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公開番号
2025143955
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-02
出願番号
2024043486
出願日
2024-03-19
発明の名称
エチレングリコール産生遺伝子組換え微生物、およびエチレングリコールの製造方法
出願人
シーシーアイホールディングス株式会社
,
国立大学法人神戸大学
代理人
弁理士法人お茶の水内外特許事務所
主分類
C12N
1/21 20060101AFI20250925BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】新規なエチレングリコール産生遺伝子組換え微生物と、この遺伝子組換え微生物を用いたエチレングリコールの製造方法を提供すること。
【解決手段】下記変換経路に基づいて、グリセロールからエチレングリコールを製造可能である遺伝子組換え微生物、およびこの遺伝子組換え微生物をグリセロールを含む培地で培養し、グリセロールからエチレングリコールを製造するエチレングリコールの製造方法。
【化1】
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>JPEG</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025143955000028.jpg</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">57</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">170</com:WidthMeasure> </com:Image> 【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記変換経路に基づいて、グリセロールからエチレングリコールを製造可能であることを特徴とする遺伝子組換え微生物。
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2025143955000026.jpg
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続きを表示(約 1,900 文字)
【請求項2】
グリセロールを、グリセルアルデヒドを介してグリセリン酸に変換する酵素A
グリセリン酸を、ヒドロキシピルビン酸に変換する酵素C
ヒドロキシピルビン酸を、グリコールアルデヒドに変換する酵素D
をコードするDNAが導入されていることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子組換え微生物。
【請求項3】
酵素Aが、下記酵素群Aから選ばれる酵素の1以上
酵素Cが、下記酵素群Cから選ばれる酵素の1以上
酵素Dが、下記酵素群Dから選ばれる酵素の1以上
であることを特徴とする請求項2に記載の遺伝子組換え微生物。
酵素群A:配列番号1~29に示すアミノ酸配列、または配列番号1~29に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群C:配列番号67~80のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号67~80に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群D:配列番号81~106のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号81~106に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
【請求項4】
酵素Aが、ArdAldO(配列番号1)、
酵素Cが、FtLox(配列番号67)、
酵素Dが、KsmdlC(配列番号81)、
であることを特徴とする請求項3に記載の遺伝子組換え微生物。
【請求項5】
グリセルアルデヒドを、グリセリン酸に変換する酵素B、
グリコールアルデヒドを、エチレングリコールに変換する酵素E
をコードするDNAが導入されていることを特徴とする請求項2に記載の遺伝子組換え微生物。
【請求項6】
酵素Bが、下記酵素群Bから選ばれる酵素の1以上
酵素Eが、下記酵素群Eから選ばれる酵素の1以上
であることを特徴とする請求項5に記載の遺伝子組換え微生物。
酵素群B:配列番号44~66のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号44~66に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群E:配列番号107~117のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号107~117に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
【請求項7】
前記酵素群Bから選ばれる酵素が、KppuuC(配列番号44)、
前記酵素群Eから選ばれる酵素が、EcfucO(配列番号107)、
であることを特徴とする請求項6に記載の遺伝子組換え微生物。
【請求項8】
グリセロールを、グリセルアルデヒドに変換する酵素A2
グリセルアルデヒドを、グリセリン酸に変換する酵素B
グリセリン酸を、ヒドロキシピルビン酸に変換する酵素C
ヒドロキシピルビン酸を、グリコールアルデヒドに変換する酵素D
をコードするDNAが導入されていることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子組換え微生物。
【請求項9】
酵素A2が、下記酵素群A2から選ばれる酵素の1以上
酵素Bが、下記酵素群Bから選ばれる酵素の1以上
酵素Cが、下記酵素群Cから選ばれる酵素の1以上
酵素Dが、下記酵素群Dから選ばれる酵素の1以上
であることを特徴とする請求項8に記載の遺伝子組換え微生物。
