発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、懸濁物サンプルを分画するためのデバイス、およびこのようなデバイスの使用に関する。さらに、本発明はまた、懸濁物サンプルを液相および固相に分画する方法に関する。本発明はまた、溶媒および異なる分子量を有しかつ上記溶媒中に溶解された2またはこれより多くの構成要素を含むサンプルを、上記2またはこれより多くの構成要素に分離するためのデバイスおよび方法に関する。 続きを表示(約 5,600 文字)【背景技術】 【0002】 懸濁物サンプルを異なる相に分離することは、熾烈な研究の対象であり、長年にわたって実践されてきた。ビールもしくはワインの清澄化またはミルクのスキミングは、代表例である。 血液は、水性の液体中に懸濁されている粒状画分のよい例と考えられ得る。全血の、細胞構成要素および血漿構成要素への分画は、多くの生体分析ワークフローの中で重要な工程を構成する。代表的には、これは、上記サンプルを、相当するサンプル採取容器の中で遠心分離することによって達成される。上記細胞構成要素を、遠心力場における密度によって、または凝固に続いて遠心分離によって、液体構成要素から分離した後に、血漿または血清はピペットで操作され、さらに処理される。遠心分離の間に、上記サンプル容器は、遠心分離機の回転軸の周りを動かされる。効果的な遠心力は、加速した沈降および事実上、血液の細胞画分である、いわゆる血餅(blood cake)もしくは血餅(blood cake)の固化を引き起こす。このような沈降した細胞画分の固体性は、血漿または血清のその後の引抜きのために決定的な影響を及ぼす。このような引抜きは、遠心分離チューブを直立位置にしてピペットを使用して行われる。その2相の混合を引き起こすと思われるピペットの先端で細胞画分に接触することは、回避されるべきである。これは、研究室において標準的な手順であるが、対応した実験用遠心分離機および適した実験技術者の存在を必要とする[1]。この方法論のさらなる変形において、血漿および細胞画分の分離を可能にするチキソトロピックゲルで満たされているサンプルチューブがある[2]。しかし、遠心分離なしに分画を達成することは、望ましい。異なるフィルターベースの方法が、文献に記載されている。代表的には、専用フィルターが、細胞構成要素を保持し、血漿液体の通過を可能にするために使用される[3]。細胞は、上記フィルターを塞ぐ傾向にあるので、代替のアプローチが開発されてきた(例えば、沈降支援濾過(sedimentation assisted filtration)[4]、サンプル希釈[5]または接線流およびポンプを使用して膜フィルターまたは中空線維膜を使用することによる[6])。血液サンプルは、非対称孔を有する中空線維を通ってポンプ輸送される。上記血漿は、上記中空線維壁に浸透し、上記中空線維の外側に収集され得る。細胞は、上記膜を透過できず、上記中空線維の内部容積の中に留まる。上記膜に関する接線流が原因で、上記膜穴の詰まりが回避される。上記サンプルを、上記中空線維を通して往き来させることによって、上記細胞画分は富化される、および/または血漿画分が分離され得る。しかし、上記方法は、使用される装置に関してかなりの努力を要し、その使用をかなり大容積のサンプルに制限する幾分顕著な死容積によって特徴づけられる。よって、ミリリットル未満の範囲の小さなサンプルは、この技術を使用して効率的に処理できない。血漿分離のための異なる方法は、濾過膜の下流表面と物理的に接触して配置されている可溶性マトリクスの使用に基づく。上記可溶性マトリクスは、血漿中での上記マトリクスの溶解プロセスを通じて生じた力によって、上記膜を通って受動的に上記サンプルを引き込むために使用される[7]。しかし、このアプローチは、上記マトリクス物質が下流の分析プロセスに干渉しない場合にのみ実現可能である。類似のアプローチは、血液を濾過するために固体モノリスの使用を示す[8]。代表的には、このアプローチにおいて、上記デバイスから血漿のサンプルを得るために、ある緩衝液を添加することが必要である 。この方法の欠点は、得られたサンプルが希釈され、使用される緩衝液によって改変されることである。さらに、概して全てのフィルターベースのアプローチとしてのプロセスは、得られる血漿の容積に関して効率的ではない。微小流体ベースのツールは、血漿分離の目的に適っていることも示されている[9]。しかし、複雑な微小構造の必要性および低い血漿生成収量は、この技術が広く適用されることになることを妨げた。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0003】 Tuck, M.K., et al., Standard operating procedures for serum and plasma collection: early detection research network consensus statement standard operating procedure integration working group. J Proteome Res, 2009. 8(1): p. 113-7. Smith, W.C., Improved method for separating the cellular components of blood samples. 1989, Google Patents. Pall David B, R.E.N.Y.U.S., et al., Device and method for blood separation. | Vorrichtung und Verfahren zur Trennung von Blut. | Dispositif et methode pour la separation du sang. | Device and method for blood separation | Dispositif et methode pour la separation du sang | Vorrichtung und Verfahren zur Trennung von Blut, G.C.N.Y.U.S. Pall Corporation, Editor. 