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公開番号2025096348
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2025060987,2021534084
出願日2025-04-02,2020-07-22
発明の名称ウロリチン類の水酸基を脱水酸化する酵素
出願人株式会社ダイセル
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12N 9/02 20060101AFI20250619BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】少なくとも、所定の位置に水酸基を有するウロリチン類の該位置の水酸基を脱水酸化する酵素を提供すること。
【解決手段】下記(1)及び(2)の性質を有する酵素:(1)ウロリチン類の4位の水酸基を脱水酸化する;(2)メチルビオロゲン(MV)存在下に、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、及びフラビンアデニンモノヌクレオチド(FMN)から成る群から選択される一又はそれ以上で活性化される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
配列番号25で表されるアミノ酸配列を含む、又は、配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
配列番号26で表される塩基配列を含む、又は配列番号28で表される塩基配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項2に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項4】
請求項2に記載のポリヌクレオチドを発現可能に保持した、又は請求項3に記載のベクターを発現可能に保持した、形質転換体。
【請求項5】
請求項4に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求項2に記載のポリヌクレオチドがコードするタンパク質を製造する方法。
【請求項6】
下記工程(I)を含む、請求項4に記載の形質転換体の細胞外から細胞内へのエラグ酸の取り込みを促進する方法。
工程(I):請求項4に記載の形質転換体をエラグ酸と接触させる工程。
【請求項7】
下記工程(I)を含む、ウロリチンM5の製造方法:
工程(I):請求項4に記載の形質転換体であって、その宿主がエラグ酸からウロリチンM5を生成する能力を有する微生物である、形質転換体を、エラグ酸に接触させ、エラグ酸からウロリチンM5を生成する工程。
【請求項8】
下記工程(I)を含む、ウロリチンCの製造方法:
工程(I):請求項4に記載の形質転換体であって、その宿主がエラグ酸からウロリチンCを生成する能力を有する微生物である、形質転換体を、エラグ酸に接触させ、エラグ酸からウロリチンCを生成する工程。
【請求項9】
下記工程(I)及び(II)を含む、ウロリチンAの製造方法:
工程(I):請求項4に記載の形質転換体であって、その宿主がエラグ酸からウロリチンCを生成する能力を有する微生物である、形質転換体を、エラグ酸に接触させ、エラグ酸からウロリチンCを生成する工程。
工程(II):ウロリチンCからウロリチンAを生成する能力を有する微生物に、前記ウロリチンCからウロリチンAを生成させる工程。
【請求項10】
配列番号29で表されるアミノ酸配列を含む、又は、配列番号31で表されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ウロリチン類の水酸基を脱水酸化する酵素に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
ウロリチンAやウロリチンCに代表されるウロリチン類は、ザクロ、ラズベリー、ブラックベリー、クラウドベリー、イチゴ、クルミなどのベリー類等に含まれるエラジタンニン等に由来するエラグ酸の腸内代謝物として知られている。
【0003】
これらのウロリチン類を合成する方法としては、2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸を出発原料として脱メチル化によって2-ブロモ-5-ヒドロキシ安息香酸とし、レゾルシノールと反応させることによってウロリチンAを得る方法などが報告されている(非特許文献1)。しかし、ウロリチン類を機能性食品(飲料、サプリメントを含む。)の素材として利用するには、このような化学合成法は適さない。
【0004】
一方、エラジタンニンやエラグ酸は体内に摂取された後、腸内微生物叢によって代謝されてウロリチン類に変換されることが知られている。近年、ウロリチン類の一種であるウロリチンCをエラグ酸から生成する腸内細菌としてゴルドニバクター・ウロリチンファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)に属する微生物、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する微生物が見出され、これらの腸内細菌を用
い、エラグ酸の発酵によりウロリチンCを産生する方法が報告されている(特許文献1、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開2014/147280号
【非特許文献】
【0006】
J. Agric. Food Chem., 56, 393-400 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の課題は、少なくとも、所定の位置に水酸基を有するウロリチン類の該位置の水酸基を脱水酸化する酵素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ゴルドニバクター・ウロリチンファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)の特定の菌株のプロテオーム解析により、エラグ酸を含まない培地で培養した場合よりもエラグ酸を含む培地で培養した場合の方が、発現量が顕著に大きいタンパク質が存在することを発見した。
更に、所定の菌株より4位に水酸基を有するウロリチン類の該4位の水酸基を脱水酸化する反応を触媒する酵素を精製し、プロテオーム解析を行った結果、得られた精製酵素が、エラグ酸を含む培地で培養した場合に発現量が顕著に増加したタンパク質の一部と一致することが分かり、該酵素をコードする遺伝子を異種の微生物に導入することにより、該酵素の発現に成功し、該遺伝子の機能を特定することができた。
