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公開番号2025100677
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2025064781
出願日2025-04-10
発明の名称pH制御型コバルト酸化触媒を用いた電気化学推進システム
出願人ニューヨークゼネラルグループインク,Nyu-Yo-ku Zeneral Guru-pu, Inku.
代理人
主分類C25B 11/077 20210101AFI20250626BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】宇宙推進システムにおいて、異なる運用条件に適応可能な可変推力特性と高効率を両立し、水資源の現地利用を可能とする電気化学推進システムを提供する。
【解決手段】ナノサイズのCoOx触媒を用いた電極構造と、アルカリ性、中性、酸性の異なるpH環境を有する複数の電解質区画を組み合わせ、コバルト酸化物の酸化状態変化を精密に制御する電気化学推進システム。アルカリ性環境での低過電圧(約376mV)を活用した高効率推進モードと、中性または酸性環境での精密制御モードを切り替えることにより、可変推力特性を実現する。Co^2+/Co^3+およびCo^3+/Co^4+のレドックス過程を最適化し、CeO_2添加により触媒安定性を向上させる。水を主成分とする推進剤を用いることで、安全性向上と月・火星などでの現地資源利用を可能とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
pH制御型コバルト酸化触媒を用いた電気化学推進システムであって、
ナノサイズのCoOx触媒を含む電極構造と、
アルカリ性環境(pH約13)、中性環境(pH約7)、および酸性環境(pH約1)を有する複数の電解質区画と、
前記電解質区画間を分離するイオン交換膜と、
前記電極構造に電位を印加する電源制御系と、
を備え、
前記CoOx触媒の酸化状態変化を制御することにより酸素発生反応の効率と速度を調整可能とし、
アルカリ性環境での低過電圧(約376mV)を活用した高効率推進モードと、中性または酸性環境での精密制御モードとを切り替え可能であり、
前記CoOx触媒が、Co^2+/Co^3+Co^3+/Co^4+のレドックス遷移が最適化されるよう表面修飾され、酸性条件下での安定性を向上させるための微量の酸化セリウム(CeO_2)を含むことを特徴とする電気化学推進システム。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
請求項1に記載の電気化学推進システムを用いた宇宙機の推進方法であって、
高推力が必要な軌道変更フェーズではアルカリ性環境での運用を行い、
精密な軌道維持が必要なフェーズでは中性または酸性環境での運用を行い、
水を含む天体でのミッション実行時に、現地で採取した水を推進剤として利用し、
異なる運用モード間の切替時に、電極への電力供給を100msかけて線形に減少させ、電極切替後に100msかけて線形に増加させることにより、推力の急激な変化を防止することを特徴とする宇宙機の推進方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電気化学推進システムを搭載した宇宙機であって、
人工衛星、深宇宙探査機、宇宙デブリ除去衛星、宇宙ステーション、または惑星間輸送船のいずれかであることを特徴とする宇宙機。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は宇宙推進システムの分野に関し、より詳細には電気化学的酸素発生反応(OER)を利用した高効率かつ可変推力特性を有する推進剤システムに関する。特に、コバルト酸化物触媒の酸化状態変化とpH依存性を活用した新規な電気化学推進システムに関するものである。本発明は、宇宙機の軌道制御、姿勢制御、深宇宙探査、および月・火星などの天体での長期ミッションにおける推進システムとして特に有用である。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
