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公開番号2025106514
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-15
出願番号2025065562,2021559829
出願日2025-04-11,2020-04-10
発明の名称脳内への特異性が増強されたウイルス組成物
出願人カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー
代理人個人,個人
主分類C12N 7/01 20060101AFI20250708BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】脳内への特異性が増強されたウイルス組成物の提供。
【解決手段】例えば脳および肝臓の標的細胞型におけるウイルス形質導入の特異性の増加および効率の向上を示す指向性を有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物およびキットが提供される。多重化されたCre組換えに基づくAAV標的進化(M-CREATE)法を使用してrAAVを発見する方法、およびrAAV媒介導入遺伝子療法により様々な疾患および状態を処置する方法を含むが、これらに限定されない、rAAVの治療および生物医学研究への応用も記載される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
i.配列番号1のアミノ酸217~アミノ酸736と少なくとも98%同一である第1のアミノ酸配列
であって、前記第1のアミノ酸配列のアミノ酸217~アミノ酸586およびアミノ酸591~アミノ酸736が、配列番号1のアミノ酸217~アミノ酸586およびアミノ酸591~アミノ酸736と同一であり、配列番号1に対する位置587~588および位置589~590のアミノ酸残基がともにAQである、第1のアミノ酸配列
と、
ii.配列番号1内のアミノ酸588_589位に挿入された、配列番号435~859、864、866からなる群より選択される第2のアミノ酸配列と
を含むAAVカプシドタンパク質であって、対象に全身送達されたときに前記対象の中枢神経系(CNS)において測定されたとき、配列番号1で提供される天然AAVカプシドタンパク質と比較して特異性の増加および形質導入効率の向上のうちの少なくとも一方を特徴とし、配列番号1内の前記アミノ酸588_589位における前記第2のアミノ酸配列が、TLAVPFKでも、KFPVALTでも、SVSKPFFでも、FTFTTPKでも、MNATKNVでも、NGGTSSSでも、TRTNPEAでも、YTFSQGWでもない、AAVカプシドタンパク質
を含む、AAV。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記第2のアミノ酸配列が、TALKPFL、TTLKPFL、TLQIPFK、TMQKPFI、SIERPFK、
および
RYQGDS
Vか
らなる群から選択される、請求項1に記載のAAV。
【請求項3】
前記AAVカプシドタンパク質が、AAVカプシドを形成するVP1、VP2およびVP3カプシドタンパク質モノマー中に存在する、請求項1に記載のAAV。
【請求項4】
前記AAVカプシドがキメラである、請求項3に記載のAAV。
【請求項5】
前記AAVカプシドタンパク質の60コピーがアセンブルされてAAVカプシドになる、請求項3に記載のAAV。
【請求項6】
前記CNSが、ニューロン、乏突起膠細胞、星状膠細胞、および脳血管細胞からなる群から選択される細胞型を含む、請求項1に記載のAAVカプシドタンパク質を含むAAV。
【請求項7】
前記CNSが、脳、視床、皮質、線条体、腹側中脳、および脊髄からなる群から選択される組織を含む、請求項1に記載のAAV。
【請求項8】
単離され、精製される、請求項1に記載のAAV。
【請求項9】
前記CNSの疾患または状態を処置するための静脈内投与用の医薬製剤として製剤化され、前記医薬製剤が、薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1に記載のAAV。
【請求項10】
前記医薬製剤が、治療剤をさらに含む、請求項

に記載のAAV。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年4月11日に出願した米国特許仮出願第62/832,836号の利益および優先権を主張するものであり、この仮出願の内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
続きを表示(約 5,300 文字)【0002】
本発明は、米国国立衛生研究所により与えられたNS087949、MH117069およびOD025535のもとで政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、分裂細胞と非分裂細胞の両方に形質導入するそれらの能力、感染細胞内でのエピソームDNAとしてのそれらの長期存続、およびそれらの低い免疫原性のため、基礎科学研究および治療への応用において遺伝子送達用のベクターとして広く使用されている。これらの特徴のため、rAAVは、基礎科学への応用にも、遺伝子療法などの診療の場への応用にも、魅力的なものである。しかし、対象への全身送達時に、明確に異なる脳細胞型を特異的に標的とするように既存の血清型の性能を有意に向上させる必要がある。この必要性は、AAVが、中枢神経系(CNS)に至るために血液脳関門(BBB)を横断しなければならない場合、特に切実である。
【0004】
既存のAAV血清型の全身送達は、ある特定の細胞型および器官に対する形質導入に限定されており、他の細胞型および器官では非特異的な重複する指向性を指し示す。これは、遺伝子療法への応用の際にいくつかの厄介な問題をもたらし、そのような問題には、影響を受けていない器官および細胞型(特に、肝臓)に対する形質導入に起因するオフターゲット効果、および目的の組織または器官において十分な治療レベルを達成するためのより大量のウイルス投薬量の必要性が、これらに限定されないが、含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
