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公開番号2025059910
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-10
出願番号2023170307
出願日2023-09-29
発明の名称電力系統の周波数安定化装置、周波数安定化方法、および、周波数安定化プログラム
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類H02J 3/24 20060101AFI20250403BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】系統事故が発生した場合に、インバータ装置を制御して、電力系統内の慣性の分布の違いにより発生し得る局所的な周波数変動の増大を抑える。
【解決手段】電力系統の周波数安定化装置10は、電気出力を電力系統20に接続すると共に、電力系統20の周波数変動時に、電気出力を10秒以内、好ましくは2秒以内に調整可能な高速周波数応答能力を備えるインバータ装置と、電力系統20に設定した部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標を演算する補正前エリア周波数指標演算部13と、インバータ装置の設置ノード、周波数応答に関するデータ、電力系統20内における高速周波数応答の必要量に関するデータ、および、部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標の演算結果を用いて、インバータ装置の制御量を決定する制御内容決定部16と、部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標が規定範囲以内に収まるか否かを判定する補正後エリア周波数安定性判定部17とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電気出力を電力系統に接続すると共に、当該電力系統の周波数変動時に、前記電気出力を10秒以内、好ましくは2秒以内に調整可能な高速周波数応答能力を備えるインバータ装置と、
前記インバータ装置の位置を基準として、前記電力系統に設定した部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標を演算する補正前エリア周波数指標演算部と、
前記インバータ装置の設置ノード、周波数応答に関するデータ、前記電力系統内における高速周波数応答の必要量に関するデータ、および、前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標の演算結果を用いて、前記インバータ装置の制御量を決定する制御内容決定部と、
前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標が規定範囲以内に収まるか否かを判定する補正後エリア周波数安定性判定部と、
を備えたことを特徴とする電力系統の周波数安定化装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記補正後エリア周波数安定性判定部が、前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標が規定範囲以上と判定した場合に、前記電力系統に対する負荷および発電機の制御量を演算する周波数安定化演算部、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電力系統の周波数安定化装置。
【請求項3】
前記周波数変動の評価指標は、電力系統内の発電機または母線に於ける周波数または周波数変化率(RoCoF:Rate of Change of Frequency)である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力系統の周波数安定化装置。
【請求項4】
前記制御内容決定部は、電力系統の慣性中心周波数を演算し、前記慣性中心周波数と前記補正前エリア周波数指標演算部の演算結果を用いて、前記インバータ装置の制御内容を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電力系統の周波数安定化装置。
【請求項5】
電力系統の慣性中心周波数と前記補正後エリア周波数安定性判定部の結果を用いて、複数の前記インバータ装置の優先順位を決定する制御順位決定部を更に備え、
前記制御内容決定部は、前記制御順位決定部が決定した優先順位に基づいて、制御対象とするインバータ装置および制御量を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電力系統の周波数安定化装置。
【請求項6】
前記制御内容決定部は、前記電力系統に設置された系統設備、前記電力系統における前記インバータ装置の稼働状況、および前記電力系統で計測された慣性に関するデータに基づいて、前記インバータ装置の制御内容を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力系統の周波数安定化装置。
【請求項7】
前記補正前エリア周波数指標演算部、前記制御内容決定部、前記補正後エリア周波数安定性判定部、前記周波数安定化演算部が算出した情報のうち何れかを画面表示する表示部、
を具備することを特徴とする請求項2に記載に電力系統の周波数安定化装置。
【請求項8】
電力系統内の慣性に関するデータに基づいて、補正前エリア周波数指標演算部が、電気出力を10秒以内、好ましくは2秒以内に調整可能な高速周波数応答を備えたインバータ装置の位置を基準として、前記電力系統に設定した部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標を演算するステップと、
制御内容決定部が、前記電気出力を前記電力系統に接続すると共に、当該電力系統の周波数変動時に、前記インバータ装置の設置ノード、周波数応答に関するデータ、前記電力系統内における高速周波数応答の必要量に関するデータ、および、前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標の演算結果を用いて、前記インバータ装置の制御量を決定するステップと、
補正後エリア周波数安定性判定部が、前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標が規定範囲以内に収まるか否かを判定するステップと、
を備えたことを特徴とする電力系統の周波数安定化方法。
【請求項9】
