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公開番号2025172855
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-26
出願番号2025141435,2023076962
出願日2025-08-27,2018-08-30
発明の名称疾患の予防および/または治療における使用のためのワクチン
出願人インプラザー エー・ペー・エス,InProTher ApS
代理人アインゼル・フェリックス=ラインハルト,個人,個人
主分類C12N 15/33 20060101AFI20251118BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】内在性レトロウイルスに由来する疾患の予防および/または治療における使用のためのウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【解決手段】内在性レトロウイルス(ERV)Gag蛋白質およびERVエンベロープ(Env)蛋白質をコードする核酸分子によってコードされた、ウイルス様粒子(VLP)であって、前記Gag蛋白質および前記Env蛋白質は、自己開裂可能なペプチドリンカーp2Aを介して結合され、前記核酸分子は、発現カセットである、ウイルス様粒子(VLP)を提供する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
内在性レトロウイルス(ERV)エンベロープ蛋白質またはその免疫原性部分をコードする、疾患の予防および/または治療における使用のための核酸分子であって、前記蛋白質のISDが、前記ISDを不活性にする突然変異を含有する、核酸分子。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
好ましくはアデノウイルスベクター、より好ましくは、哺乳動物アデノウイルス型、ヒトアデノウイルス型、チンパンジーアデノウイルス血清型、またはゴリラアデノウイルス血清型に由来するアデノウイルスベクターであるベクターであって、前記ヒトアデノウイルスベクターが、D群ベクター、ヒトアデノウイルス血清型Ad5、ヒトアデノウイルス血清型Ad19a、ヒトアデノウイルス血清型Ad26、またはチンパンジーアデノウイルス血清型に由来し、かつ前記アデノウイルスベクターが、アデノウイルス,血清型5(Ad5)またはアデノウイルス,血清型19(Ad19)である、請求項1記載の使用のための、請求項1記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項3】
前記ベクターが、ウイルス様粒子(VLP)をコードし、前記VLPが、不活性型免疫抑制性ドメイン(ISD)を有する内在性レトロウイルス(ERV)エンベロープ蛋白質またはその免疫原性部分を提示する、請求項2記載の使用のための、請求項2記載のベクター。
【請求項4】
疾患の予防および/または治療における使用のための、請求項3記載のベクターの発現産物を含む、蛋白質。
【請求項5】
疾患の予防および/または治療における使用のための、請求項1から3までのいずれか1項記載の核酸分子もしくはベクターを含む、または請求項4記載の蛋白質を含む、ワクチン。
【請求項6】
前記疾患が、癌、より好ましくは、ERV発現癌、さらにより好ましくは、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、黒色腫、白血病、肉腫、大腸癌、精巣癌、肺癌、および肝癌から選択される、請求項5記載の使用のための、請求項1から5までのいずれか1項記載の核酸分子、ベクター、蛋白質、またはワクチン。
【請求項7】
前記ISDは、前記アミノ酸の少なくとも1つが異なるアミノ酸と交換されたLANQINDLRQTVIW(配列番号1)、LASQINDLRQTVIW(配列番号2)、LQNRRGLDLLTAEKGGL(配列番号3)、LQNRRALDLLTAERGGT(配列番号4)、LQNRRGLDMLTAAQGGI(配列番号5)、YQNRLALDYLLAAEGGV(配列番号6)またはNSQSSIDQKLANQINDLRQT(配列番号49)を有する、請求項6記載の使用のための、請求項1から6までのいずれか1項記載の核酸分子、ベクター、またはワクチン。
【請求項8】
前記ISDの上流または下流の10アミノ酸領域における前記アミノ酸の少なくとも1つが、異なるアミノ酸と交換された、請求項7記載の使用のための、請求項1から7までのいずれか1項記載の核酸分子、ベクター、またはワクチン。
【請求項9】
前記ERV蛋白質が、ヒト内在性レトロウイルス(HERV)蛋白質またはその免疫原性部分であり、前記HERVが、HERV-K、HERV-H、HERV-W、HERV-FRD、およびHERV-Eからなる群のうちで選択され、かつ前記HERV-Kが、HERV-K108(=ERVK-6)、ERVK-19、HERV-K115(=ERVK-8)、ERVK-9、HERV-K113、ERVK-21、ERVK-25、HERV-K102(=ERVK-7)、HERV-K101(=ERVK-24)、およびHERV-K110(=ERVK-18)からなる群のうちで選択され、HERV-Hが、HERV-H19(=HERV-H_2q24.3)、およびHERV-H_2q24.1からなる群のうちで選択され、HERV-WがERVW-1(=シンシチン1)として選択され、かつHERV-FRDがERVFRD-1(=シンシチン2)として選択される、請求項8記載の使用のための、請求項1から8までのいずれか1項記載の核酸分子、ベクターまたはワクチン。
【請求項10】
