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公開番号2025112289
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-31
出願番号2025006949
出願日2025-01-17
発明の名称同位体酸素で構築された酸化物正極材料、その製造方法、及び使用
出願人浙江工業大学
代理人弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
主分類H01M 4/525 20100101AFI20250724BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】リチウムイオン電池の技術分野に属し、同位体酸素で構築された酸化物正極材料、その製造方法、及び使用を提供する。
【解決手段】18Oを唯一の酸素源として、ゾルゲル法によって前駆体を製造し、固相焼結法によって18Oを酸素元素とした酸化物正極材料を合成する。18O原子質量が16O原子質量よりも大きいため、遷移金属原子と格子酸素との間の共有結合の結合エネルギーを増加させることで、格子酸素拡散のエネルギー障壁を高め、それにより、高電圧や高温の条件で酸化物正極材料中の格子酸素を固定することができ、さらに、格子から酸素元素が逃げて、結晶構造が崩れ、酸化物正極材料のサイクル寿命が短くなり、安全性が劣化するなどの問題を効果的に回避できるという利点がある。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
18
Oを唯一の酸素源として製造されたものであり、その結晶構造における格子酸素の部位がすべて
18
Oで占められることを特徴とする同位体酸素で構築された酸化物正極材料。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
LiCoO

、LiNi

Co


1-x-y


(M=Mn、Alの少なくとも1種、1≧1-x-y≧0、1≧x≧0、1≧y≧0)、LiMn



、xLi

MnO

・(1-x)LiMO

(M=Ni、Co、Mnのうちの1種又は複数種の元素、1≧x≧0)構造を満たす1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料。
【請求項3】
酸化物正極の前駆体を製造するのに必要な遷移金属塩及び重酸素水H

18
Oを採用して遷移金属塩溶液を調製し、有機酸及び重酸素水H

18
Oを採用して錯化剤を調製し、遷移金属塩溶液を錯化剤に加えて、ゾルゲルが形成されるまで加熱して撹拌し、次に、ゾルゲルを真空乾燥させて、乾燥ゾルゲルを形成し、真空ボールミーリングして、前駆体を得るステップS1と、
S1で得られた前駆体をリチウム塩と均一に混合し、ブレンドを得るステップS2と、
18


雰囲気中、S2におけるブレンドを昇温させて、一定の時間保温して反応させ、反応が終了すると、
18
Oで構築された酸化物正極材料を得るステップS3と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法。
【請求項4】
ステップS1において、遷移金属塩は、金属ニッケルイオン、コバルトイオン、マンガンイオンのうちの少なくとも1種をカチオン、硝酸塩、硫酸塩のうちの少なくとも1種をアニオンとする遷移金属塩を含み、かつ、使用される遷移金属塩は、結晶水を持っておらず、調製された遷移金属塩溶液の濃度が0.01~5mol L
-1
であることを特徴とする請求項3に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法。
【請求項5】
ステップS1で使用される有機酸は、クエン酸、グリコール酸、及びグリシンのうちの1種又は複数種であり、かつ、有機酸分子中の酸素原子は
18
O原子であり、調製された錯化剤中の有機酸の濃度は0.5~10mol L
-1
であることを特徴とする請求項3に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法。
【請求項6】
ステップS1では、総遷移金属イオンと有機酸分子とのモル比は、1:1.1~1.4であることを特徴とする請求項3に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法。
【請求項7】
ステップS1では、前記加熱撹拌は、50~80℃かつ150~500rpmで行われることを特徴とする請求項3に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法。
【請求項8】
ステップS2では、前記前駆体とリチウム塩中のリチウムイオンとのモル比は、1:1.1~1.3であり、かつ、リチウム塩は、酸素原子がすべて
18
O原子の水酸化リチウム、炭酸リチウム、及び酢酸リチウムのうちの1種又は複数種であることを特徴とする請求項3に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法。
【請求項9】
ステップS3では、管状炉内を真空吸引してから、
18


