TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2025147581
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-07
出願番号
2024047899
出願日
2024-03-25
発明の名称
負極活物質及びその製造方法、並びに二次電池
出願人
DIC株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
H01M
4/587 20100101AFI20250930BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】初回クーロン効率に優れ、負極膨張率が小さく容量維持率に優れる二次電池を形成できる負極活物質及びその製造方法、並びにかかる負極活物質を有する二次電池を提供する。
【解決手段】黒鉛質相と、Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相と、ナノシリコン相とから少なくとも構成される、二次電池用負極活物質。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
黒鉛質相と、Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相と、ナノシリコン相とから少なくとも構成される、二次電池用負極活物質。
続きを表示(約 880 文字)
【請求項2】
前記Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相が、さらにN(窒素)を含む、請求項1に記載の二次電池用負極活物質。
【請求項3】
前記黒鉛質相が、長径が0.3μm以上30μm以下の鱗片状黒鉛を含有する、請求項1に記載の二次電池用負極活物質。
【請求項4】
前記ナノシリコン相が、平均粒径が5nm以上100nm以下であるシリコン粒子を含有する、請求項1に記載の二次電池用負極活物質。
【請求項5】
前記Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相におけるSiとOとCの含有割合が、原子数比としてSiOxCy(式中、x及びyはそれぞれ、0.1<x<2、0.3<y<11の正数を表す。)である、請求項1に記載の二次電池用負極活物質。
【請求項6】
前記Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相がSiOC(シリコンオキシカーバイド)を含み、前記シリコンオキシカーバイドに対するN(窒素)の含有割合が、0.2質量%超2.5質量%未満である、請求項2に記載の二次電池用負極活物質。
【請求項7】
表面の少なくとも一部にさらに低結晶性炭素質相を有する、請求項1に記載の二次電池用負極活物質。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の二次電池用負極活物質を有する、二次電池。
【請求項9】
黒鉛と、シリコン粒子と、Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)を含む高分子構造を有する有機ケイ素系高分子材料との混合物を球形化する工程と、
700~1200℃で非酸化性雰囲気下で焼成する工程とを含む、
黒鉛質相と、SiとOとCとを含む相と、ナノシリコン相とから少なくとも構成される、二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記黒鉛が、長径が0.3μm以上30μm以下の鱗片状黒鉛を含有する、請求項9に記載の二次電池用負極活物質の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極活物質及びその製造方法、並びに二次電池に関する。詳細には、本発明は、二次電池用の負極活物質に好適に適用できる負極活物質及びその製造方法、並びにかかる負極活物質を負極に含む二次電池に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の各種電子機器・通信機器の高性能化と小型化の進展に伴い、小型で高容量の二次電池の需要が高まっている。中でも、充放電時にリチウムイオンを結晶面間の層間に吸蔵放出できるリチウムインターカレーション化合物を負極活物質に用いた、非水電解質二次電池である各種リチウムイオン電池は、ハイブリッド自動車、電気自動車、家庭用蓄電池等への展開が急速に進められ、利用範囲が拡大している。そのため、より高容量で、かつサイクル特性や放電レート特性等の各種電池特性がさらに向上したリチウムイオン電池が求められている。
従来のリチウムイオン電池では主に黒鉛が負極材料として使用されているが、黒鉛の理論容量密度が低いため(372mAh/g)、さらなる高エネルギー密度のリチウムイオン電池の開発には限界がある。黒鉛の理論容量密度を補うべく、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な元素であるケイ素やスズ等の金属、又は他の元素との合金、酸化物を用いた負極材料が検討されている。中でも、ケイ素(Si)は黒鉛の10倍以上の理論容量(4200mAh/g)を有するため、ケイ素及びケイ素含有負極活物質が、高容量化を達成し得る次世代の負極材料として注目されている。
【0003】
例えば特許文献1には、黒鉛、Liと合金化可能な金属粒子及び窒素原子を含有する高分子を少なくとも含む混合物を得る工程と、かかる混合物に力学的エネルギーを与え球形化処理を施す工程を含む、非水系二次電池負極用複合黒鉛粒子の製造方法が開示され、かかる複合黒鉛粒子を用いた負極を備えた非水系二次電池は、高容量、高サイクル特性、高レート特性を併せ持つとされている。
