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公開番号2025105575
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-10
出願番号2024230317
出願日2024-12-26
発明の名称β-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチド、β-(1,3)(1,4)-グルカンの検出方法、β-(1,3)(1,4)-グルカン検出キット、および、β-1,3-グルカン結合ポリペプチド、β-1,3-グルカンの検出方法、β-1,3-グルカン検出キット、組換え微生物または細胞
出願人学校法人東京薬科大学
代理人個人
主分類C07K 14/435 20060101AFI20250703BHJP(有機化学)
要約【課題】13BGには結合せず、かつ、MLGに結合する性質を有するβ-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチドを提供すること。
【解決手段】β-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチドは、GH16型酵素に属する野生型β-(1,3)(1,4)-グルカナーゼの触媒ドメイン(CatD)を構成するポリペプチドのアミノ酸配列W1に含まれる以下の2種のモチーフ配列:配列番号44:EXDXE(Xは任意のアミノ酸を表す)または配列番号45:EXDXXE (Xは任意のアミノ酸を表す)において、それぞれの前記モチーフ配列における2つのグルタミン酸(E)のうちの少なくともいずれかが、他のアミノ酸に置換されており、かつ、前記アミノ酸配列W1と配列同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、β-(1,3)(1,4)-グルカン(MLG)との特異的結合活性を有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
GH16型酵素に属する野生型β-(1,3)(1,4)-グルカナーゼの触媒ドメイン(CatD)を構成するポリペプチドのアミノ酸配列W1に含まれる以下の2種のモチーフ配列:
配列番号44:EXDXE(Xは任意のアミノ酸を表す)、または
配列番号45:EXDXXE(Xは任意のアミノ酸を表す)
において、それぞれの前記モチーフ配列における2つのグルタミン酸(E)のうちの少なくともいずれかが、他のアミノ酸に置換されており、かつ、前記アミノ酸配列W1と配列同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、
β-(1,3)(1,4)-グルカン(MLG)との特異的結合活性を有する、
β-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチド。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記他のアミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)のうちのいずれかである、
請求項1のβ-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチド。
【請求項3】
前記アミノ酸配列W1が、配列番号2または配列番号6で表されるアミノ酸配列である、
請求項1のβ-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチド。
【請求項4】
試験検体と、請求項1から3のいずれかのβ-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチドを含む試薬とを接触させる工程を含む、
β-(1,3)(1,4)-グルカンの検出方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかのβ-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチドを含む試薬を有する、
β-(1,3)(1,4)-グルカン検出キット。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかのβ-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチドをコードする塩基配列を含む、組換え微生物または細胞。
【請求項7】
GH64型酵素に属する野生型β-1,3-グルカナーゼの触媒ドメイン(CatD)を構成するポリペプチドのアミノ酸配列W2に含まれる以下のモチーフ配列:
配列番号48:XEXTX(Xは任意のアミノ酸を表す)
におけるグルタミン酸(E)が、他のアミノ酸に置換されており、かつ、前記アミノ酸配列W2と配列同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、
β-1,3-グルカン(13BG)との特異的結合活性を有する、
β-1,3-グルカン結合ポリペプチド。
【請求項8】
GH81型酵素に属する野生型β-1,3-グルカナーゼの触媒ドメイン(CatD)を構成するポリペプチドのアミノ酸配列W3に含まれる以下のモチーフ配列:
配列番号49:ESXSE(Xは任意のアミノ酸を表す)
における2つのグルタミン酸(E)のうちの少なくともN末端側に位置するグルタミン酸(E)が他のアミノ酸に置換されており、かつ、前記アミノ酸配列W3と配列同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、
β-1,3-グルカン(13BG)との特異的結合活性を有する、
β-1,3-グルカン結合ポリペプチド。
【請求項9】
前記他のアミノ酸が、グルタミン(Q)である、
請求項7または8のβ-1,3-グルカン結合ポリペプチド。
【請求項10】
前記アミノ酸配列W2が、配列番号17で表されるアミノ酸配列である、
請求項7のβ-1,3-グルカン結合ポリペプチド。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、β-(1,3)(1,4)-グルカン結合ポリペプチド、β-(1,3)(1,4)-グルカンの検出方法、β-(1,3)(1,4)-グルカン検出キット、および、組換え微生物または細胞に関する。また、本発明は、β-1,3-グルカン結合ポリペプチド、β-1,3-グルカンの検出方法、β-1,3-グルカン検出キット、組換え微生物または細胞に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
