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公開番号2025174328
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-28
出願番号2024080602
出願日2024-05-17
発明の名称ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びその製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類C08B 3/16 20060101AFI20251120BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】溶媒への溶解速度が速いヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの工業的で効率の良い製造方法の提供。
【解決手段】
脱液工程と、第一の乾燥工程と、第二の乾燥工程とを少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法であって、第一の乾燥工程において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの含水率が0質量%を超えて30質量%以下となるまで、品温が0℃を超えて25℃以下となるようヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを減圧乾燥する製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
触媒存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アセチル化剤及びスクシノイル化剤とを反応させた後、前記反応溶液と水とを混合して得られるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート懸濁液を脱液して、脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを得る脱液工程と、
前記脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを、含水率が0質量%を超えて30質量%以下となるまで、品温が0℃を超えて25℃以下となるよう減圧乾燥して第一の乾燥ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを得る第一の乾燥工程と、
前記第一の乾燥ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを更に乾燥して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを得る第二の乾燥工程と
を少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記第一の乾燥工程における乾燥機内の圧力が、0.5~3kPa abs.である請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
【請求項3】
前記第一の乾燥工程における乾燥機の加熱温度が、50~120℃である請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
【請求項4】
前記第一の乾燥工程が、容器回転型乾燥機、内部撹拌式乾燥機及び振動乾燥機から選択される乾燥機を用いて行われる、請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
【請求項5】
前記第一の乾燥工程に導入される直前の脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの含水率が、40~80質量%である請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
【請求項6】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの含水率が、0質量を超えて5質量%以下である請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
【請求項7】
前記第二の乾燥工程終了時のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの品温が、60~120℃である請求項1に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
【請求項8】
水銀圧入法により測定される直径が0.01~3.0μmの細孔の細孔体積が0.5~2.0mL/gであるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
セルロースにメチル基(-CH
3
)、ヒドロキシプロピル基(-C
3

6
OH)、アセチル基(-COCH
3
)、スクシニル基(-COC
2

4
COOH)の計4種類の置換基を導入した高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(以下、「HPMCAS」ともいう。)は、難溶性薬物の溶出改善のための固体分散体や、錠剤の腸溶性コーティング等の用途に広く用いられている。
【0003】
HPMCASを用いた固体分散体の製造方法としては、難溶性薬物とHPMCASの混合物を溶媒に溶解させた後、スプレードライして溶媒を除去する方法がある。
HPMCASを用いた錠剤の腸溶性コーティングの方法としては、HPMCASを溶媒に溶解させ、コーティング液を調製し、錠剤にスプレーして錠剤表面にフィルムを形成する方法が一般的である。
【0004】
しかしながら、固体分散体用途や腸溶性コーティングの用途のために、HPMCASを溶媒に溶解させる際、HPMCASの溶解には長時間が必要であり、溶解時間の短縮による生産性の向上が求められていた。
【0005】
HPMCASの溶媒への溶解時間短縮方法として、HPMCAS粉末の粒子径分布に着目し、841~1,190μmの大きさを有する粒子の分率を、25重量%以上とする方法(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2017-501239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法では、得られたHPMCAS粉末の溶媒への溶解速度に改善の余地があった。また、特許文献1の方法では、エステル化反応段階において使用される溶媒の総重量の12~20倍の水を用いて反応液からHPMCAS粒子を析出させており、大量の排水が発生するという課題があった。更に、HPMCAS粉末中の841~1,190μmの大きさを有する粒子の分率が25重量%以上と多いため、水中に析出されたHPMCAS粒子の洗浄工程において、HPMCAS粒子の内部から不純物が抽出されにくく、洗浄に長時間を有する可能性があり、改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、溶媒への溶解速度が速いHPMCASの工業的で効率の良い製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、脱液HPMCASを、品温が0℃を超えて25℃以下にて減圧乾燥し、含水率が30%以下であるの第一の乾燥HPMCASを得る第一の乾燥工程と、第一の乾燥HPMCASを更に乾燥して、HPMCASを得る第二の乾燥工程を設けることにより、煩雑で効率の悪い析出方法を用いずとも、溶媒への溶解速度が速く溶解性に優れたHPMCASを工業的で効率の良い方法で製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートが提供される。
[1]
触媒存在下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、アセチル化剤及びスクシノイル化剤とを反応させた後、前記反応溶液と水とを混合して得られるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート懸濁液を脱液して、脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを得る脱液工程と、
前記脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを、含水率が0質量%を超えて30質量%以下となるまで、品温が0℃を超えて25℃以下となるよう減圧乾燥して第一の乾燥ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを得る第一の乾燥工程と、
前記第一の乾燥ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを更に乾燥して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを得る第二の乾燥工程と
を少なくとも含むヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
[2]
前記第一の乾燥工程における乾燥機内の圧力が、0.5~3kPa abs.である[1]に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
[3]
前記第一の乾燥工程における乾燥機の加熱温度が、50~120℃である[1]又は[2]に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
[4]
前記第一の乾燥工程が、容器回転型乾燥機、内部撹拌式乾燥機及び振動乾燥機から選択される乾燥機を用いて行われる、[1]~[3]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
[5]
前記第一の乾燥工程に導入される直前の脱液ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの含水率が、40~80質量%である[1]~[4]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
[6]
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの含水率が、0質量を超えて5質量%以下である[1]~[5]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
[7]
前記第二の乾燥工程終了時のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの品温が、60~120℃である[1]~[6]のいずれか1項に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの製造方法。
[8]
水銀圧入法により測定される直径が0.01~3.0μmの細孔の細孔体積が0.5~2.0mL/gであるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溶媒に対する溶解速度の速いHPMCASを工業的に効率の良い方法で製造できる。前記製造方法によって得られたHPMCASを用いることにより、HPMCASを溶媒に溶解させる際の溶解時間が短縮し、短時間で溶液を調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のHPMCASの製造方法は、脱液工程、第一の乾燥工程及び第二の乾燥工程を少なくとも有する。本発明のHPMCASの製造方法は、必要に応じて洗浄工程及び/又は予備脱液工程を有していてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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