ガスを導入し、ここで、
18


ガスを導入する前の真空度は、1×10
-1
~1×10
-5
Paに制御され、
18


ガスの流速は、20~50mL min
-1
に制御され、
2~10℃ min
-1
の昇温速度で500~950℃に昇温させて、5~24h保温することを特徴とする請求項3に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法。
【請求項10】
リチウムイオン電池及びその製造における請求項1又は2に記載の同位体酸素で構築された酸化物正極材料の使用。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、同位体酸素で構築された酸化物正極材料、その製造方法、及び使用に関し、リチウムイオン電池の技術分野に属する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
酸元素及びその安定同位体は、地殻とマントルの岩石や流体の主な構成成分であり、自然界で安定して存在する(相対存在量は、
16
O:99.756%、
17
O:0.039%、
18
O:0.205%)。核種間の相違点は、原子核内の中性子の数の違いによるもので、これにより同位体効果がさらに生じ、両者の物理的、化学的、核的性質が異なる。例えば、
18
Oは
16
Oより12.5%重く、
18
Oによって形成される共有結合は、
16
Oよりも寿命が長く、
16
Oより強い結合エネルギーを持っている。
【0003】
近年、電気自動車やエネルギー貯蔵発電所などの分野の活発な発展に伴い、高エネルギー密度と広い動作温度範囲がリチウムイオン電池の将来の発展方向となっている。正極はリチウムイオン電池の核となる部品であるため、高電圧や高温条件に適応できる材料の開発が電池のエネルギー密度の向上や電池の動作温度範囲の拡大の鍵となる。しかしながら、主流の酸化物正極材料の場合、高電圧や高温の作業環境により、格子内の酸素原子が不安定になり、格子から逃げて、構造の崩れを引き起こしやすく、さらにそれが電池の安全性と電気化学的特性を脅かすことになる。
【0004】
現在、主流の変性方法は、ジルコニウム元素ドーピング(Tina et al. Structural and electrochemical aspects of LiNi
0.8
Co
0.1
Mn
0.1
O
2
cathode materials doped by various cations,ACS Energy Lett. 4 (2019) 508-516)、ホウ素元素ドーピング(Chong et al. Surface reinforcement doping to suppress oxygen release of Li-rich layered oxides,J. Power Sources,Volume 503, 2021, 230048)などの表面近傍ドーピングである。この変性戦略は、酸素原子とドーピング原子の間に高エネルギー共有結合を形成することにより、高電圧や高温下での酸化物正極の格子酸素の安定化を達成することである。さらに、酸化物正極材料の熱安定性を向上させるために、コアシェル構造の製造(Lee et al. Compositional core-shell design by nickel leaching on the surface of Ni-rich cathode materials for advanced high-energy and safe rechargeable batteries,J. Power Sources,Volume 400,2018,Pages 87-95)、表面近傍被覆(Zou et al. Constructing a stable interfacial phase on single-crystalline Ni-rich cathode via chemical reaction with phosphomolybdic acid,Nano Energy,Volume 87,2021,106172)などの変性方法がある。上記の変性方法は、一定の効果はあるものの、変性の度合が不均一であったり、格子酸素安定性が不十分であったりするなどの問題が残っており、電池のサイクル安定性や安全性に影響を与えている。
【0005】
上記の問題に鑑み、本発明は、酸素の同位体効果を革新的に利用し、半減期が長い、非放射性の
18
Oを唯一の酸素源として酸化物正極材料を構築することにより、遷移金属原子と格子酸素との間の共有結合の結合エネルギーを高めるとともに、格子酸素拡散のエネルギー障壁を高め、それにより高電圧や高温条件下での結晶構造における格子酸素の安定化を実現する。この方法は、酸化物正極材料のエネルギー密度及びサイクル特性を向上させるだけでなく、酸化物正極材料の固有の構造安定性を大幅に向上させ、それにより酸化物正極材料の固有の安全特性を効果的に向上させる。さらに、このプロセスは、操作が簡単で、既存の生産ラインとの互換性が高いなどの特徴も有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の欠点を解決するために、同位体酸素で構築された酸化物正極材料の製造方法、及び使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成させるために、本発明は、下記の技術的解決手段を採用する。
【0008】
本発明の目的の1つは、半減期が長い、非放射性の
18
Oを唯一の酸素源として製造され、結晶構造における格子酸素の部位がすべて
18
Oで占められる、同位体酸素で構築された酸化物正極材料を提供することである。
【0009】
好ましくは、酸化物正極材料は、LiCoO

、LiNi

Co


1-x-y


(M=Mn、Alの少なくとも1種、1≧1-x-y≧0、1≧x≧0、1≧y≧0)、LiMn



、xLi

MnO

・(1-x)LiMO

、(M=Ni、Co、Mnのうちの1種又は複数種、1≧x≧0)構造を満たす1種又は複数種を含む。
【0010】
本発明の別の目的は、
酸化物正極の前駆体を製造するのに必要な遷移金属塩及び重酸素水H

18
Oを採用して遷移金属塩溶液を調製し、有機酸及び重酸素水H

18
Oを採用して錯化剤を調製し、遷移金属塩溶液を錯化剤に加えて、ゾルゲルが形成されるまで加熱して撹拌し、次に、ゾルゲルを真空乾燥させて、乾燥ゾルゲルを形成し、真空ボールミーリングして、前駆体を得るステップS1と、
S1で得られた前駆体をリチウム塩と均一に混合してブレンドを得るステップS2と、
18


雰囲気中、S2におけるブレンドを昇温させて、一定の時間保温して反応させ、反応が終了すると、
18
Oで構築された酸化物正極材料を得るステップS3と、を含む、
18
Oで構築された酸化物正極材料の製造方法を提供することである。
(【0011】以降は省略されています)

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