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公開番号2025123445
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-22
出願番号2025103433,2020202431
出願日2025-06-19,2020-12-07
発明の名称軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索方法及び軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索装置、並びに軟骨細胞シートの評価方法及び軟骨細胞シートの評価装置、並びに軟骨細胞シート、軟骨細胞シートの製造方法及び軟骨細胞シートを用いた軟骨再生方法
出願人株式会社DNAチップ研究所,学校法人東海大学
代理人個人
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20250815BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性に関連するマーカー遺伝子を移植前の軟骨細胞シートから探索するためのマーカー遺伝子探索方法等を提供する。
【解決手段】
本発明は、移植前の軟骨細胞シートにおける遺伝子の発現量を測定する測定工程と、移植モデルを用いて移植後の軟骨細胞シートの遺伝子発現及び分泌タンパク質の評価を行い、測定工程で得られた測定結果から、移植後に有効性を示した軟骨細胞シートに特徴的な遺伝子発現プロファイルを解析する解析工程と、解析工程で解析された遺伝子発現プロファイルに基づいて、移植後の有効性に対して正の相関関係を示す遺伝子及び/又は負の相関関係を示す遺伝子を探索する探索工程と、を備える軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索方法である。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性に関連するマーカー遺伝子を移植前の軟骨細胞シートから探索するための軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索方法であって、
移植前の軟骨細胞シートを複数ロット準備するシート準備工程と、
前記複数ロットの前記移植前の軟骨細胞シートのそれぞれについて複数のタンパク質の分泌量を測定するタンパク質測定工程と、
前記複数ロットの前記軟骨細胞シートのそれぞれを骨軟骨欠損モデル生物に移植して各軟骨細胞シートについて軟骨再生に関する有効性のスコアを算出するスコア算出工程と、
前記タンパク質測定工程で測定されたタンパク質の分泌量と、前記スコア算出工程で算出された前記スコアとの相関関係から、前記スコアと正の相関を示す正の相関遺伝子及び/又は負の相関を示す負の相関遺伝子を同定する遺伝子同定工程と、
を備えることを特徴とする軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索方法。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記複数ロットの前記移植前の軟骨細胞シートのそれぞれについて複数の遺伝子の発現レベルを測定する遺伝子測定工程を更に備え、
前記遺伝子同定工程は、前記遺伝子測定工程で測定された複数の遺伝子の発現レベルと、前記スコア算出工程で算出された前記スコアとの相関関係から前記スコアと正の相関を示す正の相関遺伝子及び/又は負の相関を示す負の相関遺伝子を同定することを特徴とする請求項1に記載の軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索方法。
【請求項3】
軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性に関連するマーカー遺伝子を移植前の軟骨細胞シートから探索するための軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索装置であって、
移植前の軟骨細胞シートを複数ロット準備するシート準備手段と、
前記複数ロットの前記移植前の軟骨細胞シートのそれぞれについて複数のタンパク質の分泌量を測定するタンパク質測定手段と、
前記複数ロットの前記軟骨細胞シートのそれぞれを骨軟骨欠損モデル生物に移植して各軟骨細胞シートについて軟骨再生に関する有効性のスコアを算出するスコア算出手段と、
前記タンパク質測定手段で測定されたタンパク質の分泌量と、前記スコア算出手段で算出された前記スコアとの相関関係から、前記スコアと正の相関を示す正の相関遺伝子及び/又は負の相関を示す負の相関遺伝子を同定する遺伝子同定手段と、
を備えることを特徴とする軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索装置。
【請求項4】
前記複数ロットの前記移植前の軟骨細胞シートのそれぞれについて複数の遺伝子の発現レベルを測定する遺伝子測定手段を更に備え、
前記遺伝子同定手段は、前記遺伝子測定手段で測定された複数の遺伝子の発現レベルと、前記スコア算出手段で算出された前記スコアとの相関関係から前記スコアと正の相関を示す正の相関遺伝子及び/又は負の相関を示す負の相関遺伝子を同定することを特徴とする請求項3に記載の軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索装置。
【請求項5】
軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性を移植前の軟骨細胞シートから予測するための軟骨細胞シートの評価方法であって、
前記移植前の軟骨細胞シートにおける、ESM1、GREM1、SERPINA3、DKK1、MIA、NTN4、FABP3、PDGFA、COLEC12、CTSS、FTL、FTH1、GRN、CYCS、IL6R、THBS2、PRKCD、SLPI、IL12B、IL23A、MRC2、DKK4、UFC1、SSTからなる群より選択される正の相関遺伝子の発現量、及び/又はRARRES2、APOE、PGF、NACA、CXCL6、SMPDL3A、DKKL1、PRL、TEC、CCL11、IL1B、IFNGR1、CXCL12、MAP3K7、TAB1、TNFRSF11B、TIMP1、EEF1B2、EPHB4、KDR、ANGPTL4、STK16、TNFSF12からなる群より選択される負の相関遺伝子の発現量を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定した前記正の相関遺伝子の発現量及び/又は前記負の相関遺伝子の発現量に基づいて前記軟骨細胞シートの移植後の有効性を推定する推定工程と、を備えることを特徴とする軟骨細胞シートの評価方法。
