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公開番号2025058721
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-09
出願番号2023168839
出願日2023-09-28
発明の名称熱処理設備、熱処理方法及び熱処理プログラム
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類F27D 19/00 20060101AFI20250402BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】試料に合わせて熱処理の温度条件を短時間で変更することができ、多段熱処理を容易に行うことができるとともに、熱処理条件の広範囲化を図ることができる熱処理設備を提供する。
【解決手段】
熱処理設備1は、熱処理装置10、試料台20、条件入力部30、温度制御部32、位置制御部31を備える。熱処理装置10は試料Wを熱処理するための熱処理部11を有する。試料台20は試料Wが設置されるとともに、熱処理部11内を移動可能に構成されている。条件入力部30は試料Wを熱処理するための熱処理条件Pが入力される。温度制御部32は熱処理条件Pに基づいて熱処理部11内に温度分布が形成されるように熱処理部11内の温度を制御する。位置制御部31は温度分布が形成された熱処理部11内において、熱処理条件Pに適合する熱処理温度を呈する位置に試料Wが位置するように試料台20の位置を制御する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
試料を熱処理するための熱処理部を有する熱処理装置と、
前記試料が設置されるとともに、前記熱処理部内を移動可能に構成された試料台と、
前記試料を熱処理するための熱処理条件が入力される条件入力部と、
前記熱処理条件に基づいて、前記熱処理部内に温度分布が形成されるように前記熱処理部内の温度を制御する温度制御部と、
前記温度分布が形成された前記熱処理部内において、前記熱処理条件に適合する熱処理温度を呈する位置に前記試料が位置するように、前記試料台の位置を制御する位置制御部と、
を備える熱処理設備。
続きを表示(約 2,500 文字)【請求項2】
前記試料台には、前記試料台が位置する前記熱処理部内の位置の温度を検出する温度検出部が設けられており、
前記位置制御部は、前記温度分布が形成された前記熱処理部内において、前記温度検出部により検出された温度と前記熱処理条件に適合する熱処理温度とが一致するように、前記試料台の位置を制御する、請求項1に記載の熱処理設備。
【請求項3】
前記熱処理部は、内部空間を有する炉と、前記炉の前記内部空間を加熱する加熱部とを備え、
前記温度制御部は、前記炉の前記内部空間に前記温度分布が形成されるように前記加熱部を制御する、請求項1又は2に記載の熱処理設備。
【請求項4】
前記試料は第1の試料と第2の試料とを含むとともに、前記熱処理設備は前記第1の試料の熱処理と前記第2の試料の熱処理とを並行して行うことができるように構成されており、
前記試料台は、第1の試料台と第2の試料台とを含み、
前記熱処理条件は、前記第1の試料台に設置された前記第1の試料の熱処理温度である第1の熱処理温度と、前記第2の試料台に設置された前記第2の試料の熱処理温度である第2の熱処理温度とを含み、
前記温度制御部は、前記熱処理部の前記温度分布が前記第1の熱処理温度及び前記第2の熱処理温度を含むように、前記熱処理部内の温度を制御し、
前記位置制御部は、前記温度分布が形成された前記熱処理部内において、前記第1の熱処理温度を呈する位置に前記第1の試料台が位置するように前記第1の試料台の位置を制御するとともに、前記第2の熱処理温度を呈する位置に前記第2の試料台が位置するように前記第2の試料台の位置を制御する、請求項1又は2に記載の熱処理設備。
【請求項5】
前記熱処理設備は、前記熱処理条件における熱処理時間が互いに異なるものを含む複数の前記試料に対して、熱処理を順次行うように構成されており、
前記熱処理がなされる前の前記試料が設置された試料準備台と、
前記試料準備台に設置された前記試料を前記第1の試料台及び前記第2の試料台のいずれかに設置する搬入操作を行う試料搬入装置と、
