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公開番号2025044474
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-02
出願番号2023152051
出願日2023-09-20
発明の名称電力変換装置
出願人株式会社明電舎
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H02M 7/493 20070101AFI20250326BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】定格の異なる複数の電流検出器を有し、且つ出力側にフィルタコンデンサを設けた電力変換装置を並列に接続した複数台並列構成において、負荷電圧の振動を抑制する。
【解決手段】開閉指令・電流、電圧制御許可信号生成部から電圧制御を指定する電圧制御許可信号が出力されたときに、前記複数の電力変換装置に各々接続されている出力側電磁接触器のいずれかが開状態の場合、出力電圧検出を選択し、全ての出力側電磁接触器が閉状態の場合、電圧指令を選択する電圧選択部70と、電圧制御許可信号が電圧制御を指定する場合、出力フィルタコンデンサの電圧検出値が前記電圧選択部により選択された電圧指令の電圧になるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して、電流指令を生成する。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項１】
負荷に対して複数の電力変換装置を並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて順次直列に接続された第１の電流定格を有する出力フィルタ前側第１の電流検出器、第１のリアクトル、前記第１の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第１の電磁接触器、出力フィルタ後側第１の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第１の電磁接触器、第１の電流定格を有する出力フィルタ後側第１の電流検出器、第４のリアクトル、出力側電磁接触器と、前記第１のリアクトルおよび出力フィルタ前側第１の電磁接触器の直列回路に各々並列に接続された、第１の電流検出器よりも小さい第２の電流定格を有する出力フィルタ前側第２の電流検出器、第２のリアクトル、第２の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第２の電磁接触器から成る直列回路と、第２の電流検出器よりも小さい第３の電流定格を有する出力フィルタ前側第３の電流検出器、第３のリアクトル、第３の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第３の電磁接触器から成る直列回路と、前記フィルタ前側第１の電磁接触器と出力フィルタ後側第１の電磁接触器の共通接続点と電力変換装置の負極端の間に接続された出力フィルタコンデンサと、前記出力フィルタ後側第１の電磁接触器の両端間に各々並列に接続された、第１の電流検出器よりも小さい第２の電流定格を有する出力フィルタ後側第２の電磁接触器および第２の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第２の電磁接触器から成る直列回路と、第２の電流検出器よりも小さい第３の電流定格を有する出力フィルタ後側第３の電流検出器および第３の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第３の電磁接触器から成る直列回路と、を備えて電力変換装置の主回路を構成し、
予め設定された出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器の開閉設定信号と出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第１電磁接触器側論理積回路と、
予め設定された出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器の開閉設定信号と出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第２電磁接触器側論理積回路と、
予め設定された出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器の開閉設定信号と出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第３電磁接触器側論理積回路と、
前記第１～第３電磁接触器側論理積回路の各論理積結果が１である数を加算する運転許可設定側加算器と、第１～第３の電磁接触器の開閉設定信号が閉である数を加算する開閉設定側加算器と、前記運転許可設定側加算器の加算出力が１と等しい時のみ１を出力する第１比較器と、前記開閉設定側加算器の加算出力が１と等しいときのみ１を出力する第２比較器と、
前記出力フィルタコンデンサの電圧を検出した電圧検出値と前記出力側電磁接触器の負荷側の電圧を検出した電圧検出値の差分の絶対値が、設定した電圧判定レベルよりも小さいとき１を出力する第３比較器と、
前記第１比較器～第３比較器の出力の論理積をとって論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路とを有した負荷接続許可判定処理部と、
予め設定された、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器での運転許可設定、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器での運転許可設定、出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器での運転許可設定、が各々許可である数を加算する運転許可設定側第２加算器と、運転許可設定側第２加算器の加算出力が１と等しいときのみ１を出力する第４比較器と、
前記出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器の開閉設定信号と負荷接続許可信号の論理積をとる第１論理積回路と、
前記出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器の開閉設定信号と負荷接続許可信号の論理積をとる第２論理積回路と、