前記アデノウイルスベクターの蛋白質産物には、gag蛋白質、2Aペプチド、およびエンベロープ蛋白質(Env)が含まれ、前記Env蛋白質が、表面単位(gp70)、開裂部位、および膜貫通単位(p15E)を含み、前記膜貫通単位(p15E)が、融合ペプチド、免疫抑制性ドメイン(ISD)、膜貫通アンカー、および細胞質尾部を含み、かつp15Eもしくはその免疫原性部分が、アデノウイルスカプシド蛋白質pIXに連結され、かつ/または前記アデノウイルスベクターによってコードされた前記シグナルペプチドが、Gaussiaルシフェラーゼ由来のシグナルペプチド(LucSP)と交換され、かつ/または前記アデノウイルスベクターによってコードされた前記膜貫通アンカーおよび前記細胞質尾部が、インフルエンザA型ウイルス赤血球凝集素H3N2由来の前記膜貫通ドメインおよび細胞質尾部(HA-TMCT)と交換される、請求項9記載の使用のための、請求項3から8までのいずれか1項記載のベクター、または請求項1から9までのいずれか1項記載のワクチン。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、疾患の予防および/または治療における使用のためのワクチンに関する。特に、疾患は、内在性レトロウイルスに由来する可能性があり、すなわち、癌などである。本発明のワクチンは特に、真核細胞においてウイルス様粒子を形成することができるウイルスに関する。本発明のある特定の実施形態において、ウイルスによってコードされたウイルス様粒子(VE-VLP)は、内在性レトロウイルスに対する免疫原性応答を発達させるために患者の体内において産生される。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
100年超も前、癌の発達は、免疫系と密に関係しているという見解がなされ、今日、規則的な基盤を基にして、免疫系が癌を生じるのを防御することは十分に確立されている。その一方で、悪性細胞は、免疫監視を回避し、悪性細胞が致命的な能力を展開するための戦略の元となる。
【0003】
免疫細胞は、腫瘍細胞を検出および殺滅することができるが、この系は、癌により世界中で年間ほぼ900万件の死亡から明白なように、必ずしも機能的であるとは限らない。腫瘍細胞に対する特異的免疫応答を誘導するための予防接種アプローチは、癌免疫療法において比較的古いトピックであるが、なおも開発下にあり、まさに近年、関連する結果を得られ始めた。1つの予防接種戦略は、減弱した腫瘍細胞、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をしばしば分泌する照射された自家腫瘍または同種腫瘍細胞株を用いた予防接種を包含する。いずれの場合においても、注射された材料は、実際の腫瘍において存在しそうである癌抗原を包含する。他の予防接種戦略には、特異的免疫応答を誘導するペプチドまたは蛋白質の投与が含まれる。これらの抗原は、アジュバントとの組み合わせにおいて直接注射されるか、またはDNAプラスミドもしくはウイルスベクターによってコードされるかのいずれかである。
【0004】
免疫療法アプローチは常に改善中であるが、広範に作用しかつ非常に効率的なワクチンはまだない。このことに対する詳しい理由とは、すでに説明されている腫瘍細胞による免疫抑制である。
【0005】
内在性レトロウイルス(ERV)は、遠い祖先におけるレトロウイルスによる古代の感染の証拠である。感染の際、ウイルスRNAをプロウイルスDNAへと逆転写させ、これがホストゲノム内へと組み込まれた。結局はプロウイルスをゲノム株の細胞内へと組み込み、遺伝性となり、内在性レトロウイルスを生じた。何百万年にもわたって、ウイルスDNAを後世に残し、集団に固定された。今日、どのヒトゲノムも、約8%の内在性レトロウイルスDNAからなるが、これらは、前者のレトロウイルスのまさに遺物である。突然変異、欠失および挿入により、レトロウイルス遺伝子のほとんどは不活性となり、ゲノムから完全に失われた。今日、機能的な完全長の内在性レトロウイルスは、ヒトにはもう存在しない。しかしながら、ERVは、異なる機能的蛋白質を用いて宿主ゲノム内へといくつものコピーを組み込むことをもたらす複製過程を経験した。したがって、いくつかの場合において、相同ERVの程度はなおもウイルス粒子を産生する能力を有する。ヒトERVのK型(HERV-K、HML2)は、ヒトゲノムにおいて最も近年獲得されたERVのうちの1つであり、このファミリーのメンバーは、ほぼすべてのウイルス蛋白質について完全長のオープンリーディングフレームを残したままであった。
【0006】
異なる研究は、ERV発現と癌の発達および進行との間の関係を強調してきた。ヒト腫瘍におけるERVの検出は、新たな予防接種戦略の見通しのある抗癌療法における新たな分野を開いた。ヒトERV(HERV)についての顕著な例は、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、黒色腫、白血病および肉腫と関係しているK型HERV(HERV-K)である。さらなる例は、大腸癌において発現するHERV-H、ならびに精巣癌、卵巣癌、乳癌、リンパ腫および白血病におけるシンシチン1である。
【0007】
ERV蛋白質の発現が発達中の腫瘍の原因であるのかまたは結果であるのかを決定することは必ずしも容易ではない。それにもかかわらず、癌細胞内の条件がERVの発現を可能にすることは公知である。腫瘍細胞内での低メチル化の一般的な状態は、健常細胞においてDNAメチル化によって通常不活性にされたERV遺伝子の活性化を促進する(Downey,R.F.,et al.,Human endogenous retrovirus K and cancer:Innocent bystander or tumorigenic accomplice? Int J Cancer,2015.137(6):p.1249~1257.およびGimenez,J.,et al.,Custom human endogenous retroviruses dedicated microarray identifies self-induced HERV-W family elements reactivated in testicular cancer upon methylation control.Nucleic Acids Res,2010.38(7):p.2229~2246。また、外来性因子は、ERV発現を促進することができる。ヒトERVの活性化は例えば、ウイルス感染により観察された。