β-1,3-グルカン(以下、「13BG」と記載する場合がある)は、β-グルカンのひとつとして知られ、グルコースがβ-1,3-結合により多数連結した繰り返し構造からなり、様々な真菌の細胞壁を構成する主要な多糖である。β-グルカンには、13BGを主鎖として、さらにグルコースがβ-1,6-結合あるいはβ-1,4-結合した分岐構造を持つものなども含まれる。また、他の多糖類やタンパク質などと複合体の形態を取ることもある。ヒトの体内で合成されないため、深在性の真菌感染症を疑う際には、血液中の13BG濃度を測定することが常法とされる。特に、13BGはカンジダ属真菌やアスペルギルス属真菌などの菌体外放出多糖であることから、β-D-グルカン試験は真菌感染症を疑う患者の血液検査や、臓器移植後のリスク評価のための体内13BGのモニタリングなどに頻繁に利用される。
【0003】
深在性の病原性真菌感染を診断するためのキットとして、いくつかの血中13BGの高感度検出試薬が利用されている。例えば、カブトガニの血球抽出物(Amoebocyte lysate)を用いたβ-D-グルカン試験、抗体を利用したELISAキットなどが開発されている(例えば、特許文献1)。なかでも、カブトガニを原料とするβ-D-グルカン試験は多くの国で利用される血清診断薬であり、臨床現場での使用頻度が高い。
【0004】
しかしながら、β-D-グルカン試験は主に植物などに由来するMLGにも反応し、偽陽性を呈する例も少なくない。この課題は、Amoebocyte lysateに含まれるセリンプロテアーゼ前駆体(Factor G)の機能に起因する。Factor Gは13BGに直接結合する機能を有するタンパク質であり、13BGとの結合により活性化し、プロテアーゼとして機能する。13BG存在下、活性化Factor Gは、さらにプロクロッティングエンザイムを活性化し、クロッティングエンザイムへと変換するが(非特許文献1)、このクロッティングエンザイムが切断可能な合成ペプチド基質などを用いることで、検体試料中の13BG濃度を測定することが可能となる。
【0005】
13BGによるFactor Gの活性化について、Factor Gは、様々な13BGによって強く活性化すること、一方、Carboxymetyl Cellulose(β-1,4-グルカン誘導体)では活性化しないことが知られている(非特許文献2)。さらに、Factor Gは、LichenanならびにBarley β-グルカンなどのβ-(1,3)(1,4)-グルカン(以下、「MLG」と記載する場合がある)によっても活性化することが知られている(非特許文献2)。MLGによるFactor Gの活性化は、臨床現場での偽陽性反応の原因のひとつと考えられている。また、同文献内では、水に溶解した一部の13BG(Laminaran oligosaccharides、Partially degraded curdlans、Schizophyllanなど)との反応性が、他の13BGと比べて低くなることも示されており、これらは臨床現場での偽陰性反応にも関係する。
【0006】
また、β-D-グルカン試験は、例えば、誤嚥時に気管支・肺へ移行した食品由来の13BG、あるいは、穀物由来MLGによっても、陽性を示す例が存在する(非特許文献3)。通常、13BGなどの高分子多糖類は、消化管からの血中への移行はほとんど生じないと考えられているが、気管支・肺粘膜からは血中へ効率よく移行することが示されている(特許文献2)。そのため、Factor Gが体内で増殖する病原性真菌由来の13BG以外にも、植物由来のMLGなどによっても活性化されるという性質をもつ以上、真菌症検査における偽陽性反応は一定数起こり得る問題であり、避けることが困難な課題と言える。
【0007】
臨床診断で利用されるβ-D-グルカン試験はカブトガニを原料とするが、カブトガニとその卵は生態系において重要な位置付けにあり、多くの生物の栄養源となっているため、関連する海洋資源の減少や枯渇が懸念されている(非特許文献4)。海洋資源への影響を回避するために、β-D-グルカン試験に必要なタンパク質をリコンビナントタンパク質として調整する方法も開発されている(特許文献3)。しかしながら、最終的な反応性はFactor Gの多糖認識機能に依存するため、リコンビナントタンパク質を用いて作成されたβ-D-グルカン試験も、13BG以外のMLGなどの多糖によってもFactor Gの活性化が誘導されることは容易に予想される。さらに、上述した通り、分岐構造や分子量の異なる13BGに対して異なる反応性を示す点も、カブトガニを原料とするβ-D-グルカン試験において課題となる。そのため、Factor Gの多糖認識機能に依存しない方法による血中13BG濃度の測定法は有用であると言える。
【0008】
13BGを検出・定量するにあたり、Factor G以外の13BG結合タンパク質を利用した方法が複数開発されている。例えば、抗13BG抗体を用いた方法(特許文献1、特許文献4、非特許文献5)、哺乳類の13BG受容体であるDectin-1の細胞外ドメインのリコンビナントタンパク質を用いた方法(非特許文献6)、カイコなどの昆虫がもつβ-グルカン認識タンパク質(BGRP)の13BG結合ドメインのリコンビナントタンパク質を用いる方法などが開発されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
国際公開WO2020/022467
国際公開WO2007/069689
特許第7358509号
特開2008-273917号公報
特許第6966756号
【非特許文献】
【0010】
Morita T, et al, FEBS Lett 129:318-321 (1981)
Tanaka S, et al, Carbohydr Res 218:167-174 (1991)
Yamamoto T, et al, Intern Med 61:2935-2939 (2022)
Maloney T, et al, PLoS Biol 16:e2006607 (2018)
Milton D, et al, Appl Environ Microbiol67:5420-5424 (2001)
Graham L, et al, J Immunol Methods 314:164-169 (2006)
Yamanaka D, et al, Int J Mol Sci 22:1576 (2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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