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公開番号2025043168
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-28
出願番号2023150532
出願日2023-09-15
発明の名称原子発振器
出願人国立研究開発法人情報通信研究機構,santec Holdings株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類H03L 7/26 20060101AFI20250321BHJP(基本電子回路)
要約【課題】周波数安定性とスタートアップ高速化を両立させる原子発振器を提供する。
【解決手段】原子発振器10は、アルカリ金属原子が封入されたガスセル4と、ガスセル4を透過した光を検出して電気信号に変換する光検出器5と、高周波発振器62を備えて前記電気信号を入力されて帰還信号を出力する制御回路6と、前記帰還信号により変調させた光を出力してガスセル4に導入するレーザー素子1と、ガスセル4の共鳴周波数が高周波発振器62の周波数に非同期の状態から同期するまでのスタートアップ期間に一時的に、スペクトル線幅の広い光を出力するようにレーザー素子1を制御するスタートアップ回路8と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アルカリ金属原子が封入されたガスセルと、前記ガスセルを透過した光を検出して電気信号に変換する光検出器と、高周波発振器を備えて前記電気信号が入力されて帰還信号を出力する制御回路と、前記帰還信号により変調させた光を出力して前記ガスセルに導入するレーザー光源と、を備えて、CPT共鳴による共振周波数を発生させる原子発振器であって、
前記レーザー光源が出力した光を入力されて前記ガスセルに導入する光変調器と、前記ガスセルの共鳴周波数が前記高周波発振器の周波数に非同期の状態から同期するまでのスタートアップ期間に一時的に前記光変調器を、入力された光を位相変調してスペクトル線幅が広くなるように制御するスタートアップ回路と、をさらに備えることを特徴とする原子発振器。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
アルカリ金属原子が封入されたガスセルと、前記ガスセルを透過した光を検出して電気信号に変換する光検出器と、高周波発振器を備えて前記電気信号が入力されて帰還信号を出力する制御回路と、前記帰還信号により変調させた光を出力して前記ガスセルに導入するレーザー光源と、を備えて、CPT共鳴による共振周波数を発生させる原子発振器であって、
前記レーザー光源が、共振器に可動ミラーを設けられたレーザー素子であり、
前記ガスセルの共鳴周波数が前記高周波発振器の周波数に非同期の状態から同期するまでのスタートアップ期間に一時的に前記可動ミラーの駆動を制御して、前記レーザー光源に、非制御時よりもスペクトル線幅を広くした光を出力させるスタートアップ回路をさらに備えることを特徴とする原子発振器。
【請求項3】
前記スタートアップ回路は、前記可動ミラーの駆動用電圧にジッタを付加して前記レーザー光源に印加させることにより、前記可動ミラーを振動させてスペクトル線幅を広くした光を出力させる請求項2に記載の原子発振器。
【請求項4】
前記スタートアップ回路は、前記可動ミラーの駆動用電圧を、前記可動ミラーを静止させる電圧以上に印加させないことにより、前記可動ミラーを振動可能としてスペクトル線幅を広くした光を出力させる請求項2に記載の原子発振器。
【請求項5】
前記スタートアップ回路は、広くした前記光のスペクトル線幅を漸減して前記スタートアップ期間後のスペクトル線幅とする請求項1または請求項2に記載の原子発振器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原子発振器に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
原子発振器には、原子時計、ならびに原子共鳴を利用した慣性センサおよび磁気センサ等に使用される小型の原子周波数標準器として、CPT(Coherent Population Trapping,量子干渉効果)共鳴を利用したものがある。CPTによる原子発振器(以下、原子発振器)は、アルカリ金属原子を封入したガラスセル(原子共鳴系)、原子共鳴系に光を入力するレーザー光源、および局部発振器を備え、原子共鳴系から出力される信号(共鳴信号)に局部発振器を同期(ロック)して安定な周波数を出力する。レーザー光源には、小型で高速応答性を有する垂直共振器面発光レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)を適用されることが多い(例えば、非特許文献1)。原子発振器がチップレベルにまで小型化し得たことにより、原子時計として腕時計等に利用するだけでなく、クロックモジュールとして、PCおよびスマートフォンのような情報端末、自動車、その他電子機器に広く搭載することが可能となる。
【0003】
