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公開番号2025171918
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-20
出願番号2024187492
出願日2024-10-24
発明の名称鋼部品
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20251113BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】面疲労強度に優れる鋼部品を提供する。
【解決手段】鋼芯部と、化合物層と、鋼芯部と化合物層との間に存在する窒素拡散層と、を備え、鋼芯部が、所定の化学組成を有し、化合物層の厚さtが5~30μmであり、化合物層の表面からの深さが0からt/2の範囲における化合物層中のγ’相の面積率が70%以上であり、残部がε相であり、化合物層の表面からの深さがt/2からtの範囲における化合物層中のε相の面積率が70%以上であり、残部がγ’相であり、窒素拡散層の表面からの深さが0.05mm位置でのビッカース硬さが630HV以上であり、窒素拡散層の表面からの深さが1.00mm位置でのビッカース硬さが210HV以上である、鋼部品。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
鋼芯部と、鉄窒化物を含む化合物層と、前記鋼芯部と前記化合物層との間に存在する窒素拡散層と、を備え、
前記鋼芯部が、質量%で、
C :0.05~0.35%、
Si:0.05~2.00%、
Mn:0.60~2.50%、
P :0.030%以下、
S :0.100%以下、
Cr:0.20~2.50%、
V :0.02~1.30%、
Al:0.100%以下、及び
N :0.0250%以下、
であり、残部がFe及び不純物である化学組成を有し、
前記化合物層の厚さが5~30μmであり、
前記化合物層の厚さをtとした場合、前記化合物層の表面からの深さが0からt/2の範囲における前記化合物層中のγ’相の面積率が70%以上であり、残部がε相であり、
前記化合物層の表面からの深さがt/2からtの範囲における前記化合物層中のε相の面積率が70%以上であり、残部がγ’相であり、
前記窒素拡散層の表面からの深さが0.05mm位置でのビッカース硬さが630HV以上であり、
前記窒素拡散層の表面からの深さが1.00mm位置でのビッカース硬さが210HV以上である、鋼部品。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
鋼芯部と、鉄窒化物を含む化合物層と、前記鋼芯部と前記化合物層との間に存在する窒素拡散層と、を備え、
前記鋼芯部が、質量%で、
C :0.05~0.35%、
Si:0.05~2.00%、
Mn:0.60~2.50%、
P :0.030%以下、
S :0.100%以下、
Cr:0.20~2.50%、
V :0.02~1.30%、
Al:0.100%以下、及び
N :0.0250%以下、
であり、さらに下記A群~下記D群からなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不純物である化学組成を有し、
[A群]
Mo:1.50%以下、
Ti:0.100%以下、及び
Nb:0.050%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[B群]
Cu:0.50%以下、
Ni:0.50%以下、
W :0.50%以下、
Co:0.100%以下、及び
B :0.0100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[C群]
Bi:0.100%以下、
Te:0.100%以下、
Pb:0.09%以下、
Sn:0.100%以下、及び
Sb:0.100%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
[D群]
Ca:0.0100%以下、
Mg:0.0100%以下、及び
REM:0.020%以下からなる群より選択される1種又は2種以上
前記化合物層の厚さが5~30μmであり、
前記化合物層の厚さをtとした場合、前記化合物層の表面からの深さが0からt/2の範囲における前記化合物層中のγ’相の面積率が70%以上であり、残部がε相であり、
前記化合物層の表面からの深さがt/2からtの範囲における前記化合物層中のε相の面積率が70%以上であり、残部がγ’相であり、
前記窒素拡散層の表面からの深さが0.05mm位置でのビッカース硬さが630HV以上であり、
前記窒素拡散層の表面からの深さが1.00mm位置でのビッカース硬さが210HV以上である、鋼部品。
【請求項3】
前記鋼芯部の化学組成が、前記A群を含有する請求項2に記載の鋼部品。
【請求項4】
前記鋼芯部の化学組成が、前記B群を含有する請求項2に記載の鋼部品。
【請求項5】
前記鋼芯部の化学組成が、前記C群を含有する請求項2に記載の鋼部品。
【請求項6】
前記鋼芯部の化学組成が、前記D群を含有する請求項2に記載の鋼部品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、鋼部品に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
自動車や各種産業機械などに使用される鋼部品、例えばトランスミッションの歯車やCVT(Continuously Variable Transmission)のプーリー、軸受などの動力伝達部品には、高い面疲労強度や、耐摩耗性等が要求される。そのため、これらの部品には、JIS規格のSCr420、SCM420やSNCM420といった機械構造用合金鋼が素材として用いられ、所定形状に加工された後、浸炭焼入れ処理により部品表層に硬化層が付与され、疲労強度の向上が図られてきた。
【0003】
近年、CO