CNS内で測定されたときに特異性の増加および形質導入効率の上昇、ならびに一部の場合には、肝臓のような標的外環境では特異性の減少および形質導入効率の低下を有する指向性があるバリアントを生じさせる、反復的な正および負の選択ラウンドによって操作してカプシド構造に特異性を持たせたrAAVが、本明細書で開示される。本明細書に記載のrAAVは、全身送達(例えば、静脈内注射)時に対象における標的環境(例えば、標的細胞型または組織)への幅広い形質導入を達成する。
【0006】
多重化されたCre組換えに基づくAAV標的進化(M-CREATE)法を使用して本開示のrAAVを操作する方法も提供される。M-CREATE法は、(1)カプシドタンパク質配列への変異の導入、(2)定義された細胞集団に移動するバリアントのみのin vivoでの偏りのない選択および回収、(3)細胞膜の横断、(4)核への移動、ならびに(5)それらの遺伝子投薬量のパッケージングの解除および発現により、増強された形質導入効率および/または特異性を生じさせる。最も望ましい指向性(例えば、特定のin vivo環境に対する増強された効率および特異性)を呈するバリアントカプシドが回収され、ディープシークエンシングにより同定される。偏りのない選択および解析のための戦略は、バリアントのエンリッチメントスコアを(標的組織ライブラリーを出発ウイルスライブラリーに対して正規化することにより)決定すること、および合成ライブラリー構築を通して選択ラウンド間の(各バリアントが等しく表される)偏りのない伝搬を判定することを含む。標的に対するバリアントの選択に関する有用な見識をもたらす、シークエンシングデータからの得られたライブラリーの詳細な特徴付けも、開示される。
【0007】
M-CREATEを使用して生成されたAAVカプシドライブラリーが、本明細書で開示される。第1のライブラリー、AAV9における7-merペプチド挿入(7-mer-iライブラリー)を、異なる脳細胞型-内皮細胞、ニューロンおよび星状膠細胞-にわたっての並行in vivo選択のために構築し、血液脳関門(BBB)を標的とする能力はもちろん、それを横断し、中枢神経系(CNS)に広く形質導入する能力も増強されたAAV9バリアントの大型プールを得た。第2のライブラリー、AAV-PHP.Bにおける3-merペプチド置換(3-mer-sライブラリー)を、ディープシークエンシングを組み込むことにより再調査して、カプシドを回収した。より大きな特異性でCNSニューロンに形質導入するバリアントを含むAAV-PHP.Bバリアントのプールを発見した。本開示のrAAVは、脳血液関門の内皮細胞、中枢神経系における異なる細胞型に広く形質導入することができるバリアント、およびニューロンへの形質導入に向けてより大きな特異性を呈することができるバリアントを効率的に標的とすることができる。
【0008】
本明細書で開示される態様は、(a)(i)配列番号1のアミノ酸217~アミノ酸736と少なくとも98%同一である第1のアミノ酸配列と、(ii)配列番号1内のアミノ酸588_589位に挿入された表2~3または図33で提供されるアミノ酸配列と少なくとも57.1%同一の第2のアミノ酸配列とを含み、対象に全身送達されたときに対象の中枢神経系(CNS)において測定されたとき、配列番号1で提供される天然AAVカプシドタンパク質と比較して特異性の増加および形質導入効率の向上のうちの少なくとも一方を特徴とする、AAVカプシドタンパク質を含む、AAVカプシドを提供する。一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、表2~3または図33で提供されるアミノ酸配列と少なくとも71.4%同一である。一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、表2~3または図33で提供されるアミノ酸配列と少なくとも86.7%同一である。一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、TALKPFL、TTLKPFL、TLQIPFK、TMQKPFI、SIERPFK、RYQGDSV、およびTTLKPFSからなる群から選択される。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、AAVカプシドのVP1、VP2およびVP3中に存在する。一部の実施形態では、AAVカプシドは、キメラである。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質の60コピーがアセンブルされてAAVカプシドになる。一部の実施形態では、CNSは、ニューロン、乏突起膠細胞、星状膠細胞、および脳血管細胞からなる群から選択される細胞型を含む。一部の実施形態では、CNSは、脳、視床、皮質、線条体、腹側中脳、および脊髄からなる群から選択される組織を含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、アミノ酸置換A587Dをさらに含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、アミノ酸置換Q588Gをさらに含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、A589Nを含むアミノ酸置換をさらに含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、Q590Pを含むアミノ酸置換をさらに含む。一部の実施形態では、配列番号1内のアミノ酸588_589位における第2のアミノ酸配列は、TLAVPFKでも、KFPVALTでも、SVSKPFLでも、FTLTTPKでも、MNATKNVでも、NGGTSSSでも、TRTNPEAでも、YTLSQGWでもない。一部の実施形態では、AAVカプシドは、単離され、精製される。一部の実施形態では、AAVカプシドは、肝臓の疾患または状態を処置するための静脈内投与用の医薬製剤として製剤化され、この医薬製剤は、薬学的に許容される担体をさらに含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、治療剤をさらに含む。