前記熱処理装置による熱処理がなされた後の前記試料を前記第1の試料台又は前記第2の試料台から取り出す搬出操作を行う試料搬出装置と、
前記試料搬入装置及び前記試料搬出装置の駆動を制御する搬入出制御部と、
を備え、
前記搬入出制御部は、前記第1の試料台における前記搬入操作を行う期間と前記第1の試料台における前記搬出操作を行う期間とを含む第1搬入出期間と、前記第2の試料台における前記搬入操作を行う期間と前記第2の試料台における前記搬出操作を行う期間とを含む第2搬入出期間とが互いに重複しないとともに、複数の前記試料における搬入開始時刻から搬出終了時刻までの総処理時間が最も短くなるように最適化された順序で熱処理を行うように前記試料の前記搬入操作及び前記搬出操作を行う、請求項4に記載の熱処理設備。
【請求項6】
前記熱処理部内には、前記第1の試料台が移動する領域である第1移動領域と、前記第2の試料台が移動する領域である第2移動領域とが、前記熱処理を行う際に個別に密閉された状態となるように構成されており、
前記第1移動領域内の雰囲気と前記第2移動領域内の雰囲気とを個別に制御する熱処理雰囲気制御部を備える、請求項4に記載の熱処理設備。
【請求項7】
前記試料台を揺動又は回転させる揺動回転装置を備える、請求項1又は2に記載の熱処理設備。
【請求項8】
前記熱処理部の内側は、大気から遮断されており、
前記熱処理部の外側における前記試料が移動する領域を内包して大気から遮断する筐体と、
前記筐体の内側が所定の雰囲気となるように前記筐体内の雰囲気を制御する筐体雰囲気制御部と、
を備える、請求項1又は2に記載の熱処理設備。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の熱処理設備により、前記試料の熱処理を行う熱処理方法であって、
前記条件入力部に前記熱処理条件を入力する熱処理条件入力工程と、
前記熱処理条件に基づいて、前記温度制御部により前記熱処理部内に前記温度分布を形成する温度分布形成工程と、
前記試料台に前記試料を設置する試料搬入工程と、
前記位置制御部により、前記温度分布が形成された前記熱処理部内において、前記熱処理条件に適合する熱処理温度を呈する位置に前記試料が位置するように前記試料台の位置を調整する位置調整工程と、
前記条件入力部に入力された前記熱処理条件に適合する処理時間の熱処理を行う熱処理実施工程と、
前記試料台から前記熱処理済みの前記試料を取り出す試料搬出工程と、
を含む、熱処理方法。
【請求項10】
前記試料は第1の試料と第2の試料とを含み、
前記試料搬入工程では、第1の試料台に前記第1の試料を設置するとともに、第2の試料台に前記第2の試料を設置し、
前記位置調整工程では、前記位置制御部により、前記温度分布が形成された前記熱処理部内において、第1の熱処理温度を呈する位置に前記第1の試料が位置するように前記第1の試料台の位置を調整するとともに、第2の熱処理温度を呈する位置に前記第2の試料が位置するように前記第2の試料台の位置を調整し、
前記熱処理実施工程では、前記熱処理条件に適合する前記第1の試料の処理時間である第1処理時間の熱処理を行うとともに、前記熱処理条件に適合する前記第2の試料の処理時間である第2処理時間の熱処理を行い、
前記試料搬出工程では、前記第1の試料台から前記熱処理済みの前記第1の試料を取り出すとともに、前記第2の試料台から前記熱処理済みの前記第2の試料を取り出す、請求項9に記載の熱処理方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理設備、熱処理方法及び熱処理プログラムに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年多くの分野でデータ駆動型研究開発が実施されている。材料分野においてはマテリアルズインフォマティクス及びプロセスインフォマティクスとして知られている。これらには多くのデータセットが必要であり、データ収集は非常に重要な要素である。そのため、マテリアルズインフォマティクス及びプロセスインフォマティクスともに、多くのデータを収集するため、データを自動で収集するシステムの構築が行われている。特にプロセスインフォマティクスに関しては、プロセスには時間軸が存在するため、多くの条件でのデータ収集が必要となってくる。また、これらデータの範囲は各パラメータに対して広い範囲で、偏りなく分散していることが望ましい。
【0003】