特許文献2には、Liと合金化可能な金属、鱗片状黒鉛および炭素質物を含有する複合黒鉛粒子であって、該複合黒鉛粒子に対する該炭素質物の含有量が20質量%未満であり、ラマン分光法による特定ピークの強度比が0.4未満である複合黒鉛粒子が開示され、該複合黒鉛粒子を含有する該負極材料を用いたリチウムイオン二次電池は放電容量、初期充放電効率、サイクル特性等の電池特性をバランスよく有するとされる。
特許文献3には、シリコン粒子と、黒鉛性粒子と、炭素性物質とを含有し、ラマンスペクトルで観測される特定ピークの強度比が所定範囲であって、特定の細孔容量及び比表面積である複合粒子を含んで構成するリチウムイオン二次電池用負極材が開示されており、高容量、かつサイクル性に優れるとされる。
特許文献4には、表面に凹凸部を有する主に黒鉛からなる粒状構造体と、前記粒状構造体の表面の少なくとも一部に、好適にはX線回折分析における結晶子サイズが所定値以下である特定平均粒径のシリコン粒子がマトリクス相中に分散した表面層を有する負極活物質が開示され、初回放電容量、容量維持率および充放電容量が高く、またこれら特性のバランスに優れた二次電池を与えるとされる。
特許文献5には、ケイ素、酸素、炭素を含有し、ケイ素に対する酸素及び炭素の含有比が特定範囲で、かつ
29
Si-NMRスペクトルによる0価のSi、及びSiO
4
の結合に帰属されるピーク面積強度比が所定範囲である二次電池用材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2015-035317号公報
特開2005-243508号公報
特開2012-043546号公報
特表2023-134577号公報
国際公開第2023/017694号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケイ素やケイ素含有負極活物質には初期効率(以下、「初回クーロン効率」と称する。)が低い、すなわちリチウムイオンの初回の吸蔵及び放出の際に不可逆容量が大きく、正極の容量を活かせないという課題がある。これは、ケイ素の表面に自然酸化により存在する酸化ケイ素(SiO
2
)が、初回の充電により正極から供給されたリチウムイオンとの間でリチウムシリケート(リチウムケイ酸塩)を形成し安定化して不可逆化するため、正極に放出されるリチウムイオンの量が減少してしまい、初回の充放電効率が低下することに起因する。
特許文献1~3に開示される複合粒子は、黒鉛と、シリコン又はSiOxと、ケイ素(Si)を含有しない炭素質物で構成され、複合化により高容量化を図っているが、充放電時に膨張及び収縮による体積変化が生じ、割れることで表面積が増大し、電解液との接触面積が大きくなる。その結果、充放電時に固相界面電解質分解物の生成量が増えることで単位体積当たりの可逆充放電容量が低下し、初回クーロン効率が低下すると考えられる。
特許文献4に開示される負極活物質は、黒鉛と、シリコン粒子がマトリクス相中に分散した表面層で構成され、黒鉛の凹凸表面の少なくとも一部に表面層を有する。特許文献5に開示される二次電池用材料は、例えばメチルシロキサン類を高温で焼結させて生成するシリコンオキシカーバイド(ケイ素、酸素及び炭素からなる複合酸化物)及びフェノール樹脂等の炭素源樹脂の焼成物から構成されるマトリクス相を形成でき、シリコン粒子をかかるマトリクス相内部に含有させて負極活物質を得ている。しかしながら、初回クーロン効率の改良及び容量維持率の向上が依然として求められている。
【0006】
本発明者らは、ケイ素含有負極活物質を含有する負極の、膨張及び収縮による容量維持率低下の改善方策について検討した。その結果、黒鉛質相と、Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相と、ナノシリコン相とから少なくとも構成される負極活物質は膨張を抑制でき、初回クーロン効率及び容量維持率の改良に有効であることを見出し、本発明を完成した。
本発明の目的は、初回クーロン効率に優れ、負極膨張率が小さく容量維持率に優れる二次電池を形成できる負極活物質及びその製造方法、並びにかかる負極活物質を有する二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 黒鉛質相と、Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相と、ナノシリコン相とから少なくとも構成される、二次電池用負極活物質。
[2] 前記Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相が、さらにN(窒素)を含む、[1]の二次電池用負極活物質。
[3] 前記黒鉛質相が、長径が0.3μm以上30μm以下の鱗片状黒鉛を含有する、[1]又は[2]の二次電池用負極活物質。
[4] 前記ナノシリコン相が、平均粒径が5nm以上100nm以下であるシリコン粒子を含有する、[1]~[3]のいずれかの二次電池用負極活物質。
[5] 前記Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相におけるSiとOとCの含有割合が、原子数比としてSiOxCy(式中、x及びyはそれぞれ、0.1<x<2、0.3<y<11の正数を表す。)である、[1]~[4]のいずれかの二次電池用負極活物質。
[6] 前記Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相がSiOC(シリコンオキシカーバイド)を含み、前記シリコンオキシカーバイドに対するN(窒素)の含有割合が、0.2質量%超2.5質量%未満である、[2]~[5]のいずれかの二次電池用負極活物質。
[7] 表面の少なくとも一部にさらに低結晶性炭素質相を有する、[1]~[6]のいずれかの二次電池用負極活物質。
