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公開番号
2025059593
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-10
出願番号
2023169770
出願日
2023-09-29
発明の名称
軽量アルミナ質焼結体、これよりなる熱処理用部材及びその製造方法
出願人
株式会社ニッカトー
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C04B
38/00 20060101AFI20250403BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】本発明の課題は、耐熱衝撃性、耐久性及び耐食性に優れるアルミナ質焼結体及び熱処理用部材を提供することである。また、これらの特性に加えて熱容量の低い熱処理用部材を提供することである。
【解決手段】以下要件(a)~(e)を満たす軽量アルミナ質焼結体。(a)結晶相としてコランダム相とムライト相の2相からなり、ムライト相の含有率が15~30%である。(b)アルミナ含有量が90~94質量%である。(c)気孔率が30~50%である。(d)平均気孔径が20μm以下である。(e)面積25mm
2
中に存在する500μm以上の結晶粒子数が10~15個であり、前記結晶粒子数の変動係数が0.2以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
下記要件(a)~(e)を満たす軽量アルミナ質焼結体。
(a)結晶相としてコランダム相とムライト相の2相からなり、ムライト相の含有率が15~30%である。
(b)アルミナ含有量が90~94質量%である。
(c)気孔率が30~50%である。
(d)平均気孔径が20μm以下である。
(e)面積25mm
2
中に存在する500μm以上の結晶粒子数が10~15個であり、前記結晶粒子数の変動係数が0.2以下である。
続きを表示(約 430 文字)
【請求項2】
請求項1記載の軽量アルミナ質焼結体からなる熱処理用部材。
【請求項3】
アルミナ含有量が99.7質量%以上であり、平均粒子径が500~1400μmである粗粒アルミナ粉体とアルミナ含有量が99.7質量%以上であり、平均粒子径が5~20μmである微粒アルミナ粉体とを、微粒アルミナ粉体に対する粗粒アルミナ粉体の質量比(粗粒アルミナ粉体/微粒アルミナ粉体)が0.55~0.85になるように混合し、得られた混合物にアルミナとシリカとの質量比であるAl
2
O
3
/SiO
2
が74/26~78/22であり、平均粒子径が700~2000μmであるムライト粉体を、粗粒アルミナ粉体に対するムライト粉体の質量比(ムライト粉体/粗粒アルミナ粉体)が0.85~1.30になるように混合及び分散させて、成形後、1500~1700℃で焼成する請求項1記載の軽量アルミナ質焼結体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量アルミナ質焼結体、軽量アルミナ質焼結体からなる熱処理用部材及び軽量アルミナ質焼結体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
電子材料をはじめとする先端材料は年々小型化、高特性化が進み、それに伴って材料は精密な組成制御が必要不可欠となっている。製造工程の中でも熱処理工程において、加熱により成分蒸発による組成変動が起こると目標とする特性が得られないケースがあり、そのため、急速昇温・降温処理がなされている。しかしながら、熱容量が大きい熱処理用部材を用いると炉内温度と被焼成物との温度差が生じ、その結果、被焼成物を所定の温度にするまでの時間を要したり、冷却時間が長くなるなどのデメリットがあり、その結果、目標とする急速昇温・降温ができなかったり、加熱に要するエネルギー量が増えるという問題点があった。従来から、緻密質熱処理用部材が耐食性及び耐久性に優れている点から使用されているが、耐熱衝撃性が低いため急速昇温・降温に耐えられず、炉内で爆ぜて割れるなどして被処理物が飛散し、炉内汚染を起こすだけでなく、連続での使用の場合は復旧に時間を要するなどの問題点があった。一方、耐火物熱処理用部材は耐熱衝撃性に優れているものの耐食性や耐久性に劣るという欠点があり、特に繰り返しの使用によって耐火物を構成している粒子が脱粒し、被焼成物に混入したり、微細なクラックが発生し、繰り返しにより成長して破断に至る問題点を有していた。
【0003】
以上のように先端材料の熱処理工程には耐熱衝撃性、耐久性及び耐食性に優れ、高効率の熱処理を可能とする熱処理用部材が求められている。例えば、特許文献1では、所定の粒度からなる電融アルミナ及びムライトとローソーダ仮焼アルミナを特定の配合量で混合して作製した焼成用道具材が開示されているが、混合する粉体の分散状態を配慮していないため、大きい粒子と小さい粒子との均一分散性が低い組織となり、耐熱衝撃性や耐久性に劣っている。また、特許文献2では、中空アルミナ原料を用い、原料粉体の粒度分布を制御し、高強度及び耐スポール性に優れた軽量の耐火物が開示されている。しかしながら、アルミナ含有量が低いため耐食性が低く、精密な組成制御が求められる先端材料の熱処理に使用できるものではない。気孔率を20%以上で軽量としているが、気孔率が20%程度であれば通常の耐火物でも有する気孔率であり決して軽量とは言えず、低熱容量になっていないことは明らかであり、省エネルギーには効果はないと考えられる。さらには、特許文献3では、微小アルミナ原料粉体と粗大アルミナ原料粉体をある特定の配合比率で混合して作製したアルミナ質耐火物が開示され、得られる耐火物の気孔率を20~40%としており、また、気孔径を10μm以下としているが、耐熱衝撃性だけでなく、耐久性にも劣るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2003-252677号公報
特開平11-189480号公報