【請求項6】
前記正の相関遺伝子が、ESM1、GREM1、SERPINA3、DKK1、MIA、NTN4、FABP3、PDGFAからなる群より選択されることを特徴とする請求項5に記載の軟骨細胞シートの評価方法。
【請求項7】
前記推定工程は、前記正の相関遺伝子の発現量が所定の発現レベル以上のときに、前記移植前の軟骨細胞シートの有効性が高いと推定することを特徴とする請求項5に記載の軟骨細胞シートの評価方法。
【請求項8】
前記負の相関遺伝子が、RARRES2、APOE、PGFからなる群より選択されることを特徴とする請求項5に記載の軟骨細胞シートの評価方法。
【請求項9】
前記推定工程は、前記負の相関遺伝子の発現量が所定の発現レベル以下のときに、前記移植前の軟骨細胞シートの有効性が高いと推定することを特徴とする請求項5に記載の軟骨細胞シートの評価方法。
【請求項10】
前記測定工程は、前記相関遺伝子から転写されたRNAを定量すること、及び/又は前記相関遺伝子がコードするタンパク質を定量することで、前記相関遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項5に記載の軟骨細胞シートの評価方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索方法及び軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索装置、並びに軟骨細胞シートの評価方法及び軟骨細胞シートの評価装置、並びに軟骨細胞シート、軟骨細胞シートの製造方法及び軟骨細胞シートを用いた軟骨再生方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
関節軟骨が容易には再生しないことはよく知られている。外傷や変形性関節症(OA)による損傷後の軟骨の自然修復は期待できない。実際、OAは変性性軟骨疾患に指定されており、40歳以上の約半数が潜在的な患者と推定されている(非特許文献1)。治療が必要な軟骨損傷の大部分はOAが占めているが、OAに対する決定的な治療法は確立されていない。
【0003】
軟骨細胞シートは、動物由来のコラーゲンなどの材料を用いることなく、熱応答性高分子グラフト培養皿などの温度応答性培養装置を用いて、細胞が付着し、増殖し、シート状に形成されることで作成することができる(非特許文献2、3)。このシートは、温度を下げることで酵素消化を行わずに収穫することができる。この技術を用いることで、軟骨細胞自身が産生する細胞外マトリックスや接着分子を保持したまま、軟骨シートを軟骨病変部に移植することができる(非特許文献4)。軟骨細胞シートは、縫合することなく移植先に付着させることができるため、軟骨細胞は移植部位に留まることになる。
したがって、軟骨シート移植は、関節軟骨病変の治療に有望なアプローチである。関節機能に重要な硝子軟骨(ヒアリン軟骨)による関節軟骨の再生は、ラット、ウサギ、ブタの部分厚や骨軟骨欠損モデルを用いて実証されている(非特許文献4~7)。
【0004】
外傷やOA変性による膝関節軟骨損傷を有する20~60歳の患者に対して、患者自身の細胞を用いた軟骨シートによる治療が行われてきた。硝子軟骨を用いて関節軟骨を修復し、治療により関節の臨床状態スコアが改善された(非特許文献8)。これらの結果は、細胞シート移植がOA関連の関節軟骨病変に対する決定的な治療法になる可能性を示唆している。
【0005】
同種移植の長年の経験に基づき、軟骨組織が免疫寛容であることはよく知られている。同種軟骨片は市販されており、米国では広く移植されている(非特許文献9)。したがって、同種軟骨シートの使用は、適用可能な治療法であると考えられる。同種軟骨細胞シートの関節疾患治療への応用を検討するにあたり、若年性多指症患者の手術検体から得られた軟骨細胞の応用が検討されてきた。これまでに、軟骨細胞シート(PD(多指症患者由来)シート:PD軟骨シートともいう)は、間葉系細胞表面マーカーの発現や一部の軟骨同化因子の産生など、自家軟骨細胞と類似した特性を有することを報告されている(非特許文献10)。
【0006】
多指症手術の多くは乳児期に行われるため、増殖性の高い軟骨細胞を得ることができる。多くのシートを作製するには単一のドナーから得られる軟骨細胞の数が不十分である場合には、軟骨細胞を培養して増殖させ、将来のPDシート作製のための材料として凍結保存する。
【0007】
ヒト成人膝軟骨細胞シートの骨軟骨欠損に対する有効性は、免疫抑制剤を投与したウサギを用いた異種移植モデルを用いて直接評価できることが報告されている(非特許文献11)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、多指症手術で得られた軟骨組織は、ドナーによって大きさ、軟骨の発達の成熟段階、軟骨膜の割合、軟骨の深さ、肥大帯などが大きく異なる。また、軟骨細胞はディッシュ上での拡大培養では脱分化しやすいことが知られており、培養期間や通過回数のばらつきによってPDシートの特性が影響を受けることが想定される。これらの理由から、同種細胞シートに関連する多様性が細胞シート移植の効果に及ぼす影響を明らかにする必要がある。
【0010】
本発明の目的は、軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性に関連するマーカー遺伝子を移植前の軟骨細胞シートから探索するための軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索方法及び軟骨細胞シートのマーカー遺伝子探索装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性を移植前の軟骨細胞シートから予測するための軟骨細胞シートの評価方法、軟骨細胞シートの評価装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性が高い軟骨細胞シート及びその製造方法を提供することにある。また、本発明のさらに他の目的は、軟骨再生に使用される軟骨細胞シートの移植後の有効性が高い軟骨細胞シートを使用した軟骨再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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