材料作製において、熱処理は多くの場合において必要とされる工程である。熱処理は昇温速度、保持時間、保持温度、降温速度、多段ステップの有無、ガス雰囲気、ガス流量、ガス圧力など影響を与える因子が多数存在しており、同種材料でも求める特性によって熱処理条件が大きく異なる。これら因子条件を広範囲で取得するためには、多大な時間・労力が必要になる。従って、材料作製・開発において熱処理条件探索が最も時間のかかる作業の一つであるため、効率良く、広範な熱処理条件が施された試料を獲得可能な装置が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5669981号公報
特許第5686918号公報
特許第7162996号公報
【非特許文献】
【0005】
Kohei Nagai, Takayuki Osa, GenInoue, Takuya Tsujiguchi, Takuto Araki, Yoshiyuki Kuroda, Morio Tomizawa &Keisuke Nagato: Scientific Reports (2022) 12:1615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1には、基板へのセラミックス塗布及びその熱処理による被膜化工程を自動化する構成が開示されている。しかしながら、非特許文献1に開示の構成では、大気中熱処理で問題ない材料系を対象とするため、雰囲気制御は考慮されておらず、かつ温度保持条件は一定であり、異なる条件を行える仕様にはなっていない。
【0007】
従来から、試料を熱処理する熱処理設備としては、試料を長い連続処理炉内に順々に投入し、炉内を順々に移動させることで、試料に対して加熱、均熱、冷却等の熱処理を連続的に行うようにした連続式の熱処理設備が知られている。これは熱処理工程が1つの条件に決定された大量生産において適応される熱処理設備であり、同じ熱処理を施す試料を大量に作製するには適しているが、熱処理条件を試料に合わせて変更することができないため、異なる熱処理を施す試料を作製することはできない。また、真空雰囲気にすることが困難であり、ガスフローによる雰囲気制御はできるが、気密性に乏しく、系外からのガス混入は避けられない。
【0008】
また、独立処理装置内に試料を設置させ、この処理装置内において、試料に対して、加熱、均熱、冷却等の熱処理を行うようにした熱処理設備がある。気密性が高いため、所望の真空雰囲気やガス雰囲気の制御が容易に可能である。当該熱処理設備は、前記と同様、熱処理工程が1つの条件に決定された大量生産において適応されるものである。したがって、バッチごとに、炉体の昇温-温度保持-冷却を行う必要があるため、次のバッチに熱処理を施すには、炉が冷却されるまでの待機時間が必要である。また、バッチ内で均質な熱処理を行うためには、温度変化の少ない均熱帯の大きさが重要となるため、そのためには炉長を長くしたり、断熱材を適宜配置するなど、熱マネージメントの工夫が必要である。よって、同じ熱処理を施す試料を作製するには適しているが、熱処理条件の異なる多様な試料を効率よく作製するに不向きである。
【0009】
近年では試料が多品種におよび、熱処理時間がそれぞれ規則性無く異なったものを連続して生産する必要がでてきている。特許文献1乃至3では、試料を熱処理する複数の処理装置と、熱処理する試料を装入させる装入装置と、処理装置において熱処理された試料を抽出させる抽出装置と、処理装置において熱処理された試料を抽出装置に装入させる搬送装置とを備えた自動熱処理設備が示されている。空気の混入を防ぐため、搬送ユニットと処理室との間で受け渡しするにあたり、搬送ユニットと処理室とを密封状態で連結させる作業が所望の真空雰囲気やガス雰囲気の制御が容易に可能になっている。これによれば、処理装置によって異なる温度設定を行い、所望の熱処理を終えたのちに搬出し、別のユニットに配置することで、次の試料を処理装置に挿入することが可能であるため、待機時間の大幅な短縮につながる。
【0010】
さらに、特許文献3においては、処理時間と搬送時間を考慮して、試料入替のタイミングをずらすことで、装置使用の空白の少ない工程計画が実施可能な自動熱処理設備が示されている。
(【0011】以降は省略されています)

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