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公開番号2025086517
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-09
出願番号2023200540
出願日2023-11-28
発明の名称インクジェット印刷用水系インク
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類C09D 11/322 20140101AFI20250602BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】低吸液性印刷基材への印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性及び耐擦過性)及びベタ埋まり性に優れるインクジェット印刷用水系インク及び該水系インクを用いるインクジェット印刷方法を提供する。
【解決手段】低吸液性印刷基材へのインクジェット印刷用水系インクであって、該水系インクが、顔料、顔料分散剤、定着用樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、該定着用樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂であり、該水溶性有機溶剤がアルキレングリコールアルキルエーテルを含む、インクジェット印刷用水系インク、及び、該水系インクを用いて、低吸液性印刷基材に印刷する、インクジェット印刷方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
低吸液性印刷基材へのインクジェット印刷用水系インクであって、
該水系インクが、顔料、顔料分散剤、定着用樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、
該定着用樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂であり、
該水溶性有機溶剤がアルキレングリコールアルキルエーテルを含む、インクジェット印刷用水系インク。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記アルキレングリコールアルキルエーテルのアルキル基の炭素数が2以上4以下である、請求項1に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項3】
前記水溶性有機溶剤総量中のアルキレングリコールアルキルエーテルの含有量が3質量%以上50質量%以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項4】
前記定着用樹脂として、酸価が13mgKOH/g以上30mgKOH/g以下の酸変性ポリオレフィン樹脂のエマルションを配合してなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項5】
さらに、ワックスを含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項6】
前記ワックスがポリオレフィンワックスである、請求項5に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項7】
前記顔料の形態が、前記顔料分散剤として顔料分散樹脂で分散されてなる形態である、請求項1~6のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項8】
前記顔料分散樹脂及び前記定着用樹脂の合計含有量に対する該定着用樹脂の含有量の質量比[定着用樹脂/(顔料分散樹脂+定着用樹脂)]が0.50以上0.85以下である、請求項7に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項9】
合成樹脂を低吸液性印刷基材とする印刷に用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用水系インク。
【請求項10】
前記合成樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びポリエチレンテレフタレート樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、請求項9に記載のインクジェット印刷用水系インク。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷用水系インク、及び該水系インクを用いるインクジェット印刷方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式を用いる印刷方法は、微細なノズルからインク液滴を吐出し、直接印刷基材に付着させて、文字や画像が記録された印刷物等を得る方法である。この印刷方法は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、普通紙やラベル紙、樹脂フィルム等の様々な印刷基材が使用可能であり、印刷基材に対して非接触である等、数多くの利点があるため普及が著しい。特に印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤として顔料を用いるインクが主流となってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、インク非吸収性又は低吸収性の記録基材との密着性が良好であり、耐擦過性に優れた画像が得られる画像記録方法等を提供することを目的として、着色剤と、ポリオレフィン成分を含み、塩素化変性、アクリル変性、及び無水マレイン酸変性から選ばれる変性処理がされたポリマー粒子と、該ポリマー粒子と異なる構造部分を有するポリマー粒子とを含有するインク組成物を用いる画像記録方法等が開示されている。
また、特許文献2には、吐出安定性、乾燥性に優れ、低吸液性記録媒体へのインクジェット記録においても画像堅牢性に優れた記録物を得ることができる水系インクの提供を目的として、有機顔料、融点110℃以上のポリエチレンワックス、有機溶剤、及び水を含有するインクジェット記録用水系インクであって、該有機溶剤が、1,2-プロパンジオール(a)と、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤(b)とを含み、該溶剤(b)の加重平均沸点が160℃以上で、該溶剤(b)のインク中の合計含有量が7質量%以上であり、該有機溶剤の加重平均沸点が190℃以下で、該有機溶剤のインク中の含有量が30質量%以下である、インクジェット記録用水系インク等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2013-193324号公報
特開2022-102163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、広告看板やモビリティの内装外装、そしてプラスチック製品等への印刷を行う産業印刷市場においては、屋内及び屋外にて印刷物が長期間大気に曝露されるため、印刷物の耐久性の観点から、印刷基材として主に合成樹脂が用いられている。一方で、印刷基材として合成樹脂を用いる特有の課題としては、得られる印刷物に対するインク塗膜の基材密着性、特に耐テープ剥離性及び耐擦過性の向上が求められる。一般に、産業印刷市場で使用される合成樹脂は、合成樹脂表面に極性官能基を導入する表面処理が施されておらず、非極性又は低極性の表面を有する合成樹脂であり、水素結合等の極性相互作用が期待できず、基材密着性の向上が課題となる。インク塗膜の耐テープ剥離性及び耐擦過性が不足する場合、長期間の大気曝露により、インク塗膜が合成樹脂から剥がれ、印刷物の美粧性の低下や不正確な情報の掲示を招く恐れがある。そのため、印刷基材として合成樹脂へ印刷する際は、印刷物に対するインク塗膜の基材密着性の向上が強く求められている。特に水系インクを用いて合成樹脂へ印刷する場合、水系インクにより形成されるインク塗膜が合成樹脂に十分に密着する必要がある。また、合成樹脂は、紙の印刷基材とは異なり、その表面が非極性又は低極性の表面のため、水系インクが合成樹脂に対して濡れ性が劣り、得られる印刷物のベタ埋まり性が十分でないといった画質の低下が課題となる。そのため、ベタ埋まり性の改善も求められている。