【0009】
本明細書で開示される態様は、配列番号1で提供されるAAVカプシドタンパク質のアミノ酸配列中のアミノ酸588とアミノ酸589の間に7アミノ酸挿入物(X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7)を含むAAVカプシドタンパク質を含む、AAVカプシドであって、X1がE、D、G、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸である、AAVカプシドを提供する。一部の実施形態では、X2は、A、G、I、L、M、N、Q、T、およびYからなる群から選択されるアミノ酸である。一部の実施形態では、X3は、E、K、L、T、およびQからなる群から選択されるアミノ酸である。一部の実施形態では、X4は、G、I、K、L、R、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸である。一部の実施形態では、X5は、A、D、G、P、L、Q、およびVからなる群から選択されるアミノ酸である。一部の実施形態では、X6は、F、K、N、P、Q、S、およびVからなる群から選択されるアミノ酸である。一部の実施形態では、X7は、I、K、L、P、およびVからなる群から選択されるアミノ酸である。一部の実施形態では、7アミノ酸挿入物は、TALKPFL、TTLKPFL、TLQIPFK、TMQKPFI、SIERPFK、RYQGDSV、およびTTLKPFSからなる群から選択される。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、AAVカプシドのVP1、VP2およびVP3中に存在する。一部の実施形態では、AAVカプシドは、キメラである。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質の60コピーがアセンブルされてAAVカプシドになる。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、対象に全身送達されたときに対象の中枢神経系(CNS)において測定されたとき、配列番号1で提供される天然AAVカプシドタンパク質と比較して特異性の増加および形質導入効率の向上のうちの少なくとも一方を特徴とする。一部の実施形態では、CNSは、ニューロン、グリア細胞、乏突起膠細胞、上衣細胞、星状膠細胞、シュワン細胞、衛星細胞、および腸管グリア細胞からなる群から選択される細胞型を含む。一部の実施形態では、CNSは、脳、視床、皮質、線条体、腹側中脳、および脊髄からなる群から選択される組織を含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、A587Dを含むアミノ酸置換をさらに含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、Q588Gを含むアミノ酸置換をさらに含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、A589Nを含むアミノ酸置換をさらに含む。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、Q590Pを含むアミノ酸置換をさらに含む。一部の実施形態では、7アミノ酸挿入物は、TLAVPFKでも、KFPVALTでも、SVSKPFLでも、FTLTTPKでも、MNATKNVでも、NGGTSSSでも、TRTNPEAでも、YTLSQGWでもない。一部の実施形態では、AAVカプシドは、単離され、精製される。一部の実施形態では、AAVカプシドは、肝臓の疾患または状態を処置するための静脈内投与用の医薬製剤として製剤化され、この医薬製剤は、薬学的に許容される担体をさらに含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、治療剤をさらに含む。
【0010】
本明細書で提供される態様は、(a)(i)配列番号1のアミノ酸217~アミノ酸736と少なくとも98%同一である第1のアミノ酸配列と、(ii)配列番号1内のアミノ酸588_589位における表4または図35で提供されるアミノ酸配列と少なくとも57.1%同一の第2のアミノ酸配列とを含み、対象に全身送達されたときに対象の肝臓において測定されたとき、配列番号1で提供される天然AAVカプシドタンパク質と比較して特異性の増加および形質導入効率の向上のうちの少なくとも一方を特徴とする、AAVカプシドタンパク質を含む、AAVカプシドを提供する。一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、表4または図35で提供されるアミノ酸配列と少なくとも71.4%同一である。一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、表4または図35で提供されるアミノ酸配列と少なくとも86.7%同一である。一部の実施形態では、第2のアミノ酸配列は、KAYSVQV、PSGSARS、およびRTANALGからなる群から選択される。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、AAVカプシドのVP1、VP2およびVP3中に存在する。一部の実施形態では、AAVカプシドは、キメラである。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質の60コピーがアセンブルされてAAVカプシドになる。一部の実施形態では、AAVカプシドは、単離され、精製される。一部の実施形態では、AAVカプシドは、肝臓の疾患または状態を処置するための静脈内投与用の医薬製剤として製剤化され、この医薬製剤は、薬学的に許容される担体をさらに含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、治療剤をさらに含む。
(【0011】以降は省略されています)

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