特開2011-88759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、耐熱衝撃性、耐久性及び耐食性に優れるアルミナ質焼結体及び熱処理用部材を提供することである。また、これらの特性に加えて熱容量の低い熱処理用部材を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、従来の電子材料等の先端材料の耐火物及び緻密質熱処理用部材にかわる、耐熱衝撃性、耐久性及び耐食性に優れたアルミナ質熱処理用部材を得るべく、鋭意研究を重ねてきた。その結果、アルミナ質焼結体において、ムライト結晶の含有量、アルミナ含有量、気孔率、平均気孔径及び粗大アルミナ結晶粒子の分散状態を制御し、特定の範囲とすることで、アルミナ質焼結体が有する耐食性だけでなく、耐熱衝撃性及び耐久性を向上させることができ、しかも気孔率を高くすることで通常起きる強度等の機械的特性の低下も抑制できることを見いだした。これらの事項を制御し特定の範囲としたアルミナ質焼結体は、従来の耐火物と緻密質熱処理用部材の問題点を大幅に解消し、熱処理用部材として優れるものであった。さらに、このアルミナ質焼結体は、軽量で低熱容量との特性を有することから、熱処理工程における省エネルギー化を図ることができるとの利点も合わせもっていた。また、本発明者らは、このような軽量アルミナ質焼結体が、高純度で異なる特定の平均粒子径を有する粗粒及び微粒の2種類のアルミナ粉体と、一定のアルミナとシリカの比を有し、特定の平均粒子径を有するムライト粉体とを、特定の比率で混合したものを原料として使用することにより製造できることを見いだした。ここで、混合時の特定の比率とは、2種類のアルミナ粉体の間の比率と、粗粒アルミナ粉体とムライト粉体との比率であり、これらの比率を制御した製造方法は今まで知られていなかった。本発明者らが新たに見いだした軽量アルミナ質焼結体は、耐熱衝撃性、耐久性及び耐食性等の機械的特性に優れているだけでなく、低熱容量であるという優れた特性も有し、被熱処理物である各種材料の熱処理に用いる容器類、各種焼成炉等に用いる部材として好適に使用できるものであった。本発明は、こうして完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)下記要件(a)~(e)を満たす軽量アルミナ質焼結体。
(a)結晶相としてコランダム相とムライト相の2相からなり、ムライト相の含有率が15~30%である。
(b)アルミナ含有量が90~94質量%である。
(c)気孔率が30~50%である。
(d)平均気孔径が20μm以下である。
(e)面積25mm
2
中に存在する500μm以上の結晶粒子数が10~15個であり、前記結晶粒子数の変動係数が0.2以下である。
(2)上記(1)の軽量アルミナ質焼結体からなる熱処理用部材。
(3)アルミナ含有量が99.7質量%以上であり、平均粒子径が500~1400μmである粗粒アルミナ粉体とアルミナ含有量が99.7質量%以上であり、平均粒子径が5~20μmである微粒アルミナ粉体とを、微粒アルミナ粉体に対する粗粒アルミナ粉体の質量比(粗粒アルミナ粉体/微粒アルミナ粉体)が0.55~0.85になるように混合し、得られた混合物にアルミナとシリカとの質量比であるAl
2
O
3
/SiO
2
が74/26~78/22であり、平均粒子径が700~2000μmであるムライト粉体を、粗粒アルミナ粉体に対するムライト粉体の質量比(ムライト粉体/粗粒アルミナ粉体)が0.85~1.30になるように混合及び分散させて、成形後、1500~1700℃で焼成する上記(1)の軽量アルミナ質焼結体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の軽量アルミナ質焼結体及びこれからなる熱処理用部材は、耐熱衝撃性、耐久性及び耐食性に優れる。また、本発明の軽量アルミナ質焼結体及びこれからなる熱処理用部材は、低熱容量である。本発明の軽量アルミナ質焼結体及びこれからなる熱処理用部材は、これらの特性から熱処理用途のために使用する部材として優れる。本発明の製造方法は、本発明の軽量アルミナ質焼結体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施例9で得られた焼結体の顕微鏡観察画像を示す図である。
図2は、比較例3で得られた焼結体の顕微鏡観察画像を示す図である。
図3は、実施例9で得られた焼結体のX線回折パターンを示す図である。
図4は、比較例5で得られた焼結体のX線回折パターンを示す図である。
図5は、比較例11で得られた焼結体のX線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の軽量アルミナ質焼結体は、次の要件(a)~(e)の全てを満たす。(a)結晶相としてコランダム相とムライト相の2相からなり、ムライト相の含有率が15~30%である、(b)アルミナ含有量が90~94質量%である、(c)気孔率が30~50%である、(d)平均気孔径が20μm以下、及び(e)面積25mm
2
中に存在する500μm以上の結晶粒子数が10~15個であり、前記結晶粒子数の変動係数が0.2以下である。本発明の軽量アルミナ質焼結体における軽量とは、かさ密度が低い、すなわち気孔率が大きいことを意味する。また、本発明において熱処理用部材とは、熱処理に使用する部材であり、被熱処理物を収容、載置等するための容器、台、各種焼成炉等に熱処理全般に使用される部材のことである。本発明の熱処理用部材としては、例えば、電子材料や二次電池材料の合成や焼成、各種セラミックス製品の焼成、金属溶解、単結晶育成等に使用される容器、セッター、チューブ等の作製に使用される部材を挙げることができる。以下の本発明における要件(a)~(e)について詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)
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