また、該酵素をコードする遺伝子のゲノム周辺には、該遺伝子と相同性を有し、10位に水酸基を有するウロリチン類の該10位の水酸基を脱水酸化する反応を触媒する酵素をコードする遺伝子をはじめ、エラグ酸のラクトンを加水分解しウロリチンM5を生成する
エラグ酸ラクトナーゼをコードする遺伝子、ウロリチントランスポーターをコードする遺伝子が存在することを見出した。
本開示は下記の態様を含む。
【0009】
〔1〕下記(1)及び(2)の性質を有する酵素。
(1)ウロリチン類の4位の水酸基を脱水酸化する。
(2)メチルビオロゲン(MV)存在下に、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、及びフラビンアデニンモノヌクレオチド(FMN)から成る群から選択される一又はそれ以上で活性化される。
〔2〕下記(3)及び(4)の性質を有する、〔1〕に記載の酵素。
(3)至適pHが5.5以上7.5以下である。
(4)SDS-PAGEの結果において、分子量として81,000以上99,000以下を示すバンドが含まれる。
〔3〕下記(5)の性質を有する、〔1〕又は〔2〕に記載の酵素。
(5)至適温度が37℃以上50℃以下である。
〔4〕ゴルドニバクター(Gordonibacter)属に属する微生物に由来する、〔1〕~〔3
〕のいずれかに記載の酵素。
〔5〕前記ゴルドニバクター(Gordonibacter)属に属する微生物が、ゴルドニバクター
・ウロリチンファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)に属する微生物、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する微生物、及びゴルドニ
バクター・フェシホミニス(Gordonibacter faecihominis)に属する微生物から成る群から選択される一又はそれ以上である、〔4〕に記載の酵素。
〔6〕配列番号1で表されるアミノ酸配列、及び配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、又は、
配列番号13で表されるアミノ酸配列、及び配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む、
〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の酵素。
〔7〕配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む、又は、
配列番号13で表されるアミノ酸配列を含む、配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む、及び配列番号15で表されるアミノ酸配列を含む、
〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の酵素。
〔8〕配列番号7で表される塩基配列、及び配列番号8で表される塩基配列を含む、又は、
配列番号19で表される塩基配列、及び配列番号20で表される塩基配列を含む、
ポリヌクレオチド。
〔9〕配列番号7で表される塩基配列、配列番号8で表される塩基配列、及び配列番号9で表される塩基配列を含む、又は、
配列番号19で表される塩基配列、配列番号20で表される塩基配列、及び配列番号21で表される塩基配列を含む、
ポリヌクレオチド。
〔10〕〔8〕又は〔9〕に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【0010】
〔11〕〔8〕又は〔9〕に記載のポリヌクレオチドを発現可能に保持した、又は〔10〕に記載のベクターを発現可能に保持した、形質転換体。
〔12〕宿主がロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物である、〔11〕に記載
の形質転換体。
〔13〕〔11〕又は〔12〕に記載の形質転換体を培養する工程を含む、〔8〕又は〔9〕に記載のポリヌクレオチドがコードするタンパク質を製造する方法。
〔14〕下記工程(I)を含む、ウロリチン類の4位の水酸基を脱水酸化する方法:
工程(I):下記(i)乃至(iv)から選択される一又はそれ以上を、4位に水酸基を有するウロリチン類に接触させ、4位の水酸基を脱水酸化する工程。
(i)〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の酵素;
(ii)〔8〕又は〔9〕に記載のポリヌクレオチドがコードするタンパク質;
(iii)前記(i)に記載の酵素を、又は前記(ii)に記載のタンパク質を産生する微生物;
(iv)前記(iii)に記載の微生物の処理物。
〔15〕前記ウロリチン類が、ウロリチンM5、ウロリチンD、又はウロリチンEであり、
前記ウロリチン類の4位の水酸基が脱水酸化されて生成する生成物が、それぞれ、ウロリチンM6、ウロリチンC、及びウロリチンM7である、
〔14〕に記載の方法。
〔16〕下記(1)及び(2)の性質を有する酵素。
(1)ウロリチン類の10位の水酸基を脱水酸化する。
(2)メチルビオロゲン(MV)存在下に、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、及びフラビンアデニンモノヌクレオチド(FMN)から成る群から選択される一又はそれ以上で活性化される。
〔17〕下記(3)及び(4)の性質を有する、〔16〕に記載の酵素。
(3)至適pHが5.0以上7.0以下である。
(4)至適温度が37℃以上42℃以下である。
〔18〕ゴルドニバクター(Gordonibacter)属に属する微生物に由来する、〔16〕又
は〔17〕に記載の酵素。
〔19〕前記ゴルドニバクター(Gordonibacter)属に属する微生物が、ゴルドニバクタ
ー・ウロリチンファシエンス(Gordonibacter urolithinfaciens)に属する微生物、ゴルドニバクター・パメラエアエ(Gordonibacter pamelaeae)に属する微生物、及びゴルド
ニバクター・フェシホミニス(Gordonibacter faecihominis)に属する微生物から成る群から選択される一又はそれ以上である、〔18〕に記載の酵素。
〔20〕配列番号4で表されるアミノ酸配列、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列を含む、又は、
配列番号16で表されるアミノ酸配列、及び配列番号17で表されるアミノ酸配列を含む、
〔16〕~〔19〕のいずれかに記載の酵素。
(【0011】以降は省略されています)

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