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公開番号2025085414
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-05
出願番号2023199274
出願日2023-11-24
発明の名称カイコを用いた脂質代謝異常処置剤の評価方法およびその応用
出願人国立大学法人 熊本大学,株式会社チャーリーラボ
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類G01N 33/48 20060101AFI20250529BHJP(測定;試験)
要約【課題】脂質代謝改善効果や抗肥満効果等を評価する方法、または脂質代謝改善効果や抗肥満効果を有する被験物質をスクリーニングする方法を提供する。
【解決手段】(i)カイコに糖を摂取させることにより、カイコを脂質代謝異常の状態にすること;(ii)カイコに被験物質を投与すること;および(iii)被験物質を投与されたカイコの脂質代謝を評価することを含む、被験物質が脂質異常の処置のための候補物質であるかを評価する方法、ならびに(iv)評価された脂質代謝に基づいて、被験物質から、脂質異常を処置し得る候補物質を選択することをさらに含む、脂質異常の処置のための候補物質をスクリーニングする方法が提供される。
特許請求の範囲【請求項1】
被験物質が脂質異常の処置のための候補物質であるかを評価する方法であって、
(i)カイコに糖を摂取させることにより、カイコを脂質代謝異常の状態にすること;
(ii)カイコに被験物質を投与すること;および
(iii)被験物質を投与されたカイコの脂質代謝を評価すること
を含む、方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
脂質異常の処置のための候補物質をスクリーニングする方法であって、
(i)カイコに糖を摂取させることにより、カイコを脂質代謝異常の状態にすること;
(ii)カイコに被験物質を投与すること;
(iii)被験物質を投与されたカイコの脂質代謝を評価すること;および
(iv)評価された脂質代謝に基づいて、被験物質から、脂質異常を処置し得る候補物質を選択すること
を含む、方法。
【請求項3】
糖が飼料に添加されており、飼料全体に対する糖の濃度が5~20%(w/w)である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
糖が、グルコース、マルトース、スクロース、セロビオース、トレハロース、ソルビトール、およびデンプンから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
(i)および(ii)が同時に行われることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
脂質代謝異常の状態が、糖が添加されていない飼料を摂取させた場合と比較して、カイコにおいて、以下から選択される1以上が表れることである、請求項3に記載の方法。
体重あたりの脂肪体の重量の増加、
脂肪体における中性脂肪含有量の増加、
血リンパにおける中性脂肪濃度の増加、
血リンパにおけるグルコースおよびトレハロースから選択される1以上の濃度の増加、
血リンパにおける遊離脂肪酸濃度の増加、
脂肪体における脂肪酸合成酵素の発現または活性の増加、
脂肪体における脂肪酸合成律速酵素の発現または活性の増加
脂肪体におけるAMP活性化プロテインキナーゼの発現または活性の低下。
【請求項7】
(iii)脂質代謝の評価が以下から選択される1以上を含む、請求項1または2に記載の方法。
脂肪体の重量の測定;脂肪体における中性脂肪含有量の測定;血リンパにおける中性脂肪濃度の測定;血リンパにおけるグルコースおよびトレハロースから選択される1以上の濃度の測定;血リンパにおける遊離脂肪酸濃度の測定;脂肪体における脂肪酸合成酵素、脂肪酸合成律速酵素およびAMP活性化プロテインキナーゼから選択される1以上の発現または活性の測定;脂肪体または筋組織におけるリポタンパク質リパーゼの活性または発現の測定;ならびに呼吸商の測定。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、カイコを用いた脂質代謝異常処置剤の評価方法およびその応用に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
世界人口の21億人以上が過体重または肥満と言われる現代において、脂質代謝を改善する医薬、機能性食品等の需要は依然として高い。そうした中、哺乳動物を用いた動物実験の禁止や廃止の動きが広がっており、動物実験代替法の開発が急務となっている。
【0003】
動物倫理の問題がない昆虫(カイコ)を用いたin vivo評価系の構築が進められている。昆虫のなかでもカイコは、薬物の体内動態や脂質代謝がヒトと類似していることに加えて、体サイズが大きく、経口投与や注射等の複数の投与経路の選択が可能であることから、代替動物としての優位性が高い。カイコに糖質高含有人工飼料(高糖食)を与えると、ヒトの脂質代謝異常と類似の状態が発現することが報告されている。
【0004】
特許文献1には、(a)カイコに、糖(A)を摂取させることにより、空腹時血糖異常、耐糖能異常、インスリン抵抗性、および、脂質異常からなる群より選択される少なくとも1つ以上の状態にする工程、(b)上記工程(a)で得られた、空腹時血糖異常、耐糖能異常、インスリン抵抗性、および、脂質異常からなる群より選択される少なくとも1つ以上の状態にされたカイコに、上記被験物質を投与する工程、(c)上記被験物質を投与したカイコを絶食させる工程、(d)上記絶食させたカイコの脂肪体中または血液中の糖(B)の濃度を測定する工程、を有することを特徴とする、被験物質がヒトのII型糖尿病の予防または治療する候補物質であるか否かを評価する方法、ならびに(e)上記被験物質の中から、該カイコの脂肪体中または血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する工程をさらに有することを特徴とする、ヒトのII型糖尿病の予防または治療する物質をスクリーニングする方法が記載されている。