宇宙推進システムにおいては、高効率かつ制御性の高い推進機構が求められている。従来の化学推進剤は高推力を発生させることができるが、比推力の制限や有毒性、爆発の危険性などの課題がある。例えば、ヒドラジン(N_2H_4)やモノメチルヒドラジン(MMH)などの従来型推進剤は高い推力密度を提供するが、取り扱いの危険性や環境への悪影響が問題となっている。特にヒドラジンは発がん性物質として知られており、取り扱いには特殊な防護設備が必要となる。また、四酸化二窒素(N_2O_4)などの酸化剤も高い毒性を有し、漏洩時の危険性が高い。これらの化学推進剤の比推力は通常300-450秒程度であり、長期ミッションにおいては推進剤質量が宇宙機全体の質量の大部分を占めることになる。
【0003】
方、キセノンやクリプトンを用いたイオンエンジンなどの電気推進システムは高い比推力(2000-5000秒)を実現できるが、推力が小さく(通常数mNから数十mN程度)、希少ガスの供給に依存するという制約がある。イオンエンジンは軌道変更などの大きな推力が必要な場面では長時間の連続運転が必要となり、電力消費も大きい。また、キセノンは地球上での存在量が限られており、大規模な宇宙開発が進むにつれて供給不足や価格高騰が懸念されている。ホールスラスタなどの他の電気推進システムも同様の制約を持つ。
【0004】
近年、水の電気分解を利用した推進システムが注目されている。水を作動流体として利用できるため、資源の現地調達の可能性や安全性の観点から優位性がある。特に月や火星、エウロパ、エンケラドスなどの水氷が存在する可能性のある天体での長期ミッションにおいて、現地で採取した水を推進剤として利用できる可能性は、ミッション設計に大きな柔軟性をもたらす。例えば、月の南極域のクレーターには永久影領域が存在し、そこには水氷が存在することが確認されている。この水氷を採取・精製し、推進剤として利用することができれば、地球からの補給に依存しない持続可能な宇宙探査が可能となる。
【0005】
しかし、従来の水電解推進システムは、電極触媒の効率や耐久性に課題があり、特に異なる運用条件下での性能最適化が困難であった。水の電気分解は、陽極での酸素発生反応(OER)と陰極での水素発生反応(HER)からなるが、特にOERは4電子反応であり、反応速度論的に遅い過程である。このため、OER触媒の性能がシステム全体の効率を大きく左右する。
【0006】
電気化学的酸素発生反応(OER)は、水電解の重要な半反応であり、その効率は触媒の性能に大きく依存する。従来、OER触媒としては貴金属酸化物(RuO_2やIrO_2など)が高い活性を示すことが知られているが、希少性やコストの問題から実用化には制約がある。特にIrO_2は酸性環境でも高いOER活性と安定性を示すが、イリジウムは地球上で最も希少な元素の一つであり、大規模な応用には適さない。RuO_2も同様に希少であり、また酸性環境での安定性に課題がある。
【0007】
これに対し、コバルト系酸化物触媒はOERに対して比較的高い活性を示し、コスト面でも優位性があることから注目されている。コバルトは地球上に比較的豊富に存在し、採掘・精製技術も確立されている。Co_3O_4やCoOOHなどのコバルト酸化物・水酸化物は、特にアルカリ性環境で高いOER活性を示すことが知られている。
【0008】
コバルト系酸化物触媒のOER活性はpH環境に強く依存することが知られており、一般的にアルカリ性環境で高い活性を示す。これは、アルカリ性環境ではOH^-イオンが豊富に存在し、OER過程における中間体の形成が促進されるためと考えられている。また、コバルト酸化物触媒の表面はアルカリ性環境下でCoOOH層を形成しやすく、この層がOER活性サイトとして機能する。
【0009】
近年の研究では、コバルト酸化物触媒の表面再構成や酸化状態変化がOER活性と密接に関連していることが明らかになっている。特に、Co^2+/Co^3+およびCo^3+/Co^4+のレドックス過程がOER活性に重要な役割を果たしていることが示されている。Co^2+/Co^3レドックス過程は触媒表面の再構成と関連し、Co^3+/Co^4+レドックス過程はOER触媒サイクルにおける活性種の形成と直接関連している。これらのレドックス過程はpH環境によって大きく影響を受け、特にCo^3+/Co^4+レドックス電位はpHの低下に伴い正方向にシフトすることが知られている。
【0010】
しかし、これらの知見を宇宙推進システムに応用した例は少なく、特にpH依存性を活用した可変推力特性の実現についてはほとんど研究されていない。従来の水電解推進システムでは、単一のpH環境(通常はアルカリ性または中性)での運用が一般的であり、異なるpH環境を使い分けることによる推力特性の制御は考慮されていない。
(【0011】以降は省略されています)

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