酵素群A2:配列番号30~43のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号30~43に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群B:配列番号44~66のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号44~66に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群C:配列番号67~80のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号67~80に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群D:配列番号81~106のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号81~106に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
【請求項10】
酵素A2が、CbAldO(配列番号30)、
酵素Bが、KppuuC(配列番号44)、
酵素Cが、FtLox(配列番号67)、
酵素Dが、KsmdlC(配列番号81)、
であることを特徴とする請求項9に記載の遺伝子組換え微生物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレングリコールを産生する遺伝子組換え微生物と、この遺伝子組換え微生物を用いたエチレングリコールの製造方法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
エチレングリコールは、構造式「HOCH
2
CH
2
OH」で表される2価のアルコールであり、ポリエステル等の合成原料や、溶媒、不凍液等として広く用いられている。エチレングリコールは、工業的には、原油からエチレンを得て、エチレンを酸化してエチレンオキシドとし、これを水和することにより製造されているが、その製造プロセスでは、大量のエネルギーと水を必要とする。
近年、地球温暖化等の環境への悪影響を小さくすることが強く要求されており、エチレングリコールについても、製造時の環境負荷低減が求められている。その手段の一つとして、微生物によるエチレングリコールが提案されており、例えば、特許文献1には、一酸化炭素、二酸化炭素、水素の1以上を含むガス状基質からエチレングリコールを生成できる遺伝子操作された微生物が提案されている。特許文献1に記載されている遺伝子操作された微生物によるエチレングリコールの生産量は培養20日で2.4mg/L程度が最大であり(図3B参照)、生産性に優れているとは言い難かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2021-506247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規なエチレングリコール産生遺伝子組換え微生物と、この遺伝子組換え微生物を用いたエチレングリコールの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題を解決するための手段は以下の通りである。
1.下記変換経路に基づいて、グリセロールからエチレングリコールを製造可能であることを特徴とする遺伝子組換え微生物。
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2.グリセロールを、グリセルアルデヒドを介してグリセリン酸に変換する酵素A
グリセリン酸を、ヒドロキシピルビン酸に変換する酵素C
ヒドロキシピルビン酸を、グリコールアルデヒドに変換する酵素D
をコードするDNAが導入されていることを特徴とする1.に記載の遺伝子組換え微生物。
3.酵素Aが、下記酵素群Aから選ばれる酵素の1以上
酵素Cが、下記酵素群Cから選ばれる酵素の1以上
酵素Dが、下記酵素群Dから選ばれる酵素の1以上
であることを特徴とする2.に記載の遺伝子組換え微生物。
酵素群A:配列番号1~29に示すアミノ酸配列、または配列番号1~29に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群C:配列番号67~80のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号67~80に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群D:配列番号81~106のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号81~106に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
4.酵素Aが、ArdAldO(配列番号1)、
酵素Cが、FtLox(配列番号67)、
酵素Dが、KsmdlC(配列番号81)、
であることを特徴とする3.に記載の遺伝子組換え微生物。
5.グリセルアルデヒドを、グリセリン酸に変換する酵素B、
グリコールアルデヒドを、エチレングリコールに変換する酵素E
をコードするDNAが導入されていることを特徴とする2.~4.のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
6.酵素Bが、下記酵素群Bから選ばれる酵素の1以上
酵素Eが、下記酵素群Eから選ばれる酵素の1以上
であることを特徴とする5.に記載の遺伝子組換え微生物。
酵素群B:配列番号44~66のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号44~66に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群E:配列番号107~117のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号107~117に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
7.前記酵素群Bから選ばれる酵素が、KppuuC(配列番号44)、
前記酵素群Eから選ばれる酵素が、EcfucO(配列番号107)、
であることを特徴とする6.に記載の遺伝子組換え微生物。
8.グリセロールを、グリセルアルデヒドに変換する酵素A2
グリセルアルデヒドを、グリセリン酸に変換する酵素B
グリセリン酸を、ヒドロキシピルビン酸に変換する酵素C
ヒドロキシピルビン酸を、グリコールアルデヒドに変換する酵素D
をコードするDNAが導入されていることを特徴とする1.に記載の遺伝子組換え微生物。
