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公開番号2025139907
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-29
出願番号2024038992
出願日2024-03-13
発明の名称SARS-CoV-2に対する結合能を有する核酸アプタマー
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所,株式会社島津製作所
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類C12N 15/115 20100101AFI20250919BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】新型コロナウイルスオミクロン株のSタンパク質に結合するアプタマーを提供すること。
【解決手段】SARS-CoV-2に対する結合能を有する核酸アプタマーであって、上記核酸アプタマーは、ヌクレオチドを構成単位とする一本鎖オリゴヌクレオチドを含み、上記一本鎖オリゴヌクレオチドは、ループ領域と、上記ループ領域の3’末端に結合している3’ステム領域と、上記ループ領域の5’末端に結合している5’ステム領域と、を含み、上記ループ領域の塩基数は、16~50merであり、上記3’ステム領域の塩基数は、5mer以上であり、上記5’ステム領域の塩基数は、5mer以上であり、上記3’ステム領域及び上記5’ステム領域は、互いに相補的な塩基配列を有している。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
SARS-CoV-2に対する結合能を有する核酸アプタマーであって、
前記核酸アプタマーは、ヌクレオチドを構成単位とする一本鎖オリゴヌクレオチドを含み、
前記一本鎖オリゴヌクレオチドは、ループ領域と、前記ループ領域の3’末端に結合している3’ステム領域と、前記ループ領域の5’末端に結合している5’ステム領域と、を含み、
前記ループ領域の塩基数は、16~50merであり、
前記3’ステム領域の塩基数は、5mer以上であり、
前記5’ステム領域の塩基数は、5mer以上であり、
前記3’ステム領域及び前記5’ステム領域は、互いに相補的な塩基配列を有していて、
前記ループ領域の塩基配列は、
配列番号36、59、105、108、111、116、122、139~143、145、147、148及び150~156のいずれかに記載の塩基配列に対して、80%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
配列番号36、59、105、108、111、116、122、139~143、145、147、148及び150~156のいずれかに記載の塩基配列における少なくとも15merの連続する塩基配列を含む塩基配列、又は、
これらの機能的な塩基配列、
を含む、核酸アプタマー。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記ループ領域の塩基配列は、
配列番号36、59、105、108、111、116、122、139~143、145、147、148、150~152、155及び156のいずれかに記載の塩基配列に対して、80%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
配列番号36、59、105、108、111、116、122、139~143、145、147、148、150~152、155及び156のいずれかに記載の塩基配列における少なくとも15merの連続する塩基配列を含む塩基配列、又は、
これらの機能的な塩基配列、
を含み、
前記SARS-CoV-2におけるBA.2株のスパイクタンパク質に対する結合能を有する、請求項1に記載の核酸アプタマー。
【請求項3】
前記ループ領域の塩基配列は、
配列番号153~156のいずれかに記載の塩基配列に対して、80%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
配列番号153~156のいずれかに記載の塩基配列における少なくとも15merの連続する塩基配列を含む塩基配列、又は、
これらの機能的な塩基配列、
を含み、
前記SARS-CoV-2におけるBA.5株のスパイクタンパク質に対する結合能を有する、請求項1に記載の核酸アプタマー。
【請求項4】
前記ループ領域の塩基配列は、
配列番号155又は配列番号156に記載の塩基配列に対して、80%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
配列番号155又は配列番号156のいずれかに記載の塩基配列における少なくとも15merの連続する塩基配列を含む塩基配列、又は、
これらの機能的な塩基配列、
を含み、
前記SARS-CoV-2におけるBA.2株のスパイクタンパク質及びBA.5株のスパイクタンパク質に対する結合能を有する、請求項1に記載の核酸アプタマー。
【請求項5】
前記3’ステム領域及び前記5’ステム領域は、ミスマッチ又はバルジを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の核酸アプタマー。
【請求項6】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドは、構成単位としてホスホロチオエート修飾されている核酸を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の核酸アプタマー。
【請求項7】
SARS-CoV-2の検出用キットであって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の核酸アプタマーを含む、検出用キット。
【請求項8】
SARS-CoV-2の検出剤であって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の核酸アプタマーを含む、検出剤。
【請求項9】
SARS-CoV-2の感染症診断用キットであって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の核酸アプタマーを含む、感染症診断用キット。
【請求項10】
SARS-CoV-2の検出方法であって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の核酸アプタマーを、被検査試料に適用する工程と、
前記被検査試料に結合している前記核酸アプタマーを検出する工程と、
を含む、検出方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、SARS-CoV-2に対する結合能を有する核酸アプタマーに関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
新規のウイルスによる新興感染症は、原因ウイルス及び感染症の症状の知見が十分に得られていないことから診断および治療が困難である傾向がある。SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)が引き起こすCOVID-19感染症についても、中国武漢における感染爆発(アウトブレイク)から、瞬く間にパンデミックへと拡大した。SARS-CoV-2は、ウイルス粒子表面のスパイクタンパク質がヒト細胞表面のACE2をウイルス受容体として結合し、細胞内に侵入し細胞を破壊する。この細胞の破壊により、発熱、空咳、倦怠感などの症状を引き起こし、重篤な場合には肺炎を引き起こし死亡する場合もある。また、回復した場合でも一定頻度で後遺症が生じ、その後の社会活動にも多くの制約が加わることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2022/038521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SARS-CoV-2感染症の拡大を防止する観点から、ウイルスの検出剤の開発が進められている。例えば、国際公開第2022/038521号(特許文献1)では、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(以下、「Sタンパク質」と表記する場合がある。)に結合できるDNAアプタマーに分離可能に結合したナノ粒子を含む組成物であって、上記DNAアプタマーが所定の塩基配列を有する、組成物が開示されている(請求項1)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるDNAアプタマーは、新型コロナウイルスのSタンパク質を特異的に検出できるが、変異株の区別がしにくいという課題があった。特にオミクロン株のSタンパク質に結合できるアプタマーの開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、新型コロナウイルスオミクロン株のSタンパク質に結合する核酸アプタマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、所定の塩基配列を有する核酸アプタマーが、新型コロナウイルスオミクロン株のSタンパク質に結合できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0008】
本発明の第1の態様は、SARS-CoV-2に対する結合能を有する核酸アプタマーであって、
上記核酸アプタマーは、ヌクレオチドを構成単位とする一本鎖オリゴヌクレオチドを含み、
上記一本鎖オリゴヌクレオチドは、ループ領域と、上記ループ領域の3’末端に結合している3’ステム領域と、上記ループ領域の5’末端に結合している5’ステム領域と、を含み、
上記ループ領域の塩基数は、16~50merであり、
上記3’ステム領域の塩基数は、5mer以上であり、
上記5’ステム領域の塩基数は、5mer以上であり、
上記3’ステム領域及び上記5’ステム領域は、互いに相補的な塩基配列を有していて、
上記ループ領域の塩基配列は、
配列番号36、59、105、108、111、116、122、139~143、145、147、148及び150~156のいずれかに記載の塩基配列に対して、80%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
配列番号36、59、105、108、111、116、122、139~143、145、147、148及び150~156のいずれかに記載の塩基配列における少なくとも15merの連続する塩基配列を含む塩基配列、又は、
これらの機能的な塩基配列、
を含む。
【0009】
本発明の第2の態様は、SARS-CoV-2の検出用キットであって、
上記第1の態様の核酸アプタマーを含む。
【0010】
本発明の第3の態様は、SARS-CoV-2の検出剤であって、
上記第1の態様の核酸アプタマーを含む。
(【0011】以降は省略されています)

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