[8] [1]~[7]のいずれかの二次電池用負極活物質を有する、二次電池。
[9] 黒鉛と、シリコン粒子と、Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)を含む高分子構造を有する有機ケイ素系高分子材料との混合物を球形化する工程と、
700~1200℃で非酸化性雰囲気下で焼成する工程とを含む、
黒鉛質相と、SiとOとCとを含む相と、ナノシリコン相とから少なくとも構成される、二次電池用負極活物質の製造方法。
[10] 前記黒鉛が、長径が0.3μm以上30μm以下の鱗片状黒鉛を含有する、[9]の二次電池用負極活物質の製造方法。
[11] 前記シリコン粒子が、平均粒径が5nm以上100nm以下であるシリコン粒子を含有する、[9]又は[10]の二次電池用負極活物質の製造方法。
[12] 前記有機ケイ素系高分子材料が、ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂の混合物、又はポリシロキサン化合物と炭素源樹脂の複合物からなる高分子構造を有する、[9]~[11]のいずれかの二次電池用負極活物質の製造方法。
[13] 前記Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相が、さらにN(窒素)を含む、[9]~[12]のいずれかの二次電池用負極活物質の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初回クーロン効率に優れ、負極膨張率が小さく容量維持率に優れる二次電池を形成できる負極活物質及びその製造方法、並びにかかる負極活物質を有する、充放電特性等の電池特性に優れる二次電池を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<二次電池用負極活物質>
本発明の二次電池用負極活物質(以下、「本負極活物質」とも記す。)は、黒鉛質相と、Si(ケイ素)とO(酸素)とC(炭素)とを含む相(以下、「ケイ素系マトリクス相」とも記す。)と、ナノシリコン相とから少なくとも構成される。
本負極活物質は、黒鉛質相に加えて強靭な構造を有するケイ素系マトリクス相を有するため、充放電時のナノシリコン相による膨張及び収縮を抑制できる。そのため、本負極活物質の形態を保持でき、サイクル特性をより長期に亘って維持することができる。
【0010】
本負極活物質における黒鉛質相は、黒鉛から構成されるのが好ましい。
黒鉛としては、土状黒鉛、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、半鱗状黒鉛等の天然黒鉛;石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークス、メソフェーズピッチ等を2500℃以上に加熱して黒鉛化処理して製造した人造黒鉛、のいずれも使用できる。なお、必要に応じ、不純物除去や、公知の方法で粉砕及び分級を行った黒鉛であってよく、前記黒鉛化処理の前後において、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、酸化処理、物理的処理等を施していてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
関連特許
DIC株式会社
粒子含有グリース組成物
1か月前
DIC株式会社
アンカー剤、印刷物、包材
4日前
DIC株式会社
化合物及びこれを含む組成物
1か月前
DIC株式会社
化合物及びこれを含む組成物
1か月前
DIC株式会社
負極活物質及びその製造方法、並びに二次電池
今日
DIC株式会社
樹脂物性値を予測する方法、情報処理装置、及びプログラム
6日前
DIC株式会社
キナクリドン化合物
今日
DIC株式会社
防藻剤、防藻性コーティング組成物、積層体、建造物、防藻性樹脂組成物および成形体
19日前
DIC株式会社
フェニルホスホン酸亜鉛錯体、樹脂組成物、及び湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂接着剤
5日前
DIC株式会社
重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法、重合性不飽和基を有する樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物
18日前
DIC株式会社
硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体、及び硬化性化合物、
1か月前
DIC株式会社
液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ
1か月前
個人
安全なNAS電池
1か月前
東レ株式会社
多孔質炭素シート
27日前
日本発條株式会社
積層体
8日前
エイブリック株式会社
半導体装置
29日前
エイブリック株式会社
半導体装置
29日前
ローム株式会社
半導体装置
6日前
ローム株式会社
半導体装置
6日前
ローム株式会社
半導体装置
6日前
個人
防雪防塵カバー
8日前
キヤノン株式会社
電子機器
27日前
ローム株式会社
半導体装置
4日前
ローム株式会社
半導体装置
27日前
株式会社ティラド
面接触型熱交換器
19日前
株式会社GSユアサ
蓄電装置
8日前
個人
半導体パッケージ用ガラス基板
7日前
ニチコン株式会社
コンデンサ
20日前
ニチコン株式会社
コンデンサ
20日前
東レ株式会社
ガス拡散層の製造方法
27日前
株式会社GSユアサ
蓄電装置
4日前
太陽誘電株式会社
全固体電池
4日前
株式会社ホロン
冷陰極電子源
4日前
日本特殊陶業株式会社
保持装置
6日前
日本特殊陶業株式会社
保持装置
4日前
日本特殊陶業株式会社
保持装置
4日前
続きを見る
他の特許を見る