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公開番号2025088546
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-11
出願番号2023203320
出願日2023-11-30
発明の名称インクジェット記録用水系インク
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類C09D 11/326 20140101AFI20250604BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】保存安定性に優れ、かつ、低吸液性記録媒体への記録においても画像濃度に優れる記録物を得ることができる、インクジェット記録用水系インク、該水系インクの製造方法、及び該水系インクを用いるインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】水不溶性ポリマー(a)で分散された顔料粒子(A)、界面活性剤(I)と水不溶性ポリマー(b)とで分散されたワックス粒子(B)、水溶性有機溶剤(C)、及び水を含有する、インクジェット記録用水系インクであって、該界面活性剤(I)が、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である、インクジェット記録用水系インク、該水系インクの製造方法、及び該水系インクを用いるインクジェット記録方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
水不溶性ポリマー(a)で分散された顔料粒子(A)、界面活性剤(I)と水不溶性ポリマー(b)とで分散されたワックス粒子(B)、水溶性有機溶剤(C)、及び水を含有する、インクジェット記録用水系インクであって、
該界面活性剤(I)が、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である、インクジェット記録用水系インク。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項3】
前記水不溶性ポリマー(b)が、カルボキシ基含有ビニルモノマー(bー1)由来の構成単位と疎水性ビニルモノマー(bー2)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項4】
前記水不溶性ポリマー(b)が、前記ビニル系ポリマーを架橋剤で架橋したポリマーである、請求項3に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項5】
前記カルボキシ基含有ビニルモノマー(bー1)が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる1種以上である、請求項3又は4に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項6】
前記疎水性ビニルモノマー(bー2)が、炭素数1以上22以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である、請求項3~5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項7】
前記水不溶性ポリマー(b)の含有量に対する前記界面活性剤(I)の含有量の質量比[界面活性剤(I)/水不溶性ポリマー(b)]が0.20以上1.80以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項8】
前記ワックス粒子(B)を構成するワックス(w)の含有量に対する前記界面活性剤(I)の含有量の質量比[界面活性剤(I)/ワックス(w)]が0.10以上1.00以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項9】
前記ワックス粒子(B)を構成するワックス(w)の含有量に対する水不溶性ポリマー(b)の含有量の質量比[水不溶性ポリマー(b)/ワックス(w)]が0.10以上1.00以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項10】
前記ワックス粒子(B)を構成するワックス(w)の融点が80℃以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水系インク、該水系インクの製造方法、及び該水系インクを用いるインクジェット記録方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録媒体に直接吐出し、付着させて、文字や画像が形成された記録物を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録媒体として普通紙が使用可能、記録媒体に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
近年ではデジタル印刷の普及により、民生用印刷に留まらず、低吸液性の多種多様なコート紙を用いた商業印刷及び産業印刷への利用が進んでおり、印刷速度の高速化と高画質化、さらには環境負荷低減を目的として水系インクの需要がますます高まっている。そこで、このような要求に対応するために、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像の転写性と堅牢性とを両立したインクジェット記録方法の提供を目的として、転写体上に、高粘度化成分を含む反応液を付与する工程と、水及び色材を含むインクを付与する工程とを経ることにより、水と高沸点水溶性有機溶剤とを含む液体成分と、該反応液と該インクとが混合して形成された前記液体成分に不溶の固形分とを含む第一画像形成工程と、第一画像に多孔質体を接触させて第一画像に含まれる液体成分の一部が除去された第二画像を形成する工程と、第二画像を加熱して記録媒体上に転写する転写工程とを繰り返し行う方法であって、第一画像及び第二画像を特定の条件で温度管理するインクジェット記録方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-144736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、一般に、低吸液性の記録媒体にインクジェット記録方式により水系インクを付与すると、記録後に記録媒体の表面に多くの顔料が残存するため、インク塗膜表面から顔料が剥離し易くなる。そこで、水系インク中にワックスを含有させることにより、擦過時のインク塗膜の摩擦抵抗を低下させ、画像堅牢性を高めることが提案されている。
