温度(T

)を持つ磁気冷凍材料を高温端側から低温端側にかけてT

が高いものから低いものへと順に充填(カスケード充填)し、隣合う磁気冷凍材料間で熱交換を行うことで大きな温度差が生成可能となる。
【0007】
磁気転移温度について、特許文献4では、La(Fe
1-x-y





13


の材料水素濃度を十分に確保したうえでMn等の元素を添加することで、材料の磁気転移温度の制御と水素スプリット防止による特性安定化を両立させる検討がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2003-28532号公報
特開2006-089839号公報
特開2006-089840号公報
特開2012-041631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献4では、水素吸蔵量を増加させることによって水素スプリットの防止による特性安定化については対策がなされている。水素スプリットによる磁気特性の不安定化は材料の水素含有量が少ないときに発生することが知られているため、特許文献4においては、水素含有量をできるだけ高くすることによって、より長い作動時間にわたって安定である所望のT

を得ることができる、すなわち材料が安定化することが報告されている。
【0010】
一方、特許文献4では、材料からの水素脱離による磁気特性の経時変化に関して、150℃以上に加熱することでの水素脱離については言及されているが、100℃以下の磁気冷凍機稼働温度域での水素脱離についてはまったく言及及び検討されていない。
(【0011】以降は省略されています)

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