TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2025152471
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-09
出願番号
2024054379
出願日
2024-03-28
発明の名称
熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
出願人
トヨタ紡織株式会社
,
国立大学法人京都大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C08L
101/00 20060101AFI20251002BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】従来とは異なる構成によって、セルロースの変性に因らずにセルロース質繊維を樹脂配合することができる熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を連続相とし、連続相内に分散されたセルロース質繊維を備える熱可塑性樹脂組成物であって、セルロース質繊維を構成するセルロースが有するヒドロキシ基の変性率が0.5%以下(0%を含む)である、又は連続相となる熱可塑性樹脂と、分散相となる繊維状物質と、を混錬して得られた熱可塑性樹脂組成物であって、繊維状物質は、セルロース質繊維と、セルロース質繊維間に介在された沸点が100℃超の水溶性ノニオン化合物と、を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
熱可塑性樹脂を連続相とし、前記連続相内に分散されたセルロース質繊維を備える熱可塑性樹脂組成物であって、
前記セルロース質繊維を構成するセルロースが有するヒドロキシ基の変性率が0.5%以下(0%を含む)であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
連続相となる熱可塑性樹脂と、分散相となる繊維状物質と、を混錬して得られた熱可塑性樹脂組成物であって、
前記繊維状物質は、セルロース質繊維と、前記セルロース質繊維間に介在された沸点が100℃超の水溶性ノニオン化合物と、を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記水溶性ノニオン化合物の水に対する溶解度が0.5g/100gH
2
O以上である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記セルロース質繊維と前記水溶性ノニオン化合物との合計を100質量%とした場合に、前記水溶性ノニオン化合物の割合が50質量%以下である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記水溶性ノニオン化合物の沸点が、150℃以上230℃以下である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記水溶性ノニオン性化合物が、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及び、ジメチルスルホキシドのうちの少なくとも1種である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルのうちの少なくとも1種である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
連続相となる熱可塑性樹脂と、分散相となる繊維状物質と、を混錬する混錬工程を備え、
前記繊維状物質は、セルロース質繊維と、前記セルロース質繊維間に介在された沸点が100℃超の水溶性ノニオン化合物と、を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
前記繊維状物質を得る繊維状物質形成工程を備え、
前記繊維状物質形成工程は、前記セルロース質繊維と、前記水溶性ノニオン化合物と、水と、が共存された混合物から水を除去する水除去工程を備える請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記混合物に含まれる前記セルロース質繊維と前記水溶性ノニオン化合物との合計を100質量%とし、前記セルロース質繊維の割合をR
C
質量%とし、前記水溶性ノニオン化合物の割合をR
W
質量%とした場合に、R
C
>R
W
である請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法に関し、詳しくは、セルロース質繊維を利用した熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、セルロース繊維は、水系用途において、増粘剤等の粘弾性制御の利用は実用されている。一方で、複合材料用途において、例えば、セルロース繊維は樹脂に対する優れた補強材であることが実証されて時間が経過しているが、依然として実用には至っていないという実情がある。このように、セルロース繊維は、複合材料用途においても優れた有用性が示唆されているものの、実用に至っていないケースが多くある。その理由の1つにセルロース繊維の強い親水性があると考えられる。つまり、セルロース繊維に含まれるセルロースは多糖類であり糖鎖由来のヒドロキシ基(水酸基)を多く有するから、強い親水性を呈するため樹脂内で分散させることができず、樹脂配合が難しいという問題が存在する。この問題に関しては、下記特許文献1~3の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-148629号公報
特開2016-176052号公報
特開2019-189792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、新規な変性ナノセルロース及びこれを含む樹脂組成物の提供を目的として([0011])、ナノセルロースを構成するセルロース中の水酸基の一部を、脂環式炭化水素基を備えたアルカノイル基で化学修飾する技術([請求項1]等)が開示されている。
上記特許文献2には、分散性良好な繊維が好適に複合化された繊維強化樹脂組成物、その製造方法の提供を目的として([0007])、(A)化学修飾セルロースナノファイバー及び(B)熱可塑性樹脂を含有し、(B)のSP値に対する(A)のSP値の比率Rが0.87~1.88であり、(A)の結晶化度が42.7%以上である繊維強化樹脂組成物([請求項1]等)が開示されている。この開示は、アセチル基等のアルカノイル基の導入(即ち水酸基が化学修飾されている)により、セルロース分子の水酸基が封鎖され、セルロース分子の水素結合力を抑制できることに言及([0012])している。
上記特許文献3には、乾燥粉末状態で熱可塑性樹脂と混練することができ、熱可塑性樹脂に対する相溶性、分散性が良好な変性セルロースナノファイバーを提供することを目的として([0009])、セルロースナノファイバーと、そのセルロース分子と結合しているポリカルボン酸と、そのポリカルボン酸のカルボキシル基のうちセルロース分子と結合しているカルボキシル基以外のカルボキシル基とキレート結合している炭素数8~24の脂肪酸多価金属塩と、を有する、変性セルロースナノファイバー([請求項1]等)が開示されている。