しかしながら、特許文献1のインク組成物では、合成樹脂等の低吸液性印刷基材へ印刷する際に、合成樹脂に対するインクの耐擦過性及びベタ埋まり性が不十分であることが判明した。
また、特許文献2のインクジェット記録用水系インクでは、合成樹脂等の低吸液性印刷基材への印刷に用いた際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性及び耐擦過性)が不十分であることが判明した。
本発明は、低吸液性印刷基材への印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性及び耐擦過性)及びベタ埋まり性に優れるインクジェット印刷用水系インク及び該水系インクを用いるインクジェット印刷方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、顔料、顔料分散剤、定着用樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクジェット印刷用水系インクであって、該定着用樹脂が酸変性ポリオレフィン樹脂であり、該水溶性有機溶剤がアルキレングリコールアルキルエーテルを含むことにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]及び[2]を提供する。
[1]低吸液性印刷基材へのインクジェット印刷用水系インクであって、
該水系インクが、顔料、顔料分散剤、定着用樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、
該定着用樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂であり、
該水溶性有機溶剤がアルキレングリコールアルキルエーテルを含む、インクジェット印刷用水系インク。
[2]前記[1]に記載の水系インクを用いて、低吸液性印刷基材に印刷する、インクジェット印刷方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低吸液性印刷基材への印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性及び耐擦過性)及びベタ埋まり性に優れるインクジェット印刷用水系インク及び該水系インクを用いるインクジェット印刷方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[インクジェット印刷用水系インク]
本発明のインクジェット印刷用水系インク(以下、単に「水系インク」ともいう)は、低吸液性印刷基材へのインクジェット印刷用であって、該水系インクが、顔料、顔料分散剤、定着用樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、該定着用樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂であり、該水溶性有機溶剤がアルキレングリコールアルキルエーテルを含む。
なお、本発明においては、「成分Xを含有する」とは、「成分Xを配合してなる」ことをも意味する。また、「水系」とは、媒体中で、水が質量基準で最大割合を占めていることを意味する。
また、本発明において、「水溶性有機溶剤」とは、有機溶剤を25℃の水100mLに溶解させたときに、その溶解量が5mL以上である有機溶剤をいう。
また、本明細書において、低吸液性印刷基材の「低吸液性」とは、低吸液性及び非吸液性を含む概念であり、印刷基材と純水との接触時間100m秒における該印刷基材の吸水量が0g/m
2
以上10g/m
2
以下であることを意味する。前記吸水量は、該吸水量は、自動走査吸液計(例えば、熊谷理機工業(株)製「KM500win」)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下で、純水の接触時間100m秒における転移量として測定できる。また、「印刷」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念であり、「印刷物」とは、文字や画像が記録された印刷物、印字物を含む概念である。
【0009】
本発明によれば、低吸液性印刷基材への印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性及び耐擦過性)及びベタ埋まり性に優れる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系インクは、顔料、顔料分散剤、定着用樹脂、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、該定着用樹脂が酸変性ポリオレフィン樹脂であり、該水溶性有機溶剤がアルキレングリコールアルキルエーテルを含む。前記酸変性ポリオレフィン樹脂は、低吸液性印刷基材として用いるポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の合成樹脂との表面自由エネルギーが近い。そのため、本発明の水系インクと合成樹脂との界面での濡れ性が向上し、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の合成樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂の疎水性部位との間にファンデルワールス相互作用を効率的に発現させることができるため、インク塗膜の基材密着性が向上すると考えられる。
また、本発明の水系インクは、疎水性部位としてアルキル基を有するアルキレングリコールアルキルエーテルを含有することで、非極性又は低極性の合成樹脂においても濡れ性を向上させることができ、ベタ埋まり性を向上させることができ、画質に優れる印刷物を得ることができると考えられる。また、本発明の水系インクがアルキレングリコールアルキルエーテルを含有することで、本発明の水系インクと合成樹脂との界面での濡れ性も向上するため、合成樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂の疎水性部位との間にファンデルワールス相互作用を更に効率的に発現させることができ、合成樹脂に対するインク塗膜の基材密着性を更に向上させることができると考えられる。
以下、低吸液性印刷基材への印刷に用いる際に得られる印刷物の、インク塗膜の耐テープ剥離性及び耐擦過性をそれぞれ単に「耐テープ剥離性」及び「耐擦過性」と称し、ベタ埋まり性を単に「ベタ埋まり性」とも称する。
【0010】
<顔料>
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよく、レーキ顔料、蛍光顔料を用いることもできる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックが挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料類;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンツイミダゾロン顔料、スレン顔料等の多環式顔料類が挙げられる。
無彩色インクにおいては、ホワイト、ブラック、グレー等の無彩色顔料を、有彩色インクにおいては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料を用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンから選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルクが挙げられる。
上記の顔料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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