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公開番号2025090067
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-17
出願番号2023205044
出願日2023-12-05
発明の名称高耐食性のNi合金
出願人山陽特殊製鋼株式会社
代理人弁理士法人有古特許事務所
主分類C22C 27/06 20060101AFI20250610BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】高温環境下における耐食性に優れたNi合金の提供。
【解決手段】Ni合金は、Si、C、B、Co、Mo,Mn、Cr及びFeを含有する。C及びBの合計含有率は2.3質量%以下であり、Co、C及びBの合計含有率は10.2質量%以下であり、B及びSiの合計含有率は0.1質量%を超えて2.5質量%未満である。このNi合金の金属組織は、複数の結晶粒と、Cr23C6晶出物を含む粒界とを有する、多結晶組織である。それぞれの結晶粒の内部は、Si、C、B、Co、Mo、Mn又はFeが固溶したNiCrマトリックスと、このマトリックスに分散したCr23C6晶出物とを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
Si:0.5質量%以上2.0質量%以下、
C:0.2質量%以上1.5質量%以下、
B:0.1質量%以上0.9質量%以下、
Co:0.1質量%以上8.0質量%以下、
Mo:0.1質量%以上2.0質量%以下、
Mn:0.1質量%以上1.0質量%以下、
Cr:50.0質量%以上60.0質量%以下、
及び
Fe:0.1質量%以上1.0質量%以下
を含有しており、
残部が、Ni及び不可避的不純物であり、
C及びBの合計含有率が、2.3質量%以下であり、
Co、C及びBの合計含有率が、10.2質量%以下であり、
B及びSiの合計含有率が、0.1質量%を超えて2.5質量%未満である、高耐食性のNi合金であって、
上記Ni合金の金属組織が、複数の結晶粒と、Cr
23


晶出物を含む粒界とを有する、多結晶組織であり、
それぞれの結晶粒の内部が、Si、C、B、Co、Mo、Mn又はFeが固溶したNiCrマトリックスと、このマトリックスに分散したCr
23


晶出物とを含む、
高耐食性のNi合金。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
Cr
23


晶出物のサイズが5μm以下である、請求項1に記載のNi合金。
【請求項3】
上記金属組織がホウ化物及び複ホウ化物を含まない、請求項1又は2に記載のNi合金。
【請求項4】
その固相線温度が1200℃以上である、請求項1又は2に記載のNi合金。
【請求項5】
その材質がNi合金である、高耐食性の粉末であって、
上記Ni合金が、
Si:0.5質量%以上2.0質量%以下、
C:0.2質量%以上1.5質量%以下、
B:0.1質量%以上0.9質量%以下、
Co:0.1質量%以上8.0質量%以下、
Mo:0.1質量%以上2.0質量%以下、
Mn:0.1質量%以上1.0質量%以下、
Cr:50.0質量%以上60.0質量%以下、
及び
Fe:0.1質量%以上1.0質量%以下
を含有しており、
残部が、Ni及び不可避的不純物であり、
C及びBの合計含有率が、2.3質量%以下であり、
Co、C及びBの合計含有率が、10.2質量%以下であり、
B及びSiの合計含有率が、0.1質量%を超えて2.5質量%未満であり、
上記Ni合金の金属組織が、複数の結晶粒と、Cr
23


晶出物を含む粒界とを有する、多結晶組織であり、
それぞれの結晶粒の内部が、Si、C、B、Co、Mo、Mn又はFeが固溶したNiCrマトリックスと、このマトリックスに分散したCr
23


晶出物とを含む、
高耐食性の粉末。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書は、耐食性が要求される用途に適したNi合金を開示する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
金属製品の表面に皮膜が形成される方法として、溶射法、肉盛溶接法、遠心鋳造法等が知られている。この皮膜には、Ni基自溶合金が適している。特開2015-143372公報には、Si及びBを含有するNi基自溶合金が開示されている。
【0003】
一般的なNi基自溶合金では、B及びSiが多く添加されている。B及びSiは、酸化されやすい。皮膜が1000-1100℃程度の熱処理に供されることで、Bの一部がB