HERV-W発現は、インフルエンザおよび単純ヘルペスウイルス感染後に検出された(Nellaker,C.,et al.,Transactivation of elements in the human endogenous retrovirus W family by viral infection.Retrovirology,2006.3:p.44)のに対し、HERV-Kは、エプスタイン・バーウイルス感染後に存在していた(Sutkowski,N.,et al.,Epstein-Barr virus transactivates the human endogenous retrovirus HERV-K18 that encodes a superantigen.Immunity,2001.15(4):p.579~589)。ERV発現をもたらす機序にもかかわらず、癌細胞は、これらの蛋白質の活性化を、選択的圧力によって維持しており、このことは、腫瘍におけるERVの有益な効果を示している(Leong,S.P.,et al.,Expression and modulation of a retrovirus-associated antigen by murine melanoma cells.Cancer Res,1988.48(17):p.4954~4958。)
【0008】
ヒト腫瘍がERV蛋白質と関係しているだけでなく、マウス癌細胞もERVを発現している。このことは、腫瘍進行に及ぼすERVの効果を試験し、ERVターゲティング療法アプローチを検査するための完全なモデル生体を提供している。1つのERVモデルは、黒色腫と関係したレトロウイルス(MelARV)であり、これは、マウスゲノム中に存在するマウス白血病ウイルス(MuLV)のプロウイルスから生じる。ほとんどの近交系マウス系は、1つまたは2つの不活性MuLVコピーを含有している(Li,M.,et al.,Sequence and insertion sites of murine melanoma-associated retrovirus.J Virol,1999.73(11):p.9178~9186。)しかしながら、AKRマウス系は、ゲノム内に3つの挿入を有しており、自然発生リンパ腫の頻繁な発生率を生じる生涯において早期のMuLVの高い産生を特徴とする。C57BL/6のような他のマウス系は、生涯において後期にのみMuLV粒子を自然発生的に産生する。いくつかの他のマウス癌モデルは、ヒトERVと類似して、MuLV/MelARVを同様に発現する。
【0009】
ウイルス宿主の免疫系は、感染に対する天然の防御機序であるので、多くのウイルス、特にレトロウイルスは、この監視を逃れるための戦略を発展させてきた。異なるウイルス科中でみることができる1つの機序[Duch et al.,国際公開第2013/050048号]は、異なるレベルで免疫系の抑制を生じるエンベロープ蛋白質(Env)における免疫抑制性ドメインの発達である。ナチュラルキラー(NK)細胞、CD8 T細胞または調節性T(Treg)細胞を含む免疫細胞は、ISDを含有するウイルスによって影響を及ぼされることができる[Schlecht-Louf et al.(2010)]。
【0010】
多くのERVは、免疫抑制性ドメイン(ISD)を有する蛋白質を含有しており、このようなドメインはまた、MelARV Env蛋白質において認めることができる(Schlecht-Louf,G.,et al.,Retroviral infection in vivo requires an immune escape virulence factor encrypted in the envelope protein of oncoretroviruses.Proc Natl Acad Sci U S A,2010.107(8):p.3782~3787、およびMangeney,M.and T.Heidmann,Tumor cells expressing a retroviral envelope escape immune rejection in vivo.Proc Natl Acad Sci U S A,1998.95(25):p.14920~14925.)。Envを形質導入した腫瘍細胞は、追加の外来性抗原にもかかわらずより迅速に成長した。この観察は、Env蛋白質によって仲介される局所的な免疫抑制効果によって説明された。ISDは、マクロファージ、NK細胞およびT細胞などの阻害によって示されるように、先天免疫系および適応免疫系の両方に影響している(Lang,M.S.,et al.,Immunotherapy with monoclonal antibodies directed against the immunosuppressive domain of p15E inhibits tumour growth.Clin Exp Immunol,1995.102(3):p.468~475)。さらに、調節性T細胞サブセットに及ぼす効果が示唆されてきており、それが他の免疫細胞を順に抑制する(Mangeney,M.,et al.,Endogenous retrovirus expression is required for murine melanoma tumor growth in vivo.Cancer Res,2005.65(7):p.2588~2591)。ISDによる免疫抑制の詳細な機序は、まだ完全には理解されていないが、効果は、ISD内でCKS-17ペプチドによって大部分が仲介されるように見える。CKS-17は、大部分がサイトカイン発現を変化させることによって、免疫系に及ぼす多様な効果を有する(Haraguchi,S.,R.A.Good,and N.K.Day-Good,A potent immunosuppressive retroviral peptide:cytokine patterns and signaling pathways.Immunol Res,2008.41(1):p.46~55.)。
(【0011】以降は省略されています)

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