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公開番号
2025177544
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-05
出願番号
2024084479
出願日
2024-05-24
発明の名称
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びその製造方法
出願人
信越化学工業株式会社
代理人
弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類
C08B
11/08 20060101AFI20251128BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】高い流動性と良好な結合性を有するL-HPCの製造方法の提供。
【解決手段】
粉末状パルプと、アルカリ金属水酸化物溶液を接触させてアルカリセルロースを得る工程と、
前記アルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させて反応生成物を得る工程と、
酸を加えることなく、前記反応生成物と水とを混合する溶解工程と、
前記反応生成物中に含有するアルカリ金属水酸化物を中和する工程と、
前記中和工程後の反応生成物を洗浄、脱水及び乾燥して乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを得る工程と、
前記乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを粉砕する工程と
を少なくとも含む低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
粉末状パルプと、アルカリ金属水酸化物溶液を接触させてアルカリセルロースを得る工程と、
前記アルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させて反応生成物を得る工程と、
酸を加えることなく、前記反応生成物と水とを混合する溶解工程と、
前記反応生成物中に含有するアルカリ金属水酸化物を中和する工程と、
前記中和工程後の反応生成物を洗浄、脱水及び乾燥して乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを得る工程と、
前記乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを粉砕する工程と
を少なくとも含む低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
続きを表示(約 900 文字)
【請求項2】
前記溶解工程において用いる水の量が、前記粉末状パルプ中のセルロースに対する水の質量比として2.0~3.5である請求項1に記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
【請求項3】
前記溶解工程において、混合温度が30~40℃である請求項1又は2に記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
【請求項4】
ヒドロキシプロポキシ基含有量が5~16質量%であり、動的画像解析法により全粒子を微粒子と、第1球状粒子と第2球状粒子からなる球状粒子と、長繊維状粒子及び短繊維状粒子からなる繊維状粒子とに分類した場合、前記球状粒子の全粒子に対する体積分率が60~90%であり、かつ前記第1球状粒子に対する前記第2球状粒子の体積分率の比(第2球状粒子/第1球状粒子)が、0.90~1.35である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであって、
前記微粒子が、繊維長が40μm未満の粒子であり、
前記球状粒子が、前記繊維長が40μm以上の粒子のうち、繊維径と繊維長の比率である伸長比が0.5以上の第1球状粒子と、前記伸長比が0.5未満であり、最小フェレー径と最大フェレー径の比率であるアスペクト比が0.5以上であり、粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周囲長(P
EQPC
)と実際の粒子の周囲長(P
real
)の比率である円形度が0.7以上である第2球状粒子とからなり、
前記長繊維状粒子が、前記繊維長が200μm以上で前記伸長比が0.5未満の粒子のうち、前記アスペクト比が0.5未満である第1長繊維状粒子と、前記アスペクト比が0.5以上であり、円形度が0.7未満である第2長繊維状粒子とからなり、
前記短繊維状粒子が、前記繊維長が40μm以上200μm未満で前記伸長比が0.5未満の粒子のうち、前記アスペクト比が0.5未満である第1短繊維状粒子と、前記アスペクト比が0.5以上であり、前記円形度が0.7未満である第2短繊維状粒子とからなる低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
医薬品又は健康食品等の固形製剤は、それらの中に含有される崩壊剤が吸水、膨潤することによって崩壊する。崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのカルシウム塩、デンプン及びその誘導体等が挙げられるが、中でも医薬分野では、非イオン性の崩壊剤、結合剤である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「L-HPC」とも記載する)が幅広く使用されている。
【0003】
固形製剤の中でも錠剤は、粉体を一定の形状に圧縮成形したものであり、打錠機によって製造される。この製造に用いる打錠機のホッパーの詰まりを防止する観点から、錠剤の製造には流動性の高いL-HPCを用いることが望まれている。
【0004】
流動性の高いL-HPCの製造方法としては、木材パルプを苛性ソーダに浸漬し、圧搾して得られたアルカリセルロースをエーテル化反応させた後、酸を含まない水中に該エーテル化反応の反応生成物を溶解させ、その後酸によってアルカリを完全に中和する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平11-322802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の方法で得られたL-HPCは、流動性は高いものの、錠剤に成形した際の成形性、すなわち、錠剤中のL-HPC粒子同士の結合性に劣ることがわかった。一方で、結合性が高いL-HPCを製造しようとすると、流動性が低下してしまう問題もあった。このように、流動性と結合性は相反する性質であるため、高い流動性と良好な結合性を両立することは困難であった。