特許文献1および非特許文献1には、高グルコース餌給餌カイコにおいては、脂肪体におけるトリグリセリド量ならびに体液中のトリグリセリド量および遊離脂肪酸量が増加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-210100号
【非特許文献】
【0006】
Yasuhiko Matsumoto, Masaki Ishii, Yohei Hayashi, Shinya Miyazaki, Takuya Sugita, Eriko Sumiya & Kazuhisa Sekimizu. Diabetic silkworms for evaluation of therapeutically effective drugs against type II diabetes. Sci Rep. 2015 May 29:5:10722. doi: 10.1038/srep10722.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カイコを用いて、脂質異常症治療薬や脂肪蓄積抑制あるいは脂肪分解促進効果のある飲食品成分等による脂質代謝改善効果や抗肥満効果等を評価する方法、または脂質代謝改善効果や抗肥満効果を有する薬物や飲食品成分をスクリーニングする方法はこれまでに見出されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意検討したところ、所定の方法で飼育したカイコが哺乳類と類似の肥満・脂質代謝異常の状態となることを見出した。さらに、本発明者らは、このカイコのモデルにおいては、脂質異常症治療薬や脂肪蓄積抑制あるいは脂肪分解促進効果を有する飲食品成分を投与することにより哺乳類におけるものと同様の効果ないし作用が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]被験物質が脂質異常の処置のための候補物質であるかを評価する方法であって、
(i)カイコに糖を摂取させることにより、カイコを脂質代謝異常の状態にすること;
(ii)カイコに被験物質を投与すること;および
(iii)被験物質を投与されたカイコの脂質代謝を評価すること
を含む、方法。
[2]脂質異常の処置のための候補物質をスクリーニングする方法であって、
(i)カイコに糖を摂取させることにより、カイコを脂質代謝異常の状態にすること;
(ii)カイコに被験物質を投与すること;
(iii)被験物質を投与されたカイコの脂質代謝を評価すること;および
(iv)評価された脂質代謝に基づいて、被験物質から、脂質異常を処置し得る候補物質を選択すること
を含む、方法。
[3]糖が飼料に添加されており、飼料全体に対する糖の濃度が5~20%(w/w)である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]糖が、グルコース、マルトース、スクロース、セロビオース、トレハロース、ソルビトール、およびデンプンから選択される、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5](i)および(ii)が同時に行われることを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]脂質代謝異常の状態が、糖が添加されていない飼料を摂取させた場合と比較して、カイコにおいて、以下から選択される1以上が表れることである、[3]~[5]のいずれかに記載の方法。
体重あたりの脂肪体の重量の増加、
脂肪体における中性脂肪含有量の増加、
血リンパにおける中性脂肪濃度の増加、
血リンパにおけるグルコースおよびトレハロースから選択される1以上の濃度の増加、
血リンパにおける遊離脂肪酸濃度の増加、
脂肪体における脂肪酸合成酵素の発現または活性の増加、
脂肪体における脂肪酸合成律速酵素の発現または活性の増加
脂肪体におけるAMP活性化プロテインキナーゼの発現または活性の低下。
[7](iii)脂質代謝の評価が以下から選択される1以上を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
脂肪体の重量の測定;脂肪体における中性脂肪の測定;血リンパにおける中性脂肪の測定;血リンパにおけるグルコースおよびトレハロースから選択される1以上の測定;血リンパにおける遊離脂肪酸量の測定;脂肪体における脂肪酸合成酵素、脂肪酸合成律速酵素およびAMP活性化プロテインキナーゼから選択される1以上の発現または活性の測定;脂肪体または筋組織におけるリポタンパク質リパーゼの活性または発現の測定;ならびに呼吸商の測定。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動物倫理の問題が少ない昆虫(カイコ)を用いた、脂質代謝異常の評価系が得られる。この系は、薬物や飲食品成分における脂質異常症治療効果や脂肪蓄積抑制あるいは脂肪分解促進効果の評価、または脂質異常症治療効果や脂肪蓄積抑制あるいは脂肪分解促進効果を有する薬物や食品成分スクリーニングのために有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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