一方で、ワックスは疎水性が高く、水系インク中では凝集し易く、ワックスの分散安定性を向上させて、インクの保存安定性を向上させる必要がある。
特許文献1では、水及び色材を含むインクが更にワックス粒子を含むことが開示され、実施例ではワックスの分散剤として樹脂を用いたワックス粒子分散体を配合したインクが開示されているが、インクの保存安定性が満足できるものではなく、得られる記録物の画像濃度も不十分であることが判明した。
本発明は、保存安定性に優れ、かつ、低吸液性記録媒体への記録においても画像濃度に優れる記録物を得ることができる、インクジェット記録用水系インク、該水系インクの製造方法、及び該水系インクを用いるインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、水不溶性ポリマーで分散された顔料粒子、及び特定の界面活性剤と水不溶性ポリマーとで分散されたワックス粒子を水系インク中に含有させることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[3]に関する。
[1]水不溶性ポリマー(a)で分散された顔料粒子(A)、界面活性剤(I)と水不溶性ポリマー(b)とで分散されたワックス粒子(B)、水溶性有機溶剤(C)、及び水を含有する、インクジェット記録用水系インクであって、
該界面活性剤(I)が、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である、インクジェット記録用水系インク。
[2]前記[1]に記載の水系インクを用いて記録媒体に記録する、インクジェット記録方法。
[3]前記顔料粒子(A)の水分散体、前記ワックス粒子(B)の水分散体、及び前記水溶性有機溶剤(C)を混合する工程を含む、前記[1]に記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保存安定性に優れ、かつ、低吸液性記録媒体への記録においても画像濃度に優れる記録物を得ることができる、インクジェット記録用水系インク、該水系インクの製造方法、及び該水系インクを用いるインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[インクジェット記録用水系インク]
本発明のインクジェット記録用水系インク(以下、単に「水系インク」又は「インク」ともいう)は、水不溶性ポリマー(a)で分散された顔料粒子(A)、界面活性剤(I)と水不溶性ポリマー(b)とで分散されたワックス粒子(B)、水溶性有機溶剤(C)、及び水を含有し、該界面活性剤(I)が、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である。
本発明において「水系」とは、媒体中で、水が質量比で最大割合を占めていることを意味する。
本発明において「ワックス」とは、室温(25℃)で固体又は半固体であって加熱により液体となる有機物を意味する。ここで、「ワックスが半固体である」とは、ワックスに力がかかると変形して流動するが、ワックスに力がかからない状態では一定の形状を保持できることを意味する。また、ワックスが加熱により液体となる温度、いわゆるワックスの融点は、45℃以上の温度領域に存在する。
また、「低吸液性」とは、低吸液性、非吸液性を含む概念であり、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量が0g/m
2
以上10g/m
2
未満であることを意味し、「高吸液性」とは、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量が10g/m
2
以上のものを指し、該吸水量は、自動走査吸液計(例えば、熊谷理機工業(株)製 KM500win)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下で、純水の接触時間100m秒における転移量として測定できる。
【0009】
本発明によれば、水系インクの保存安定性に優れ、かつ、低吸液性記録媒体への記録においても画像濃度に優れる記録物を得ることができる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明においては、ワックスを、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤と水不溶性ポリマーとで分散されたワックス粒子の形態で水系インク中に含有させる。このような形態のワックス粒子は、水溶性有機溶剤を含有するような水系インクにおいても、ワックス表面からの前記界面活性剤の脱着を抑制することができ、また、前記ノニオン性界面活性剤が有する親水性基の立体的な反発作用又は前記アニオン性界面活性剤が有するアニオン性基の静電的な反発作用と前記水不溶性ポリマー同士の立体的な反発作用とにより、ワックス粒子の分散安定性を向上させ、保存安定性を向上させることができると考えられる。
また、水不溶性ポリマーのワックス粒子への吸着が不十分であることに起因して水不溶性ポリマーによるワックス粒子の分散安定性の向上効果が十分に発揮されない場合であっても、低分子の界面活性剤によりワックス粒子の分散安定性の向上効果を補うことができるため、ワックス粒子の粗大化を抑制することができると考えられる。さらに、顔料粒子及びワックス粒子のいずれもが水不溶性ポリマーで分散されてなるため、ワックス粒子の表面状態と顔料粒子の表面状態とを近い状態にすることができ、それによりヘテロ凝集を抑制することができると考えられる。その結果、保存安定性を向上させることができ、また、低吸液性記録媒体への記録においても、良好な平滑性を有するインク塗膜を形成することができ、乱反射を抑制することができるため、高い画像濃度を有する記録物を得ることができると考えられる。
【0010】
<水不溶性ポリマー(a)で分散された顔料粒子(A)>
本発明の水系インクは、顔料の分散安定性を向上させ、保存安定性及び画像濃度を向上させる観点から、水不溶性ポリマー(a)で分散された顔料粒子(A)(以下、「顔料粒子(A)」ともいう)を含有する。
本発明の水系インク中の顔料粒子(A)の形態は、顔料及び水不溶性ポリマー(a)から構成されていればよく、水不溶性ポリマー(a)が顔料を内包(カプセル化)した形態、水不溶性ポリマー(a)中に顔料が均一に分散された形態、水不溶性ポリマー(a)の粒子の表面から顔料が露出した形態、水不溶性ポリマー(a)が顔料に吸着している形態、及びこれらの混合物等が含まれる。
(【0011】以降は省略されています)

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