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公開番号2025090050
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-17
出願番号2023205015
出願日2023-12-05
発明の名称ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08G 75/0254 20160101AFI20250610BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】
高分子量、高粘度で反応性が高く、灰分率の低いポリアリーレンスルフィドおよびその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】
重量平均分子量が30,000以上90,000以下、分子量分布曲線において分子量3,000以下の累積積分値が5.0%以上10.0%以下、ASTM D 1238-70に準拠し、315.5℃、5,000g荷重の条件下で測定したメルトフローレートが50[g/10分]以上400[g/10分]以下、酸量が25[μmol/g]以上50[μmol/g]以下、灰分率が0.10重量%以下であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
重量平均分子量が30,000以上90,000以下であり、分子量分布曲線において分子量3,000以下の累積積分値が5.0%以上10.0%以下であり、ASTM D 1238-70に準拠し、315.5℃、5,000g荷重の条件下で測定したメルトフローレートが50[g/10分]以上400[g/10分]以下であり、酸量が25[μmol/g]以上50[μmol/g]以下であり、灰分率が0.10重量%以下であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
有機極性溶媒中、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物とアルカリ金属カルボン酸塩の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、少なくとも下記の工程1~4を行うことを特徴とする、請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:有機極性溶媒中、アルカリ金属カルボン酸塩の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの重合工程。
工程2:重合反応の終了時に得られた混合物から有機極性溶媒を留去させてポリアリーレンスルフィドを含む固形物を得る工程。
工程3:工程2に次いで、ポリアリーレンスルフィドを含む固形物を水で洗浄した後、酸処理する工程。
工程4:工程3に次いで、ポリアリーレンスルフィドを有機溶媒で洗浄する工程。
【請求項3】
工程1において、スルフィド化剤1.00モルに対してアルカリ金属カルボン酸塩を0.25mol以上0.40mol以下存在させ反応させることを特徴とする請求項2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項4】
工程3において、酸処理を150℃以上でおこなうことを特徴とする請求項2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項5】
工程3において、酸の量がポリアリーレンスルフィドに対して5.0モル%以上20.0モル%以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項6】
工程4において、ポリアリーレンスルフィドを70℃以上で15分以上洗浄することを特徴とする請求項2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【請求項7】
工程4において、洗浄後の洗浄用有機溶媒の濃度が80%以上である請求項2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子量、高粘度で反応性が高く、灰分率が少ないポリアリーレンスルフィド、およびその生産性に優れた製造方法を提供する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記することがある)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記することがある)は、優れた耐熱性、ガスバリア性、成形性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として各種電気・電子部品、機械部品、自動車部品、フィルム、繊維などに使用されている。PASはその優れた特性ゆえに、近年使用される用途が広がっている。これら用途に使用されるPASは優れた機械物性のために高粘度・高分子量PASであることが求められている。また、結晶化温度の観点から低い灰分率を兼ね備えたPASが強く求められてきた。
【0003】
特許文献1では、重合時に助剤として水を加え、徐冷することで粒子状のPAS樹脂を回収する方法(クエンチ法)が示されている。得られるPAS樹脂は高分子量化が進み、灰分も少なく結晶化速度が速く、成形時の揮発ガスも少ないPAS樹脂が開示されている。特許文献2では助剤として脂肪族系環状化合物の加水分解物のアルカリ金属塩(SMAB)を用いて重合し、急冷して晶析したPAS樹脂を回収する方法が示されている。この方法では高分子量かつ反応性に優れたPAS樹脂が得られることが開示されている。特許文献3では、重合後高温下で溶媒を揮発させPAS樹脂を回収し(フラッシュ法)、回収したPAS樹脂を溶媒で洗浄する方法が示されている。この方法ではオリゴマー成分が少なく、成形時の発生ガス量や金型汚れが低減され反応性も高いPAS樹脂が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-139076号公報
特開2017-095562号公報
国際公開第2021/200332号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のクエンチ法では徐冷して晶析、濾過する方法上、酸基を多く含む比較的低分子量の成分が回収できず、得られるPAS樹脂の酸量が低下することで反応性が低下する。加えて、PAS樹脂の収率が下がり重合釜の占有時間も長いため生産性が低く経済性が悪い。また、特許文献2に記載の方法で得られたPAS樹脂は、灰分量が多く、結晶性が低下し成形性や強度に悪影響がある。特許文献3に記載の方法で得られたPAS樹脂は、高分子量化が不十分であり、灰分量も多いため機械強度や結晶性などに問題がある。
【0006】
このように、先行技術ではPASの高分子量化、灰分量の低減などが不十分であり、高い機械強度、高い結晶性、高い反応性を同時に解決し、生産性が高く経済的にも優れる方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、極性溶媒中でスルフィド化剤と所定量のジハロゲン化芳香族化合物を所定量のアルカリ金属カルボン酸塩の重合助剤存在下で反応させる重合工程終了後に、特定の条件での洗浄を行うことで、高い分子量、高い粘度、高い酸量、および低い灰分率を兼ね備えたPASを得られることを見出し、本発明に至った。
1.重量平均分子量が30,000以上90,000以下であり、分子量分布曲線において分子量3,000以下の累積積分値が5.0%以上10.0%以下であり、ASTM D 1238-70に準拠し、315.5℃、5,000g荷重の条件下で測定したメルトフローレートが50[g/10分]以上400[g/10分]以下であり、酸量が25[μmol/g]以上50[μmol/g]以下であり、灰分率が0.10重量%以下であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド。
2.有機極性溶媒中、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属水酸化物とアルカリ金属カルボン酸塩の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、少なくとも下記の工程1~4を行うことを特徴とする、上記1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:有機極性溶媒中、アルカリ金属カルボン酸塩の存在下で反応させるポリアリーレンスルフィドの重合工程。
工程2:反応の終了時に得られた混合物から有機極性溶媒を留去させてポリアリーレンスルフィドを含む固形物を得る工程。
工程3:工程2に次いで、ポリアリーレンスルフィドを含む固形物を水で洗浄した後、酸処理する工程。
工程4:工程3に次いで、ポリアリーレンスルフィドを有機溶媒で洗浄する工程。
3.工程1において、スルフィド化剤1.00モルに対してアルカリ金属カルボン酸塩を0.25mol以上0.40mol以下存在させ反応させることを特徴とする上記2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
4.工程3において、酸処理を150℃以上でおこなうことを特徴とする上記2または3に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
5.工程3において、酸の量がポリアリーレンスルフィドに対して5.0モル%以上20.0モル%以下であることを特徴とする上記2から4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
6.工程4において、ポリアリーレンスルフィドを70℃以上で15分以上洗浄することを特徴とする上記2から5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
7.工程4において、洗浄後の洗浄用有機溶媒の濃度が80%以上である上記2から6のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば高分子量、高粘度で、反応性が高く、灰分率の低いポリアリーレンスルフィドを生産効率良く得ることができ、係るポリアリーレンスルフィドは高い機械強度、高い結晶性、高い反応性を発現する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
[PASの特徴]
本発明のPASは、重量平均分子量が30,000以上90,000以下であり、分子量分布曲線において分子量3,000以下の累積積分値が5.0%以上10.0%以下であり、ASTM D 1238-70に準拠し、315.5℃、5,000g荷重の条件下で測定したメルトフローレートが50[g/10分]以上400[g/10分]以下であり、酸量が25[μmol/g]以上50[μmol/g]以下であり、灰分が0.10重量%以下であることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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