【0005】
上記特許文献1~3の技術は、いずれも、ヒドロキシ基の化学修飾等によるセルロースの変性によってセルロース繊維を樹脂内で分散できるようにする技術である。これらの技術により、セルロース繊維を非水系で扱うことが可能となり、前述した樹脂配合における問題を解決できることになる。
このように、セルロースの変性という観点からは、様々な手法が現在検討されているものの、どのような技術において、どの解決手段が適切であり、実用可能であるのかは依然として不明な状態が続いており、将来に向けてより多くの選択肢を得るという観点から、より多くの異なる選択肢が求められている実情がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、従来とは異なる構成によって、セルロースの変性に因らずにセルロース質繊維を樹脂配合することができる熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明には以下が含まれる。
[1]熱可塑性樹脂を連続相とし、前記連続相内に分散されたセルロース質繊維を備える熱可塑性樹脂組成物であって、
前記セルロース質繊維を構成するセルロースが有するヒドロキシ基の変性率が0.5%以下(0%を含む)であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2]連続相となる熱可塑性樹脂と、分散相となる繊維状物質と、を混錬して得られた熱可塑性樹脂組成物であって、
前記繊維状物質は、セルロース質繊維と、前記セルロース質繊維間に介在された沸点が100℃超の水溶性ノニオン化合物と、を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記水溶性ノニオン化合物の水に対する溶解度が0.5g/100gH
2
O以上である[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記セルロース質繊維と前記水溶性ノニオン化合物との合計を100質量%とした場合に、前記水溶性ノニオン化合物の割合が50質量%以下である[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記水溶性ノニオン化合物の沸点が、150℃以上230℃以下である[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記水溶性ノニオン化合物が、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及び、ジメチルスルホキシドのうちの少なくとも1種である[2]に記載の繊維状物質。
[7]前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルのうちの少なくとも1種である[1]又は[2]に記載の繊維状物質。
[8]連続相となる熱可塑性樹脂と、分散相となる繊維状物質と、を混錬する混錬工程を備え、
前記繊維状物質は、セルロース質繊維と、前記セルロース質繊維間に介在された沸点が100℃超の水溶性ノニオン化合物と、を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[9]前記繊維状物質を得る繊維状物質形成工程を備え、
繊維状物質形成工程は、前記セルロース質繊維と、前記水溶性ノニオン化合物と、水と、が共存された混合物から水を除去する水除去工程を備える[8]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[10]前記混合物に含まれる前記セルロース質繊維と前記水溶性ノニオン化合物との合計を100質量%として、前記セルロース質繊維の割合をR
C
質量%とし、前記水溶性ノニオン化合物の割合をR
W
質量%とした場合に、R
C
>R
W
である請求項[9]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の繊維状物質、繊維状物質の製造方法によれば、従来とは異なる構成によって、セルロースの変性に因らずにセルロース質繊維を樹脂配合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実験例2及び4~6に関する曲げ弾性率とシャルピー衝撃強度との相関を表すグラフである。
実験例1~3に関する曲げ弾性率とシャルピー衝撃強度との相関を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
尚、本明細書では、ことわりのない限り、「XX~YY」の記載は、「XX以上YY以下」を意味する。また、「常温」は25℃を意味し、「常圧」は1013.25hPaを意味するものとする。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
関連特許
トヨタ紡織株式会社
フィルタ
6日前
トヨタ紡織株式会社
搬送システム
1か月前
トヨタ紡織株式会社
水流帯電装置
6日前
トヨタ紡織株式会社
シートバック
25日前
トヨタ紡織株式会社
シートバック
25日前
トヨタ紡織株式会社
乗物用シート
25日前
トヨタ紡織株式会社
電界紡糸装置
4日前
トヨタ紡織株式会社
振動刺激装置
12日前
トヨタ紡織株式会社
乗物用シート
12日前
トヨタ紡織株式会社
ロックシステム
1か月前
トヨタ紡織株式会社
乗り物用シート
26日前
トヨタ紡織株式会社
乗り物用シート
26日前
トヨタ紡織株式会社
アンカーカバー
5日前
トヨタ紡織株式会社
ロータの製造装置
1か月前
トヨタ紡織株式会社
燃料電池システム
6日前
トヨタ紡織株式会社
クッションパッド
5日前
トヨタ紡織株式会社
乗物用シート装置
27日前
トヨタ紡織株式会社
シートクッション
5日前
トヨタ紡織株式会社
燃料電池システム
1か月前
トヨタ紡織株式会社
乗物用シート装置
25日前
トヨタ紡織株式会社
表皮材及び内装部品
4日前
トヨタ紡織株式会社
表皮材及び内装部品
4日前
トヨタ紡織株式会社
コネクタ及び二次電池
1か月前
トヨタ紡織株式会社
モータコアの製造方法
4日前
トヨタ紡織株式会社
パーソナルブース装置
12日前
トヨタ紡織株式会社
パーソナルブース装置
12日前
トヨタ紡織株式会社
配車装置およびプログラム
1か月前
トヨタ紡織株式会社
乗物用シートのアームレスト
1か月前
豊田合成株式会社
車両用投影装置
1か月前
豊田合成株式会社
車両用照明装置
1か月前
トヨタ紡織株式会社
車両用ヘッドレスト及び車両用シート
27日前
トヨタ紡織株式会社
シートパッド及びシートパッドの成形型
1か月前
トヨタ紡織株式会社
シートパッド及びシートパッドの成形型
4日前
トヨタ紡織株式会社
乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法
6日前
トヨタ紡織株式会社
乗り物酔い防止装置、及び乗り物酔い防止方法
12日前
トヨタ紡織株式会社
情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
12日前
続きを見る
他の特許を見る