1991: EP. Liu, C., et al., Membrane-based, sedimentation-assisted plasma separator for point-of-care applications. Analytical chemistry, 2013. 85(21): p. 10463-10470. Nakayama, K. and K. Morimoto, Assessment of accuracy of immediate blood separation method: a novel blood analysis strategy. Environ Health Prev Med, 2011. 16(1): p. 1-5. Hagihara Takeaki, O.s.O.k.J.P. and O.s.O.k.J.P. Aoki Satoshi, A compact plasma separator and an apparatus containing the same. | Kompakter Plasmaseparator und Vorrichtung mit einemsolchen Separator. | Separateur compact de plasma et dispositif contenant un tel separateur. | A compact plasma separator and an apparatus containing the same | Separateur compact de plasma et dispositif contenant un tel separateur | Kompakter Plasmaseparator und Vorrichtung mit einem solchen Separator, C.K.T.J.P. Asahi Medical Co. Ltd, Editor. 1993: EP. McNeely Michael Ryan, U.S., AUTOMATIC PLASMA SEPARATION AND METERING | SEPARATION ET DOSAGE AUTOMATIQUES DU PLASMA, U.S.M.M.R.U.S. McNeely Michael Ryan, Editor. 2017: WO. Rueda Ivan, P.C.A.U.S., et al., PROCESSING BLOOD SAMPLES TO DETECT TARGET NUCLEIC ACIDS, C.C.A.U.S.M.I.N.C.U.S.M.I.N.C. Monolythix Inc, Editor. 2017: US. Mukherjee, S., et al., Plasma separation from blood: the 'lab-on-a-chip' approach. Crit Rev Biomed Eng, 2009. 37(6): p. 517-29. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 よって、懸濁物サンプルを異なる相、好ましくは液相および固相に分離/分画するための単純なツールが必要である。 【0005】 溶媒および異なる分子量を有しかつ上記溶媒中に溶解された2種の構成要素を含むサン プルを、上記2種の構成要素に分離するための単純なツールもまた必要である。 【0006】 広い範囲のサンプル容積にわたる相分離のためのツールが、さらに必要である。マイクロリットル範囲にある、すなわち、ごく小さな容積のサンプル(例えば、1ml未満)が利用可能である場合に、懸濁物サンプルの相分離のためのツールが、さらに必要である。 【課題を解決するための手段】 【0007】 第1の局面において、本発明は、溶媒および異なる分子量を有しかつ上記溶媒中に溶解された2種の成分を含むサンプルを、上記2種の構成要素に分離するために、または懸濁物サンプルを液相および固相に分画するために構成されたデバイスであって、上記デバイスは、少なくとも1種のポリマーマトリクス要素を含み、上記ポリマーマトリクス要素は、多孔性ポリマー足場および上記ポリマー足場内の間隙孔空間を含み、上記多孔性ポリマー足場は、上記ポリマーマトリクス要素が、上記デバイスの使用中に曝露される少なくとも1つの外部条件、例えば、pH、温度、塩条件、化学物質の存在または非存在の変化に応答性のポリマーから構成されるデバイスに関する。一実施形態において、上記少なくとも1種のポリマーマトリクス要素は、選択的に(alternatively)、膨張した状態および収縮した状態を可逆的にとる能力を有し、ここで膨張した状態または収縮した状態の可逆的適合は、上記ポリマーマトリクス要素が、上記デバイスの使用中に曝露される少なくとも1つの外部条件の変化に応じて起こる。好ましくは、上記少なくとも1種のポリマーマトリクス要素は、 反復して、 このような膨張した状態および収縮した状態を可逆的にとる能力を有する。 【0008】 一実施形態において、上記デバイスは、少なくとも1個のサンプル容器をさらに含み、上記少なくとも1個のサンプル容器は、上記少なくとも1種のポリマーマトリクス要素を含むかまたは含むように構成され、上記少なくとも1個のサンプル容器は、溶媒および異なる分子量を有しかつ前記溶媒中に溶解された2種の構成要素を含むサンプル、または懸濁物サンプルを受容し得る。上記サンプル容器は、本明細書で使用される場合、異なる構成要素に分離されるかまたは分画される上記サンプルが、分離または分画の前に提供されるかまたは導入される容器である。 【0009】 一実施形態において、上記少なくとも1種のポリマーマトリクス要素は、好ましくはビーズ、球体、小塊、玉、立方体、直方体、ブロック、楕円体、もしくは不規則な形状の本体の形状にある、肉眼で見える独立粒子にあるか、または上記少なくとも1種のポリマーマトリクス要素は、上記デバイス内の基材の表面上に固定化された肉眼で見える本体もしくは層であるかのいずれかである。 【0010】 一実施形態において、上記少なくとも1種のポリマーマトリクス要素は、上記デバイスから切り離し可能もしくは除去可能であるか、または切り離し可能もしくは除去可能であるように構成され、ここで好ましくは、上記少なくとも1種のポリマーマトリクス要素は、使い捨ての1回使い切りポリマーマトリクス要素である。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する