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公開番号2025132494
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2024030113
出願日2024-02-29
発明の名称塑性加工金属の製造方法
出願人国立大学法人 熊本大学,国立大学法人 名古屋工業大学
代理人個人
主分類C22F 1/06 20060101AFI20250903BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】加工硬化と延性を同時に発現させることが可能な塑性加工金属の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、hcp構造を有する金属に、非底面辷りを抑制するための底面に平行な(0001)結晶面に沿ったプレート析出物10を形成し、塑性加工することで、hcp構造の柱面法線方向である<10-10>方位が塑性加工方向に揃った繊維状集合組織を有する加工粒11の体積分率が25%以上80%以下である塑性加工金属を作製し、塑性加工時に前記加工粒11中において活動する辷り系の臨界分解せん断応力が底面<a>辷りにおいては40MPa以下であり、柱面<a>辷りおよび錐面<c+a>辷りの各々の臨界分解せん断応力が底面<a>辷りのそれに比べて20倍以上である塑性加工金属の製造方法である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
hcp構造を有する金属に、非底面辷りを抑制するための底面に平行な(0001)結晶面に沿ったプレート析出物を形成し、塑性加工することで、hcp構造の柱面法線方向である<10-10>方位が塑性加工方向に揃った繊維状集合組織を有する加工粒の体積分率が25%以上80%以下である塑性加工金属を作製し、
前記塑性加工時に前記加工粒中において活動する辷り系の臨界分解せん断応力が底面<a>辷りにおいては40MPa以下であり、柱面<a>辷りおよび錐面<c+a>辷りの各々の臨界分解せん断応力が底面<a>辷りのそれに比べて20倍以上であることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
請求項1において、
前記塑性加工金属における前記加工粒は、結晶方位がランダムに配向した再結晶粒領域に、塑性加工方向に<10-10>方位が揃った方位関係を持って分散していることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記hcp構造を有する金属において、せん断応力で規定される転位運動機構に由来する加工硬化率をΔh
τ
とし、シュミットファクターをSFとし、前記加工粒における加工硬化率をΔh
σ
とすると、下記式1が成り立ち、前記加工粒における加工硬化率Δh
σ
がシュミットファクターSFの二乗に反比例して高くなることを利用し、前記塑性加工金属に加工硬化を伴う延性を発現させていることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。
Δh
σ
=Δh
τ
/SF

・・・式1
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記hcp構造を有する金属は、Mg合金、Ti合金又はZn合金のいずれかであることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、hcp構造を有する塑性加工金属の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
肥大化する消費社会を持続的に支え得る軽量構造用材料として、無機材料や高分子材料と比較して、高い耐熱性、熱伝導性を有し、強度と延性のバランスの良い軽金属材料は魅力であり、なかでも構造用金属材料として最軽量であるマグネシウム(Mg)合金の注目度が増している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、Mg金属は変形に自由度を与える辷り系が少なく延性・加工性に乏しい点が解決すべき大きな課題として残っている。輸送機器の構造部材としてのMg合金の利用拡大を目指すためには,素材開発側から輸送機器メーカー、すなわち素材ユーザーへの高強度かつ延性に富む展伸材の提供が急務と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008-075183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況下、既存の商用合金組成に捕らわれることなく新規な合金組成の開発とその組成に適した塑性加工プロセスの開発が進められてきた結果、αMg母相がランダム結晶配向した微細再結晶粒とhcp構造の柱面法線方向である<10-10>方位が押出方向に平行に並んだ強い集合組織(<10-10>繊維状集合組織)を有する粗大加工粒にバイモーダル化することで、強度と延性という相反する特性が同時に発現することがわかってきた。また、Mg
97
Zn



(at%)組成に代表される長周期積層構造(Long-Period Stacking Ordered Structure;LPSO)相を第二相として有するLPSO型Mg合金においては、二相三領域からなるマルチモーダル微細組織が形成され、特に強度が向上することも明らかとなっている。現在は、LPSO相に頼らない高強度・高延性マグネシウム合金設計方法を模索している状況である。
【0006】
本発明の種々の態様は、加工硬化と延性を同時に発現させることが可能な塑性加工金属の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
[1]hcp構造を有する金属に、非底面辷りを抑制するための底面に平行な(0001)結晶面に沿ったプレート析出物を形成し、塑性加工することで、hcp構造の柱面法線方向である<10-10>方位が塑性加工方向に揃った繊維状集合組織を有する加工粒の体積分率が25%以上80%以下である塑性加工金属を作製し、
前記塑性加工時に前記加工粒中において活動する辷り系の臨界分解せん断応力が底面<a>辷りにおいては40MPa以下であり、柱面<a>辷りおよび錐面<c+a>辷りの各々の臨界分解せん断応力が底面<a>辷りのそれに比べて20倍以上であることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。
【0008】
[2]上記[1]において、
前記塑性加工金属における前記加工粒は、結晶方位がランダムに配向した再結晶粒領域に、塑性加工方向に<10-10>方位が揃った方位関係を持って分散していることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。
【0009】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記hcp構造を有する金属において、せん断応力で規定される転位運動機構に由来する加工硬化率をΔh
τ
とし、シュミットファクターをSFとし、前記加工粒における加工硬化率をΔh
σ
とすると、下記式1が成り立ち、前記加工粒における加工硬化率Δh
σ
がシュミットファクターSFの二乗に反比例して高くなることを利用し、前記塑性加工金属に加工硬化を伴う延性を発現させていることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。
Δh
σ
=Δh
τ
/SF

・・・式1
【0010】
[4]上記[1]又は[2]において、
前記hcp構造を有する金属は、Mg合金、Ti合金又はZn合金のいずれかであることを特徴とする塑性加工金属の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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