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公開番号2025159597
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-21
出願番号2024062297
出願日2024-04-08
発明の名称低温で濁りを生じない油、及びその製造方法
出願人株式会社ニッスイ
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C11C 3/00 20060101AFI20251014BHJP(動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく)
要約【課題】特定の含量のパルミチン酸を含みつつ、低温で貯蔵した場合に濁りを生じない油を提供することを課題とする。
【解決手段】特定の含量のパルミチン酸を含む油において、(i)所定のトリグリセリド含量、(ii)所定のPUFAの含量、(iii)所定のステアリン酸含量、(iv)所定の炭素数18の脂肪酸含量、及び(v)所定のDHA/EPA比からなる群から選ばれる少なくとも1の特徴を有する油を提供することによる。かかる油は、低温で貯蔵した場合に濁りが生じない。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
油中の脂肪酸の合計重量の7%~20重量%の濃度でパルミチン酸(C16:0)を含み、かつ0℃で3時間冷却した場合に濁りを生じない油であって、以下の特徴:
(i)トリグリセリドが83%以上、85%以上、88%以上、又は90%以上であり;
(ii)PUFAの含量が、70%以上、75%以上、又は80%以上であり;
(iii)ステアリン酸含量が、3%、又は1%未満であり;
(iv)炭素数18の脂肪酸が、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、又は2%未満であり;及び
(v)DHA/EPA比が、11~20である
からなる群から選ばれる少なくとも1の特徴を有する、油。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
さらに、(vi) DHA含量が、60%以上、65%以上、68%以上、又は70%以上である、請求項1に記載の油。
【請求項3】
前記油が、以下の:
(ii)PUFAの含量が、70%以上、75%以上、又は80%以上であり;及び
(v)DHA/EPA比が、11~20である
で表される特徴を有する、請求項1に記載の油。
【請求項4】
前記油が、以下の:
(iii)ステアリン酸含量が、3%、又は1%未満であり;及び
(v)DHA/EPA比が、11~20である
で表される特徴を有する、請求項1に記載の油。
【請求項5】
前記油が、以下の:
(iv)炭素数18の脂肪酸が、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、又は2%未満であり;及び
(v)DHA/EPA比が、11~20である
で表される特徴を有する、請求項1に記載の油。
【請求項6】
さらに、(i)トリグリセリドが83%以上、85%以上、88%以上、又は90%以上であること特徴を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の油。
【請求項7】
さらに、(ii)PUFAの含量が、70%以上、75%以上、又は80%以上であること特徴を有する、請求項2、4、及び5のいずれか一項に記載の油。
【請求項8】
さらに、(iii)ステアリン酸含量が、3%、又は1%未満である、請求項2、3、及び5のいずれか一項に記載の油。
【請求項9】
さらに、(iv)炭素数18の脂肪酸が、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、又は2%未満である特徴を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載の油。
【請求項10】
さらに、(v)DHA/EPA比が、11~20である、請求項2又は3に記載の油。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、低温で貯蔵した場合に濁りを生じない油、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
油は、由来元の原料に応じて、様々な組成の脂肪酸を含んでいる。動物油である牛脂やラードには、約40%又はそれより多くの飽和脂肪酸が含まれており、通常、常温で固体である。一方、植物油では、原料によって大きく異なるが、通常数%~二十数%の飽和脂肪酸を含んでいるものの、常温で液体である場合が多い。魚油は、飽和脂肪酸を約30%程度含む一方で、一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸も多く含んでおり、通常常温で液体である。調理用の油としては液状の食用油が広く使用されている。液状の食用油では、低温、例えば冬季の温度下で濁りが生じてしまうと、外観その他の商品価値が損なわれてしまう。そこで、液状の食用油については、日本農林規格に規定されたサラダ油の冷却試験が定められており、冷却試験の基準(0℃の氷水中で5時間半以上、清澄であるという基準)に合格した耐熱性液状調理油が開発されている(特許文献1:特開昭61-249344号公報)。また、低温でウインタリングを行うことで、所望の不飽和脂肪酸を濃縮する技術も開発されている(特許文献2:特開平10-176181号公報、特許文献3:特開平2-268133号公報)。
【0003】