原子発振器の周波数の安定性のために、レーザー光源は、波長可変と共にスペクトル線幅が狭いことが好ましい。VCSEL等の半導体レーザーは、レーザー発振用電流の増減に伴う温度変化により波長を変化させることができるが、環境により波長が制限される場合がある。そこで、前記の熱制御よりも構造が複雑であるが応答性に優れた、可動ミラーを用いた機械的制御による波長可変VCSELが開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献2、非特許文献3)。詳しくは、VCSELの共振器の一対のミラーの一方をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で駆動して、共振器長を変化させて出力光の波長を変化させる。このようなMEMS型波長可変VCSELは、数MHz以下の狭線幅を実現することができ、周波数安定性が高い原子発振器が得られる(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第4200431号公報
特開2021-097061号公報
【非特許文献】
【0005】
S. Knappe et. al., “ATOMIC VAPOR CELLS FOR MINIATURE FREQUENCY REFERENCES”, in Proceedings of the 2003 IEEE International Frequency Control Symposium and PDA Exhibition Jointly with the 17th European Frequency and Time Forum, pp.31-32, 2003
M. Huang, D. K. Serkland, J. Camparo, “A narrow-linewidth three-mirror VCSEL for atomic devices”, Applied Physics Letters 121, 114002, 2022
M.S. Khan et. al., “Compact low-cost solution for wavelength sensitive applications with micro-machined tunable VCSEL”, in Proceedings of 2022 IEEE International Conference on Optical MEMS and Nanophotonics, 2022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原子共鳴系に入力する光のスペクトル線幅が狭いと、前記したように同期状態においては周波数安定性が高いが、一方で、非同期状態になると同期が成立し難く、同期するまで(スタートアップ)の時間(ロックアップタイム)が長くなる。特に、電子機器に搭載されたクロックモジュールは、電子機器の起動や待機状態からの復帰等により、スタートアップが頻繁に実行される。レーザー発振用電流を大きくすることにより、出力スペクトルの形状を大きくして線幅を広くすることができるが、VCSELの狭線幅化設計により、ロック容易な線幅とするために定常時(同期状態継続時)に対して大電流を供給することになり、このような大電流に対応した回路構造とする必要がある等、効率がよくない。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、周波数安定性とスタートアップ高速化を両立させる原子発振器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る原子発振器は、CPT共鳴による共振周波数を発生させるものであり、アルカリ金属原子が封入されたガスセルと、前記ガスセルを透過した光を検出して電気信号に変換する光検出器と、高周波発振器を備えて前記電気信号が入力されて帰還信号を出力する制御回路と、前記帰還信号により変調させた光を出力して前記ガスセルに導入するレーザー光源と、前記ガスセルの共鳴周波数が前記高周波発振器の周波数に非同期の状態から同期するまでのスタートアップ期間に一時的に、前記ガスセルに導入する光のスペクトル線幅が広くなるように制御するスタートアップ回路と、を備える構成である。前記原子発振器はさらに、前記レーザー光源が出力した光を入力されて前記ガスセルに導入する光変調器を備え、前記スタートアップ回路が前記光変調器を、入力された光を位相変調してスペクトル線幅が広くなるように制御する。または前記原子発振器は、前記レーザー光源が、共振器に可動ミラーを設けられたレーザー素子であり、前記スタートアップ回路が前記可動ミラーの駆動を制御して、前記レーザー光源に非制御時よりもスペクトル線幅を広くした光を出力させる。
【0009】
かかる構成により、原子発振器は、定常運転時に高い周波数安定性を得つつ、スタートアップが高速化する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器に搭載可能な汎用のクロックモジュールとして好適な原子発振器が得られる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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