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたものであり、高い流動性と良好な結合性を有するL-HPCの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させて得られたアルカリセルロースを用いてエーテル化反応を行い、かつ溶解工程において酸を加えることなく反応生成物と水とを混合させることにより、驚くべきことに、高い流動性を有するにもかかわらず、良好な結合性を有するL-HPCを得られることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明によれば、以下の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが提供される。
[1]
粉末状パルプと、アルカリ金属水酸化物溶液を接触させてアルカリセルロースを得る工程と、
前記アルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させて反応生成物を得る工程と、
酸を加えることなく、前記反応生成物と水とを混合する溶解工程と、
前記反応生成物中に含有するアルカリ金属水酸化物を中和する工程と、
前記中和工程後の反応生成物を洗浄、脱水及び乾燥して乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを得る工程と、
前記乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを粉砕する工程と
を少なくとも含む低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
[2]
前記溶解工程において用いる水の量が、前記粉末状パルプ中のセルロースに対する水の質量比として2.0~3.5である[1]に記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
[3]
前記溶解工程において、混合温度が30~40℃である[1]又は[2]に記載の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
[4]
ヒドロキシプロポキシ基含有量が5~16質量%であり、動的画像解析法により全粒子を微粒子と、第1球状粒子と第2球状粒子からなる球状粒子と、長繊維状粒子及び短繊維状粒子からなる繊維状粒子とに分類した場合、前記球状粒子の全粒子に対する体積分率が60~90%であり、かつ前記第1球状粒子に対する前記第2球状粒子の体積分率の比(第2球状粒子/第1球状粒子)が、0.90~1.35である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであって、
前記微粒子が、繊維長が40μm未満の粒子であり、
前記球状粒子が、前記繊維長が40μm以上の粒子のうち、繊維径と繊維長の比率である伸長比が0.5以上の第1球状粒子と、前記伸長比が0.5未満であり、最小フェレー径と最大フェレー径の比率であるアスペクト比が0.5以上であり、粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周囲長(P
EQPC
)と実際の粒子の周囲長(P
real
)の比率である円形度が0.7以上である第2球状粒子とからなり、
前記長繊維状粒子が、前記繊維長が200μm以上で前記伸長比が0.5未満の粒子のうち、前記アスペクト比が0.5未満である第1長繊維状粒子と、前記アスペクト比が0.5以上であり、円形度が0.7未満である第2長繊維状粒子とからなり、
前記短繊維状粒子が、前記繊維長が40μm以上200μm未満で前記伸長比が0.5未満の粒子のうち、前記アスペクト比が0.5未満である第1短繊維状粒子と、前記アスペクト比が0.5以上であり、前記円形度が0.7未満である第2短繊維状粒子とからなる低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い流動性と良好な結合性をともに有するL-HPCを提供できる。本発明の製造方法により得られるL-HPCを医薬品錠剤の製造に用いた場合、本発明の製造方法により得られるL-HPCは流動性が高いため、粉体のホッパーにおける詰まりを防止することができる。また、本発明の製造方法により得られるL-HPCは結合性が高いため、錠剤中のL-HPCの添加量を削減でき、錠剤の小型化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
L-HPCの「全粒子」を、「微粒子」、「第1長繊維状粒子」、「第2長繊維状粒子」、「第1短繊維状粒子」、「第2短繊維状粒子」、「第1球状粒子」及び「第2球状粒子」の7種類の粒子に分類する方法についてまとめたフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳しく説明する。
本明細書において、「結合性」とは、L-HPCを錠剤に成形した際、L-HPC同士の結合の指標を表し、結合性が高いことはL-HPCの錠剤が外力に対して形状を維持しやすい性質を有することを表し、結合性が低いことはL-HPCの錠剤が外力に対して形状を維持しにくい性質を有することを表す。
本発明のL-HPCの製造方法は、粉末状パルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させてアルカリセルロースを得る工程と、前記アルカリセルロースと酸化プロピレンとを反応させて反応生成物を得る工程と、酸を加えることなく、前記反応生成物と水とを混合する溶解工程と、前記反応生成物中に含有するアルカリ金属水酸化物を中和する工程と、前記中和された反応生成物を洗浄、脱水及び乾燥して乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを得る工程と、前記乾燥低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを粉砕する工程とを少なくとも含む。
(【0011】以降は省略されています)
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