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公開番号2025124502
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-26
出願番号2024020605
出願日2024-02-14
発明の名称情報処理方法、情報処理装置、機械学習モデルの作成方法
出願人国立大学法人 熊本大学,株式会社構造計画研究所
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類G16B 40/00 20190101AFI20250819BHJP(特定の用途分野に特に適合した情報通信技術)
要約【課題】単一細胞レベルで取得されたパラメータから、該単一細胞について取得されていないパラメータを推定できる情報処理方法等を提供する。
【解決手段】対象細胞から第1項目に関する対象シングルセルデータ22を取得する取得ステップ、機械学習モデル21を使用して、前記対象シングルセルデータ22から、対象細胞の第2項目に関する推定シングルセルデータ23を推定する推定ステップを含む情報処理方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
対象単一細胞から取得された、第1項目に関する対象シングルセルデータを取得する取得ステップと、
標本から採取された、標本単一細胞について取得された前記第1項目に関する第1標本シングルセルデータと、前記第1項目とは異なる第2項目に関する第2標本シングルセルデータとの間の関連性を学習済の機械学習モデルを用いて、前記対象シングルセルデータから、前記対象単一細胞の前記第2項目に関する推定シングルセルデータを生成する推定ステップと、
を備える情報処理方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記対象シングルセルデータおよび前記推定シングルセルデータを前記対象単一細胞に関するシングルセルデータとして出力装置に出力させる出力ステップを、備える、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第1項目は、タンパク質の種類および発現量;RNAの種類および発現量;DNAの種類、修飾および発現量;クロマチンの種類、修飾、開閉状態、量および構造;染色体の構造および相互作用;エピゲノム情報;ならびに転写制御因子の結合からなる群から選択される1種類以上のデータであり、
前記第2項目は、前記第1項目とは異なるデータであり、かつタンパク質の種類および発現量;RNAの種類および発現量;DNAの種類、修飾および発現量;クロマチンの種類、修飾、開閉状態、量および構造;染色体の構造および相互作用;エピゲノム情報;ならびに転写制御因子の結合からなる群から選択される1種類以上のデータである、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記機械学習モデルは、さらに、
前記第1標本シングルセルデータと、前記第2標本シングルセルデータと、前記第1項目および前記第2項目のいずれとも異なる第3項目に関する第3標本データとの間の関連性を学習済であり、
前記推定ステップにおいて、前記対象シングルセルデータおよび前記推定シングルセルデータから、第3項目に関する第3推定データをさらに生成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記取得ステップの後、前記第1項目に関する対象シングルセルデータに対して、平均化処理、標準化処理、および外れ値除去処理からなる群から選択される1種類以上を実施する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記機械学習モデルは、前記第1標本シングルセルデータと、前記第2標本シングルセルデータとの間の関連性を転移学習することにより作成された、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記対象単一細胞および前記標本単一細胞は、同じ生物種の細胞である、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記対象単一細胞および前記標本単一細胞は、同じ組織由来の細胞である、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
標本から採取された、標本単一細胞について取得された第1項目に関する第1標本シングルセルデータと、前記第1項目とは異なる第2項目に関する第2標本シングルセルデータとを取得する学習用データ取得ステップと、
前記第1標本シングルセルデータを説明変数として用い、前記第2標本シングルセルデータを目的変数として用いた機械学習を行うことによって機械学習モデルを生成する生成ステップと、を含む、
機械学習モデルの作成方法。
【請求項10】
対象単一細胞から取得された、第1項目に関する対象シングルセルデータを取得する取得部と、
標本から採取された、標本単一細胞について取得された前記第1項目に関する第1標本シングルセルデータと、前記第1項目とは異なる第2項目に関する第2標本シングルセルデータとの間の関連性を学習済の機械学習モデルを用いて、前記対象シングルセルデータから、前記対象単一細胞の前記第2項目に関する推定シングルセルデータを生成する推定部と、
を備える情報処理装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理方法、情報処理装置、機械学習モデルの作成方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
細胞の様々なパラメータを単一細胞レベルで解析する技術(例えば、シングルセルRNA-seq、ATAC(Assay for Transposase-Accessible Chromatin)-seq、DNAメチル化マーカー、染色体立体配座捕捉(Hi-C)法、マスサイトメトリー解析等)が開発されている。近年、これらのパラメータのうち、2種類または3種類を同時に単一細胞レベルで解析する技術が開示されている。例えば、特許文献1には画像ベースでヒト胚細胞を分類する方法が開示されている。また、特許文献2にはバーコード組成物を使用して、細胞中の複数の標的をバーコーディングする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-87297号公報
特開2023-506176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2のような従来技術で同時に解析できるのは特定の限られたパラメータのみである。単一細胞レベルで取得された情報から生理的あるいは病理的に重要な情報を抜き出すために、より多くの情報を用いることが求められているが、細胞に係るパラメータは多数存在するため、単一細胞について多数のパラメータを同時に解析することは技術的、経済的な観点から困難であった。