電力系統内の慣性に関するデータに基づいて、電気出力を10秒以内、好ましくは2秒以内に調整可能な高速周波数応答を備えたインバータ装置の位置を基準として、前記電力系統に設定した部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標を演算する手順、
電気出力を前記電力系統に接続すると共に、当該電力系統の周波数変動時に、前記インバータ装置の設置ノード、周波数応答に関するデータ、前記電力系統内における高速周波数応答の必要量に関するデータ、および、前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標の演算結果を用いて、前記インバータ装置の制御量を決定する手順、
前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標が規定範囲以内に収まるか否かを判定する手順、
をコンピュータに実行させるための電力系統の周波数安定化プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の周波数安定化装置、周波数安定化方法、および、周波数安定化プログラムに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
電力系統の周波数は、発電と需要とが時々刻々一致するように制御されることで保たれる。例えば、発電機や需要の停止によって、発電と需要のバランス(需給バランス)が保たれなくなった場合、周波数は変動し、その変動量が一定以上となると、発電機や負荷が系統から切り離され、最悪の場合には大停電に至る場合がある。この際に、回転型発電機が持つ慣性エネルギー(慣性)が大きいほど、周波数の変化は遅くなり、需給バランスを保つ操作のための時間余裕が増え、遮断する負荷(需要)の量を少なくすることが可能となる。また、回転型発電機が持つ同期化力により、複数の発電機が同じ回転速度に補正し合う作用が働くため、電力系統における周波数の動揺を抑えることが可能となる。
【0003】
一方、太陽光発電や風力発電など、近年、導入が拡大している再生可能エネルギー電源の多くは、直流の電力を交流に変換するインバータを介して電力系統に連系される。そのため、回転型発電機が保有している慣性や同期化力を持たない。また、回転型発電機の廃止により、特定の地域にのみ回転型発電機による慣性力が供給される。これにより、電力系統内の慣性の分布は偏る。このように慣性の分布が偏った系統において、慣性の低い時間帯に、災害や落雷による系統事故で発電機が脱落した場合、慣性の低い地域における周波数の変動が他の地域の周波数の変動よりも大きくなり、大停電に至るリスクが懸念されている。
【0004】
これに対し、インバータ型の発電機(インバータ型電源)、蓄電設備、蓄電設備付き自励式無効電力補償装置、および直流送電システム等により、需給アンバランスを解消する方向に有効電力を高速制御する対策が考えられている。以降、本明細書では、系統事故の発生後10秒以内、好ましくは2秒以内に供給される調整力を「高速周波数応答」と呼称する。なお、高速周波数応答の区分には、インバータ型電源に回転型発電機と同様な慣性をもつ動きをさせる、疑似慣性制御による応答が含まれていてもよい。
【0005】
例えば、特許文献1には、ローカル系統や、系統内の各エリアに含まれるインバータ型電源の模擬する慣性力を正しく把握し、系統事故時の模擬慣性力の変化に応じた周波数制御手法が示されている。
また、仮想同期発電機制御により系統周波数の変動を抑制する系統連系インバータにおいて、系統周波数が周波数変動量最大点に到達した後に疑似慣性係数を小さく調整することで、周波数の収束速度を短縮する手法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2023-063791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1に記載の方法では、系統事故時の各エリアのインバータ型電源による模擬慣性の変化量を考慮し、電源遮断量や負荷遮断量を計算して周波数を制御している。しかし、周波数変動の評価指標として、電力系統全体の周波数変化率または周波数最大偏差を用いており、慣性の分布が偏った系統において生じ得るエリアごとの周波数変動の違いについては考慮していない。
例えば、同一系統内にエリアAとエリアBがあり、エリアAにおいてのみ回転型発電機が稼働している場合を仮定する。系統事故によりエリアAの回転型発電機が脱落した場合、慣性の低いエリアBの周波数の変動は、電力系統全体の平均周波数の変動よりも大きくなるリスクがある。この場合、特許文献1の評価手法では、電力系統内のすべてのエリアにおける周波数の安定性を適切に把握できず、エリアBにおいて局所的に生じ得る周波数変動による発電機や負荷の解列を防止できない。
【0008】
一方で、系統周波数が周波数変動量の最大点に到達した後に、疑似慣性係数を小さく調整することで、周波数の収束速度を短縮する方法も考えられる。この方法では、インバータ型電源が接続された母線にて計測された周波数を用いて制御する。このため、電力系統内の慣性の分布やインバータ型電源の立地は考慮しておらず、慣性の低いエリアにおいて発生し得る局所的な周波数変動は抑制できない。
【0009】
そこで、本発明は、インバータ型の発電機、蓄電設備、蓄電設備付き自励式無効電力補償装置、および直流送電システム等が多数接続された電力系統において、系統事故が発生した場合に、電力系統内の慣性の分布の違いにより発生し得る局所的な周波数変動の増大を抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するため、本発明の電力系統の周波数安定化装置は、電気出力を電力系統に接続すると共に、当該電力系統の周波数変動時に、前記電気出力を10秒以内、好ましくは2秒以内に調整可能な高速周波数応答能力を備えるインバータ装置と、前記インバータ装置の位置を基準として、前記電力系統に設定した前記電力系統に設定した部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標を演算する補正前エリア周波数指標演算部と、前記インバータ装置の設置ノード、周波数応答に関するデータ、前記電力系統内における高速周波数応答の必要量に関するデータ、および、前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標の演算結果を用いて、前記インバータ装置の制御量を決定する制御内容決定部と、前記部分系統エリアごとの周波数変動の評価指標が規定範囲以内に収まるか否かを判定する補正後エリア周波数安定性判定部と、を備えたことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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