となり、Siの一部がSiO

となる。この熱処理によって皮膜中の金属酸化物及び皮膜表面の金属酸化物が溶解され、ほうけい酸ガラスが生じ、スラグのように皮膜の表面に浮上する。この熱処理によって形成される皮膜では、酸化物及び気孔が極めて少ない。この皮膜は、緻密である。
【0004】
この皮膜の硬度は、15-60HRC(200-700HV)程度である。この皮膜は、1.0-4.5質量%のBと、1.5-5.0質量%のSiとを含有している。この皮膜では、そのサイズが数十μm以上である粗大な炭化物及びホウ化物が晶出している。これらの炭化物及びホウ化物は、皮膜の硬さ及び耐摩耗性に寄与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-143372公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カーボンニュートラル政策により、従来と異なった使用環境が求められる場合も多々存在する。そのような多種多様な用途・使用環境変化のため、要求される特性も耐食性に特化、あるいは耐摩耗性に特化、または耐割れ性・高靭性に特化など、要求される必要特性も使用環境も多種多様であり、従来材では対応できなくなっている。例えば、従来材は、必ずB、Siを含有しており、それら元素は必須であったため、必ず硬質な硼化物や珪化物は晶出し、硬さや耐摩耗性には効果的な役割を果すことができた。一方で、硬さや耐摩耗性よりも耐割れ性や高靭性が必要となるところにおいては、Cr含有量を下げることで、それらの硬質相の晶出を抑えたSFNi1(15-30HRC)、SFNi2(30-40HRC)、SFNi3(40~50HRC)等で対応してきた。
【0007】
しかしながら、さらに高温での使用になると、従来は有利に働いていたBやSiの効果が不利に働くこともある。多量のSi及びBを含むNi基自溶合金が高温環境下におかれると、低融点成分が優先的に流れてしまい、後に高融点成分が残る現象が生じる。この現象は、「溶け分かれ」と称される。溶け分かれが生じた合金では、低融点成分(擬三元共晶部分)が溶けて流れてしまうため、組織の形態が維持され得ない。そのため、従来のNi基自溶合金は、高温環境下(例えば、1100℃以上)の用途には適していない。
【0008】
さらに、多量のBを含むNi基自溶合金は、このBが、ホウ化物、Cr-Mo-B系複ホウ化物等の析出物を生成させる。それらは硬さに寄与する。また、それらのサイズは耐摩耗性に寄与する。従来材は、Bが多量に含有しているため、数十μm以上もの粗大なものとなる。そのため、硬さや耐摩耗性には優れていても、この析出物とマトリックスとの境界において、電位差に起因する局部腐食が生じやすい。粗大析出物のため、析出物とマトリックスの境界の組成濃淡がはっきりしており、析出物とマトリックスの電位差が長期にわたり維持されることで腐食は進行する。そのため、従来のNi基自溶合金では、高温環境下での耐食性は、不十分である。
【0009】
本出願人の意図するところは、高温環境下における耐食性に優れたNi合金の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書が開示する高耐食性のNi合金は、
Si:0.5質量%以上2.0質量%以下、
C:0.2質量%以上1.5質量%以下、
B:0.1質量%以上0.9質量%以下、
Co:0.1質量%以上8.0質量%以下、
Mo:0.1質量%以上2.0質量%以下、
Mn:0.1質量%以上1.0質量%以下、
Cr:50.0質量%以上60.0質量%以下、
及び
Fe:0.1質量%以上1.0質量%以下
を含有する。残部は、Ni及び不可避的不純物である。C及びBの合計含有率は、2.3質量%以下である。Co、C及びBの合計含有率は、10.2質量%以下である。B及びSiの合計含有率は、0.1質量%を超えて2.5質量%未満である。このNi合金の金属組織は、複数の結晶粒と、Cr
23


晶出物を含む粒界とを有する、多結晶組織である。それぞれの結晶粒の内部は、Si、C、B、Co、Mo、Mn又はFeが固溶したNiCrマトリックスと、このマトリックスに分散したCr
23


晶出物とを含む。
(【0011】以降は省略されています)

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