【0005】
本発明の一態様は、単一細胞レベルで取得されたパラメータから、該単一細胞について取得されていないパラメータを推定できる情報処理方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の一態様は、以下の構成を含む。
【0007】
<1>情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
対象単一細胞から取得された、第1項目に関する対象シングルセルデータを取得する取得ステップと、
標本から採取された、標本単一細胞について取得された前記第1項目に関する第1標本シングルセルデータと、前記第1項目とは異なる第2項目に関する第2標本シングルセルデータとの間の関連性を学習済の機械学習モデルを用いて、前記対象シングルセルデータから、前記対象単一細胞の前記第2項目に関する推定シングルセルデータを生成する推定ステップと、
を備える情報処理方法。
<2>前記対象シングルセルデータおよび前記推定シングルセルデータを前記対象単一細胞に関するシングルセルデータとして出力装置に出力させる出力ステップを備える、
<1>に記載の情報処理方法。
<3>前記第1項目は、タンパク質の種類および発現量;RNAの種類および発現量;DNAの種類、修飾および発現量;クロマチンの種類、修飾、開閉状態、量および構造;染色体の構造および相互作用;エピゲノム情報;ならびに転写制御因子の結合からなる群から選択される1種類以上のデータであり、
前記第2項目は、前記第1項目とは異なるデータであり、かつタンパク質の種類および発現量;RNAの種類および発現量;DNAの種類、修飾および発現量;クロマチンの種類、修飾、開閉状態、量および構造;染色体の構造および相互作用;エピゲノム情報;ならびに転写制御因子の結合からなる群から選択される1種類以上のデータである、<1>または<2>に記載の情報処理方法。
<4>前記機械学習モデルは、さらに、
前記第1標本シングルセルデータと、前記第2標本シングルセルデータと、前記第1項目および前記第2項目のいずれとも異なる第3項目に関する第3標本データとの間の関連性を学習済であり、
前記推定ステップにおいて、前記対象シングルセルデータおよび前記推定シングルセルデータから、第3項目に関する第3推定データをさらに生成する、
<1>~<3>のいずれかに記載の方法。
<5>前記取得ステップの後、前記第1項目に関する対象シングルセルデータに対して、平均化処理、標準化処理、および外れ値除去処理からなる群から選択される1種類以上を実施する、<1>~<4>のいずれかに記載の情報処理方法。
<6>前記機械学習モデルは、前記第1標本シングルセルデータと、前記第2標本シングルセルデータとの間の関連性を転移学習することにより作成された、<1>~<5>のいずれかに記載の情報処理方法。
<7>前記対象単一細胞および前記標本単一細胞は、同じ生物種の細胞である、<1>~<6>のいずれかに記載の情報処理方法。
<8>前記対象単一細胞および前記標本単一細胞は、同じ組織由来の細胞である、<1>~<7>のいずれかに記載の情報処理方法。
<9>標本から採取された、標本単一細胞について取得された第1項目に関する第1標本シングルセルデータと、前記第1項目とは異なる第2項目に関する第2標本シングルセルデータとを取得する学習用データ取得ステップと、
前記第1標本シングルセルデータを説明変数として用い、前記第2標本シングルセルデータを目的変数として用いた機械学習を行うことによって機械学習モデルを生成する生成ステップと、を含む、
機械学習モデルの作成方法。
<10>対象単一細胞から取得された、第1項目に関する対象シングルセルデータを取得する取得部と、
標本から採取された、標本単一細胞について取得された前記第1項目に関する第1標本シングルセルデータと、前記第1項目とは異なる第2項目に関する第2標本シングルセルデータとの間の関連性を学習済の機械学習モデルを用いて、前記対象シングルセルデータから、前記対象単一細胞の前記第2項目に関する推定シングルセルデータを生成する推定部と、
を備える情報処理装置。
<11><10>に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記取得部、および前記推定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
<12><11>に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、単一細胞レベルで取得されたパラメータから、該単一細胞について取得されていないパラメータを推定できる情報処理方法等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一実施形態に係る推定装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
本発明の一実施形態に係る情報処理方法により推定シングルセルデータを推定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る機械学習モデルを構築する流れの一例を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る推定装置の構成の別の一例を示す機能ブロック図である。
本発明の実施例に係る機械学習モデルにより推定されたマウス細胞において発現しているRNAおよびクロマチンの推定結果を示す図である。
本発明の実施例に係るマウス細胞におけるqRT-PCRにおいて使用したプライマーの配列を示す図である。
本発明の実施例に係るマウス細胞におけるRNA発現量の解析結果を示す図である。
本発明の実施例に係るマウス細胞におけるタンパク質発現量の解析結果を示す図である。
本発明の実施例に係るマウス細胞における特定のRNA発現量の測定結果を示す図である。
本発明の実施例に係る各パラメータの実測値のみを使用した場合と、実測値に加えて推定シングルセルデータを使用した場合との、結果の精度を比較した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
(情報処理装置)
以下では、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10について説明する。情報処理装置10は、対象シングルセルデータ22から、推定シングルセルデータ23を推定する装置である。情報処理装置10は、多数の単一細胞から取得した様々な種類のデータに基づいて作成した機械学習モデルを使用するため、単一細胞における多数のパラメータを同時に推定することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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