排出量の削減のため、自動車産業では内燃機関に代わり動力の電動化が推進されてきている。そのため、歯車等の鋼部品、特に動力伝達部品に要求される特性が今後劇的に変化する可能性がある。例えば電気自動車(EV)では、動力源であるモータの直下にトルクの確保のため減速機を組み込む例が多く見られる。これらユニットの小型化は、車体の軽量化や設計自由度の向上に繋がるため、今後さらに需要が伸びる領域であると考えられる。しかし、EVでは内燃機関起因の騒音、振動が無く走行音が静かであることから、減速機で生じるギアノイズが顕在化する。そのため、減速機の歯車には、小型化に伴う高強度化に加え、騒音や振動を抑制するため今まで以上に研削代を大きくして形状を整える等、研削コストの増大が懸念される。
【0004】
浸炭焼入れは、鋼部品をオーステナイト域まで加熱して、部品表層のC(炭素)濃度を高濃度にした後急冷することで、部品表層に硬質なマルテンサイトを生成させる方法であり、高い面疲労強度が得られる。一方で、浸炭焼入れは、部品の芯部まで焼入れる熱処理であり、処理後の歪(熱処理歪)が大きくなりやすいため、後工程での研削コストが嵩む。特にEV向けの減速機歯車では、先述の通り研削コストの増大が懸念されるため、研削コストの低減に寄与する熱処理工法への切り替えニーズが高い。
【0005】
このような背景から近年では、浸炭焼入れ処理よりも熱処理歪が小さい表面硬化熱処理である窒化や軟窒化が注目されるようになってきている。
【0006】
窒化は、鋼の表面に窒素を侵入させる表面硬化熱処理であり、軟窒化は、鋼の表面に窒素と炭素を侵入させる表面硬化熱処理である。窒化および軟窒化に用いる媒体には、ガス、塩浴、プラズマなどがある。自動車用の部品には、主に、生産性に優れるガス窒化およびガス軟窒化が適用されている。
【0007】
ガス窒化およびガス軟窒化によって生成される硬化層は、窒素拡散層(以下、「拡散層」と略す場合がある)と、拡散層よりも表面側に生成する厚さ数~数十μmの化合物層である。
【0008】
拡散層は、侵入窒素及び炭素による固溶強化機構、並びに窒化物の粒子分散強化機構により硬化された層である。拡散層の硬さおよび深さを増大させることで、部品の面疲労強度が向上する。従来から、拡散層の硬さや深さの増大については多くの研究がなされてきた。
【0009】
化合物層は主に、Fe

N~Fe

N(ε相)とFe

N(γ’相)の鉄窒化物で構成されており、母相に比べて硬さが極めて高い。そのため、化合物層は耐摩耗性の向上に有効である。ε相は、γ’相に比べCの固溶範囲が大きく、成長速度も大きい。このことから、浸炭性ガスを混合させる軟窒化では、ε相主体の化合物層が形成されやすい。そのため軟窒化は、窒化に比べて短時間で、さらに部品の鋼種を問わず、厚い化合物層を得ることができる。そのため軟窒化は、部品の耐摩耗性を向上させる目的で古くから利用されてきた。
一方、窒化は、比較的低温で熱処理するため、硬化層深さが小さく、浸炭焼入れと比較して面疲労強度が劣る。このことから、窒化は、高疲労強度が求められる部品への適用は困難である。さらに、窒化部品では、脆性な化合物層や当該化合物層表面近傍に形成される空隙の存在により、面疲労強度が低下しやすい。
そのため近年では、窒化処理雰囲気を制御することで化合物層の形態を制御し、疲労強度を高める手法が提案されている。
【0010】
特許文献1には、化合物層中のγ’相比率を30mol%以上とすることで、疲労強度を向上させた窒化処理部品及び窒化処理方法が開示されている。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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