9.酵素A2が、下記酵素群A2から選ばれる酵素の1以上
酵素Bが、下記酵素群Bから選ばれる酵素の1以上
酵素Cが、下記酵素群Cから選ばれる酵素の1以上
酵素Dが、下記酵素群Dから選ばれる酵素の1以上
であることを特徴とする8.に記載の遺伝子組換え微生物。
酵素群A2:配列番号30~43のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号30~43に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群B:配列番号44~66のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号44~66に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群C:配列番号67~80のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号67~80に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
酵素群D:配列番号81~106のいずれかに示すアミノ酸配列、または配列番号81~106に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素
10.酵素A2が、CbAldO(配列番号30)、
酵素Bが、KppuuC(配列番号44)、
酵素Cが、FtLox(配列番号67)、
酵素Dが、KsmdlC(配列番号81)、
であることを特徴とする9.に記載の遺伝子組換え微生物。
11.グリコールアルデヒドを、エチレングリコールに変換する酵素E
をコードするDNAが導入されていることを特徴とする8.~10.のいずれかに記載の遺伝子組換え微生物。
12.酵素Eが、下記酵素群Eから選ばれる酵素の1以上
【発明の効果】
【0006】
本発明の遺伝子組換え微生物は、グリセロール(グリセリン)を出発物質としてエチレングリコールを製造することができる。グリセロールは、水への溶解度が高く(24.4g/100ml水、20℃)、20%の高濃度でも微生物を培養することができるため、培養液のグリセロール濃度を高くすることができ、エチレングリコールを効率的に製造することができる。
グリセロールは、生物由来の油脂(トリアシルグリセリド)から得ることができるため、生物由来のグリセロールを出発物質とすることにより、生物由来のエチレングリコールを製造することができる。グリセロールは、化学反応の副生成物として大量に生じるが、その多くが廃棄されているため、廃棄されるグリセロールを原料としてエチレングリコールを製造することで、グリセロールの廃棄量を減らすことができ、また、これまで、焼却等によるグリセロールの廃棄処分時に生じる二酸化炭素量を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「遺伝子組換え微生物」
本発明の遺伝子組換え微生物は、以下に示す変換経路に基づいて、グリセロールからエチレングリコールを製造することができる。
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【0008】
微生物に、上記変換経路に示すStep1~5の変換を行う酵素をコードするDNAを導入することにより、本発明の遺伝子組換え微生物を得ることができる。
本発明の遺伝子組換え微生物において、遺伝子組換えを行う微生物は特に制限されず、酵母、大腸菌、乳酸菌、枯草菌、放線菌、コリネ型細菌、シュードモナス型細菌等が挙げられ、形質転換および培養が容易なため、酵母、大腸菌が好ましい。酵母としては、ピチア属(Pichia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヤロウィア属(Yarrowia)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ブレタノミセス属(Brettanomyces)、カンジタ属(Candida)、クロッケラ属(Klocckera)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、イサトケンキア属(Issatchenkia)、スワニオミセス属(Schwanniomyces)、トリコスポロン(Trichosporon)属、ヤマダジマ属(Yamadazyma)、パチソレン属(Pachysolen)等が挙げられ、具体的には、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha、Yarrowia lipolytica、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe等が挙げられる。大腸菌としては、Escherichia coli、Escherichia fergusonii等が挙げられる。
【0009】
本発明の第一実施態様である遺伝子組換え微生物は、グリセロールをグリセルアルデヒドを介してグリセリン酸に変換する酵素A(Step1、2)、グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換する酵素C(Step3)、ヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒドに変換する酵素D(Step4)、のそれぞれをコードするDNAが導入されている。なお、Step5の変換を行う酵素は、微生物が生来有している。
【0010】
酵素Aとしては、グリセロールをグリセルアルデヒドを介してグリセリン酸に変換するものであれば特に制限されないが、例えば、表1に示す酵素群Aに属する配列番号1~20に示す酸化酵素、配列番号21~25に示すアルコール酸化酵素、配列番号26~29に示すアルコール脱水素酵素、または配列番号1~29に示す配列との配列同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有する酵素が挙げられ、これらの1種の酵素または2種以上の酵素をコードするDNAを導入することができる。これらの中で、ArdAldO(配列番号1)が、高い活性値を示すため好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
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