食用油には、飽和脂肪酸として炭素数が16のパルミチン酸や、炭素数14のミリスチン酸、炭素数が18のステアリン酸などが含まれている。構成脂肪酸として飽和脂肪酸を多く含む油は、不飽和脂肪酸を含む油に比べて融点が高くなるため、低温で固体が生じ、濁りの原因となる。飽和脂肪酸の中で、生物中で最も含有量が多いパルミチン酸は、アセチルCoAとマロニルCoAを出発物質として、脂肪酸合成酵素の作用により鎖長を伸長することで生成される脂肪酸であり、この反応は多種多様な生物で共通している。その結果、生物由来の油、すなわち魚油、植物油、動物油、及び微生物油のいずれにおいても、通常パルミチン酸が多く含有されている。また、パルミチン酸は、人体においても最も多く存在する脂肪酸である。
【0004】
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の大量摂取は心血管疾患のリスクを高めることが報告されており、その一方で多価不飽和脂肪酸は血中脂質の状態を改善することが報告されている。そのため、摂取する油の脂肪酸組成に注意を払う必要性が喧伝され、多価不飽和脂肪酸を多く含む油の摂取が推奨されている。DHAやEPAなどのω-3系の不飽和脂肪酸は、優れた生理作用を有するため、高濃度のω-3系不飽和脂肪酸を含む油の製造が試みられている。その製造方法の一つとして、ω-3系の不飽和脂肪酸の高生産株を用いた微生物油の製造方法(特許文献4:特開2020-72676号公報、特許文献5:特開2022-126707号公報、特許文献6:特表2023-403200号公報)、不飽和脂肪酸を濃縮する方法が開発されている(特許文献7:国際公開第2012/118173号)。また、ω-3系の不飽和脂肪酸を固形脂肪組成物として製造する方法についても開示されている(特許文献8:特表2009-500022号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開昭61-249344号公報
特開平10-176181号公報
特開平2-268133号公報
特開2020-72676号公報
特開2022-126707号公報
特表2023-403200号公報
国際公開第2012/118173号
特表2009-500022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所定の含量のパルミチン酸を含む油では、低温に晒した場合に濁りを生じてしまい、低温安定性が低い。また所定の含量のパルミチン酸を含む油では、低温に晒した場合沈殿物が生じることがあり、均一な状態を保つことができず、取り扱い性が低くなることがある。そこで、本開示の課題は、所定の含量のパルミチン酸を含みつつ、低温に晒した場合に濁りを生じない油を提供すること、並びにかかる油の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、所定の含量のパルミチン酸を含み、油中のその他の脂肪酸について所定の組成を有する場合に、油を低温で貯蔵、例えば0℃で3時間冷却しても濁りが生じないことを見出したことに基づいている。
【0008】
所定の含量のパルミチン酸としては、油中の脂肪酸の合計重量に対し7%~20%、8~19%、9~18%の重量のパルミチン酸をいう。パルミチン酸は、種々の油に含まれる脂肪酸であり、抗酸化作用を発揮する。一方で、パルミチン酸は、飽和脂肪酸であることから含量が高くなると、油の低温安定性が低くなる。例えば、ウインタリング処理を行うことにより、パルミチン酸含量を調節することができる。
【0009】
本開示の油は、所定の含量のパルミチン酸(C16:0)を含んでおり、さらに(i)所定のトリグリセリド含量、(ii)所定のPUFA含量、(iii)所定のステアリン酸含量、(iv)所定の炭素数18の脂肪酸含量、及び(v)所定のDHA/EPA比、及び(vi)所定のDHA含量からなる群から選ばれる少なくとも1の特徴を有する場合に、0℃で3時間冷却しても濁りが生じない油である。これらの特徴は、単独であってもよいし、組み合わせであってもよい。一例として、(i)~(vi)の特徴のうち、任意の2つの特徴の組み合わせであってもよく、任意の3つの特徴の組み合わせであってもよく、任意の4つの特徴の組み合わせであってもよく、任意の5つの特徴の組み合わせであってもよく、6つの特徴のすべての組み合わせであってもよい。
【0010】
2つの特徴の組み合わせを有する場合、任意の組み合わせであってよいが、一例として(i)所定のトリグリセリド含量と(ii)所定のPUFA含量との組み合わせ、(i)所定のトリグリセリド含量と(iii)所定のステアリン酸含量との組み合わせ、(i)所定のトリグリセリド含量と(iv)所定の炭素数18の脂肪酸含量との組み合わせ、(i)所定のトリグリセリド含量と(v)所定のDHA/EPA比との組み合わせ、(i)所定のトリグリセリド含量と(vi)所定のDHA含量との組み合わせ、(ii)所定のPUFA含量と(iii)所定のステアリン酸含量との組み合わせ、(ii)所定のPUFA含量と(iv)所定の炭素数18の脂肪酸含量との組み合わせ、(ii)所定のPUFA含量と(v)所定のDHA/EPA比との組み合わせ、(ii)所定のPUFA含量と(vi)所定のDHA含量との組み合わせ、(iii)所定のステアリン酸含量と(iv)所定の炭素数18の脂肪酸含量との組み合わせ、(iii)所定のステアリン酸含量と(v)所定のDHA/EPA比との組み合わせ、(iii)所定のステアリン酸含量と(vi)所定のDHA含量との組み合わせ、(iv)所定の炭素数18の脂肪酸含量と(v)所定のDHA/EPA比との組み合わせ,(iv)所定の炭素数18の脂肪酸含量と(vi)所定のDHA含量との組み合わせ、及び(v)所定のDHA/EPA比と(vi)所定のDHA含量との組み合わせが挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)

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