前記出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器の開閉設定信号と負荷接続許可信号の論理積をとる第３論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第４比較器の出力信号、前記出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第４論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第４比較器の出力信号、前記出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第５論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第４比較器の出力信号、前記出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第６論理積回路と、
前記第１論理積回路および第４論理積回路の出力の論理和処理を行って出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器の開閉指令を出力する第１論理和回路と、
前記第２論理積回路および第５論理積回路の出力の論理和処理を行って出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器の開閉指令を出力する第２論理和回路と、
前記第３論理積回路および第６論理積回路の出力の論理和処理を行って出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器の開閉指令を出力する第３論理和回路と、
前記第１、第２、第３論理積回路の各出力の論理和処理を行い、結果が０ときは０を、結果が１のときは１を出力する第１選択回路と、
前記第４、第５、第６論理積回路の各出力の論理和処理を行い、結果が０ときは０を、結果が１のときは１を出力する第２選択回路と、
前記第１選択回路および第２選択回路の各出力を加算し、加算結果に応じて電流制御不許可、電流制御、出力フィルタコンデンサ電圧制御のいずれかの電流制御許可信号と、電圧制御不許可、電圧制御、出力フィルタコンデンサ電圧制御のいずれかの電圧制御許可信号を出力する電流、電圧制御許可信号生成用加算器とを有した開閉指令・電流、電圧制御許可信号生成部と、
前記第１論理和回路から出力される出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器の開閉指令と出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第１論理積回路と、
前記第２論理和回路から出力される出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器の開閉指令と出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第２論理積回路と、
前記第３論理和回路から出力される出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器の開閉指令と出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第３論理積回路と、
前記負荷接続許可信号が許可であるとき１を、不許可であるとき０を出力する第１選択器と、前記第１選択器の出力信号と、前記第１～第３論理積回路の各出力の論理和処理を行った結果の信号との論理積をとって出力側電磁接触器開閉指令を出力する第４論理積回路と、を有した出力側電磁接触器開閉指令生成部と、
前記開閉指令・電流、電圧制御許可信号生成部から電圧制御を指定する電圧制御許可信号が出力されたときに、前記複数の電力変換装置に各々接続されている出力側電磁接触器のいずれかが開状態の場合、出力電圧検出を選択し、全ての出力側電磁接触器が閉状態の場合、電圧指令を選択する電圧選択部と、
開閉指令・電流、電圧制御信号生成部から出力された電圧制御許可信号が電圧制御を指定する場合、出力フィルタコンデンサの電圧検出値が前記電圧選択部により選択された電圧指令の電圧になるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して、電流指令を生成し、
前記電圧制御許可信号がフィルタコンデンサ電圧制御を指定する場合、出力フィルタコンデンサの電圧検出値が出力電圧の検出値になるように、前記比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して、電流指令を生成し、
前記電圧制御許可信号が電圧制御不許可を指定する場合、電圧指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電圧制御器と、を有した電圧制御部と、
前記出力フィルタ前側第１の電磁接触器および出力フィルタ後側第１の電磁接触器の開閉指令に応じて０又は１を出力し、前記出力フィルタ前側第２の電磁接触器および出力フィルタ後側第２の電磁接触器の開閉指令に応じて０又は２を出力し、前記出力フィルタ前側第３の電磁接触器および出力フィルタ後側第３の電磁接触器の開閉指令に応じて０又は３を出力する第２選択器と、前記第２選択器の出力を加算する加算器とを有し、前記加算器の出力に応じて出力フィルタ前側第１～第３の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する出力フィルタ前側選択器と、前記加算器の出力に応じて出力フィルタ後側第１～第３の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する出力フィルタ後側選択器と、を有した電流レンジ切換え処理部と、
前記開閉指令・電流、電圧制御許可生成部で生成された電流制御許可信号が電流制御である場合、電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された電流指令値となるように比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して、電力変換装置の電圧指令を生成し、
電流制御許可信号が、出力フィルタコンデンサ電圧制御である場合、電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された出力フィルタコンデンサ電圧電圧制御時の電流指令値となるように比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して、電力変換装置の電圧指令を生成し、
前記電流制御許可信号が電流制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電流制御器と、を備えたことを特徴とする電力変換装置。
続きを表示（約 1,600 文字）【請求項２】
複数の電力変換装置に設けられている出力側電磁接触器が全て閉状態であるときに前記電流制御器の電流制御入力を有効とする電流制御選択器と、制御選択信号によって、電流制御が選択された場合は電流制御出力電流指令を、電圧制御が選択された場合は電圧制御出力電流指令を各々選択して前記電流制御器の電流制御入力とする指令選択器とを備えたことを特徴とする請求項１に記載の電力変換装置。
【請求項３】
前記開閉指令・電流、電圧制御許可信号生成部から電圧制御を指定する電圧制御許可信号が出力されたときに、前記複数の電力変換装置に各々接続されている出力側電磁接触器のいずれかが開状態の場合、出力電圧検出を選択し、全ての出力側電磁接触器が閉状態の場合、電圧指令を選択する電圧選択部と、
開閉指令・電流、電圧制御信号生成部から出力された電圧制御許可信号が電圧制御を指定する場合、負荷電圧の電圧検出値が前記電圧選択部により選択された電圧指令の電圧になるように、前記全ての出力側電磁接触器が閉状態であることを条件に設定した比例ゲインにより比例制御を、積分ゲインにより積分制御を各々行い、全ての出力側電磁接触器が閉状態であるときに負荷電圧補償指令を出力し、
前記電圧制御許可信号がフィルタコンデンサ電圧制御を指定する場合、負荷電圧の検出値が前記電圧選択部により選択された出力電圧検出値になるように、前記全ての出力側電磁接触器が閉状態であることを条件に設定した比例ゲインにより比例制御を、積分ゲインにより積分制御を各々行い、全ての出力側電磁接触器が閉状態であるときに負荷電圧補償指令を出力し、
前記電圧制御許可信号が電圧制御不許可を指定する場合、電圧指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える負荷電圧補償器と、を有した負荷電圧補償制御部と、
前記電圧制御部の電圧制御器に入力される電圧指令又は出力電圧検出値に、前記負荷電圧補償器から出力される負荷電圧補償指令を重畳する重畳部と、を備えたことを特徴とする請求項１又は２に記載の電力変換装置。
【請求項４】
前記第４のリアクトルおよび出力側電磁接触器の直列体に並列に接続されたリアクトルバイパス用電磁接触器と、前記出力側電磁接触器開閉指令生成部の第４論理積回路から出力される出力側電磁接触器開閉指令を基に、出力側電磁接触器を閉としリアクトルバイパス用電磁接触器を開とする開閉指令と、出力側電磁接触器を開としリアクトルバイパス用電磁接触器を閉とする開閉指令を生成する電磁接触器開閉指令生成部と、を備えたことを特徴とする請求項１又は２に記載の電力変換装置。
【請求項５】
前記第４のリアクトルおよび出力側電磁接触器の直列体に並列に接続されたリアクトルバイパス用電磁接触器と、前記出力側電磁接触器開閉指令生成部の第４論理積回路から出力される出力側電磁接触器開閉指令を基に、出力側電磁接触器を閉としリアクトルバイパス用電磁接触器を開とする開閉指令と、出力側電磁接触器を開としリアクトルバイパス用電磁接触器を閉とする開閉指令を生成する電磁接触器開閉指令生成部と、を備えたことを特徴とする請求項３に記載の電力変換装置。
【請求項６】
電流制御を行う場合に、出力側電磁接触器を閉としリアクトルバイパス用電磁接触器を開とする開閉指令を選択し、電圧制御を行う場合に、出力側電磁接触器を開としリアクトルバイパス用電磁接触器を閉とする開閉指令を選択する制御選択部をそなえたことを特徴とする請求項４に記載の電力変換装置。
【請求項７】
電流制御を行う場合に、出力側電磁接触器を閉としリアクトルバイパス用電磁接触器を開とする開閉指令を選択し、電圧制御を行う場合に、出力側電磁接触器を開としリアクトルバイパス用電磁接触器を閉とする開閉指令を選択する制御選択部をそなえたことを特徴とする請求項５に記載の電力変換装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、電流を高精度に制御するために定格の異なる複数の電流検出器（以下、ＨＣＴと称することもある）を有し、且つ出力にコンデンサを有する電力変換装置を並列に接続した場合の電圧制御法に関する。
続きを表示（約 1,000 文字）【背景技術】
【０００２】
大容量かつ複数の電流定格を搭載した電力変換装置が要求されている。このため、複数の電流定格を持つ複数台の電力変換装置に関する並列運転方式を開発する必要がある。また、電流制御のみだけでなく負荷の電圧を制御する電圧制御が要求される用途もある。
【０００３】
定格の異なる複数の電流検出器を切換えて電力変換装置を運転する先行技術として、例えば特許文献１に記載のものが提案されている。
【０００４】
図１は先行技術における電力変換装置の構成例であり、特許文献１の図９に記載の構成を示している。
【０００５】
図１において、ＦＣ（フライングキャパシタ）を有する電力変換器１００と負荷２００を結ぶ電路には、ＨＣＴ１（第１の電流検出器）とＨＣＴ１を選択するための電磁接触器（以下、ＭＣと称することもある）ＭＣ１が直列に介挿されている。ＭＣ１の両端間には、ＨＣＴ１とは定格の異なるＨＣＴ２（第２の電流検出器）とＨＣＴ２を選択するための電磁接触器ＭＣ２が直列に接続されている。
【０００６】
尚、特許文献１では、電流定格の異なる複数のＨＣＴを備えた電力変換装置の出力を結合して複数台で運転を行う記述が無い。
【０００７】
図２に、先行技術（図１の構成）をそのまま出力結合して電力変換装置を複数台運転する場合の主回路構成を示す。
【０００８】
図２において、負荷２００に対して複数の電力変換装置１、２が並列に設けられ、電力変換装置１と負荷２００を結ぶ電路には、電力変換装置１から負荷２００にかけて、第１の電流定格を有する第１の電流検出器ＨＣＴ＿１１を選択する第１の電磁接触器ＭＣ１１、ＨＣＴ＿１１、リアクトルＬ１１が順次直列に接続されている。
【０００９】
ＭＣ１１の両端間には、前記ＨＣＴ＿１１よりも小さい第２の電流定格を有する第２の電流検出器ＨＣＴ＿２１およびＨＣＴ＿２１を選択する第２の電磁接触器ＭＣ２１が直列に接続されている。
【００１０】
電力変換装置２と負荷２００の間にも、前記と同様に、第１の電磁接触器ＭＣ１２、第１の電流検出器ＨＣＴ＿１２、リアクトルＬ１２が直列に接続され、ＭＣ１２の両端間には第の２電流検出器ＨＣＴ＿２２および第２の電磁接触器ＭＣ２２が直列に接続されている。
（【００１１】以降は省略されています）

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